インタビュー
iOS/Android「ドラゴンコインズ」インタビュー
1周年を迎えた“セガの技術と叡知を結集したコインRPG”の今を聞く!
(2013/12/9 00:00)
サービス開始から1周年を迎え、大型アップデートの導入や記念キャンペーンなど多数展開しているAndroid/iOS「ドラゴンコインズ」。“セガの技術と叡知を結集したコインRPG”として、アーケードのメダルゲームの定番「コインプッシャー」の仕組みを取り入れたバトルシステムで戦うRPGになっている。
今回はセガ・瀬川隆哉プロデューサー、セガネットワークス・丸山武志運営プロデューサーのお2人に、「ドラゴンコインズ」のこれまで、そして今後について、お話を伺った。長く遊び続けているユーザーが多い、愛されるゲームになった「ドラゴンコインズ」を、ぜひインタビューから知って頂きたい。
1年の間、ユーザーの意見を取り入れ、圧倒的に遊びやすく進化してきた「ドラゴンコインズ」
――1周年を迎え、大型アップデートも導入され、まずは1年、サービスを提供されてきましたが、振り返って見てこの1年いかがですか?
瀬川氏:「早かった」というのが第一印象です。「ユーザー様に支えられてなんとか1年続けられたな」という感謝の気持ちが1番大きいですね。最近では、始まってすぐにサービスが終わってしまうようなゲームもあるなかで、「ドラゴンコインズ」は色々と応援や改善要望の意見も頂けて、すごくいい1年でした。
ゲーム内には、「ランキングイベント」や「タイムアタック」など、いろいろと遊びを追加して、スマホではチャレンジングな新しい試みとして「パーティーミッション」も導入して、いろいろな進化をさせてきました。今回は1周年ということで、新しいユーザー様と、今までプレイし続けてくれているユーザー様に向けて感謝の気持ちを込めてというコンセプトで、アップデートやキャンペーンを行なっています。これに関してはユーザー様の評判も良いようで、安心しています。
――ストアのユーザーレビュー等を見ても、「以前よりも遊びやすくなった」というような声が書かれていましたね?
瀬川氏:僕たちはどうしてもゲーム作りへの気持ちが強く……。セガのゲームってわりと難度の高いものが多いじゃないですか(笑)。なかなかハードなゲームを作りがちなところがあって。この1年で、「もっとどなたでもお楽しみいただけるバランスにできないか」と考え直して。ユーザーさんからご意見を頂いていたものを全部入れて、大きく改良してきました。今回のタイミングでも大きく改善しています。
――サービス開始当初はシビアなゲームになっていたかなと思っていたのですが?
瀬川氏:そうですね、正直シビアでした。ステージ中に赤玉、青玉という宝玉を獲得することがひとつの目標というか、ポイントなんですけど、なかなかその玉が出てこなかったり。
――玉を全部獲得すると、ステージボーナスのモンスターがもらえますよね?
瀬川氏:はい。でもそれがなかなか出てこないし、しかも、出てきても自分の側に落とせない事も多いんですよね。
――横の穴に落ちちゃったり……。
瀬川氏:そうですね。そういうところのバランスを見直していって。基本設計として「誰でも遊べるゲームにしたい」という元々のコンセプトに立ち返って。老若男女、若い方からお年寄りから、男性から女性まで。見た目もわかりやすい“コインを落とせばそれを食べたモンスターが敵を攻撃してくれる”というものなんですけど、見た目と中身のギャップに心が折れた人も多いのかなと反省しました。
――見た目のとっつきの良さとは裏腹に、いざ遊んでみると奥が深いというか、厳しいというか、いじめられるというか。そういうところがあったんですね?
瀬川氏:例えば、「期間限定イベントをやっているけど、お目当てのモンスターがなかなか出ないよ」とかですね。ユーザー様の望んでいる加減と、僕らの提供する遊びの“いい着地点”が見つけられていなかったのかなと。今回のアップデートは評判が良いので、この1年でやっとお応えできたかなという感じですね。
――この1年でユーザーさんから寄せられた意見では、どんなものが多かったですか?
瀬川氏:1番多かったのは先ほどの「赤玉と青玉の出現比率」ですよね。あとは「モンスターを進化させる」関連のものですね。「ドラゴンコインズ」はいろんなコラボレーションなども行なってきて、他のゲームと比較してもモンスターの数がすごく多いんで。最初は200体ぐらいからスタートしたんですけど、今では700体を超えていて。一方、進化させるには同じモンスターが2体必要なんですよね。数が増えてなかなか揃わなくなってしまった。
あと、期間限定イベントでもらえるモンスターが1体しか手に入らなかった人は、今後ずっと進化させられないということになってしまっていた。そのあたりの不満や意見が多かったですね。そこも全部、改良しようということで。
――そこで登場したのがマスターズカップというイベントでもらえる「進化コイン」ということになるんですね。マスターズカップは通常のバトルでの対戦ではなく、タイムアタックやシルバーコイン集めみたいな変化球な種目になっていますよね?
瀬川氏:PvP的な対人戦を望まれる声もあるにはあるんですけど、「ドラゴンコインズ」の世界であまりギスギスした感じになるのは嫌だなと思っていて。マスターズカップは、いろんなユーザー様が組に別れて競う”運動会”のようなイメージにしています。競技もいろいろと用意して、パン食い競争だよ、次はリレーだよ、というような感じですね。対戦イベントと言っても、ちょっと違った感じの、みんなでわいわい楽しめるものしています。
丸山氏:競技が変われば、モンスターの編成を変えることも大事になっていきます。特にスキルの組み合わせがすごく重要で、この競技で1位になるにはどういう組み合わせがいいか、というのを考えて楽しめるようになっています。
瀬川氏:今まで使っていなかったモンスターに目を付けて、試行錯誤されているユーザー様が多くて、僕らも驚いた映像だと「シルバー集め対決」の種目で「トライタワー(シルバーコインを積んだ柱を3本出現させる)」というスキルを持ったモンスターを集めて、画面の1番上に届くぐらいまでコインを出現させて、それを一気にどかーんと落としていたり。Youtubeなどにスキルを組み合わせてすごいプレイをしている映像がアップされている方がいるのですが、僕らもそれを見て「こんなことができるんだ!?」と驚いていたりします(笑)。
丸山氏:作っている側の僕らが驚いているのはちょっと(笑)アレかもしれませんが、ユーザーの皆様に教えられる事は本当にたくさんありますよ。
――「ドラゴンコインズ」ではスキルの効果がかなり重要ですよね。私はプッシャーが一気に1番手前まで押し出してくれる「エンドプッシャー」のスキルがお気に入りで、貯まったコインを大量に落として一気に攻撃するのが気持ちいいです。マスターズカップのような特別ルールだからこそ活躍するスキルというのも出てきますよね?
瀬川氏:これまでやってきたものでは「タイムアタック」や緊急ミッションの「ランキング」がありましたが、タイムアタックなら「ゴッドプッシャー」や「エンドプッシャー」が強いですし、緊急ミッションでは「のっとり」などのスキルで敵の攻撃を封じてこちらが攻撃しまくるみたいな戦法が強かったんですよね。でも、それらは基本的には通常バトルに共通する戦法でした。
それが今回のマスターズカップの種目では、今まで使っていなかったスキルの組み合わせがいろいろと出てきます。「シルバー集め対決」ではタワー系スキルを使う人がいれば、「グレートウォール」で取りこぼしのないようにする人もいるし、「ループ」で取りこぼしを台に戻したり、「サクリファイス」で最初にバーンとコインを出現させるというのもありですよね。ユーザー様が種目ごとにいろいろ試していける面白さが出てくれたらと思います。
――マスターズカップの種目は、今後もいろいろなものを増やしていくのですか?
瀬川氏:この前「0回大会」として、2日間だけやらせてもらったので。しばらくは様子を見て、ユーザー様からのご意見を頂きながらということになります。これから競技を増やす事もできますし、検討していきたいなと思いますね。
――マスターズカップを作った背景には「いろんなスキルの組み合わせを楽しんでもらいたい」という狙いがあったのでしょうか?
瀬川氏:最初の狙いは、「ユーザー同士で一緒に遊べるものを入れたい」というところがスタートですね。パーティーミッションというモードのコンセプトも近いものがあって、例えばファミレスなんかに行くと、みんなそれぞれに違うゲームを遊んでいたりするじゃないですか。せっかく4人集まっていても一緒には遊んでいない。そこで、そういう時に4人一緒に遊べるようなほんわかとしたゲームにしたいという気持ちからのモードなんですよね。
「ドラゴンコインズ」全体のコンセプトは“Love & Peace”ですから(笑)。皆さん一緒に楽しめるというのがいいな、と。マスターズカップも単なる対戦ではなく、運動会的なものを目指して、いろんな種目を用意したら、今まで使っていなかったモンスターやスキルが活躍できるものにもなってくれたんですよね。
――パーティーミッションは単純なオンラインプレイだけじゃなくて、「近くの人と一緒に遊ぶ」というモードがありますよね。携帯ゲーム機っぽいというか、スマホアプリでは珍しい仕組みですよね。
瀬川氏:最初は「近くの人と一緒に遊ぶ」だけにするっていうコンセプトで実際にそうしていたんですよね。ですが、ユーザー様から「近くに4人はなかなか揃わないです」という意見があって(苦笑)。5月に公式オフ会も行なったんですけど、普段はパーティーミッションを一人でプレイしているという人が多くて。それならオンラインマルチプレイを入れて、全国の人と遊べるようにもしようと今の形になりました。
本当にユーザー様からいろんな意見をもらって進化させてきた1年でしたね。マスターズカップの賞品としてもらえる進化コインも、先ほどのとおり、2体揃わないと進化できないのは辛いという意見からですし。
――進化させたいですよね。お気に入りのモンスターを編成のリーダーにするためにも進化させたくなります。
瀬川氏:レアリティにプラスがついているかどうかは気分としても大きいですよね。ヘビーユーザーの方が本当にいっぱいいて。最終的にはコレクションにハマっていただいている方も多くて、モンスターを全部揃えたいとか、全部進化させて能力もMAXにして揃えたいっていう方もいます。
丸山氏:そういう方々に向けて今回は“実績”という、やりこむと報酬がもらえるシステムを実装しています。
――がっつりやりこむ人向けの実績システムですね。今回のアップデートは約半年ぶりの大型アップデートということでしたが、今後はどうなっていくのでしょう? 第5章のミッションも追加されましたが、今後も追加されていきますか?
瀬川氏:5章を追加したのも、がっつり長く遊んでくれている方向けのものですね。4章のラストまでクリアしたよという方がたくさんいらっしゃいますし、パーティーミッションも最下層のポイント獲ったよという人もたくさんいます。そういった方に向けて、まずは通常ミッションの続きを追加しています。
今後も常に第5章の先ももちろん作っていきますし、みんなでワイワイと楽しめるものも新しいものを追加していきたいと考えていますので。これからも進化していきます。
――ヘビーユーザーの人でも延々と遊べるという点では、個人的になんですけど、コインプッシャー部分をシンプルに延々と楽しめるモードなんかもあったらいいなと思っていて。どれだけ長く遊べるか挑戦するみたいなもので、そのモードでポイントを貯めると何かご褒美的なものをもらえたらなと……。
瀬川氏:なるほど、多分「ひとりでぷよぷよ」みたいに延々と楽しめる的なイメージですよね。どこまでいけるかみたいな。ちょっと検討してみます。
ポップな見た目とは裏腹に、コインプッシャーは大量の物理計算でリアルかつ気持ちいい動きを実現
――「ドラゴンコインズ」というアプリのそもそもの出発点もお伺いしたいのですが、メダルゲームの定番である「コインプッシャー」を組み合わせようと考えたのはどういったところからだったのですか?
瀬川氏:「セガの代表となるようなスマホアプリを作りたいよね」というところが最初のコンセプトだったんですよね。セガと言えばなんだろう? 「ソニック」かな? とキャラクターも考えたのですが、キャラクター以外で考えると、メダルゲーム、その中でも「コインプッシャー」はセガが昔から手がけている技術ですから、いいんじゃないかと。
どうやったらコインプッシャーで気持ちよく遊べるのかを探りに、ディレクターら開発スタッフはアーケードの筐体を研究したりして。コインプッシャーってわかりやすいんですよね。セガが手がけているものの中でも、ユーザー層や年齢層にとらわれていなくて広い。これを融合させるのがすごくいいんじゃないかなと立ち上がっていきました。
――「コインプッシャー」はもう誰でも、見れば知っているというものですよね。生理的な気持ち良さで遊んじゃうっていうゲーム。あの感じがゲームにミックスされているところがいいですね。
瀬川氏:気持ち良さのところで現実の「コインプッシャー」を遊んでいて思ったのは、ちょこちょことコインを入れていくんですよね。ちびちびと。そこは「ドラゴンコインズ」ではどさーっと落とせて爽快感を得られるようにしています。遊び方によってはちびちび1枚ずつ落としてチャンスボックスを狙ったり、属性の合うモンスターのところに落とそうとかなるんですけど。
――ギリギリのバトルだとそうなっていきますよね。派手な時もリアルなちびちびもある。
瀬川氏:そうですね。実際のアーケードのメダルゲームとは違って、ド派手にばーっと遊べるっていう魅力を入れたいなっていうのが、今の形になっていったと思いますね。
――ゲーム内のプッシャーの動きは、アーケード筐体の現実的な動きよりも結構、調整していますよね。現実だと例えばコインが2枚並んでいて、そこに1枚流すと2枚が真横に流れていきますよね。それで横の回収されてしまうゾーンに行きがち。でも、それが「ドラゴンコインズ」だと前に進んでくれますね。
瀬川氏:そうですね、かなり調整しています。すごく研究しまして、元々こう(手元の資料を折り曲げつつ)、プッシャーの1番手前ってフチが上がって角度がついていて、耐えるようになっているんですよ。ここの角度によってゲームのバランスがかなり変わるんですよね。逆にこの角度をなくしちゃうとコインが貯まらずに、入れた分と同じ枚数だけポトポトと落ちてくるものになっちゃうんです。
製品化する前の実験段階ではこの角度を高めにつけていたんですけど、いまいち爽快感がなくて。角度を調整して、実際のコインプッシャーよりも落としやすくなっています。コインを落としてモンスターに食べさせないとバトルが進まないですからね。
あとコイン自体も、アーケードのメダルって薄いじゃないですか。薄っぺらいものよりも厚いほうが見た目もわかりやすいし、落としやすいんですよね。じゃあ厚くしちゃえ! って(笑)。
――ちゃんと1枚1枚の当たり判定を取ってるからそれでかなり変わりますよね。
瀬川氏:はい。ちゃんと物理計算して動かしていますから。
――プッシャーのフチの角度の話は豆知識というか。「へぇー!」ってなるお話ですね。
瀬川氏:プッシャーはここが大事なんですよ。アーケードのものだとこれぐらいのところを「ドラゴンコインズ」ではこれぐらい(アーケードの角度より低く)にしています。このバランスはかなりいじりましたね。
物理計算をちゃんとやっているからこそなんですけど、コインが重なって積み上がると重くてなかなか落ちなかったりとか。重力や摩擦係数をいじって、1番いいバランスを試行錯誤しましたね。
あと、普通のメダルゲームでは絶対できない事もしたいよねということで、スキルでビッグシルバーっていうむっちゃ大きいコインを落とせたり、逆にマメシルバーっていうすごい小さいコインになったり。デジタルならではの遊びもたくさん入れています。
――スキルを駆使してジャラーッとコインを落としてバンバン攻撃している時の気持ち良さの一方で、シビアなバトルになってくると、「敵があとコインを3枚入れると攻撃してくるから、3枚をどこに入れようかな」っていうあと何手っていう組み立てが必要になってきて、ガラッとゲーム性が変わりますね。
瀬川氏:そういう時に回復できるキュアコインがあったり、チャンスボックスがあったり。あとどの属性のモンスターにコインを落とそうかと考えたり。いろいろと考えどころが出てきますね。
――コインプッシャー自体は物理計算をしっかりとやったアナログ再現ですよね。それを攻撃方法にしているので、バランス取りが難しいのではと思ったのですが。
瀬川氏:そうですね。開発中はスキルボックスもなかったんですよ。一発逆転がないから負けるときは順当に負けるので面白くなくて。その頃は「なんか面白くないなぁ」って(笑)。じゃあスキルを使うための箱が出てくるようにして、それを狙って落とせるようにして。一発逆転要素にチャンスボックスも入れて。「あぁ、これでやっと製品として出せるなぁ」と思った感じでしたね。
――スキルの存在が大きいだけに発動のタイミングや組み合わせ、スキルボックスを狙ったモンスターに食べさせるといった要素が奥を深くさせていますね。スキルの重要度がすごく高いゲームだと思います。
丸山氏:新しいスキルもどんどん追加していますので。今回のアップデートで登場した常識を覆す“プッシャーの台を揺らす”「ヴァイヴス」というスキルも登場しました。
瀬川氏:すごいよね。モンスターアイコンをタップすると台がバーンバーンと跳ねる(笑)
――あれはもう無茶苦茶ですね(笑)。
瀬川氏:ゲームセンターでは絶対できません(笑)。
――これから遊びはじめる人に、オススメのスキルや戦法などはありますか?
瀬川氏:人それぞれにいろいろあるとは思うのですが、ひとつは「覇気」というスキルですよね。敵モンスターの攻撃カウントが0になる前に25に戻せるというもので、攻撃されずにコインを落とし続けられます。あとはプッシャー系のスキルで一気に押し込むというものですよね。
丸山氏:モンスターの編成では、攻撃コイン数が1のモンスターを多めにしてプッシャー系のスキルを使えば、コンボ数がかなり伸びますので。コンボ数でダメージを高めるという戦い方ですね。その時に「あいのムチ」のスキルも組み合わせれば、攻撃した時にキュアコインが出てきますので。攻撃しながら回復もできます。
瀬川氏:「あいのムチ」と「キュアフィーバー」が好きな人は多いよね。あと「ゴッドヒール」や「マスターヒール」のHPを一気に回復できるスキルも人気がありますね。
――これから遊びはじめる人に向けてという点では、1周年のキャンペーンで虹色コインをたくさんもらえたりしたのですが、残念ながら11月末で終了しているんですよね。今後もキャンペーン等は予定されていますか?
瀬川氏:もちろん今後も定期的にやっていこうと思います。1周年記念のキャンペーンは新しく入ってきてくれた人と、これまで長くプレイし続けてくれている人へ感謝の気持ちを込めたものでしたが、期間限定で何かもらえるよというようなものは、準備していこうと思います。
――プレイし始めの時に1体でもSRクラスのモンスターをもらえると、ゲームそのものへのお気に入り度合いが違ってくると思うんですよね。そのあたりをぜひご検討頂けたらなと思いまして。
丸山氏:今だと、ある程度プレイして頂ければ虹色コインが300枚ぐらいもらえると思うので、それでプレミアムガチャモンを1回引いてもらえるとは思うのですが……。あとは今回のアップデートからSRモンスターが出る確率を大幅にアップさせました。
瀬川氏:ただ、そこまでがユーザーの方にとって長いかどうかだよね。ちょっと検討します。
“無課金でもたっぷり遊んでもらいたい”という方針で行なってきた改善は今後も続けていく
――いわゆる時間回復なり課金アイテムで回復するスタミナを消費してプレイするゲームアプリですが、スタミナが回復するタイミングが多いですし、がっつり遊べます。
瀬川氏:無料でもずっと遊べるゲームにしたいなと思っていて。今は虹色コインを配布する時もありますし、デイリークエストをクリアしてももらえますし。イベントでデイリークエストクリア時に2倍の虹色コインをもらえたり。ゴールドコインやスタミナ回復薬もいろんなタイミングでもらえます。いろんなものがポロポロもらえますから。
――合成に必要になるゴールドコインは、今は余るぐらいバンバンもらえますね。
瀬川氏:一時期ユーザー様から「ゴールドコインが足りなくてきつい」という意見を頂いて。以前は土日にしかゴールドコインをもらう機会がなかったんですよね。モンスターを獲得して、それを売ってゴールドコインにするというやり方で。
でも、冷静に考えてみたら「合成に必要なゴールドコインを制限するのってどうなんだろう」と思って。どんどん合成して強くなっていった方が楽しいだろうなぁと。それでいろいろと変えましたね。
――今はプレイを止めざるを得ないタイミングがほとんど来ないぐらいになっていますね。ずっと遊べてしまう。
瀬川氏:例えば、回復薬がなくなったり、ゴールドコインがなくて合成できなかったりで、プレイを止めちゃう方が嫌だなぁと思うんですよね。せっかく遊んでもらえたのだから、できる限りたくさん遊んでもらいたい。
――それがどっちが正解なのか、というのは難しいところですかね?
瀬川氏:そうですね。本当にビジネスだけを考えれば、スタミナが尽きた時に回復薬を買ってもらうということをしなければいけないんですけども。「ドラゴンコインズ」の場合はそこで是が非でもお金を頂こう、というのはあまりなくて、老若男女に遊んでいただきたいというのがあります。とりあえず遊んでいただいて、どうしても欲しいという方に向けてガチャがあったりという感じです。時間の許す限り遊んでいただけるといいなぁと思いますね。
――おそらくそちらの方が良いのではと思うんですよね。遊びはじめすぐに「時間回復を待たないといけないんだな」というタイミングがくると、ゲームの魅力にハマる前にコケてしまうのではと思えて。
丸山氏:しばらく遊ばないとそのゲームの良さが認識できないですよね。初期のうちはそういうバランスの不備もあったのですが、運営を続けていくなかで、今は遊びたい時にたくさん遊んでもらえるような設計にシフトしています。
瀬川氏:今は基本無料のゲームって本当にたくさんあるじゃないですか。昔はゲームセンターかファミコンとかで、お小遣いを貯めてゲームを買って、1本を必死に飽きるまで遊ぶという流れでしたけど、今は基本無料のものだけで数え切れないぐらいありますよね。良さが伝わる前に新しい次のゲームに移ってしまうということも起きると思うんです。そういうところからも、遊びたい時にずっと遊べるゲームにしたいというのがありますね。
――1ユーザーとしても嬉しい考え方です。一方で、ぶっちゃけた話を伺いますが、1年サービスを運営されてきての成功度合いとしてはどうなのでしょう?
瀬川氏:業績的には正直まだ大成功とは言えません。ただ、長く遊んでいただいているユーザーの方が本当にたくさんいるので、愛されているゲームになってくれたところは、かなり良いところに来れたと思います。初期に触ったけど辞めてしまったという方や、「ドラゴンコインズ」を知らなかったという方は、ぜひ今ののバージョンを触っていただきたいですね。
――初期バージョンからの改善点としては、通信頻度の多さや読み込みの長さも改善されていますね。
瀬川氏:バージョン3.4で改善しました。画面の切り替わりで読み込みが入る事が多かったのですけど、うまくデータを圧縮して軽く移動できるようになりましたので。サービス開始当初に比べると圧倒的に速くなりました。
――Android版も含め、機種対応の方はどうでしょうか?結構他のゲームアプリさんなんかでも機種対応は大変というお話を伺うのですが。
瀬川氏:確かに大変です。端末によって動作も少し違ってくるところがあります。
丸山氏:例えば、端末によっては同時タップ数が違うものもあって、2点までのものもあるんですよね。
――なんと! 自分の得意な「3枚落とし」ができない端末があるんですね(画面を3本指でタップしてコインを3枚同時に落とす)。
瀬川氏:ものによっては2枚までなんですよ。スキル発動中なんかは大量にコインを落としたいですからね。スペック的にも「ドラゴンコインズ」は物理計算をがっつりやっているゲームで、そこを嘘をつくかどうかで面白さがだいぶ変わってしまうと思うんです。その代わり、対応スペックが少し高めなところが出てしまうんですよね。
――コインプッシャーを真面目に作ると物理計算の連続になるんですね。これは本当に触ってもらわないと伝わらないところだなと思うんですけど、コインの挙動はリアリティがありますよね。狙って落とすこともちゃんとできますし。
瀬川氏:スキルを使ってコインが大量になると処理の量はさらにすごいことになるんですよ。マメシルバーとか出てくると大変な事に。いろいろと限界に挑戦しながらやっています。
ワールドワイド展開で目指すはドラコイオリンピック! 大きなムーブメントを目指しチャレンジを続けていく
――すっかりスマホとゲームアプリは定着して、基本無料のタイトルも山ほどあります。目線を変えていかなければならない転換期にあるのではと思うのですね。「ドラコイ」では今後どうやって運営されていくのでしょうか?
瀬川氏:なるほど。ちょっと壮大な事を言っていいですかね? 現状、各社いろんな国でアプリサービスを展開しようとされている時期かと思うんですが、「ドラゴンコインズ」はそこに対して、地産地消(地域生産・地域消費の略。現地のものを現地で使うという意味)でやっていきたいと思っているんですよ。
いろんな国でサービスを展開予定ですが、各国と協業で進めて行きたいと考えています。今発表しているのは台湾と中国、今後は韓国にも展開して、そこから北米、欧州にもサービスを広げていきますが、基本の遊びは共通で、モンスターが各国のオリジナルデザインだったり、その国に合わせたコラボレーションをしたりと。その国に合わせた展開をしていきたいと考えています。
一方で、遊び方は共通なので、それを活かして、マスターズカップのようなもので国同士がポイントを競うようなものを実現したいですね。先ほどマスターズカップは運動会のようなイメージとお話しましたが、それこそオリンピックのようなものにしたいというのが大きな夢ですね。
――日本国内から現地に合わせた形でグローバルに展開していく、そこから、一緒に遊ぶ魅力を世界規模で繋げていくという事ですね。
瀬川氏:「日本のみんなで1位目指そうぜ!」みたいなことができたら楽しいじゃないですか。国同士競い合って、一致団結してね。「ドラゴンコインズ」としてはまずそれが目標ですね。
丸山氏:セガネットワークスとしても、今後の取り組みに「ワールドワイド展開」があります。すでに世界展開している「キングダムコンクエスト」などのアプリもありますが、まだサービスの中心は国内に留まっています。世界に目を向けると言っても、もちろん日本国内も変わらず力を入れてやっていきます。そういう意味では、今後に目指すのは“世界的に通用するアプリ”ですね。海外は日本文化の味付けが合わなかったりするので、全世界同じもので楽しんでもらえるものを作っていくというのが、今後の目標というか。近々の事業目線になってますね。
瀬川氏:1人のクリエイターとして思うのは、セガとセガネットワークスとしては“今までにない新しいチャレンジのタイトル”ですよね。失敗したってね、チャレンジしないと。大きなムーブメントにはならないので。
――他のアプリ開発者さんにお話を伺うと、チャレンジの中でノウハウが貯まってきて「以前はこう考えていたんだけど、今はこういうふうにシフトしている」というお話はよく聞きます。ここからどんなものになっていくか、ですね。
瀬川氏:そうですね。
丸山氏:これから1年間でまたさらに世の中も変わってくると思うので。1年先、そのさらに先を見通してどこまでトレンドをキャッチアップできるか、というところですね。まだスマホアプリでは出ていないジャンルだってありますし。スマホは生活に密着したものですから、生活に定着するようなゲームというかツールというか。ないと生きていけない! みたいなものを発信していけたらいいなと思います。
――「そのゲームをなぜ遊ぶのか?」と言えばいいでしょうか。触るだけで気持ちいい、楽しい、というのはゲームを名乗る以上はそういった理由となるものが必須だと思うんです。「ドラゴンコインズ」は生理的な気持ち良さで楽しめる「コインプッシャー」という魅力を持っていますので、今後にも期待したいです。
瀬川氏:ありがとうございます。単純に触って楽しかったり、爽快感があったり、一発逆転できたり。そういう魅力があるものが世の中に通用しますよね。老若男女問わず楽しめる良さ。「ドラゴンコインズ」もそれを目指して試行錯誤してきたのですが、そういう良さをこれからも大事にしていきたいと思います。
――楽しみにしています。本日はありがとうございました。
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