インタビュー

「FFXI: アドゥリンの魔境」プロデューサー松井聡彦氏インタビュー

「アドゥリンの魔境」時代のバトルについて。今後、敵の属性がわかるシステムの導入を検討

魔道剣士の対属性モンスターに対する強さに懸念を示す松井氏
七支公のひとり「アチュカ」。見るからに火属性のNMだ
デュナミスでは、「アトルガンの秘宝」や「アルタナの神兵」で実装された新ジョブのレリック装備が後付けで手に入るようになったが、今回の2ジョブについては別の入手方法となるようだ

――今回先ほどの繰り返しになりますけど、新たにジョブが2つ追加されてジョブバランスを取るのが非常に難しくなってきますよね。「アドゥリンの魔境」時代のバトルバランスといいますか、2ジョブという変数が加わることで「FFXI」パーティーバトルはどのように変わってくるのでしょうか?

谷口氏:自分がざっくり思っているのは、松井とも話はしているのですけども、「どんなモンスターでもこの編成で良いよね?」って話にならないようにしようと。なので、この敵の盾には忍者の方がいいよねという敵のバリエーションで、それを増やしていってそのジョブがいろいろ、パーティー編成が色々組めるようにってのは作っていこうと話はしています。

松井氏:そういうところは、そもそもジョブだけでバランスが取りきれる訳ではなくて、まあ「アドゥリン」に配置する敵が、魔法を使わなかったら魔導剣士に意味はないわけです。そういう意味ではそこのバランスをまずきっちり取ることで、多分すべてのジョブに自分たちの遊びやすい場所であったりとか、そういう場所が出てくると思います。まずはそこから。

――今回いきなりレベル99のキャラクターを触らせていただいてちょっともてあましてしまったのですが、ジョブ設計としてはこれでほぼ完成ということですか?

谷口氏:そうですね。これで7、8割はいっています。

――残りの2、3割はどの辺りを調整されるのですか?

谷口氏:まあ、数値的なところですね。あと見た目とサウンドエフェクトとかが入ってなくて、使っても音がしないアビリティがあったりするので、そういうところを直していきます。

――新規のモーションをいくつか確認できましたが、エフェクトとかも特殊なものはありますか?

谷口氏:はい。特殊ではないのですが、専用で作っていただいているのはあります。

――前回の情報公開では「七支公(しちしこう)」というボスモンスターが発表されましたが、これは従来のノートリアスモンスターの強化版と考えていいのでしょうか?

松井氏:七支公はまだ前回公開した情報しかお話しできないんです。3月以降にまた新情報をお出しする予定がありますので、そこでちょっと突っ込んだ七支公の情報をお伝えできることになる予定です。

――その七支公は、属性を意識したようなモンスターばかりですが、2つの新ジョブが活躍しそうですよね?

松井氏:そうですね。見ている限りでは、特に魔導剣士は、上手く戦われると、このままだと完封されそうな勢いなので、もうちょっと七支公は手を入れていかなくちゃと僕は思っています。どちらのジョブもモンスター泣かせで、魔導剣士のほうは特定の属性をかなりシャットアウトできるので、1つか属性を操れないモンスターってのはかなり手玉にとられちゃいますし、風水士は地形にぽんと置いた罠をモンスターが感知して避けるとかそんなAIかけないので、見事にハマり込んでいっちゃいます。

――ちなみに今回両ジョブとも、自然とか属性を意識したものになっていますけれど、これは「アドゥリンの魔境」の世界設定と何か関わりがあるのですか?

谷口氏:実は大まかに分けて、風水士は自然を扱うということで開拓反対派、魔導剣士は属性を人工的に加工するということで開拓推進派に属するという流れがあります。この両勢力の動向はメインシナリオでも垣間見られますので、そちらもぜひご期待いただければと思います。

松井氏:いま伊藤がまさにその辺りの仕事をバリバリやっている最中なんですが、いま開発が佳境で今回は参加できませんでした、すいません(笑)

――分かりました。今回はジョブにしても七支公にしても、属性ということが大きくクローズアップされていますけど、従来のバトルはあんまり属性を意識しなくてもそれほど困ることはなかったと思うのですが、「アドゥリンの魔境」エリアのモンスターは、その辺りの属性を複数使い分けてくるのですか? これまでも特定のボスがそういったことをやってきましたが。

谷口氏:そうですね、まずボス戦においては、どうしても魔導剣士の存在を意識せざるを得ないと思いますので、そういったギミックは用意することになると思います。ただ普通のフィールドのモンスターたちはプレーヤーがこいつはこの技しか使わない、あるいはこの技はこの属性だよということを学んでしまったら、魔導剣士で完封してくださって構わないと思っています。

――ちなみに未知のモンスターの属性は、どのように知ればいいのでしょう?

谷口氏:戦ってもらうしかないです。

――たとえば、アビリティか何かで知る方法はあるのですか?

谷口氏:今はないので、そこは今後課題だとは思っています。黒魔道士にもそういう能力は必要だと思っているので。

――ゲーム内で知る方法がないというのは不思議な状況ですよね。

谷口氏:そうですね。やはりゲーム内でなんとか片付けるすべは必要だと思っています。そこは今後の課題だと思っています。

松井氏:よほどのものじゃない限り、例えば昆虫系は氷に弱いだとかそういう何か系統はあるのですが、例えば火の昆虫だったら氷には強いとかそういう例外がいっぱいあるので、難しいっちゃ難しい。把握していただくのが難しいかなと。技とかそういう物を作っても、そのモンスターが戦っている最中にコロコロ変えるんだったら、アビリティなりを作る価値があるのですが、一度調べてしまったらもうそれは情報としてメモっておけばいいというものをアビリティとして用意するのもどうかなと思って、まあライブラとかは結局ああいう敵対心みたいなゲーム中に動的に変わるものを表示するアビリティに変えてしまったのですが、そういったものがあった方がいいかなということですね。

――属性を知る為の手段としてどういった要素を提供する予定ですか?

谷口氏:一番簡単なのはアビリティだと思っていますけど、その辺りは要検討だと思います。別の手段ってところですね。

――魔導剣士の新アビリティとして?

谷口氏:魔導剣士に限らず、黒魔道士も同じ情報が欲しいと思うので、その辺はアビリティとして実装してしまうとそのジョブしか使えなくなってしまうので、別のものを用意するかとか、そこはこの先検討していくところではあるので、決まっているということではないですね。

――2つの新ジョブのアーティファクト装備やエンピリアン装束などはどのような計画ですか?

谷口氏:現時点でお話しできるのは、「そういう装備品はある」というだけですね。ただそれがエンピリアンかレリックかと言われると現時点では伏せさせてください。

――デュナミスやアビセアに行って敵を倒したら、魔導剣士や風水士の装備がごろごろドロップするわけではない?

谷口氏:そのへんも今はお答えできません。申し訳ありません。

「アドゥリンの魔境」時代の「FFXI」について。谷口「イージスナイトは安泰です」

谷口氏は開発スタッフとしては珍しく“喋る”タイプ。ディープな話ができて楽しかった
松井氏はプロデューサーとしてはかなり控えめなタイプだが、芯の強さのようなものを感じた。今後の調整に期待したいところだ

――「アドゥリンの魔境」時代の「FFXI」についていくつか質問したいのですが、まず今回2つの非常にトリッキーなジョブが追加されることで、既存のジョブを何か調整する予定はありますか?

谷口氏:それは正直にいうと今後の様子見ですね。入れて見てその後フィードバックをいっぱい受けると思うので、そこからです。

――どういった反応があると予想していますか?

谷口氏:ぜんぜんわからないです。

――特に魔導剣士はどういう反応が出るか楽しみですよね。そもそも新盾なんて何年ぶりだよ?っていう話ですよね(笑)。

谷口氏:盾はナイト以来ですね。忍者は盾として入れたわけではないので(笑)

――戦士、ナイト以来というと、初期「FFXI」以来ですか。

谷口氏:うーん、戦士は盾ではないはずですが(笑)

松井氏:戦士は最初の6ジョブのときには盾もできました。その名残として挑発があるし、ただまあもっと盾に特化したジョブとしてナイトを出しているのでそういう意味で最初から盾として出てきたのは、本当にナイト以来ですかね。からくり士のペットは盾として機能すれば盾のペットがいるのですが、いずれはあれも盾をと思っていたのですが、やっぱりプレーヤーが普通に操作する盾のように動くのはまだ難しい感じで。それこそからくり盾とか、ペット盾とか、これを機会に増えてもいいのかなと思っています。

――ちょっと意地悪な質問をすると、イージスを装備したナイトを筆頭に、対魔法戦にチューンしたナイトというのは、魔法戦も非常に強いと思うのですが、それに対して魔導剣士というのはどういったアドバンテージがあるのでしょうか?

谷口氏:これはハッキリ言えますが、イージスナイトに対してアドバンテージはないと思います。それはイージスって100の能力を備えている装備なので、魔導剣士ってスタートに立ったばかりなので、それが100を持っているわけがないですよね。なので、今後それに近いような、近づける装備品が登場するということはあるでしょうね。

――じゃあ、イージスナイトさんは安心してくださいと?

谷口氏:はい。それはハッキリ言ってもらっても大丈夫です(笑)

松井氏:もちろん、今後、敵がシールドブレイクとかを使わないかぎりですが。将来的に何かあるかもしれないですけどね。

――「アドゥリンの魔境」で松井さんがやりたいことはずばり何でしょうか?

松井氏:そもそも僕がしばらく「FFXI」から引退していたので、そこで復活して遊びたいんですが、そういう意味では「FFXI」の全要素が詰まっているというか、集大成というか、そういう感じにしてみたいかなと思っています。

――松井さんはプロデューサーとして「アドゥリンの魔境」をどのような拡張ディスクに仕上げようと考えていますか?

松井氏:本当に久々の新しい大地なので、ちょっと狭いっていったらあれなんですが、舞台を限定できます。もう1度整理って言い方は変ですが、継ぎ足し継ぎ足しいろいろ足していくのではなく、計画的にものを置けるんですね。それは作り手としては楽しいし、ユーザーさんからもたくさんご意見を頂いているので、それをフィードバックする場として「アドゥリン」を1つの遊園地という言い方は変ですが、色々なものが詰まった1つのまた小さな「FFXI」というか、またそういった感じの大陸にしていきたいなと考えています。

――ユーザーさんから来ている意見で多いものとして、開発側として優先順位の高いものにはどういったものがありますか?

松井氏:やはり大きいのはジョブのバランスのところと、後は参加できるコンテンツですよね。遊べるものでちょうど自分にマッチしたコンテンツがないとか、自分ができるものでは自分が欲しい装備品が得られないとかっていう話になってきますので、ジョブはジョブで、今後ずっとバランスを取り続けていかなくてはいけないけれど、何かを追加するために強弱が変わってきたりするのでそれはそれで変えていくと思いますし、コンテンツに関していえば、きっちりとどの層に向けて作るのか、だからどういうご褒美が必要なのかという設計から入って、担当者にぽんと丸投げするのではなくてみんなで集まって、まずはダーッと大きな地図を描いて、コンテンツとレベルのマップみたいなものを作って、きっちりと設計していきたいなと思っています。

「VANA★FEST 2012」で田中氏が発表したWindows版「FFXI」のUI拡張プラン。初代ディレクターの石井浩一氏が代表を務めるグレッゾで開発が進められているが、実装までまだしばらく時間が掛かるようだ

――個人的に気になっているのは、ヴァナ★フェスで発表されたUI(ユーザーインターフェイス)の拡張です。ちょっとずつアイコンなどが実装されていますが、ウィンドウの位置や数が自由に設定できるようになるのはいつになるのですか?

松井氏:グレッゾさんと協力してやっているんですけど、どうしても「アドゥリンの魔境」のリリースタイミングと合わせて進行しようとするにはドタバタしすぎてしまったので、ちょっとそこのタイミングとは切り離させていただいて、少しずつ機能は入っているのですが、ちょっと遅れてるというのが現状です。

――本来は2012年中に入る予定だったはずですが、なぜここまで遅れているのですか?

松井氏:なぜって、なかなか鋭い(笑)。こちら側の要求したものと、実際上がってきたものを見た時に、もうちょっとここをこうしたら良くなると言う追加のオーダーを出したり、新しいものを足していただいたりしているのもあります。今までのものだけを直すのであれはそんなに時間は掛からないのですが、将来的なことを考えて、今後何かをやっていくときに、余地を作っておいて欲しいかなという話をしています。

――実装時期はいつ頃になりますか?

松井氏:新しいUIに関してはまだお答えできる状況にはないですね。

――というと「アドゥリンの魔境」の発売よりさらに後ろになりますか?

松井氏:そうですね。部分実装をしようと思えばできなくはないのですが、ちょっと「アドゥリンの魔境」と同時のタイミングはちょっと厳しくて、こちら側の手がもう「アドゥリンの魔境」で手一杯なので、どうせだったら全部作ってもらってからの方がよいのかなという部分もあります。そこに関してはもう「アドゥリンの魔境」の発売と切り離して考えています。

――ちなみにUIの拡張は、PS2版やXbox 360版には適用されないのですか?

松井氏:はい。新UIの実装は基本的に考えていません。負荷軽減によって、より快適に動くようになる可能性はあったとしても、新たに足していくことはないです。

――わかりました。最後に読者にメッセージをお願いします。

谷口氏:「アドゥリンの魔境」は、「FFXI」で初めてジョブの設計をした拡張ディスクなのでぜひ楽しんでいただければと思います。

松井氏:本当に久しぶりの拡張ディスクを作るのに参加できて、大変ですけど嬉しいです。ユーザーの皆さんはそれを楽しんでいただければと思って、残り1か月弱ですけれども、手を抜かないように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました。

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(中村聖司)