インタビュー

映画「LEGO(R) ムービー」公開記念! レゴブロックのトレンドは子供向け? 大人向け?

大人の遊び「LEGO CUUSOO」、今やるレゴブロックの始め方などをレゴジャパンに聞く

【LEGO(R) ムービー】

3月21日 公開

日本に先立ってアメリカで公開された「LEGO(R) ムービー」は、興行収入3週連続1位、さらに次回作も決定と絶好調

 いま、「レゴ」が盛り上がっている。プラスチック製の小さなブロックを組み合わせて様々な作品を作り出していく玩具「レゴ(R)ブロック」は、子供から大人まで誰もが知るおもちゃ界のスタンダードだ。

 近年では玩具の枠を飛び越えて、「レゴ」そのものがテーマとなったWii U用ゲーム「レゴ(R)シティ アンダーカバー」が日本では任天堂から2013年に発売され、さらにはアニメーション映画「LEGO(R) ムービー」が3月21日に公開される。

 一方玩具としての「レゴ」に目を戻しても、世界の名邸宅やランドマークをレゴブロックで組み立てられる「レゴ(R) アーキテクチャー」は大人に人気だというし、東京・お台場にあるテーマパーク「レゴランド・ディスカバリー・センター東京」で定期的に開催される「大人のレゴ教室」(レポートはこちら)は、チケット即売の人気イベントとなっている。

 もともとは子供を対象とした玩具でああった「レゴブロック」だが、この動きを見る限り、今やレゴは子供だけのものではなく、大人も嗜むオシャレなアイテムへと進化してきているのではないか? そこで今回は、実際のところはどうなのか、レゴジャパン マーケティング部アシスタントの安江可奈氏にレゴとしての方針や最新のトレンドなどを伺ってきた。

 またどうやってレゴ作りをスタートさせればいいか、という話も併せて聞いてきたので、気になっているが手が出ない、という人は特にご覧いただきたい。

あくまで商品は子供向けだが、大人の遊び「LEGO(R) CUUSOO」プロジェクトが熱い!

レゴジャパン マーケティング部アシスタントの安江可奈氏
テーマ性を持ったシリーズは多岐にわたる
「レゴ アーキテクチャー」は世界の建築物がテーマの大人向けシリーズ。こちらは帝国ホテル
「LEGO CUUSOO」というプロジェクトでは、ユーザーの「空想」によって商品が実現する。上は「デロリアン」、下は「Minecraft」

――普段はどのようなお仕事をされていますか?

安江氏: レゴブロックには、都会の街がテーマの「レゴ(R) シティ」や映画の商品化となる「レゴ(R) ムービー」など、様々なシリーズがあります。普段はこれらシリーズのマーケティング活動などをしています。

――レゴは歴史が長く、今や知名度抜群の玩具ですが、その開発の経緯を教えて下さい。

安江氏: それまでの玩具は、購入して遊ぶとそれで完結で、それ以上の発展はないのが主流でした。一方新しく買ったレゴセットと、すでに持っているレゴセットも組み合わせて遊べる、そんなコンセプトの元開発されたのがレゴブロックです。

――日本で発売してから、何年になりますか?

安江氏: 日本へ来て、今年で52年になります。

――52年! この長い間ずっと支持され続けているというのはすごいですね。大人からの支持も多いのでしょうか?

安江氏: 世代がちょうど変わっている時期で、子供の頃楽しまれていた方が大人になり、親になり、子供をきっかけにしてレゴに戻ってくる人もたくさんいらっしゃいます。

――大人に向けたマーケティングもしているのでしょうか?

安江氏: メインは5歳から9歳くらいの男の子に向けてマーケティング活動をしております、特に大人の獲得を目的とした活動を主としているわけではありません。

 大人のファンに向けた活動というのはありますが、そこに力をシフトしているわけではありません。

――「レゴ アーキテクチャー」シリーズは大人向けだと思いますが、その辺りはいかがですか?

安江氏: 「レゴ アーキテクチャー」については、他のレゴの商品との開発経緯が異なっていて、もともとはレゴファンで建築家のアダム・リード・タッカー氏が制作・発表していたレゴの作品が元になっています。

 アダム・リード・タッカー氏とレゴで共同開発したシリーズになります。開発の経緯としてはスタート地点が異なっていて、他の商品とはまったく違うものなんです。

――そうなんですね。大人向けというと、最近ではWii U用のゲーム「レゴ シティ アンダーカバー」がありましたが、出てくるジョークや名作映画のパロディなんかは大人も意識しているなと感じていました。

安江氏: 「レゴ シティ アンダーカバー」の開発については存じ上げませんが、ゲームのおかげか「レゴ シティ」というシリーズは売上げを伸ばしていて絶好調なんです。

――大人に向けた活動には、どのようなものがありますか?

安江氏: 多くの商品が子供に向けて開発されていますが、大人に向けたシリーズとして、その1つが「LEGO CUUSOO」というものです。

 「LEGO CUUSOO」は、レゴユーザーから「これは欲しい」というレゴブロック商品のアイデアを募り、1万票の投票を集めれば商品化が検討されるというプロジェクトです。もともと日本でテストをしていたもので、名前も「空想」が元になっています。

――これまでにどのようなものが生まれてきましたか?

安江氏: 現在商品化されたものには、有人潜水調査船の「しんかい6500」、小惑星探査機の「はやぶさ」、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の「デロリアン・タイムマシーン」などがあります。ゲーム関連では、「Minecraft」も商品化されて発売されました。

――「Minecraft」まで! 親和性高そうですね。

安江氏: 最初は日本でプロジェクトがスタートしたので、日本の方からの投稿も多くあります。「デロリアン」も日本の方が提案されていました。

――(「LEGO CUUSOO」のサイトを見せてもらう)火星探査機に「ゴーストバスターズ」、「アップルストア」まで……。これ、完全に大人の遊びじゃないですか!

安江氏: ほとんどの投稿は大人の方ではないかと思います(笑)。「LEGO CUUSOO」の商品は店舗で配っているカタログには載ってこないですし、流通ルートも別になります。ちなみに商品化されて発売されれば提案者は売上の1%がもらえます。

――ますます興味がでてきました! 投稿は簡単なのでしょうか?

安江氏: 提案自体は簡単にできますので、ぜひ「LEGO CUUSOO」のサイトにアクセスしてみてください。

――ほかの大人向けの企画には、どのようなものがありますか?

安江氏: ほかには、大人向けというわけではありませんが、LEGO.comでは定期的にビルディング(組み立て)コンテンストなどを行なっていて、大人の投稿もたくさん見られます。

 現在は、映画「LEGO(R) ムービー」に合わせたイベントとして、「エメットを探せ!」というものを開催しています。「エメットを探せ!」は、レゴブロックでできた120cmモデルの主人公「エメット」が日本のどこかに設置してあるので、居場所を見つけてキャンペーンに応募するというものです。抽選で1組20名様にアメリカの「レゴランド」旅行が当たるので、子供はもちろん、大人の方もぜひ参加してください!

――蓋を開けてみれば、結構大人も楽しめる企画が走っていますね。

安江氏: 私達は子供に向けてコミュニケーションしていますが、大人たちが大事でないというわけではありません。子供たちに比べれば経験もありますし、ものごとを発展させる力もすでに備わっているものがあると思うので、その力を使ってレゴブロック楽しんでもらえたら嬉しいです。

 ちなみに、子供は作ったものをどんどん壊して違うものに変えていけるのですが、大人は壊すのに抵抗が出てくる傾向があります。1個完成すると飾ったりして(笑)。楽しみ方が子供と大人では、異なるのかもしれません。

――それはわかります! 満足行くものが完成すると、そのまま取っておきたくなります(笑)。

レゴブロック、今から始めるにはどうしたらいい?

手にとっていじるだけ、ただ重ねるだけでも面白い、と安江氏。ミーティング中もいじる人が多いのだとか
ちなみに筆者もフリービルディングで「鞍馬の天狗」を作ってみた。結構お気に入りなので、壊したくない(笑)

――大人なんだけど、これからレゴブロックを始めたいという人はどうすればいいでしょうか?

安江氏: フリービルディング(キットなどに頼らず自由に組み立てること)は、組み立てるのが好きだったり、上手じゃないととっかかりが掴めないというところがあると思います。

 その解消のために、入り口として「レゴ シティ」などのシリーズがあります。まずは説明書に従って、モデルを完成させてみてください。そこからテクニックを学んだり、改造で発展させていくことができると思います。

 最近では、そういうテーマ性のあるものを商品としてリリースする方向にシフトしています。たくさんの四角いブロックでのフリービルディングはいきなりでは難しい部分もあるので、好きな人は買い足してくという感じで大丈夫だと思います。

――フリービルディングをする際のコツはありますか?

安江氏: レゴブロックは本当によくできていて、規格がしっかりしているんです。

 たとえば薄いプレートという部品があるのですが、これは3つ重ねると普通のブロック1個分の厚みになりますし、プレートはポッチ(ブロックの凸部分)の間に挟んだりもできます。部品によっては横にポッチが付いていて、組み立てる方向を変えることができます。

 本当に、知れば知るほど表現の可能性が広がっていくので、まずは気負わず触ってみてください。

 弊社ではミーティング中もブロックをいじっている人がいます(笑)。私自身はフリービルディングでかっこいいものを作ることはできませんが……ひたすら重ねていくだけでも結構楽しいのです。動かしてみると、次はこうできるなと考えだして、触りながらどんどん発見していけます。触っているうちにピンとくるものがきっとあるはずなので、とにかく触って欲しいですね。

 また、たくさんのレゴユーザーの方々が素敵な作品をオンライン上で発表されているので、そういった作品を見てインスピレーションを得る、という方法もいいかと思います。

 実は、説明書通りに作ることと、そこからフリービルディングに繋がっていくという内容が、映画「LEGO(R) ムービー」のストーリーには入っているんですよ!

――そうなんですか! これは上手く繋がりました(笑)!

大人も笑えて泣ける全世代向け映画「LEGO(R) ムービー」

映画には新旧のミニフィグが様々に登場! バットマンやスーパーマンなどのヒーローものもたくさん出てくる
こちらは悪役のおしごと大王
おもちゃバージョンのおしごと大王全身。靴の上げ底ぶりが凄まじく、見た目のインパクト大

――映画「LEGO(R) ムービー」のストーリーとは?

安江氏: 主人公のエメットは、街の中でマニュアル通りに動いている男の子です。それが事件に巻き込まれて、「マスター・ビルダー」というフリービルディングが上手な人たちと一緒に世界を救わないといけなくなります。

 悪役は「おしごと大王」といって、世界がぐしゃぐしゃにされるのが嫌なので、ブロックを接着してブロックの自由を奪おうと企んでいる人物です。

――まさに、レゴブロックで遊ぶ人の成長過程が投影されているんですね。本作の見どころは?

安江氏: 子供が汲み取れるのかな、と思うようなアイロニックな表現も入っていて、大人も子供も楽しめる、レゴブロックそのままのような映画になっているところですね(笑)。大人でも笑えるポイント、大人だから気付ける笑いなどもありますし、また感動してしまうシーンもあるんですよ。感動する場所が人によって違ったりして。

――予告編だけではわかりませんでしたが、感動もするんですね。

安江氏: 個人的には、見た目にも感心しました。本作はアニメーションなのですが、アニメらしいビジュアルではなく、ストップモーション風にして、リアルなレゴをCGで作っていますので、見応えがあります。

 弊社の規定として、実際に組み立てられないものは表現してはいけないというものがあります。映画に登場するミニフィグの動きも、実際のミニフィグができる動きでのみ表現されているはずです。そういった表現への挑戦もしていて、よくやり遂げたなと感心していました。

――色々なキャラクターが出てくるのも面白いですね。

安江氏: バットマンやスーパーマン、「スター・ウォーズ」など、古いものから最新のものまで、今まで登場したミニフィグたちがたくさん登場します。またあるミニフィグ同士が恋人だったり、レゴだから許される、垣根を超えた設定の面白さもあります。キャラクター同士が掛け合う小ネタも散りばめられていて、取り上げるとキリがありません(笑)。

――異様にでかい「おしごと大王」の見た目もインパクトがありました。

安江氏: 最初見た時はびっくりしました(笑)。ストーリーの大枠は悪から世界を救うという話ですが、単純に悪を倒して終わりというわけではないところも注目です。

――では最後に、読者にメッセージをお願いします。

安江氏: レゴブロックは子供だけではなく大人も存分に楽しめる玩具だと思います。大人になった今だから、出てくるアイデアや遊び方があると思うので、疎遠になっている方もどんどん触って遊んでください。映画もよろしくお願いします!

――ありがとうございました。

映画を題材にした「レゴ ムービー」シリーズも発売中。組み立てることで、映画の場面が再現できる

(安田俊亮)