インタビュー

【ChinaJoy 2014】「新生FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー

パッチ2.35以降の展開について。パッチ2.4は新ジョブ育成、バハムート完結編などが柱に

パッチ2.35以降の展開について。パッチ2.4は新ジョブ育成、バハムート完結編などが柱に

様々な構想を語る吉田氏。今後の「FFXIV」の展開が楽しみだ
次回アップデート「パッチ2.35」では、モブハントとフロントラインの調整が行なわれるようだ

――グローバル版についてもいくつかお伺いしたいのですが、来週はまたドイツでGamescomが始まります。新ネタは何かありますか?

吉田氏: 大きいものでは初めてのPvPイベントをやろうと思っています。あとステージはかなり大きく取っています。スクエニ本体のブースと、あとはTurtlebeachさんと協力して、いわゆるPCゲーマーゾーンに初進出します。そこでPvPイベントと、蛮神バトルを両方やるのですが、蛮神バトルの方はプロゲーマーに近い方を呼んでの実演ですね。プロゲーマーが蛮神バトルをやってタイムを記録し、挑戦したいプレーヤーがそれに挑む、という企画です。ほとんど勝てないと思うのですが、それくらい「新生FFXIV」は、ゲーマー向けのゲームでもあるんだ! というPR規格です。ドイツならではかなと。Turtlebeachのブースに来るようなお客様は、やはり相当なコアゲーマーなので、プロの腕を見せつけるようなイベントをやりたいとドイツ側から要望がきたのです。

――PvPというのはフロントラインですか?

吉田氏: フロントラインです。

――72台で実施するのですか?

吉田氏: いえ、8対8対8の方でやります。さすがに72人だと、お客様の入れ替えなど、運営時間が足りないということになってしまうので8対8対8で実施となります。2時間トレーニングしてもらって、2時間おきにトーナメントをやる感じです。

――で、どの勢力が勝った!というイベントになるのですか?

吉田氏: そうですね。それを巨大モニターの方で中継し、MC実況を付けるという形になります。

――今回のプライズは?

吉田氏: いろいろ用意はしています。ちょうど1周年の期間中でもあるので、1周年ステッカーもそうですし、あと光るリストバンドとか、色々とドイツならではの盛り上げ方をする予定です。

――ゲームに関して何か発表はありますか?

吉田氏: 特に大きな発表はしない予定です。初めてのファンフェスティバルが控えていて、世界3都市でのサプライズを準備中ですので、ニュースはそちらに集中させるつもりです。

――1周年もありますものね。

吉田氏: はい……。実は開発スタッフで僕も含めて、誰も1周年に気が回らなかったという……。アシスタントから「吉田さんそういえば1周年の準備そろそろしませんか?」と言われて、「うわ、そうか!」と。それくらい日々のアップデートに追われていて、誰も1年経ったなんて思っていなくて(笑)。

――まだ1周年記念イベントの全体像は見えていませんが、14時間生放送はずっと吉田さんが出るのですか?

吉田氏: 僕も出ますが、ゲストの方も様々ですので、お楽しみに。

――24時間テレビみたいな感じですね。

吉田氏: そうですね。24時間テレビだと裏でマラソンがありますが、今回は高井浩が、ひたすら14時間でアートマを集められるか!などをやっていたり(笑)。

――それ、相当楽しそうでいいですね(笑)。

吉田氏: とにかく飛び入りで、色々な業界の方もそうですし、声優の方も「新生FFXIV」がお好きであればぜひ来てくださいという感じです。メインの番組とサブが2本。3番組同時にやって、みなさんチャンネルを切り替えて楽しんでください、というのが骨子です。

――実施日は8月27日ですか?

吉田氏: 8月23日を予定しています。土曜日じゃないとみなさん見られないと思いますし。

――そういえば、我々中国にいる間にPC向けのフリートライアルの告知が行なわれました。PS3やPS4ではやらないのですか?

吉田氏: これから実施していくつもりです。SCEさん側との準備も必要ですし、それを待っていると夏休みが終わってしまうこともあるので、まずはPC版を先行させました。

――コンソール版はいつくらいから?

吉田氏: まだどうしようかという話をしていて、ホリデーシーズンにあえて合わせてやった方がいいのか……などをいま話している感じですね。SCEさんにもキャンペーンにご協力いただきたいところはあるので。

――今夏はひとまずPC版だけですか?

吉田氏: PS3版やPS4版が急に決まるかもしれません。ある程度こちら側の準備はできていますが、Steam版もあるので、全部をいっぺんに揃えようとするとどうしても足が長くなってしまいますね。

――パッチ2.4の情報はいつくらいから出すのですか?

吉田氏: うーん、難しいところです。イベントが多いので、どこで出そうかと……。

――2.4の前にいくつパッチを刻むかも気になります。

吉田氏: 2回やるつもりではあります。2.35と2.38と。

――それらの内容については、発表はもう少し先かなという感じですか?

吉田氏: 2.35に関しては、今関心の大きいモブハントの調整が入るのと、後はPvP周りのバランス調整がメインになります。もちろん、イクサルの蛮神デイリークエストもです。

――基本的な方針としてはどう変えていくつもりですか?

吉田氏: モブハントは難しいのです……。言ってしまうと、先行情報の優位性問題も出てしまうためです。そろそろフォーラムにも2.35の内容がポストされ始める予定ですが、モブハントについては、内容はあまりお話しできないと思います。

――モブハントについては、通常フィールドで行なうコンテンツだけに、第1次世代のMMOのジレンマを味わっているような感じですね。ワーッと集まっちゃって、平等に戦えないだ、公平性に欠けるだとか(笑)。

吉田氏: いや、面白なと思いました。「新生FFXIV」にはそういうコンテンツがないと指摘されていた方も少なくありませんでした。しかし、実装されると公平さがないので、今までのトークン制がいいという声も上がります。僕は、そういうのも含めて全部あっていいと思っています。

 僕はこの前の仙台のF.A.T.E.でもプレーヤーの方に「なぜコンテンツクリア型にしないのですか? 難しければみんな平等なのに、時間かけただけでいいだなんて」と言われたのですが、僕はその時に「うーん」と思って……。「時間をかけるだけでいいのに」というその一言は、頑張って時間をかけてくださっているプレーヤーの方に対して失礼なのではないかと。例えばですが、1日2時間「新生FFXIV」のために割り当ててくださっている方と、仕事や学校の前に早起きをしてプレイ、仕事や学校が終わったら即プレイ、もしかするとお仕事中だって、学校に行っている間だって、どのルートでフィールドを回ろうか考えていて、そうやって時間を掛けている方の努力は、プレーヤースキルに匹敵するぐらい凄いし、もの凄い努力だと思うのです。

 つまり1日10数時間これのために費やしている方は、この時間こそが「コンテンツの難易度」に相当します。逆にプレイ時間は短いけれど、プレーヤースキルが高く、かつプレーヤスキルが高い友達を沢山持っている人は、そのプレーヤースキル向上のための努力や、攻略調査に情熱を傾けています。ですので、難易度の高いコンテンツがクリアできれば、確実にアイテムがドロップします。メインジョブのアイテムかどうかは運ですが。ですので、お互い様だと思うのです。「プレイスキルが高いからって、簡単にアイテム取れすぎじゃない?」と言われると、「すげー攻略努力してるのに!」と思ってしまうと思うのです。

 みなさんが寝ている間も、必死にゲームのために頑張っている人たちのことを「時間かけただけで」という言い方は、頑張っている方に失礼だと思います、と。そういうお話をさせていただいたのですが、周りのスタッフから「吉田さん、顔がマジすぎて怖い」と言われて(苦笑)。

 そういう意味では僕は、どっちの方向のコンテンツも、全部揃っているからこそ公平だと思っていて、プレーヤースキルの高い人向けのコンテンツが、プレーヤースキルがそこまで到達できず追いつけないのであれば、時間を掛けて頂ければ到達できるコンテンツがある、それは悪いバランスではないと思っているのです。

――モブハントについては、リスキーとデイリーでそれぞれ違う要望が出ていますけれど、このあたりはどう調整するのですか?

吉田氏: それぞれ別で考えています。包括で調整をいれます。Sランクのリスキーモブは、とにかく出現したらシャウトしてみんなで倒して下さい、と。Aはどちらかというと中間。Bはわりとソロ向け。1人でモンスターを探して1人で狩れるようにというデザインだったのですが、そこが崩れているのでそこはその本来の形に戻るような調整をするつもりです。

 Sについては、調整がないとは言わないですが、出現したらワーッとなるのはそのままでいいかなと思っていて、Sランクはもともとそういう想定で作っています。ですが、Sランク、Aランク、Bランク、どれも同じプレイスタイルになっているため、全ランクを探してハントする分だけ、モブハントにかける時間が長くなり、結果コミュニティの中でコンテンツに行きたいのに、みんなモブハントに行っちゃうから……ということで意見がわかれているというのも是正したいポイントです。

――PvPフロントラインに関しては?

吉田氏: 基本的にはPvPにおけるジョブ間バランスです。

――今はどのような基本認識なのですか?

吉田氏: 全体的にはそれほど悪くはないと思っているので、細かい調整です。突出してしまっている特定のアクションだったり、あとはPvPアクションの効果自体を、さらに再調整しようと思っています。PvEにはまったく影響のない調整ばかりになります。よくヒーラーが落とせない、強すぎるのではないかといわれますが、ヒーラーはある程度強くないと、誰もやらなくなってしまいます。真っ先に狙われるわけですし、調整がないとは言いませんが、強めのジョブではあります。

陣を守るユーザーに対して、リミットブレイクのダメージサークルをフェイントで出すのはありかなしか?

――今、黒魔道士がダメージサークルをフェイントで出すのはどうかというのが議論になっていますね。あれを吉田さんがどう考えているのか聞きたかったんです。

吉田氏: 最初、フロントラインを実装している際、遠隔DPSのリミットブレイクに、発動範囲が出ないのはマズいという話になったのです。気づいたらメテオが降ってきてという仕様で……。

――ほー、そうなんですね。それはさすがにヒドいだろうと?

吉田氏: はい、それでマーカーを入れたのですが、今度はフェイントに使える、と。

――なるほど。ジレンマですね。それではそのままですか。

吉田氏: 即封鎖という考えより、その戦術があった上でどうなるかを見ています。即時反射で修正するのでは無く、どう修正するのがベストかを見つつ、検討をしています。

――でも、私自身は、ああいった戦術の考案はおもしろいと思うんです。PvPならではだし、よく考えるなあと感心しました。

吉田氏: 面白いですけよね。「うわっ来るぞ」という……。でも遠隔DPSのリミットブレイクも、レベル2じゃないかぎりほぼ即死はしないので、最近はかなり慣れが進んできた印象です。範囲回復を重ねると、当てても無駄撃ちになりますし、パーティで意思疎通無しでは効果が薄くなってきたと思います。レベル2を直撃されると厳しいですが、ヒーラーアビリティできっちりしのぐ戦術も出てきて、DPSが落ちても、即蘇生して立て直しなどもですね。そう考えると、マーカーでヒーラーアビリティを空撃ちさせるのも戦術と言い換えることもでき、きちんと様子を見たいと思っています。リスクゼロでフェイントできるのは、どうかと思っていますが。

――実際問題、レベル2まではそんなに簡単には貯まらないですもんね。

吉田氏: 最近だと近接DPSが、最後のヒーラーを即落とすのにリミットブレイクを使う戦術もありですね。固定パーティだと見かけます。レベル1のキャスターのリミットブレイクより、相手のヒーラーを同時に落として、蘇生させない戦術。局面を一瞬で変える点ではアリかなと思っています。

――吉田さんはPvPをかなりやりこんでそうですね。

吉田氏: 時間が無くてしんどいのですが、できるだけの時間をフロントラインに回していて、僕は今200戦です。

――やはり黒ですか?

吉田氏: 黒がメインですが、パーティの状態を見て、ヒーラーやタンクもやります。

――そしてとっても気になるパッチ2.4についてですが、基本方針だけでもお話いただけませんか。

吉田氏: 2.4は何をおいても双剣士と忍者の実装が最大のポイントです。また新たに育成という楽しみが生まれるところがひとつ大きいのではないかと思っていて、それと同時にエンドコンテンツの山がまた一段上がります。具体的には大迷宮バハムートの完結編が入りますので、それによってアイテムレベルが変わることもあって、またゲーム内経済が一変すると思いますし、当然新たなアイテムも山盛りで入りますので、また色々な遊び方をしていただけたらなと思います。

 忍者を育てたいけれど、バハムートも行かなきゃいけないし、さてどうしようと。超える力がかかるコンテンツもありますので、カジュアル層の方は、侵攻編をそろそろ……などですね。またさらに縦に広がるパッチになるのでポイントはそこですね。

――アイテムレベルはどのくらいになるのですか?

吉田氏: 2.2と2.3の差をイメージしておいていただければなんとなく掴めると思います。またそんなに極端に上がったりはしないので。物語的にもかなり佳境に入ってくるので、色々拡張版に向かってのヒントも出てきます。2.0シリーズ最後の衝撃に向かっての、後半戦になるので、ストーリーを是非楽しみにして頂きたいです。

――実装時期は?

吉田氏: そんなに今までのペースと変わらないのではないかと。それを守るのが大変なのですが……。

――頑張ってください。期待しています。ありがとうございました。

(中村聖司)