EA、「FIFA 11」発売記念イベントに前日本代表監督の岡田武史氏が登場
ゲーム内の「世界選抜」監督となった岡田氏、マンUと対戦!



10月20日開催

会場:東京ミッドタウン カンファレンスルーム


 エレクトロニック・アーツ株式会社は10月20日、東京・赤坂の東京ミッドタウンカンファレンスルームにて「FIFA 11 ワールドクラスサッカー」の発売記念イベントを開催した。「FIFA 11 世界選抜監督 就任記者会見」と題されたこのイベントでは、「FIFA 11」の発売を記念して岡田武史・前日本代表監督と、スポーツコメンテーターの西岡明彦氏が登場。岡田氏自ら選んだという「世界選抜チーム」を使ってのシミュレーション・マッチが行なわれた。

 「FIFA 11 ワールドクラスサッカー」は、プレイステーション 3、Xbox 360、PSP向けに10月21日発売されるサッカーゲーム。欧州を中心に世界30のリーグ、500のクラブチームを全て実名で収録し、最大11人対11人でプレイできるオンライン対戦機能を初めて実現した。先行発売されている北米・欧州では、発売初週で260万本以上を売り上げ、スポーツゲームにおける販売記録をうちたてたばかりだ。




■ “岡田サン”らしい選手選考? 世界選抜メンバー発表

EAカナダで本作のエグゼクティブプロデューサーを務める牧田和也氏
スポーツコメンテーター西岡明彦氏
ご存じ前日本代表監督の岡田武史氏
岡田氏による世界選抜チーム

 開場に先立ち登壇したのはエレクトロニック・アーツの代表取締役社長 ロバート・キム氏。本作「FIFA 11」がアメリカ・欧州でスポーツゲーム史上最速最短の売り上げ記録を立てたことを報告し、「今回の『FIFA 11』はさらに進化を遂げ、シリーズ完成版と言っても過言ではない作品に仕上がっております」と、ゲームの出来に自信を覗かせた。

 続いて登壇した本作のエグゼグティブプロデューサー 牧田和也氏は、本作の特徴を「FIFA公認の圧倒的な実名収録」、「個性の追加」、「パスシステム」、「ゴールキーパーの操作+オンライン11対11」、「キャリアモード」の5つに分けて紹介。特にゴールキーパーの操作に関しては非常に重要なポジションであることもあり、2年をかけて完成度の高いものに仕上げたという。また選手の個性再現にも力を入れており、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド、ウェイン・ルーニーといった世界最高クラスの選手には固有のアクションも実装。圧倒的なスピードや、ストライドが短く奪われにくいドリブル、あるいは献身性といった個性をしっかり再現していることなどが紹介された。

 そしていよいよスペシャルゲストが登場。海外サッカー中継の実況でおなじみのスポーツコメンテーター西岡明彦氏と、前日本代表監督の岡田武史氏だ。「記者会見は久しぶりですね、岡田さん」という西岡氏に対して開口一番、「そうだね、あんまりいい思い出がないけどね」と笑顔で答える岡田氏。「FIFA 11」の世界選抜監督就任についてコメントを求められると、「そうですね、まあ、新しい仕事を見つけれてよかったなと。いま無職なんで、ちょうど仕事探してて。これでいこうかなと」とジョークを飛ばし、会場の笑いを誘った。

 というわけで岡田氏の選んだ世界選抜メンバーが発表。「試合やるからには勝ちたいんでね、世界選抜ですからそんなに長くは練習できないんで、まあ協調性のある選手を」という、監督時代の苦悩がにじみそうな選考基準で選ばれた11人は、ゴールキーパーにジュリオ・セザル。ディフェンダーにサネッティ、ビリッチ、ピケ、エッシェン。ミッドフィルダーにはエジル、シャビ、スナイデル。そしてフォワードにはイニエスタ、ルーニー、フォルランで、フォーメーションは4-3-3の攻撃的な布陣。控えの5人にはカシージャス、マイコン、ルシオ、セスク、ドログバといった名前が並ぶ。

 そして選考の理由を兼ねて各選手への評価を語る岡田氏。「まずエッシェン。どうしても、僕はこの選手が好きなんですよ。オランダで日本代表と試合したときに、ファウル受けてもパッパッとホコリを払うようにして立ち上がってと、余裕でしたよね。文句も言わない。あの雰囲気が好きでしたね」。「ピケは、マンチェスターユナイテッドにレンタルで行ったときから面白い選手になるなと思っていたんですけど、とにかくディフェンスラインから中盤に入れるパスがめちゃくちゃ上手いです。闘莉王みたいなイメージがあって。ストッパーからパスを入れられる選手がいないと今のサッカーでは厳しいということで入れました」。

 また、ワールドカップで活躍した3選手にも言及。「このワールドカップで、エジルとフォルランの2人は凄いなというインプレッションを受けた選手です。エジルはパスもできる、ドリブルもできる、2列目からの飛び出しもできるということで、やはり中盤に入れたいと」。「フォルランに関しては、クラブチームで見ているときはそれほどでもなかったんですけど、ワールドカップで見て、こんなに凄い選手だったんだと思いまして、どうしても入れたかったんです」。「イニエスタはフォワードじゃないという考え方もできるんですけど、彼が生きるのは右サイドで下がったところで受けてまた出て行く、最初から前線にいるより、外から中に入っていく方が生きる選手じゃないかと。香川真司のようなイメージを持っています」。などなど、岡田氏ならではの選手語りが続く。

 控え選手の5人についても面白いコメントが飛び出した。「トップは、やっぱりワールドカップ前に骨折させてしまったんで、申し訳ないなと思ってドログバ。実は4月にチェルシーに遊びに行って、アンチェロッティ監督と話しているときにドログバが来て紹介されて、『今度練習試合するらしいな、よろしく』と握手させてもらったら骨折させてしまって。試合終わってから会わないように会わないようにしてました。申し訳ないからここで取り返そうと思って」。ちょっとはにかみながら「今だからできる話」を語る岡田氏に、会場からも笑いが絶えない様子だった。


牧田氏が解説した「FIFA 11」の注目ポイント。特にゴールキーパーの操作は時間をかけて開発し、ボールとゴールの位置関係をうまく把握できるようなカメラの動きに細心の注意を払ったという
選抜メンバーを発表する岡田氏。近年の活躍が目覚しい選手を中心に、それでも通好みの渋めな選考になっているあたりが岡田流という感じだろうか




■ 岡田氏の世界選抜チーム、マンチェスターユナイテッドとゲーム内で対戦!

EAカナダの牧田氏も参加して世界選抜VSマンチェスターユナイテッドの試合が開始
岡田氏が監督とはいえ試合をするのはコンピューター同士。どういう試合になるか固唾を飲んで見守る
前半20分にルーニーがゴール! 選手選考の勝利?

 こうして岡田氏の選抜した「世界選抜チーム」と、マンチェスターユナイテッドのゲーム内対戦が始まった。「勝つんじゃない!? これで負けてまた敗戦監督の記者会見なんて、またやるのかい?」と少々気弱な岡田氏だが、ゲームの進行はコンピューター操作のAIによる自動操作対決。勝つも負けるも試合の流れと選手個々の能力次第だ。

 ちなみに本作は、前作の「FIFA 10」に比べても非常にディフェンスのAIが向上しており、簡単に相手にスペースを与えず、なかなか得点を許さない作りになっている。このためロースコアゲーム、あるいは0-0での引き分けも大いに有り得るわけだが、岡田氏に許されたのは自ら選抜したメンバーが展開する試合をただ見守ることだけ。控え選手への交代もコンピューターAIが操作するというルールだからだ。果たして得点は決まるのか。

 試合にあたっては、岡田氏が見守りつつ西岡氏が実況、そして本作プロデューサーの牧田氏が解説という形で進行した。「やっぱりシャビはサイドじゃなく中央に入れて欲しい」と設定データの変更を要求する岡田氏だったが、試合開始直前になってしまって残念ながら却下。しかし相手のマンチェスターユナイテッドの方は、ルーニーとビリッチを世界選抜に取られているためある意味飛車角落ち的な状況ということで納得したようだ。

 「さあ、舞台はスペイン、サンチャゴ・ベルナベウ。岡田監督は選手たちにどんな指示を送ったんですか」という西岡氏に「そんなん俺わからんわ」と岡田氏が答えて会場爆笑と、即興コントのようなトークが飛び出しつつキックオフ。

 「エジルはやっぱり上手いねえ」、「フォルランはミスパスが多いなあ」と試合を眺めつつ、選手たちが見せる様々な動きに感想を漏らす岡田氏。と、そこでサイドからのクロスに合わせてルーニーがヘディングでゴール! 岡田氏の世界選抜チームが前半1-0でリードした。うれしそうに「ルーニーはゲームの表紙にもなってるもんなあ、やっぱり強いよなあ」と独自の冷静な視点でゲーム内選手の評価を始める岡田氏にまたも会場爆笑。

 また岡田氏は、「選手によって、こういう場合は競り勝つ、競り負けるというのも作ってあるんですか」とゲームの再現性にも興味津々。牧田氏はそれに答えて、「そうですね、選手の大きさや、属性を活かして再現しています」とゲームの特徴を解説。岡田氏は「じゃあ長友(佑都)を入れたら全部勝っちゃうんだ」と、ウケ狙いなのか本気なのかわからない発言でまたも笑いをとりつつ、納得した様子で試合を見守った。

 そして試合は1-0で世界選抜チームの勝利。勝利監督としてコメントを求められた岡田氏は「勝因!? そりゃあ、俺のほうがコンピューターより優れてたんだろう」とまた直球な感想で笑いをとりつつ、「でもあれだよね、ディフェンスの真ん中が固かったのが結構当たってなかった? それとエジルよかったよね。それ以外は、サイドバックがあまりオーバーラップしなかったなあ。もうちょっと行ってくれると思ってたんだけど。あとルーニー、表紙になってるだけあって点は取るよね」とニコニコ顔だ。

 試合後質問を受け付けた岡田氏は、今回の世界選抜に日本人選手から1名入れるとしたら誰か?という質問に答え、「今日あまり機能しなかったイニエスタの代わりに香川真司かな。彼はイニエスタをイメージして常にプレイしてるんだよね。外から中に入っていくのが得意で、最近はやたら点に絡んでますからね。そういう意味では今日のチームに真司が居たらもう1点くらい取ってたかもしれませんね」と、ドルトムントで絶好調の香川選手の名前を挙げた。

 日本代表の最近2試合についてコメントを求められると、「アルゼンチン戦は生で、韓国戦はテレビで見させていただきましたけど、非常にいい試合をしてくれたと思っています。特にワールドカップ後に海外に出て行った選手が本当に自信を持って、堂々とプレイしているなという印象があって。日本のサッカーがこうして少しづつ進んでいくんだろうなという期待を持てる、本当に良い試合をしてくれたと思っています」と日本代表にエールを送った。

 イベント後は会場内に設けられた試遊スペースで「FIFA 11」を実際にプレイできることもできたが、何しろ発売日はイベントの翌日。早速製品を手にとり、世界のサッカーをゲームで体験したいところだ。





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(2010年 10月 20日)

[Reported by 佐藤カフジ]