東京ゲームショウ2010レポート

ゼニマックス・アジア、「Fallout: New Vegas」試遊レポート
ネオンきらめく繁華街、ギャング映画のような世界を探索! 新ウェポンも試してみた


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 ゼニマックス・アジア株式会社は、東京ゲームショウ2010のスクウェア・エニックスブース、及びマイクロソフトブースにて、PS3/Xbox 360向けRPG「Fallout: New Vegas」を出展している。本作は11月4日に発売を予定しており、レーティングはZ(18歳以上対象)。それぞれ年齢制限ありのクローズドブースで出展されており、発売に先駆けて試遊できる。一般公開日では、ファンはぜひチェックして欲しい。

 本稿ではプレビューとして、「Fallout: New Vegas」の感触をお伝えしたい。本作は「Fallout 3」の3年後の物語だが、ストーリーや登場人物の直接的なつながりはない。舞台は核爆弾が直撃したワシントンDCからはるか離れたラスベガス周辺であり、基本的な世界観を共通としながら、大きく雰囲気の違った世界と、ストーリーが展開する。



■ 派手で華麗、しかしどこかもの悲しいニューベガス。街の支配を狙う陰謀のにおい

暗闇に輝くネオン。前作には全くなかった派手さを感じさせるニューベガスのカジノ
カジノの中。ブラックジャックやルーレットができる。建物の中にはスーツやドレスに身を包んだ男女が

 「Fallout: New Vegas」ではプレーヤーは“何か”を運んでいる、というところから始まる。その大事な“何か”を運んでいたプレーヤーは突然何者かに襲われ、頭に銃弾を受け倒されてしまう。その“何か”は奪われてしまう。

 死んだかと思ったプレーヤーキャラクターは、一命を取り留める。医者に拾われ、体力を回復すると、奪われた“何か”を取り戻すため、広大な世界へ足を踏み出すことになる。ここはかつてラスベガスという街があった、アメリカ西部。いまはニューベガスと呼ばれる街がある。プレーヤーはこの地で3つの勢力が争う戦いに巻き込まれていく。

 試遊台では物語が始まる「ドック・ミッチェルの家」、New Vegasの中を探索できる「ニューベガス・ストリップ地区」、そしてスーパーミュータントと力一杯戦いを楽しめる「ブラックマウンテン」の3つから1つを選んで体験できる。今回はまず、ニューベガス・ストリップ地区を選んでみた。

 この地区は現在のラスベガスそのまま、いくつものカジノがある。この街はたくさんのネオンサインで照らされ、夜でも昼のように明るく派手な一角だ。夜空に輝くネオン、ルーレットを模した看板……。一見、「Fallout 3」のワシントンD.Cと地続きの地とは信じられない。しかしよく見ると壁は薄汚れており、建物もくすんでいる。明かりはともっているが、全てに「時の浸食」を感じさせる。

 建物の中にはいると、時の感覚は一層強まる。ガジノの内装の色づかいは派手だが、くすんでいて人もまばらだ。住人達はアメリカの50年代のさっぱりしたスーツを着ているが、どれも古ぼけている。住人達が着ている服は、「Fallout 3」でも登場していたが、荒野でスーツを着るというちぐはぐさの面白さがあった。一方ニューベガスは古ぼけた街の風景に、古ぼけたスーツを着ている人たちの姿は、どこかもの悲しい。

 服と風景がマッチしているからこそ、もう決して戻ることはできない「華やかだった時代」を想起させる。間違いなくここは、「Fallout」の世界だ。街の風景は全く違うものの、それらを構成しているパーツの多くは「Fallout 3」で見かけたものだ。前作をプレイしたユーザーは似て非なるこの世界に引き込まれるだろう。

 ニューベガスのカジノにはいると、ルーレットやブラックジャックをプレイすることができる。しかし、カジノに入るためには手に持っていた武器を全て預けなくてはならない。カジノの中では突然戦闘に巻き込まれることもあり、そのときには武器の調達に苦労させられる。住人達の隠し金庫から武器を奪ったり、怪しげな商人から武器を買うこともできる。

 ニューベガスは3つの勢力が街の支配を狙っている。3つの勢力は独自の通貨も持ち、それぞれが他を出し抜こうとしている。プレーヤーはこの戦いに巻き込まれていく。カジノの顔役は古ぼけていながらもスーツを着こなし、ボディーガードはソフト帽にトンプソンマシンガンを持っている。彼らとの会話は腹の探り合いのような雰囲気で、ギャング映画のようだ。プレーヤー自身も映画の登場人物になったかのように感じられる。

 街の外には一輪車のような足と、箱のような体、蛇腹の手を持ったセキュリティーロボットがいる。胴体の真ん中には警官の顔が出ている。「Fallout 3」のイラストのタッチのコミカルで親しみのあるデザインだが、敵対するとそのユーモラスな外見とは裏腹にかなり強い。ちなみに表示される顔にはいくつかの種類があり、美女の顔を出力するロボットもいて、声も応対パターンも違うものになるという。ストリップ地区を出ると、そこはもう電気の供給もなく、廃墟が広がっている。華やかな場所はごく限られた地域だけのようだ。

 今回体験できたバージョンは日本語吹き替え版で、キャラクター達の会話だけでなく、もれ聞こえるラジオの音声なども日本語化されていた。有名な声優も起用しているとのことで、今後の発表を待ちたい。


ギャング映画の登場人物のような服装。中央にいるのがセキュリティーロボットだ。右はスーパーミュータントとの激闘シーン
今回はあまり体験できなかったが西部劇風の要素もたっぷりだ
新たな敵、新たな武器が多数登場する



■ グレネードを連射してスーパーミュータントを粉砕。派手な超兵器が目白押し

ゼニマックス・アジアゼネラルマネージャーの高橋徹氏
広がる青い空。前作とは違った風景だ

 ブラックマウンテンのシチュエーションも体験してみた。ここでは入り口でスーパーミュータントから警告を受ける。この山に住むスーパーミュータントは、特定の誰かの支配下になっているという。彼の支配体制を終わらせると約束すると、ミュータントは走り去る。どうやら「Fallout 3」同様、スーパーミュータントの中には「話せばわかる」者もいるようだ。

 とはいえ、この地区では他のスーパーミュータントはプレーヤーを見かけるなり攻撃してくる。重武装の敵が多く、かなり手強い。光学迷彩で姿を隠し、巨大なブレードで攻撃してくる新種のスーパーミュータントもいた。しかしプレーヤーキャラクターも強力な武装で対抗できるようになっている。今回体験した武器の中でも強力なのが「グレネードマシンガン」だ。その名の通りグレネードをマシンガンのように連射する武器だ。

 この他にも、ブラックマウンテンは「Fallout 3」でも登場した炎を吹き出す剣「シシケバブ」のような強力な武器が使える。他にもプラズマを連射する「プラズマキャスター」など、ここでのプレイは「Fallout: New Vegas」でいずれ入手できる超兵器達を試すことができた。

 会場では、ゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏に「Fallout: New Vegas」の話を聞くことができた。ニューベガスの住人がワシントンDCに比べ文化的な生活をしている点は、この地域は直接核ミサイルが落ちてきた地域でなく、近くにはダムもあって飲み水も豊富で、人々の生活が比較的保証されているためだという。ダムでは水力発電が行われており、電力供給も安定しているため、ニューベガスはあれだけ栄えた雰囲気があるという。

 だからこそ、その恵まれた環境を自分が支配しようとする者も多い。ニューベガスでは3つの勢力が争っている。プレーヤーが1つの勢力の敵を殺し続けるとその勢力の評価は下がるが、それにより他の勢力の評価が上がるわけではない。どの勢力につくかでゲーム展開は大きく変わり、バランスを持って3つの勢力とつきあうのはかなり困難な道になる。「Fallout: New Vegas」では名前のついたNPCが2000人以上も登場すると言うことで、権力争いなど前作以上に濃いドラマが展開するという。

 マップとしては「Fallout 3」と比べて広大になったというわけではないが、ストーリー要素がより重厚になっている。また展開が大きく異なるため、繰り返しプレイも楽しめる。「Fallout: New Vegas」では武器の改造やカスタマイズも可能で、様々な槍込み要素も用意されているということだ。北米ではすでにマスターアップし、日本でも準備が進められている。

 今回、ニューベガスを歩いてみて、早くこの世界を自分のキャラクターで歩き、世界に干渉したいと強く思った。試遊台を触ってみる「Fallout 3」ファンは、必ずそう思うだろう。発売日が待ち遠しい。


魅力的なNPC、戦闘要素、ユニークなアイテムなど、様々な端で前作からパワーアップ
左は相棒を連れ歩けるコンパニオンシステム。右はプレーヤーの家となる建物だろうか? 今作では住むことができる家も増えるという

Fallout: New Vegas(TM) (C)2010 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are trademarks or registered trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. Fallout, Fallout: New Vegas, and related logos are trademarks or registered trademarks of Bethesda Softworks LLC in the U.S. and/or other countries. Developed in association with Obsidian Entertainment Inc. Obsidian and related logos are trademarks or registered trademarks of Obsidian Entertainment Inc. All Rights Reserved. .

(2010年 9月 17日)

[Reported by 勝田哲也]