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「ファイナルファンタジーXV」E3デモ&ゲーム本編 開発中Ver.試遊レポート
旅という体験のなか味わう、楽しみ方そのものがオープンな“FF”
2016年6月15日 09:00
おそらく今年最大の話題作となるであろう、9月30日に発売予定のプレイステーション 4/Xbox One用RPG「ファイナルファンタジーXV(以下、「FF15」)」。
今回は、ロサンゼルスで開催中のE3 2016に出典されている約10分間の試遊デモと、5月に北米で行なわれたゲームレビュー会「ジャッジズデイ」向けに用意された、ゲーム本編を冒頭からプレイできる特別仕様のビルドを約2時間ほどプレイさせて頂いた。
本稿ではその体験からのレポートをお伝えするのだが、ゲーム本編についてはストーリー展開等のネタバレは避け、ファーストインプレッション(第一印象)を中心にお伝えするので、ご安心頂きたい。
なお、「ファイナルファンタジーXV」のディレクターである田畑端氏と、CG映画「キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV」のディレクターである野末武志氏にインタビューした記事も別に掲載されているので、ぜひそちらもご覧頂きたい。
「E3 2016試遊デモ」――“メテオを背負った”超巨大な「タイタン」とのバトル!!
ロサンゼルスで開催されているE3 2016では、約10分の試遊が可能になっている。そこで楽しめるのは……巨大な召喚獣「タイタン」とのバトル!
プレイスタート直後にノクトが立っているのは、どこか山頂付近にある大きなクレーターの中といった様子の場所で、目の前には逆行になっているため細部がわからないものの、何か巨大で異様な存在がそこにあるのがわかる。
ノクトが近づくと、その存在は異様な声を上げながら立ち上がる。これが「タイタン」であり、ノクトはタイタンの指先ほどの大きさでしかなく、タイタンの大きさ、そのスケール感には圧倒されるものがある。
田端ディレクターへのインタビューによれば、タイタンはノクトの力を試し、その力を認めれば召喚獣として力を貸してくれるようになるという。
また、「タイタン」はかつてメテオ、巨大な隕石を受け止め、そのまま眠りについたというバックボーンがあるという。この試遊でも、背中には大きな隕石を背負っており、それはときおり青白い光を放っている。また、タイタンの全身のあちこちには、クリスタルのようなものが突き出ている。
後に召喚できるようになったタイタンの姿と比べると背負っているメテオの存在をはじめ、いろいろと違いがあり、このボス敵としてのタイタンの雰囲気には、なにか異様なものを感じさせるところがある。
このバトルのポイントは、なんといってもタイタンの圧倒的な大きさと迫力を感じられるところ。そして、特殊なイベント戦のようでありながら“操作そのものは通常のバトルと変わらない”というところだ。
言うなれば“シームレスにプレイできるイベント戦”と言えるものになっている。
前世代までなら、常にプリレンダリングのムービーで見るだけだったような展開を、常に自分で操作できるものになっている。しかも操作は決して特殊なものが求められるわけではない。
タイタンのとてつもなく巨大な足による踏みつけや、拳によるパンチを、ノクトは剣で受け止め、さらにはじき返す。崩壊する地面からシフト移動で別の場所へと着地し、なぎ払うような腕振りは回避アクションで避けていく。
そんな特殊に見えるアクションも、剣で受け止めはじき返すのは、ガードボタンの長押しで受け、そこからもう1度ボタンを押してパリィカウンターを発動するだけと、通常の戦闘と変わらない操作だ。攻撃の回避アクションもL1ボタンを押しておけば、自動で避けてくれる。
グラディオに促されて、迫りくるタイタンから逃げていると、イグニスやプロンプトも合流するのだが、帝国兵までも現われてしまう。帝国兵の狙いもタイタンのようだが、三つ巴の状況のようで、帝国兵がこちらを攻撃してくることもあった。
そんな複雑な状況のなか、ノクトや仲間たちは頻繁に喋りつづけ、反応を見せ、それもまた戦いのヒントになっていくこともある。最後に放つのは「ブリザラ」の魔法。広範囲を凍らせる魔法なのか、放ったノクトたち自身も衣服が凍りつき、咳き込んだりと辛そうな様子も見せるところが、これまでの魔法攻撃の概念と全く異なっていて面白い。
懸念としては、このシーンだけを見ると、いわゆる“QTE”(クイックタイムイベント、画面に表示された操作をさせる仕組み)がたくさんあるようにも思えてしまうのだが、これはあくまでE3用の試遊デモであり、操作ガイドを頻繁に表示しているため。ガードからパリィしたり攻撃を避けたりといったものは一連のアクションは通常バトルと同じ操作なので、仮に操作ガイド表示なしに自分の判断でプレイしても、「FF15」の操作に慣れている人なら直感的に対応できるのではないだろうか。
「ファイナルファンタジーXV」ジャッジズデイビルド――“仲間との旅”というRPG
この日プレイしたジャッジズデイ用のビルドというのは、開発中ながらも“ゲーム本編を冒頭からプレイできる”、これまでのなかで最も製品の形に近いもの。
まずは、どんな導入部から物語が始まっていくのかだが……もちろんそこは実際にプレイしてのお楽しみ。ただ、実に意外な場面から始まっていく。
思わず「え!? ここから始まっていくの?」とプレイ中に声が出てしまったぐらいなのだが……そこも後に思い返して深読みしていくと、様々なメッセージの暗喩が感じられる。今思えば、とても印象的なシーンであり、始まり方だ。
リード地方という、テキサスの荒野のような雰囲気の漂う場所へ来たノクトたち。
リード地方には興味を惹かれるものがたくさんある。荒野と自然の中に、朽ちて斜めになった電柱らしきものや、何かの建造物らしき跡など、文明の名残、破壊と退廃の跡がそこかしかに見られる。
まるで“人類から見捨てられた世界”のよう。
マップを開いてみる。マップは自分たちが歩いた場所だけが明るくなり、未踏の地は暗めに表示されるという形式で、全体もおおまかに確認できたのだが、このマップがかなり広い。例えるのは難しいが、この最初に確認できたマップだけでも、昨今のオープンワールドゲームのマップと同等ぐらいのものに思えた。しかも、この時に見られたのはマップの一部であり、全てではないという。
ある事情から旅の足止めを喰らっているノクトたち。まだまだプレイが始まって間もない冒頭シーンであり、操作やゲーム内の要素に慣れていくという段階だが、この時点からプレーヤーの行動は自由に取れる。
昨年に登場した体験版「-EPISODE DUSCAE-」をプレイした人ならば、あのプレイ体験を想像してもらえると話が早い。シチュエーションとしても似ているところがあり、ノクトたちは先へと進むために人を訪ね、依頼をこなすことになる。
メインとなるクエストがあり、目的地のマーカーも表示されているので、一直線にそこへと向かえば……もっと言えばマップ画面からの「車へ戻る」などのいわゆるファストトラベル機能(別の場所へのワープ移動)も駆使すれば、ストーリーをスピーディーに進めることも可能だ。
だが、人に話しかけてたりすればサブクエストが発生することがあるし、移動できる範囲も広い(ストーリー的な理由からどこまでも遠くまでいけてしまうわけではないが)。荒野を見渡せば、モンスターが徘徊……というより野生動物が駆け回っているような光景があり、遠くには興味を惹く変わった形の何かがあったり……と、メイン進行は置いといて探索してみたくなるものが広がっている。
そのひとつひとつにプロンプトあたりが興味津々に反応して喋りだすし、イグニスやグラディオがいさめたり、時には同調したり。ノクトもそれに加わることはもちろんあるが、ノクトは基本的にはプレーヤー目線に近い寡黙なキャラクターであり、“旅行中の友達のはしゃいでいる様子を眺めている自分”のようでもある。
そういう感覚を楽しみながら好きに探索を続けてもいいし、先ほど書いたように効率的にストーリーを進めてしまってもいい。
遊び方の選択に自由がある。
選択と言えば、人々との会話中にはときおり、“ノクトの返事をいくつかの選択肢の中から時間制限つきで選ぶ”という要素も出現していた。
選択肢には、会話の流れに乗ったもっともな返答もあれば、そんな事を言うのかとツッコミたくなるようなユニークな返事もあって(例えば、初対面の人に向かって「お金貸してくれ」と言ったり)、選択次第でクエスト進行も変わってくるのかもしれない。
モンスターとの戦闘では、体験版「-EPISODE DUSCAE-」や「プラチナデモ」より、さらに攻撃に変化をつけられるようになったところがポイント。攻撃時に左アナログスティックを入れていると、その方向に移動しながらの攻撃モーションになるし、空中からの攻撃も動きが豊かになった。また、「ブロードソード」のような大剣ではスティックを後ろに入れながらだと溜め攻撃になったりもする。
そうした“自分の操作でアクションに変化をつけられる”一方で、攻撃、防御、回避を各ボタンを押しっぱなしで自動で行なってくる手軽さも同居しているシステムだ。また、それらアクションをジャストタイミングで行なうとボーナス効果が加わるというテクニカルのプレイもサポートしている。
非常に間口の広いバトル操作だ。
地面に白いラインが引かれている「標」という場所では、キャンプで宿泊できる。戦闘で得た経験値が入り、料理も食べる。選んだ料理によってパーティーメンバーの強化効果が加わる(HPが上昇するなど)のだが、この料理はリアルなグラフィックス付きの現実にもあるメニューから選択する。
驚いたのは、プロンプトの「写真」という能力。4人それぞれに趣味や特技のような項目を1つずつ持っていて、それがプロンプトの場合は写真であり、それにも経験値が入ってレベルが上がっていく。宿泊したタイミングでプロンプトが旅の途中に撮った写真が見られるのだが……まだレベル1だったため、どの写真もひどい。ピンボケしていたり、ものすごい逆光だったり、何を撮ろうとしたのかわからなかったり。「下手すぎる!」と思わずツッコミたくなるのだが、なかには偶然にも上手く取れた1枚があったりして、それを見ると「あぁ、これは良く撮れてるね」と思ったりもする。
この写真の要素は、ゲーム的に写真のパターンをあらかじめ用意しているとかではなく、プロンプトにAI(人工知能)が組み込まれていて、その判断で実際のプレイ中に写真を撮っているのだという。「そんなところまでリアルに作り込んでいるの!?」と驚いてしまったのだが……
こうした積み重ねが「FF15」というゲームの独特な体験を生んでいく。
その実感は、愛車「レガリア」に乗れるようになって、道路を走っているときに沸いてきた。
訪れた場所の珍しいものに反応し、喋り、ウロウロと探索してモンスターと戦い、キャンプを張って、料理を食べ。その日に友達が撮った写真を見て、下手だ、これは上手い、と一喜一憂し。車に乗って流れる景色を楽しみ、音楽を再生し(歴代「FF」シリーズの楽曲が再生できるようになっていた)。そうしてまた、仲間たちの間に会話が生まれていく。
このゲームのジャンルはなんと表現するのが正しいのか?
キャンプを張って料理を食べたり、冒険の途中で仲間たちがあれこれと反応したり喋っている中に自分がいると、シネマティックなアドベンチャーゲームのように思える瞬間もある。戦闘はもちろんアクションであり、車を走らせているときはドライビングゲームのようだ。
「FF15」にはたくさんの表情があるが、全ては旅の様子そのものだ。
そして、旅というコンセプトこそ「FF」シリーズにおいてRPGだったと思える。
困惑から考えがまとまってくると、一周して“このゲームは実にRPGらしいゲーム”という結論に落ち着いた。これまでのゲームやRPGではあまり描かれなかったシーンの数々があり、ひとつひとつは「なんだそんなことか」と感じてしまうかもしれないが、そういう細かな表現が積み重なっていることで、独特な手触り……「仲間との旅」という感覚に繋がっていく。
「FF15」は、プレイする人によって楽しみ方も、その感想も大きく変わっていくゲームになるのかもしれない。それは、遊ばせ方が自由でいろんな楽しみ方ができるからだ。
旅の感覚を楽しみながらいろんな場所を探索してもいいし、車で一気に走り抜けて目的地を効率的に目指すというストーリーをスピーディーに追っていくスタイルもできる。
本作はオープンワールドのマップで楽しめるRPGだが、それ以上に遊ばせ方そのものがオープンなゲームと思えた。
もちろんストーリーでは、印象的な登場キャラクターとの出会い、未知の存在との遭遇、ノクトの過去を知る回想、そして巻き起こっていくドラマと、短いプレイ時間のなかでもいろいろなものが確認できた。
旅というゲーム体験のなかで、ストーリーも、やりこみも、自由に楽しめるゲームというのが、今回「FF15」ジャッジズデイビルドをプレイして得た感触だ。
それは、これまでにない“独特なもの”。
最後に懸念を書かせて頂くと、ジャッジズデイビルドはまだまだ完成度が低いところが散見され、発売日までの開発進捗に不安を感じてしまうものがあった。もちろん、開発規模の大きいチームなので、仕上がっていくスピードもかなりのものなのだとは思うのだが……。妥協のない作り込みを期待したいところだ。
また、主要なキャラクターはいいのだが、ちょい役のNPCとの会話に少し違和感を感じるところもあった。ある場所で出会う新聞記者のNPCがいるのだが、ちょっと話の内容が唐突で、奇妙に思えてしまった。そのNPCをはじめ、ちょっとした会話のレベルももう一歩こなれてくれると、あの世界の感触が良くなってくれそうだ。
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