インタビュー
カプコン「戦国BASARA4」門脇プロデューサー&山本ディレクターにインタビュー!
珠玉の武将アクション ~オンリーワンの魅力を追求~
(2014/1/23 00:00)
カプコンは、PS3用スタイリッシュ英雄(HERO)アクション「戦国BASARA4」を1月23日に発売した。価格は通常版が6,990円、豪華版の「戦国BASARA4 百花繚乱魂手箱」が8,790円。CEROレーティングはB(12歳以上対象)。
「戦国BASARA4」は、一騎当千の戦国英雄となり大群で押し寄せる敵兵をなぎ倒し敵陣へと攻め込み敵武将の撃破を目指す戦国アクションゲーム「戦国BASARA」シリーズの最新作。シリーズ未体験でもすぐに馴染める操作性に、ド派手で強力な技、やりこむ程に気持ち良く決められるコンボなどが主な特長となっている。
ここでは、プロデューサーの門脇章人氏とディレクターの山本真氏を迎え、発売記念インタビューをお届けする。
悩みに悩みぬいて決定された全40武将たち
――今回は初登場の武将を含め総勢40名の武将が登場します。今までのシリーズのプレイアブルが敵武将に回るなど、それぞれの位置づけは大変悩まれたと思います。このあたりはどのようにして取捨選択をされたんでしょうか?
山本氏:ナンバリングタイトルとして色々な要素があり「(これまで登場した)全員が使えたら嬉しいだろうな」という気持ちはあったんですが……。
門脇氏:やむを得ず、ですね。
――今までのシリーズの登場武将を全員使えるのが理想ですけど、やはりそうもいきませんものね。公式サイトの人気投票やこれまでのユーザーさんの声などは参考にされましたか?
門脇氏:直前に「第1回BSR48選抜総選挙」をやりまして「あれを引っ張ったんですか?」とちょくちょく聞かれるんですけど、それは特に意識しませんでした。今回のメイン武将のふたり(伊達政宗と石田三成)もたまたまですね。
――しっくりくるから、伊達政宗と石田三成にしようとお考えになられた、とか?
山本氏:それも色々と悩みました。政宗と幸村は初代からの象徴、「3」から家康と三成が出てきました。新しさを求めたとき「政宗と三成が並んでいる姿も新しい」という話が出て……。気持ち的には「4人のうち、どうしようか?」と悩むところはあったんですが、新しさというところですね。並べたとき「意外と見たことがない組み合わせだな」と感じました。
――ナンバリングということもあり、新鮮味、刷新された感が欲しくはなりますよね。
門脇氏:新キャラと従来シリーズキャラ、どちらをメインにするのかは小林(裕幸プロデューサー)と山本も含めて相当時間をかけて悩みました。
――敵味方含め40人という数は、最初から決めておられたのでしょうか? それともどこかで「これくらいが収まりがいい」となったとか?
山本氏:最初は39人だったんですけど、小林から「40人にして」といわれました。
――念のためおうかがいしたいのですが、足利義輝と京極マリアはプレイアブルになりますか?
門脇氏:敵武将として登場になります。使えません(キッパリ)。
山本氏:「4」のなかでは敵武将ですね。このふたりは“敵武将ならでは”の強さとか、色々なことをさせちゃってます。
――それが使えてしまうと色々凄いことになっちゃいそうですね。
山本氏:使えると色々なものが増えてしまう(笑)。
門脇氏:元々プレイアブル前提で作っていない。使えないからこそできることも、結構あるじゃないですか。ボスとして今回は作りこみました。
――ボスキャラとしてのイメージと申しますか。最初にイメージされたものなどはあったんでしょうか?
山本氏:足利義輝は今まで描いていなかった“帝”という存在。剣聖といわれたくらいなので、ぼくはミスターパーフェクトだと思っています。庶民感覚など一部内面的に足りてないところはあるんですが、完璧さでいうと武器を3つ使えるようにしたりとか、意外といってないですけど全属性をもっていたり。とにかく「強くありたい!」っていうキャラクター。普通に戦うと、やられる(笑)。倒すのは大変だと思います。強いです!
――文字情報の段階では「乱を好む」というか、最初は「そういうタイプのキャラなのかな?」と先入観を抱いていたんですが、プレコミュ体験会でゲーム本編に登場する姿と声を拝見して驚きました。
山本氏:帝ですから、帝王学の視点で普通の人とは違う感じですね。そこの感覚って「戦国BASARA」にもなかったし、普通の人も持ち得ないもの。13代、生まれついてからずっと将軍なんですよね。
門脇氏:頂点から見下ろしている、っていうイメージでいいんじゃないでしょうか。
山本氏:足利義輝が登場したことで“ゼロに戻った戦国時代”というのが、今までのシリーズにない図式になっていますね。
――史実で深い関わりを持つ松永久秀など、フィーチャーされる武将なども変化してくるのでしょうか?
山本氏:足利と松永が並んでいる時点でぼくは凄く怖いな!と思いますし(笑)。「永禄の宮」という足利の宮殿があるんですが、そこにいくと風魔、さらには松永がいる。かたや、違う状況であれば宮殿には足利の庇護を受ける島津や大友ら九州勢がいたりとか……なかなか面白いと思います。
――そうやって組み上げていくなかで、気持ちが入っていった武将はいますか?
山本氏:これは1番初めに作る「関係図」なんですけど(といって設定資料集にある相関図のページを開く)。人物像、アクションタイプ……ここで立ち位置を全部決めてしまうんですね。関係性を掘り下げよう、面白いエピソードをフィーチャーしようと組み替えたりしながら1番最初に構成するところなんです。今回の「ゼロからスタート」という状況は従来シリーズからガラリと変わっていますし、武将それぞれの想いも変わっていっている。新キャラクターが入ったことによる位置や関係性も変わっていて、これができたとき“手ごたえ”が得られるかどうかが自分へのハードルなんです。これを超えられないと開発チームを集められない。秀吉の復活も、ここで決めたことです。
珠玉の武将アクション ~オンリーワンの魅力を追求~
――それぞれお気に入りの武将を教えていただけますか? あるいは「素直に作れた」とか「開発が進むにつれて印象が強まっていった」などでも構いません。
山本氏:ぼくは島左近、柴田勝家。若いふたりを出したい! というのがあった。左近は三成と出会って1歩を踏み出せた。勝家は踏み出せないまま……というのがスタート。色々な人生の悩み。ぼく自身も、高校や大学受験、社会人になるとき、そうだったし。どういう目的があるんだとか、悩みがすごくあったと思うんです。当時のことを思い出しながら「ふたりはどうやって生きていくのか」というのは、かなりありましたね。色々な人生を歩んでいく、その道程をあらわせたんじゃないかな? というのがこのふたりです。
――文字どおり“新風”という意味でも凄く良かったと思います。
門脇氏:山本も“新しい息吹”ということを、いつもいってましたね。
山本氏:将軍、左近、勝家など、新しい息吹が入ってまた幅が凄く広がったんじゃないかなと。
――40人も武将がいると大変だったんじゃないでしょうか。バランスも考えないといけないでしょうし。
山本氏:バランスもそうですし、過去のシリーズ作品はどうだったとか。今回は新章なんですけど、引き継げるところは盛り込んでます。ただ、TVアニメ、舞台、コミカライズとか色々な展開があるので「それと同じことはしない!」と毎回(新しい)ネタを出している感じですね。
門脇氏:32人の武将全員に「戦国創世」という大きなお話が1本ずつあるので、そこはひとりひとりが主人公という作り方をしています。40人の武将、全員がお気に入りです(笑)。
――そこをあえてひとり、たとえば「印象に残っている」とかでも。
門脇氏:勝家と又兵衛は個人的に応援していきたいな、と思っています。もちろん全員応援していきますけどね!。あとは足利義輝……凄くハマったというか、凄い人を作っちゃったなぁと思いますよね(笑)。本当に頂点というか、パーフェクトなポジション。池田秀一さんの声も凄く良かったですね。
――プレコミュ体験会でユーザーの方々の反応も凄いものがありました。オープニングが流れただけで、あのどよめきでしたから。
山本氏:久しぶりのナンバリングということもあってか、地響きのように凄かった!
門脇氏:皆、お気に入りとか推し武将……人によって表現が違いますけど、それぞれ主人公。作る側も皆が主人公と思って作っていますので、だから受け入れていただけているのかな? と思いますね。
――本作は武将固有のアクション表現に徹底したこだわりが特徴のひとつかと思いますが、今回は特に徹底されているように感じられます。作っていくなかで、特に苦労された点などはありますか?
山本氏:やはり「これまでのキャラクターと似ないこと」で苦労しますね。オンリーワンの個性を持たせようとしたとき……ドラマ、設定、戦い方もそう。今回はどうしようかと。それぞれ“バトルコンセプト”をつけながらやっているんですが、たとえば政宗であれば六爪と一刀でモードチェンジ、幸村は勢いでガンガンいけるよう敵を落とさない作りをしたりとか。
――島左近であれば足技?
山本氏:そうですね。スイッチであったり。勝家なら車のミッションよろしくギアシフト。鹿之介は“ふたりでひとり”ですね。うちのスタッフも「個性が大事」だと理解していて、作るものもその武将オンリーのシステムがあったり、それぞれ。
――ひとくちにオンリーワンといっても大変ですよね。差別化もそうですし、なにより数が尋常じゃない。
門脇氏:カプコン、バサラチームとしても、そこはとことんやらなきゃいけない。ゲームの完成度に直結するので、アクションしてナンボ。アクションゲームでありキャラクターゲーム、そこは突き詰めてくれているなって思います。
――プレイアブル32人というボリュームは、プレイする我々も「どれから触っていいやら」といった感じですね。まずは新キャラが注目を集めそうですが……。
門脇氏:ツイッターなどを拝見していると、もう「誰からやりはじめる」と決めている人も結構いるみたいですね。新キャラには限らないようです。
――歴代シリーズをやってきた方々は、お気に入りの武将からといった感じでしょうか。
山本氏:ドラマで楽しんでいただいてもいいですし。楽しみ方は複数用意したいなと。
――どこから入っても楽しめる?
山本氏:実際ゲームのなかでも、目で見て楽しむネタ、耳で聞いて楽しい、触って楽しいだったりとか。本当に“五感”で楽しめることを全部やりたい! という想いがありました。