Bethesda、「Fallout: New Vegas」プレビュー
「Fallout 3」と同じ文法で、“核戦争後の西部劇”を描く


4月21日、22開催(現地時間)

会場:The Palms Casino



 「Bethesda Gamers Day 2010」がラスベガスで開催されるきっかけとなった「Fallout: New Vegas」。「Fallout 3」のゲームエンジンを使ったまったく新しい「Fallout」フランチャイズである。4月には待望の日本語版での取り扱いも発表されたばかりだが、今回ようやくプレス向けのプレビューが行なわれたので、さっそく「Fallout: New Vegas」の詳細情報をお届けしたい。

 なお、「Fallout: New Vegas」の概要については、こちらのニュースでも扱っているのでこちらも合わせて参照頂きたい。発売プラットフォームは、プレイステーション 3とXbox 360。発売時期は欧米と同じ2010年秋を予定している。価格とCEROレーティングは未定となっている。

【「Fallout: New Vegas」イメージイラスト】
「Fallout: New Vegas」のラスベガス“New Vegas”の風景。ストリップあたりという設定だろうか。看板が残るあたりは「Fallout 3」の奴隷商人街パラダイスフォールズに似てるが、見事にモノがない

【「Fallout: New Vegas」プロモーションムービー】
BGMはフランク・シナトラの「Blue Moon」。今作でも昔懐かしのカントリーソングがたっぷり楽しめそう



■ 「Fallout 3」と同じ文法で、“核戦争後の西部劇”を描く「Fallout: New Vegas」

デモを担当した「Fallout: New Vegas」Project DirectorのJosh Sawyer氏
「Fallout: New Vegas」におけるフーバーダムの風景。ストリップからフーバーダムまでカバーしてるとなると、相当広いエリアがカバーされそうだ
ステータス設定画面。木製のコンソールで設定を行なうところがおもしろい

 「Fallout: New Vegas」は、2008年に発売され全世界で話題を集めた核戦争後の荒廃しきった未来のアメリカを舞台にしたRPGである。前作「Fallout 3」では、米国の首都ワシントンDCが舞台になっていたが、今回は西海岸を代表する歓楽街ラスベガス。時代設定は「Fallout 3」の3年後、2280年となっているが、両作の人的、ストーリー的な繋がりはまったくない。ゲームエンジンやゲームシステム、世界設定、フィールドの規模感が同じというだけである。一種のパラレルワールドという扱いで物語が展開されていく。

 「Fallout」シリーズ共通の味わいとして、超未来世界を扱っておきながら、核戦争が起きた1950~60年代で時が止まっているため、未来感より昔懐かしさを漂わせる世界設定が挙げられる。「Fallout: New Vegas」でもこの点はまったく同じで、“20世紀前半頃から300年ほど風化させたラスベガス”を再現している。世界恐慌後にカジノが合法化され、ニューディール政策の一環としてフーバーダムの建設が始まる。これを稼ぎのチャンスと見たアメリカ中のマフィアがラスベガスへとやってくる……。そういう時代背景である。

 しかしゲーム世界では、現実世界のように世界最大規模の歓楽街とはならずに、核戦争の影響で緩やかに衰退していくことになる。フーバーダムのような巨大な建造物の建造が行なわれた一方で、その後に作られたはずの巨大ホテル群は影も形もなく、古びた木造の家屋に、鬱陶しい砂埃とタンブル・ウィードといった西部劇の雰囲気をそこかしこに残した風景は、「Fallout」らしい奇妙な味わいがある。

 さて、核戦争から300年が経過したラスベガスは、「New Vegas」と呼ばれ、3つの派閥が分割統治する世界と化している。今回のプレーヤーは、アメリカ西海岸を拠点に運び屋を営んでいる。プレーヤーはある重要な「何か」を運送中に、謎の集団に襲われてしまう。プレーヤーは頭部を撃たれ重傷を負うが、ロボットに救出されてなんとか一命は取り留めたものの、重要な「何か」は強奪されてしまう。意識を取り戻したプレーヤーは、「何か」を取り戻すためにNew Vegasで探索活動を始めていくことになる。これが「Fallout: New Vegas」のプロローグとなる。

 ドク“Doc Mitchell”の家で目を冷ましたプレーヤーは、ドクの質問やロールシャッハテストに答えていくことで、名前、容姿、性別、その他の性質を決めていく。最後にステータスとスキルを割り振ってキャラクターメイキングは完成。最後に「Fallout 3」のように、情報端末Pip-Boy 3000を手渡される。このあたりは、「Fallout 3」の赤ちゃんチュートリアルと似たような展開だ。ただし、時間は10分足らずと、Vaultを出るまでがチュートリアルだった前作と比べるとずいぶん簡略化されている。ドクとの会話が終わったら、あとは自由になる。彼のアドバイスに従って住民たちの話に耳を傾けてもいいし、いきなり荒野を飛び出しても良い。

 ドクの暮らす街Goodspringsでは、巨大な両生類“Geckoを退治して欲しいというV.A.T.Sと呼ばれる「Fallout」独自の攻撃システムのチュートリアルクエストに始まり、バーテンダーに話しかけるとRingoという名の商人をかくまっていることを知らされる。プレーヤーはここでギャングの襲撃から商人を助けるために、討伐隊を編成してギャングを返り討ちにしてもいいし、無視してもいい。好むと好まざるとに関わらず、いきなり勢力争いに巻き込まれていくことになる。酒場らしきところでは、旧式のルーレットマシンが置かれ、絶えずリールが回るや金属音が鳴り響いており、「Fallout 3」にはない空気が漂っている。ちなみにストリップ地帯までいけば、実際にカジノを楽しむこともできるようだ。

 デモでは、デバッグコマンドを駆使して、Goodsprings以外に様々な場所を見ることができた。木製のジェットコースターがある街、Novacと呼ばれる恐竜のランドマークがある街、スーパーミュータントが拠点とする山岳地帯Black Mountain、太陽エネルギーを集めて兵器として使う怪しいパワープラントなどなど。一部の地域では放射能に汚染されている地域もあるようでNew Vegasにおいても核が落ちたという。これらがストーリーにどのような影響を与えているのか気になるところだ。


【Goodsprings】
Goodspringsの街並みの様子。どの勢力にも属さない1種の中立地帯となっているが、安全地帯ではないようだ。右のロボットたちは、NCR(New California Republic)が製造するもののようだ

【様々な施設】
左から順にNCR(New California Republic)の本拠地、恐竜のランドマークNovacの口部にある展望台、太陽光を使った兵器施設



■ 「Fallout 3」との違いとは!? ウェポンアップグレード、コンパニオンシステム、ハードコアモード

武器は「Fallout 3」以上の種類が登場。これはグレネードランチャー。VATSを使わず、シューター感覚でグレネードを敵にぶちあてていくという新しいタイプの武器だ
これがコンパニオンホイール。プレイ中にいつでも呼び出して命令を変えたり、武器や重量の確認が行なえる
「Fallout 3」最大の宿敵といっていいスーパーミュータントも登場。彼らは地球征服のために東海岸からはるばるやってきたらしい

 「Fallout: New Vegas」を買うことに決めてしまっている「Fallout 3」ファンが気になるのは、「Fallout 3」との違い、進化点だろう。

 大前提として「Fallout: New Vegas」のプレイフィールは基本的には「Fallout 3」と同じだ。ゲームエンジンも、ゲームシステムもまったく同じものが使われている。「Fallout 3」経験者は、あたかも第6番目のDLCのような気分でゲームをプレイできるだろう。ただし、いくつかの点で、新要素の追加や、機能強化が図られている。以下に、プレビューで気づいた「Fallout 3」との差異についてまとめておきたい。

・ウェポンアップグレードシステム

 「Fallout 3」では、獲得した武器は修理して品質を維持するしか強化手段が存在しなかったが、「Fallout: New Vegas」では、武器に対してアタッチメントを取り付けたり、使用する弾丸を変えたりすることで基本性能や特性を強化することができる。アタッチメントを取り付けることで、連射性能が上がったり、威力が増したり、装弾数が増えたりする。また見た目にも変化があり、それぞれの武器に対して3つから4つのアタッチメントが用意されているため、今回は武器や銃弾探しに加えてアタッチメントを探す楽しみも提供されるというわけだ。

・強化されたコンパニオンシステム

 「Fallout 3」にも、コンパニオン(仲間)のNPCをパートナーに一緒に行動するコンパニオンシステムは搭載されていたが、基本的におまけ的な要素に留まり、必ずしも使いやすいシステムとは言えなかった。「Fallout: New Vegas」では、コンパニオンホイールと名付けられた独自のメニューが追加され、コンパニオンに対して細かい命令を下せるように改良された。メニューには、メレー、レンジ、アグレッシブ、パッシブ、インベントリ、回復などが用意され、倒した敵からアイテムを回収させたり、スティムパック(回復薬)を持たせてヒーラー代わりに使ったりなど、使いやすさが格段に向上している。また、許容量の確認や武器の受け渡しなどもわかりやすくなっている。コンパニオンには得意な武器、不得意な武器が存在し、コンパニオン独自の成長要素も用意されているという。

・ハードコアモード

 「Fallout 3」をやり尽くし、もっと刺激のあるゲームプレイが堪能したいという猛者のために用意されたのがハードコアモード。プロローグのドクとの一幕で、ノーマルモードか、ハードコアモードを選択できる。ハードコアモードを選択すると、「Fallout 3」では無視されていた弾丸の重量が1発ごとに設定されるほか、定期的に水や食料を取る必要があり、さらにスティムパックによるHP回復が即時ではなく徐々にになり、特定部位の負傷はスティムパックでは直せず、医者に診て貰う必要があるなど、ゲームならではの特別ルールが軒並みカットされ、現実世界に近いサバイバルライフが楽しめるようになる。


Fallout®: New Vegas™ © 2010 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are trademarks or registered trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. Fallout, Fallout: New Vegas, and related logos are trademarks or registered trademarks of Bethesda Softworks LLC in the U.S. and/or other countries. Developed in association with Obsidian Entertainment Inc. Obsidian and related logos are trademarks or registered trademarks of Obsidian Entertainment Inc. All Rights Reserved.

(2010年 5月 4日)

[Reported by 中村聖司 ]