東京ゲームショウ2010レポート
コーエーテクモゲームスブースレポートその1
シブサワ・コウとTeam NINJAが強力コラボを結成
アクションゲーム「仁王」を開発中であることが明らかに!
ガッチリと握手を交わしたシブサワ氏(左)と早矢仕氏 |
■ 構想から5年の歳月を経て「仁王」の開発が再スタート!
TGS2010初日のコーエーテクモゲームスブース第1回目のステージイベントに登壇したのは、「デッド オア アライブ」や「NINJA GAIDEN(ニンジャガイデン)」シリーズの開発でおなじみのTeam NINJA早矢仕洋介プロデューサーと、同社ゼネラル・プロデューサーで「信長の野望」をはじめとする名作歴史シミュレーションの生みの親としてあまりにも有名なシブサワ・コウ氏。両者からは、双方のコラボレーションによってアクションゲームの最新作「仁王」を現在開発中であることが初めて明かされた。
実は本作、2005年に旧コーエーがプレイステーション 3用ソフトとして発売するとプレスリリースを既に行なっており、故黒澤明氏の遺稿をベースにした映画「鬼」(仮称)と同じプロットを使用して「究極のアクションエンタテインメントを目指す」と高らかに標榜していたものの、その後久しく情報が途絶えていたが今回ようやく続報が聞けることとなった。
両者のコラボが決まるまでの経緯は、シブサワ氏によって「5年前に『仁王』を発表して以来、実際に遊べるようなプロトタイプを作るところまで開発は進んだのですが、どうしても自分で納得のいくような出来にならず、一度開発を中断していました。しかし昨年4月に、コーエーとテクモが合併して両社の開発陣がいっしょになったことで、早矢仕プロデューサー率いるTeam NINJAにお願いすればきっといいものができると確信して私のほうから声をかけました」との説明があった。
意外だったのは、シブサワ氏がTeam NINJAの代表作である「デッド オア アライブ」や「NINJA GAIDEN」シリーズを好んでプレイしているとご本人が語ったこと。中でも、「『NINJA GAIDEN Σ』が大好き」で、「この作品に出てくるキャラクターの動きのキレのよさを『仁王』でもぜひ表現したいと思いました」というのがそもそもの動機であると説明。
一方の早矢仕氏は、「自分の中で『仁王』はサムライアクションゲームと名づけているのですが、みなさんが想像しているサムライアクションのさらに上をいくものを目指したい」と抱負を語るとともに、「先日まで『METROID Other M』を任天堂さんと共同開発をしていて、いろんな方々といっしょにゲームを作るのはとても刺激的で楽しいなと思っていたのですが、『メトロイド』の開発がひと息ついたところで今度はシブサワから『いっしょに作ろう』と声をかけられたので、私もまさに“光栄”だなと思ったのでぜひやりましょうということになりました。やっぱりゲーム開発の仕事をするからには楽しくやりたいじゃないですか? 楽しくゲームを開発するにあたって、シブサワはもう最高のパートナー。もうこれ以上の存在はいないでしょう」と、今や同じ会社のパートナーとなったゲーム業界の大先輩に最大級の賛辞を贈っていた。
さて、気になるゲーム内容だが、現時点では「戦国時代を舞台としたバリバリのアクションゲームで、紅毛碧眼の西洋人のサムライが大活躍する内容になります」(シブサワ氏)と述べるにとどまり、また価格や発売日などの発表はされなかった。また、プラットフォームは「PS3を中心に考えていきます」(同氏)と語り、名言はしなかったがマルチプラットフォーム展開にも含みを持たせていた。
構想から5年あまりが過ぎた「仁王」は、Team NINJAのコラボによってはたしてどんな作品に仕上がるのか? 今回のところは開発中の映像や写真などは一切公開されなかったが、コーエーとテクモの合併によるシナジー効果がどれだけ発揮できるかという点でも本作の今後の動向には大いに注目したい。
実に10年ぶりにTGS会場に姿を現したシブサワ・コウ氏は、Team NINJAの早矢仕プロデューサーが開発を担当した「METROID Other M」も攻略本をわざわざ調達してまで遊んだとのこと。両者のコラボにより新機軸のアクションゲームが生み出されることを期待したい |
■ 歴史に詳しくなくても楽しめるアドベンチャーを目指した「維新の嵐 疾風龍馬伝」
11月18日発売予定のニンテンドーDS用ソフト、「維新の嵐 疾風龍馬伝」のステージイベントには本作の北見健プロデューサーと、坂本竜馬の大ファンであるということで竜馬ルックに身を包んだ歴史アイドルの美甘子さん、主婦の友社の歴史雑誌「RYOMA」編集室の坂本龍馬氏(※筆者注:本名です)の3名が登場した。
本作はプレーヤーが主人公の坂本竜馬となり、人脈を広げつつ各藩の思想を変え、全ての藩の思想を統一することを目的とするアドベンチャーゲーム。北見氏によると、「坂本竜馬という名前は当然みなさんご存知かと思いますが、竜馬がいた幕末のことや歴史のことは全然知らない人でも、このゲームで坂本竜馬になりきることで幕末の時代や竜馬がどのように生きていたのかを知ることができるようなるのが一番の魅力です」とのこと。意外なことに、北見氏はあまり歴史のことは詳しくないそうで、「だからこそ、歴史の詳しい開発スタッフといろいろ話をして自分のような人間にも楽しめるようなゲームにしようと意識して作りました」と話し、ゲーム中にXボタンを押すと画面内にいる登場人物のプロフィールが表示される「これ誰ボタン」として機能するようにしたことを説明した。
また、3人によるトークでは「もし、竜馬が暗殺されていなかったら?」という司会者からの質問に対して、「世界中で海援隊を展開していたのでは?」(坂本氏)、「お龍さんともっといっしょに過ごしてほしかった。北海道に開拓する夢があったので、もしかしたら北海道に行って新しいことをやっていたのかもしれませんね」(美甘子さん)、 「もし、暗殺されずに生きていたらどうなるかは、ゲームの中で楽しんでもらえるようになっています。具体的にどうなるかはネタバレになるのでさすがにここでは言えませんが(笑)」(北見氏)と、それぞれがコメント。さらに「竜馬以外に気になる志士は誰?」という問いには……、「竜馬よりも先に薩長同盟を画策したとも言われている中岡慎太郎ですね。彼の行動力も本当に素晴らしいですよね」(坂本氏)、「高杉晋作ですね。見た目も奇抜なところもカッコイイですし、若くして病死してしまったというはかなさにも引かれます」(美甘子さん)などと答えていた。
またスクリーン上で流されたプロモーション映像により、10月16日公開予定の映画「桜田門外ノ変」とのタイアップが決定、詳しい内容は後日発表されることが明らかになった。さらに本作の「史跡ガイド機能」に使われている写真素材を提供している、「幕末維新ぴあ」を発行しているぴあ社から明日9月17日(金)発売の「続・戦国武将ぴあ」の表紙に「真・戦国無双3」の真田幸村が登場し、コーエーテクモゲームスの歴史関連ゲームの紹介記事が掲載されることも合わせ発表された。
筆者も早速プレイアブル出展されていた本作をプレイしたが、竜馬をはじめ桂小五郎や岩崎弥太郎など、いずれのイラストも昔ながらのコーエー伝統の歴史シミュレーションというよりは、むしろ現代の乙女ゲームやサウンドノベルに登場するような表情に描かれている印象だ。1989年に発売された元祖PC版「維新の嵐」からのファンには懐かしい、対面の相手をボタンを連打するなどして説得するシーンこそ見られなかったが、「人斬り以蔵」こと岡田以蔵などと剣道で勝負するアクションイベントが発生したり、さらにプロモーション映像ではカードバトルによって相手を説得するシーンが確認できた。シミュレーションからアドベンチャーへと変化しても、説得するためには相応の操作テクニックが必要となるシステムは健在のようだ。
「ゲームや雑誌を通じて歴史に興味を持つのはとてもいいことだと思います。本作を遊べば、きっと歴史が好きになるのではないでしょうか」(坂本氏) | 「ゲーム中には私も全然知らない志士とかもたくさん出てきます。竜馬を通じて全員が尊王派になってしまうとか、いろいろなストーリーが展開するのが面白いですね」(美甘子さん) | 「歴史に詳しくない人でも楽しめますので、ぜひ多くの人に遊んでいただきたいですね」(北見氏) |
具体的な中身は明らかにされなかったが、映画「桜田門外ノ変」とのタイアップと、雑誌「幕末維新ぴあ」に歴史関連ゲームの情報が掲載されることも合わせて発表された |
【「維新の嵐 疾風龍馬伝」】 | ||
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■ テーマソングとエンディング曲はDreamが提供! 「TRINITY Zill O'll Zero」(トリニティジルオール ゼロ)
PS3用ソフトとして11月25日に発売予定の本作は、1999年にプレイステーション用ソフトとして発売されたアクションRPG「TRINITY Zill O'll」の続編で、舞台となるのは前作から5年前の世界。開発は「真・三國無双」シリーズを手掛けたオメガフォースが、キャラクターデザインは前作に引き続き「ウィザードリィ」シリーズのモンスターデザインなどで知られる末弥純氏が担当している。
まずは本作の鈴木亮浩プロデューサーが、一般のプレーヤーからTwitter経由で送られきた質問にステージ上で回答するコーナーからスタート。質疑応答の内容は以下のとおり。
――初心者に見てほしいポイントや、オススメのシステムや演出、遊び方などがあれば教えて下さい。
鈴木亮浩プロデューサー:操作を簡単にしてありますので、アクションゲーム、あるいは『TRINITY Zill O'll』いずれの初心者にも楽しめるようになっています。
――今回は前作のように女主人や男性の主人公を設定して選ぶことはできないんですか?
鈴木亮浩プロデューサー:本作は佐藤信介氏によって設定された重厚かつ面白いストーリーをしっかり楽しんでほしいという目的がありますので、主人公はあらかじめ固定しています。
――今回も「魔の宝箱」(※タイミングよくボタンを押すと賞金が当たるミニゲームのこと)は登場しますか?
鈴木亮浩プロデューサー:はい、「富豪の館」というものが用意されていて、そこでチャレンジすることができます。ただし、前作ほど優しくはありませんよ。
さらにゲストとして登壇した、ニッポン放送インターネットラジオ“Suono Dolce”「TOKYO AFTER6」月曜ナビゲーターの荘口彰久氏からもゲーム内容について質問がおよぶと、「本作は今までにない爽快なアクションRPGを目指して開発しています。オメガフォースが『真・三國無双』シリーズを開発した際に使ったエンジンを今回は一切使用せず、すべてゼロから作っています。前作のファンにも喜んでいただけるように世界観も一生懸命煮詰めて考えました。イラストをお願いした末弥さんにも、前作の5年前が舞台ということで主人公たちもきとんと5年前の姿で描いていただきました。佐藤さんによる重厚なストーリーに、我々オメガフォースが最も得意とするアクションゲームの要素を融合させました」と鈴木氏は答えていた。
そしてステージ上には、初日のステージイベントの大トリを飾るにふさわしいスペシャルゲストとして、本作のテーマおよびエンディング曲のタイアップアーティストとして参加することが決定した女性6人のグループサウンズであるDreamが登場。早速ライブで2曲披露した後には、全身汗だくのまま本作のディレクターである庄氏とのタイムアタック対戦にチャレンジ。庄氏はベリーハード設定で戦うというハンディがあったとはいえ、朝からずっとゲームの練習していたというDream陣営が見事勝利を収めていた。
本作も会場内にプレイアブル出展されており、プレーヤーは魔法剣士アレウス、拳を武器に戦う巨体の戦士のダグザ、敏捷性に優れた女レンジャーのセレーネの3人の主人公を操作して出現する敵と戦えるようになっていた。ただ敵を切ったり叩いたりするのではなく、炎や氷などの弱点がある敵に対しては、これらの属性を持つ魔法を使うことでより倒しやすくなるなどの戦略性も存在する。プレーヤーが直接操作できるキャラクターは1人だけだが、敵が近くにいるときは他の2人も自動的に戦うようになっていた。
また、L2ボタンを押せばいつでも操作するキャラをチェンジすることが可能で、敵を攻撃している最中にタイミングよく交代することで連続攻撃ができるようにもなっている。3人のキャラクターをどんどんチェンジしつつ、連続技を叩き込むのが遊んでいて筆者は一番面白かった。また、特定の条件を満たすとL1+R1ボタン同時押しで発動する一撃必殺の「トリニティアタック」が使用できるようになるので、巨大なボスなどにとどめを刺したときの爽快感がさらに増す仕掛けを盛り込んでいたのも好印象だった。
ザコ敵が相手の場合は、敵に背後を取られないようにしつつ攻撃ボタンを連打すればだいたい勝てる難易度に調整されているので、前作の「TRINITY Zill O'll」あるいは「真・三國無双」シリーズを遊んだことがあるプレーヤーであれば、すぐに本作を楽しむことができることだろう。
Twitterによるファンからの質問では、「ハリーポッター似ですね」とのツッコミも入った鈴木プロデューサー(写真左)。華麗な歌と踊りを披露したDreamのみなさん(中央)は、普段よくゲームで遊ぶということもあって腕前のほうも上々。庄ディレクターとのタイムアタック対決でも見事な腕前を披露した |
【「TRINITY Zill O'll Zero」】 | ||
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(2010年 9月 17日)