ネクソン、対戦特化MMO「ドラゴナ」開発・運営インタビュー
正式サービスから攻城戦や新対戦ルール「デスアリーナ」を実装


3月7日正式サービス開始予定

利用料金:無料(アイテム課金制)



 株式会社ネクソンは、Windows用MMORPG「ドラゴナ」の正式サービスを3月7日より開始する。今回、正式サービス開始に先がけて、開発チームが来日し、ゲームメディアのインタビューに応じた。韓国Liveplexの「ドラゴナ」チームプロジェクトマネージャー日本担当のパク・ジョンヨン氏と、同じく「ドラゴナ」チーム海外企画のキム・ギョンウ氏。そして運営側としてネクソン運営本部事業開発部ゲームソーシングチームの望月雄介氏に話を聞いた。

 正式サービスで「ドラゴナ」は「攻城戦」により、激しい戦いが開始される。さらに「ギルド領土」と呼ばれる拠点、高レベルプレーヤーのみが参加できる「デスアリーナ」が追加されるという。城を得たギルドは、ギルドマスターに特典が集中しているというのもユニークだ。インタビューでは、新要素に加え、「ドラゴナ」の開発者の想いも聞いてみた。



■ 日本は女性キャラクターが圧倒的な人気。PvP要素に注目

韓国Liveplexの「ドラゴナ」チームプロジェクトマネージャー日本担当のパク・ジョンヨン氏
韓国Liveplexの「ドラゴナ」チーム海外企画のキム・ギョンウ氏
ネクソン運営本部事業開発部ゲームソーシングチームの望月雄介氏
クローズドβテストでのGMイベント。今後も様々なイベントを行なっていくという
日本で最も人気があった、スカウト

――2月22日よりオープンβが始まりましたが、これまでの日本のユーザーの反応を見て、どんな感想を持っていますか?

パク氏: 「ドラゴナ」は日本という市場に合うか、プレーヤーさんに受け入れてもらえるか、不安な部分がありました。キャラクターのグラフィックスなどもスタイリッシュな雰囲気があり、気に入ってもらえるかなと思ったのですが、予想以上に好評でした。ゲームを楽しんでもらっているな、という手応えを感じています。

望月氏: 日本運営側から見ても、オープンβテスト開始当日はたくさんのプレーヤーに入っていただき、狩場が込み、パーティを組んで狩りをする人達もいましたね。ゲームを楽しんで頂けている、という実感はあります。

――以前望月さんはGMがイベントを企画し、ブログで告知して、実施していくなど「ユーザーの輪に入っていく」姿勢を大事にしたいと、おっしゃっていました。実際今回のクローズドβテストでイベントを行なってみて、どんなことを感じましたか。

望月氏: 非常に好評でしたね。今後、オープンβテスト中はもちろん、正式サービスでも行なって欲しいというご意見をいただきました。機会があれば是非やっていこうと思っています。GMイベントは、今後もGMブログで発表していきたいと思っています。

――今回は、開発寄りの話を多く聞きたいと思っています。まず、「ドラゴナ」というゲームが生まれた経緯から教えてください。

キム氏: まず、「ファンタジーをテーマにしたMMORPGが作りたい」という想いが、会社としてありました。そして根底に「ドラゴン」を置きたいと考えたのです。ドラゴンをモチーフに、世界観を構築していきました。

――昨今では、MOタイプのゲームや、アクション性を強調したゲームなど、韓国でもさまざまなゲームが生まれていますが、なぜMMORPGにこだわったのでしょうか。

キム氏: 最初の企画から「MMORPGにしよう」と思っていましたし、ゲームのシナリオもMMORPGという手法にあったものにしていきました。MMORPGは、MO作品などに比べ、より“ユーザー同士が盛んに交流できる”コンテンツだと思っています。

 「ドラゴナ」では、「バトルアリーナ」の1つ「フォースアリーナ」での交流です。フォースアリーナは毎日開催され、2チームにわかれて最大100vs100で争われるPvPですが、この戦いに合わせて作戦を練り、その場でとっさに連携したり、戦いのために装備やアイテムを準備するといった部分は、MMORPGならではの醍醐味だと思っています。

パク氏: 「ドラゴナ」は、クエストの対象位置にマップやクエストログをクリックしていけたりと、「プレイしやすさ」を考えたシステムを取り入れています。初心者でもプレイしやすいので、多くの人に交流してもらいたいです。

――特に「ドラゴナ」ならではの、ユーザーに見てもらいたいポイントというのは、何処でしょうか。

キム氏: 「覚醒システム」です。「ドラゴナ」ではキャラクターは、己の中に眠るドラゴンの血を目覚めさせ、体の一部分を変身させる「部分覚醒」と、全く違う姿になり、強力な力が振るえる「覚醒」という2種類の変身能力を持っています。

 覚醒では、敵からドロップする「コア」というエネルギーを消費します。部分覚醒はコアの消費が少ないので、ソロプレイや狩りの時でも有効です。一方、強力な覚醒は大きく力を増しますが、コアの消費が激しい。ピンチの時や、ダンジョンでのボス戦など、ここぞというときに使って欲しいですね。

 韓国プレーヤーの場合、バトルアリーナで特に力を増す覚醒が活用されますね。キャラクターの職業で戦い方は大きく変わるのですが、バトルアリーナの場合は勝つために、覚醒システムは大事な駆け引きの要素となります。

――韓国の「ドラゴナ」ではどんな職業が人気ですか。

キム氏: 「レンジャー」や「ガーディアン」などの男性キャラクターです。「ドラゴナ」では職業によって種族や性別も固定なのですが、どちらも男性なのです。韓国では男らしいイメージのキャラクターが受けています。キャラクターの性能と言うよりも、前に進んで盾になるような戦い方のイメージで、この2つの職業の人気が高い。特にバトルアリーナで、この2つの職業は特に目立つというのも、人気の理由だと思います。

望月氏: 日本では逆に女性キャラクターの人気が高いです。1番が「スカウト」で、8職業があるのですが、人気職業上位4位は全部女性キャラクターでした。

――コンテンツで、特にデザイナーがこだわった、というようなエピソードはありますか。ここはとにかく凄かったんだ、というような。キャラクター、ダンジョン、何でもいいのですが。

キム氏: デザイナーは全てに全力を尽くしています。そうですね、特にこだわった部分と言えば、プレーヤーキャラクターの表現です。プレーヤーキャラクターはプレーヤーの分身ですので、スキルや、アクションなどは特に力を入れて作り込んでいます。

――では、現在日本で入っているコンテンツで、個人的に思い入れがある部分。「特にここを見て欲しい」という部分を教えてください。

キム氏: やはり1番力を入れている覚醒システムですね。職業で覚醒後の戦い方は異なっていきます。特にPvPでは色々な戦い方が可能だと思います。覚醒システムを活用し、色々なキャラクターを試して戦って欲しいと思います。

パク氏: 私は「スカウト」が好きですね。彼女のかわいらしさは、是非見てもらいたいです。「ドラゴナ」はコアユーザー向けだけではない、というところは強調しておきたいです。ゲームは手軽で、どんどんレベルアップしていきますし、オート移動システムや、村に戻らずクエストが進められるなど、便利な機能もたくさんあります。ライトユーザーさんにもオススメのゲームです。

望月氏: マシンに乗って移動しているとき、特にクエストの目的地まで自動移動しているときの、崖の上を1人で走っている風景が好きですね。崖下に広がる風景を見ながら“旅情感”にひたるのが好きです。この感じは、味わって欲しいと思います。自分なりの“風景”を楽しんで欲しいですね。


望月氏オススメの観光スポット。お気に入りの風景を見つけ、友達を連れていくのは、MMORPGの楽しさだ



■ より対戦にフォーカスしたアップデートに。また、ハウジングなどの要素も

この城で、激しい戦いが行なわれる
城を入手したギルドマスターが使えるマシン
こちらも、ギルドマスターができる覚醒
オープンβのイベント。後ろの「海の家」は、「侵略!イカ娘」とのコラボレーション

――では次に、正式サービス時に追加されるコンテンツを教えてください。

パク氏: 大きなものでは、城をギルドで奪いあう「攻城戦」、ギルドが所有できる「ギルド領土」、高レベル向けコンテンツの「デスアリーナ」があります。

キム氏: ギルドはレベルで所属数が変わりますが、最大100人となっています。攻城戦はギルドだけでなく「ギルド連合」という繋がりで争う事もできます。実装時の城の数は1個のみです。1週間に1度、この世界に1つしかない城を巡り、全ギルドが争う事になります。この期間は今後変更されるかもしれません。

 城を得ると、所有ギルドのギルドマスターに多くのメリットがあります。まず、特殊な「覚醒」ができるアイテムがあります。この覚醒は従来のものとは違う姿になり、力も強くなります。次に「マシン」ですね。特別な乗り物に乗れるようになります。そして多額のゲーム内マネーです。この資金をギルドメンバーにどう分配するかも、ギルドマスターに任されています。さらに村から税を徴収できるようになり、税率を決められます。村は現在多くのプレーヤーが利用している、現在のフィールドの中心とも言える「ハーレン」です。

――ずいぶんギルドマスターにメリットが集中していますね。「マスターばかりずるい」というようなことにはなりませんか。

キム氏: 韓国ではそうはならないですね。ギルドマスターの強さが自分たちの強さだと、力を合わせています。ギルドマスター自身、そういった「統率力」に優れた人ですので、仲間も彼のために頑張ります。「城を勝ち取ったんだ」という“自尊心”が最大の報酬とも言えます。ただ、今後覚醒アイテムやバイクを、仲間に渡せることもできるようになるかもしれません。

――ギルド領土とはどんなものですか。

キム氏: 「ハウジングシステム」とも呼べるもので、ギルドで共有する「家」です。ここで作戦会議などができるギルドの拠点です。今後の予定ですが、ギルド領土ではここでしか受けられない専用バフや、アイテムがもらえるようになります。また、将来的には家具などが置けるようになるかもしれません。

――デスアリーナはこれまでの対戦とは違うものでしょうか。

キム氏: 現在のバトルアリーナはフォースアリーナと呼ばれるものがあり、100vs100での対戦ができます。これはとても楽しいのですが、戦略性に欠ける部分もあります。デスアリーナは15vs15で、レベル35以上のキャラクターしか参加できません。現在のレベルキャップはレベル40ですので、現時点での上級者しか参加できない戦場なのです。

 デスアリーナは2時間ごとに開催される予定です。フィールドにガードストーンが現われますので、これを破壊していくのと、敵のキル数でスコアを競います。制限時間は15分です。人数が15人と限定されている分、1人1人の動きが重要になってきます。作戦を練って挑んでもらいたいですね。

――これらを日本でローカライズしていく上で何か気をつけていることなどはありますでしょうか。

パク氏: 日本ではPKを好まないプレーヤーが多くいるということで、PK可能な高レベル地帯でも、ガードNPCを多く配置しています。現在は「イカ娘」とのコラボレーションをしているのですが、こう言ったコラボレーションを今後も行なっていきたいと思います。

――日本の運営としては、GMを通じたイベントなどを行なっていくとのことですが、具体的な企画ではどんなものを予定していますか。

望月氏: イベントはもちろんですが、コラボレーションはすでに決定しているものがあるんです。ここに関して、今後発表できればと思っています。GMイベントは色々なものを行なっていって、好評なものを続けていきたいと思います。月に数回は行なっていきたいと思いますね。隠れてこそこそやったり、突発的にやる事もあるかもしれません。

 サービス開始後や、オープンβテストでは人が多くて難しいとは思いますが、クローズドβテストでは、「GMやんわり」というGMが、「ドラゴナ」への意見を聞きました。その時はプレーヤーが一列に整列してくれて、1人ずつ話がを聞くことができました。ちなみにいちばん最初の質問は「好きな食べ物はなんですか?」というものでした(笑)。

――コラボレーション以外で、日本オリジナルの展開は何か考えていますか。

望月氏: 日本の四季をいかしたイベントなどはやっていきたいですね。また、四季に合わせたコスチュームを開発側に要請していきたいです。近いところでは春、4~5月には何らかのものをお見せしたいとは思っています。

――一方で、韓国では最新のコンテンツとしてどんなものを予定していますか。

キム氏: 詳細はまだお話しできませんが、韓国ではレベルキャップをレベル60まで引き上げる予定です。また、「ソウルストーン」というアイテムによる強化システム。こちらは武器だけでなく防具を強化することも可能です。さらに「バトルアリーナ」に新たな戦いが加わる予定で、こちらは“パーティバトル”の要素を強化していく予定です。

――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

パク氏: 日本のユーザーさんに喜んでもらうために、アップデートを行なっていき、開発も意欲的にコンテンツを作っていきます。期待してください。

キム氏: 他のゲームと比べると、不足していると感じる部分があるかもしれません。そういったところは補っていこうと思います。現在新キャラクターを準備していますし、今後も新しいコンテンツを投入していきます。「今後もどんどん『ドラゴナ』は面白くなっていく」と思っていただいて良いと思います。

望月氏: クローズドβテストで感じたのですが、「ドラゴナ」のユーザーさんは優しい人が多いという印象を受けました。そのためイベント1つとっても運営側もとても楽しみながら行なうことができました。これからも一緒になって楽しめる「ドラゴナ」を作っていきたいと思います。


正式サービスに追加されるデスアリーナ。15vs15での対戦ができる
覚醒やマシンを別アングルで


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(2012年 3月 6日)

[Reported by 勝田哲也]