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「大カプコン展」は体験3〜4時間の大ボリューム! 歴史凝縮の展示をレポート
「モンハン」や「ストリートファイター」など貴重な資料が盛りだくさん
2025年3月19日 21:19
- 【大カプコン展 -世界を魅了するゲームクリエイション】
- 開催期間:3月20日~6月22日
- 開催場所:大阪中之島美術館(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
- チケット 一般:3,000円
- 高大生:2,500円
- 小中生:1,000円
「ストリートファイター」や「モンスターハンター」、「バイオハザード」など数々の名ゲームを生み出してきた大阪のゲームメーカー・カプコン。そんなカプコンの40年を超える歴史やクリエイションを見て・聴いて・体験できる展覧会「大カプコン展」が大阪中之島美術館にて3月20日より開催される。
「大カプコン展」では名作の歴史的資料を展示するだけでなく、今回のためだけに作られた体験コーナーも登場。カプコンゲームのファンだけでなく、ゲームクリエイターを目指している方も必見の内容となっている。筆者は3月19日に行なわれた内覧会に参加することができたため、本稿では体験レポートをお届けしていく。
時代の流れとともにカプコンの歴史を振り返る“ROUND1”
「大カプコン展」が開催されるのは2022年に開業した比較的新しい美術館である「大阪中之島美術館」。大阪に本拠地を置くカプコンの本社も比較的近いため、訪れる際はぜひカプコン本社も覗いておきたい。
まず会場に入ると「キャラクターパレード」が目に飛び込んでくる。こちらは全長16mのスクリーンにカプコンの看板キャラクターたちが映し出され、好きなキャラクターとともに会場内へ向かうことができる。この映像は「大カプコン展」のために新たに描き起こされており、ここでしか見られないものだ。
会場内は4つの“ラウンド”にわけられており、それぞれにテーマが設定されている。ROUND1は「カプコンゲームクロニクル」で、その名の通り40年以上にわたるカプコンの歴史を貴重な資料とともに辿ることができる。
年表にはその時代のゲームハードが併せて展示されているほか、それぞれのタイトルの系統図も用意されており、後継タイトルや派生タイトルを追うことができる。実は「バイオハザード」から「ディノクライシス」や「鬼武者」、「デビル メイ クライ」シリーズが派生しているなど、新たな発見を得ることもできるだろう。
「カプコンゲームクロニクル」の展示コーナーは圧巻で、看板キャラクターの制作資料、パッケージのメインアート、ポスターなど貴重な資料がズラリと並んでいる。特にパッケージのメインアートは“世界に一点”しか存在しないため、なかなかお目にかかれない代物だ。
ゲーム作りの変化を体験できる“ROUND2”
続くROUND2のテーマは「テクノロジーとアイデアの進化」だ。このエリアでは過去から現在までのゲームづくりの変化が取り上げられており、「ファミリーコンピュータ」などゲーム機の性能が限られていたドット絵時代の創意工夫、「ストリートファイターII」と「ストリートファイター6」での新旧「波動拳」の違い、8bitサウンドから立体音響までの流れなど、様々な体験コーナーが用意されている。
ドット絵コーナーでは、実際にタブレットを用いてドット絵の塗り絵が可能。制限時間内に正しく色分けすることが求められ、ゲーム感覚で楽しむことができる。最後に表示されるQRコードを読み取れば、自身が塗った絵をダウンロードすることも可能だ。
また新旧「波動拳」が完成するまでのフローが紹介されており、旧「波動拳」はドットからアニメーションまで大部分をひとりのデザイナーが制作していたが、新「波動拳」は様々なセクションに分担されており、制作の流れが大きく変わっているのが印象的だった。また、その横では実際に新旧「波動拳」を繰り出せる展示台も用意されている。
「サウンドシアター」では8bitサウンドから最新の立体音響までを実際に聴いて体験可能。「フェイシャルトラッキングミラー」は実際にフェイストラッキングを体験可能で、ルークやアイルーなど様々なキャラクターを選んで好きな表情をとらせることができる。ドット絵からフェイストラッキングまで、40年間の進化を体験できるのが“ROUND2”エリアだ。
最新タイトルの“最新技術”を体感できる“ROUND3”
「ファンタジーとリアリティ」がテーマのROUND3。ここでは架空の存在であるゲームのキャラクターや世界をどのように作り上げるのか、現在販売中のタイトルで用いられている最新技術を垣間見れるエリアだ。
昨今のゲームで用いられることが増えた3Dスキャンのシステムが展示されていたり、春麗の制作過程を石膏像に投影するプロジェクションマッピングなど、今のゲームがどのように作られているの舞台裏を知ることができる。
ROUND3ではもう一つ、体験コーナーとして「バイオハザード:新ウォークスルー体験」が用意されている。こちらは懐中電灯型の特殊なセンサーを持って暗闇の中に入るのだが、センサーを向けた方向だけに映像が映し出され、まるで本当に懐中電灯で照らしているような、映像と最新技術を組み合わせた体験を味わえる。なお「バイオハザード」ではあるが、ジャンプスケアのようなホラー体験は無いので苦手な方も安心して楽しんでほしい。
モーションキャプチャーを手軽に体験できる「BONUS STAGE」と「FINAL ROUND」
終盤には「BONUS STAGE」が登場。「BONUS STAGE」その1は、2023年5月に公開された「吉田沙保里vs.リュウ ー私より強い奴に会いに行くー」のメイキング映像だ。霊長類最強と言われる吉田沙保里さんとリュウの対戦映像は大きな話題となったが、リアルな存在である吉田さんとCGのリュウがどのように対戦したのか、舞台裏を見ることができる。
「BONUS STAGE」その2は、現在のゲーム開発に欠かせない技術の一つである「モーションキャプチャー」を体験できる「モーションキャプチャーミラー」だ。ここでは特殊なスーツを着ることなく、簡単に「モーションキャプチャー」を体験でき、リュウやロックマンが自分と鏡合わせに動くというなかなかない体験を味わえる。
最後の展示となる「FINAL ROUND」のテーマは「受け継がれるカプコンらしさ」。「ストリートファイター」や「バイオハザード」、「モンスターハンター」など様々なタイトルの開発者インタビューを見られるほか、現在のカプコンの礎となっているゲームの“伝説の企画書”が展示されている。40年間受け継がれてきたカプコンらしさが、次世代にどのように引き継がれていくのか楽しみだ。
濃密な内容の「大カプコン展」。名古屋・鳥取・東京を巡回予定
ここまで「大カプコン展」の体験レポートをお届けしてきたが、カプコンの40年間の歴史がつまった展覧会になっていて、全てを体験するとなると3~4時間はかかるような非常に濃密な内容となっていた。また、ただひたすら展示を見るだけでなく、実際に楽しめる体験コーナーも用意されていて、ゲーマーでもそうでない人でも、子供から大人まで楽しむことができる。
また4月13日より開幕となる「大阪・関西万博」では体験型コンテンツ「モンスターハンター ブリッジ」が登場予定で、「大カプコン展」とともに行っておきたいスポットだ。そして「大カプコン展」大阪会場が閉幕した後は、名古屋、鳥取、東京での巡回展も予定されており、期間中に大阪へ行けない人もまだチャンスがある。興味のある方はぜひ訪れてみてほしい。
(C)CAPCOM (C)The Yomiuri Shimbun