インタビュー
カプコン「戦国BASARA4」門脇プロデューサー&山本ディレクターにインタビュー!
細部まで徹底したこだわりが光る「戦国創世」モード
(2014/1/23 00:00)
細部まで徹底したこだわりが光る「戦国創世」モード
――本作最大の目玉は、やはり「戦国創世モード」でしょうか。“天政奉還”というコンセプトにも合致した魅力的なモードですが、なかでもファンは「ドラマルート」と「アニメルート」に注目されていると思います。各モードには、どれくらいのバリエーションが用意されているんでしょう。必ず出現するものなんですか?
山本氏:必ず出ます。ただ武将によって差はあり、アニメルートは超レアです! 数は数点くらい?
――そのあたりの詳細はまだ秘密?
門脇氏:発売後はオープンになると思います。条件が揃ったら出るというわけではなく、通常の進行ルートで出てくる。既に映像も出てますけど(笑)、あるキャラクターでプレイしていると途中で発生し、そのルートを進むか、そのまま戦国創世ルートにいくかはプレーヤーさんに選んでいただく。
――てっきり「ここで○×を倒しておく」とか条件があるのかと思っていました。
山本氏:あるものは素直に渡したいな、と思ったもので……。あと、今回は戦国創世モードのなかにも、進軍しながら語り合ったりとかドラマがあります。普段のモードもドラマチックに作っているあたりも今回のコンセプトかな、と思います。
――プレコミュ体験会で実感したのですが、戦国創世モードは選択画面の演習が効いているな! と思いました。躍動感というか、自身の武将が歴史の流れのなかにいる、と申しますか。一般的な感覚だと止まった画面で構成されがちですが、疾走感もあって凄くよかったです。
山本氏:ありがとうございます!(笑)。ここにもあるんですけど(設定資料集の戦国創世モードのコンテを提示)タイトルがあって、パンダウンしたら足利義輝にいって、巻物が投げられ、馬に乗って走って、エンディングで巻物になる。すべて1本の映画を見ている感じで、最初から最後までつながるようにしたいなと。これも最初に決めておいたんです。コンテだけでなく、開発チームのメンバーが理解できるようにサンプル映像も作ったんです。
門脇氏:なかなか、これ(コンテ)だけでわかってくれた人はいなかった。ぼくもフワッとしたイメージしかなかったんですけど、山本が仮で作った映像で「こういうことなんだ!」と。
――私はモードを実際に体験済みだから、コンテを見て「ああ、なるほど」と思いましたけど、コンテを先に拝見したと仮定すると、確かにあのとおり伝わるかどうか難しい面がありますね。
門脇氏:イメージとしてはわかっても、実際のゲームでどう進行していくかつなげなくちゃいけない。映像があるとわかりやすかったですね。
山本氏:戦国創世モード自体、演出を重視しながらもランダムで色々なことが起こる。そこを融合したいなと思いました。
門脇氏:戦国創世モードは、同じ武将で何回やっても同じルートはほぼありえない。また違うルートになります。
――イレギュラー的なことも多々起こるんでしょうか?
山本氏:起こります! 今回はやたら特定の武将から勝負をふっかけられるな! とか(笑)。そんな戦国時代もあったりとか。
――誰かに目をつけられちゃう、みたいな? それはランダムであるがゆえの展開なんですよね?
門脇氏:そういうこともありえるんです(笑)。
山本氏:戦国創世モードはだいたい6戦で終わるんですが「今回は西国勢が強いな!?」、「政宗が最上に負けちゃった!」、「下克上が激しい!」とか、そういうのもあったりします。
――他勢力の動向もランダムだから、より多彩な展開があるわけですね。戦国創世モードで「ここに1番注目して欲しい!」といった事柄はありますか?
山本氏:新しく「恩賞」というシステムがあるんです。そのステージでもらえるものが初めから見えている。ステージ選択の仕方がガラッと変わるかな、と。武器を育てたいからここにいく! この武器があるからこれをいこう! というのも自由に変えられる。武器のシステム自体もかわっていて、好きなように育てられます。合戦遊戯書を使えば、さらに色々な味付けができます。
――プレコミュ体験会でも思いましたが、ここまで自由にやれちゃっていいのかなとさえ……。「こんなに自由に設定できていいの?」みたいな内部意見はなかったんでしょうか?
山本氏:いやでも、自由に設定してもらいたいなというのは当初からいってて……。
門脇氏:元々デフォルトのステージに基本の遊びが詰め込まれているので、それにお客様がどう味付けするか、ですね。
山本氏:上達してよりチャレンジしたければ難易度を上げられる。簡単だから面白くないってことはないですし、ちゃんとステップがあるというところで楽しんで欲しいなと思います。
――逆にいうと、基本の作りがしっかりしているからこそできる。
山本氏:あと(ゲームは)お客様のもの、という意識も強いです。
――それは凄く大切ですよね。でも、なかなか実践できないことだと思います。
ナンバリングだからこそ! ~てんこ盛りの新要素~
――今作は「4」は戦国創世モード、リアルタイムレベルアップ、武器強化、合戦遊戯書、戦友、戯画バサラ技、陣形合体、粋の至り、共闘アクションなどなど、新要素がてんこ盛りですよね。このうち半分でもファンのみなさんは納得していただけたと思いますが、ここまでやった理由はなんでしょう?
山本氏:それはナンバリングだからです! 新しいことをやらなきゃいけないし、当然お客様もそれを望んでいる。こちら側もチャレンジしたい。ただ、作っている最中、世に出すまで「これでいくぞ!」という“覚悟”はあるんですが……正直、不安ですね。
――こんなに一杯新要素が用意されているのに?
山本氏:企画を立てて進めていくなかで、全部モノになるかという心配もされますし、新しさがどこまで伝わるか。不安だから新要素を増やすわけではないんですけど……。
――サービス精神でもあるでしょうし、ファンの期待に応えたいという意識のあらわれでもあるでしょうし。
山本氏:1番初めに、会社に「こういうものを作る」と出した企画書には(製品版の要素は)全部入れています。
――門脇さんはプロデューサーとして判断される側ですから「これ全部できるんだろうか?」などとは思われませんでしたか? 「ちょっと抑えたほうがいい」とか?
門脇氏:途中、ちょっと思いましたよ?(笑)。1番最初にエンジンの載せ替えもあって、それが結構時間をかけてやった。「山本がやりたいという構想が全部入れられるかな?」というのは、途中思いました。
山本氏:スタッフが頑張ってくれました。寝ずに頑張った人もたくさんいるので、そのおかげというのもあります。
門脇氏:今回はラストスパートが凄かったって。要素を削ってスパートするわけではなく、やりたいことを確実に実現するラストスパート。本当に「よくやったな!」って思います。
――新要素のほかに、従来シリーズにもあったけど実は物凄くパワーアップしているといった事柄はありますか?
山本氏:やはり戦場のパワーアップが大きいですね。過去シリーズの倍以上の敵を入れています。倍以上の敵が出せたからこそ、陣形合体などが実現できた。ひとつの画面上で、敵が過去シリーズ以上に色々なことをやろうとしてくる。それが“生きた戦場”になっているじゃないかなって。その戦場で生き抜くために“戦友システム”があったり。「戦国BASARA」は自分だけじゃなく敵もよくしゃべるんですが、それぞれ“生きている感じ”を出したいというのがありました。今回は戦場全体がそうなっているんじゃないかと思います。
ライトなユーザーさんに対しても、難しい操作を与えたくない。戦場という空間を見て「なにがどうなっているか」把握して決断してもらいたいし、その一方でコアな人はどう攻略していくかというのもありますし。「両方をかなえるものってなんだろう」というのが今回の合戦場です。
――そのなかでも「戦友システム」はチューニングが難しかったのではないでしょうか?
山本氏:そこは今回苦労した場所です。「共闘アクションをやりたい」というのは決まっていたんですが、どういう形にしようかと。今の形になったのは開発後期です。
――最初は戦友に指示を与えるみたいな形だったんでしょうか? それとも最初から今のようにサークル指定?
門脇氏:全然違いましたね。今の形になったのは本当に開発後期。最初、山本から「共闘アクション」ときいて「指令を送る」みたいなイメージだったんですよ。「攻める」とやっておけばずっと攻撃する。「防御」だったら守りとか。できあがったものは全然違いましたね。
山本氏:1番最初に「タッグチェンジの延長線上で何かできないか」という話は開発チーム内であったんですが「いや、ひとりでふたり操作する」となったとき、どういう形にしようか。「タッグチェンジがあるからいいんじゃない?」という温度感もあったんですけど、これだけ戦場で色々なことが起きるんだから、って。「お手軽に使えるようにしたい」とトライ&エラーを繰り返してできたのが今の形です。
――その流れ、ハンドリングする門脇さんの立場としては不安ですよね。
門脇氏:戦友の動きのバランスは凄く入念にやりましたね。調整の専門スタッフを用意して、いかにプレーヤーの思い通りに動いてくれるか、というのは相当注力しました。
山本氏:戦友にも遠距離タイプとか個性がある。そのあたりの差別化は上手くいったと思います。
――プレコミュ体験会でユーザーさんの使い方を見ていて、そこは凄く上手くいっているなと思いました。コンボのつなぎ、遠方のターゲットなど、ユーザーさんごとに全然違っていた。
山本氏:お使いをさせてもいいですし、援護や協力させてもいい。敵に攻撃されてダウンした戦友は、サークルまでいって回復させないと使えなくなる。そういう裏表、縛りにもなっている。自由なぶん痛い目にあうこともある。あと、デフォルトで戦友ボタンはガードボタンの下に配置しているんですね。戦友ボタンを押すとき、通常であればガードボタンから指をはずさなきゃいけない。ガードを解除して指示を出すのか!? と我が身を危険にさらす要素もある。色々な駆け引きが生まれたかな? と思います。
ファンから新規まで幅広く楽しんで欲しいシリーズ最新作
――ちょっと根源的な質問になってしまうんですが、おふたりが考える「戦国BASARA」に不可欠なものはなんでしょう?
山本氏:ぼくは“戦国”をモチーフにしている大事さがあります。戦国だからこそ面白いものがあったり、そのなかで何ができるかというチャレンジがある。「戦国BASARA」はゲームでありながら(多様な)エンターテイメントであろうとする意識があって、ネタが尽きないよう日々勉強、色々なものが吸収できるようあちこちにアンテナを張っていかなきゃなと。
門脇氏:ぼくはアクションとキャラクター。そこは絶対に手が抜けない。もっとも時間とコストを割くべきところだと思っています。(アクションとキャラクターがしっかりしていれば)世界観やお話が必然的についてくる。もちろん山本が考える構想があるからこそなんですけど、そのなかでもアクションとキャラクターは“手が抜けない注力すべきところ”と意識しています。
――それでは最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
山本氏:いよいよ発売となりました。久しぶりのナンバリング。今回“新章”とうたっているところですが、開発の意気込みとしては、従来シリーズのファンの方々もそうですし、初めての方々にもたくさん触っていただきたい。「シリーズものだから、というわけじゃないよ」という意識で作っております。新要素からアクションの良さなどこれまでの“気持ちよさ”まで、色々なものが詰まっています。“楽しい”と感じていただけたのなら、どんな形でもいいので「こんなゲームがあるんだよ」って色々な人に「戦国BASARA」をお伝えいただければと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
門脇氏:おまたせいたしました! 開発チーム一同の魂がふんだんに入った凄いパッケージができたなと思います。やればやるほど新しい発見があると思います。そこを体験していただき、山本がいうような「戦国BASARA」の広がりを新しく作っていただければ嬉しいです。ぜひ手にとってプレイしてください。よろしくお願いいたします。
――本日はお忙しいところをありがとうございました。私も本日からバリバリ遊ばせていただきたいと思います!
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