EA、PS3/Xbox 360「マスエフェクト 3」開発者インタビュー
シリーズ完結作、新モードの意図や、女性キャラクターの秘密が明らかに
いよいよ3月15日に発売を控えたプレイステーション 3/Xbox 360用アクションRPG「マスエフェクト 3」。今回、発売に先がけてプロモーションのために来日したBioWare「マスエフェクト 3」アソシエイトプロジェクトマネージャーのロビン・デベルジュ氏に、インタビューを行なうことができた。
デベルジュ氏は「Dragon Age II」でプロジェクト管理を担当し、「マスエフェクト 3」ではオーディオチーム、グラフィカルユーザーインターフェイス、ビジュアルエフェクトチームと開発の調整にあたったという。今回は「『マスエフェクト』シリーズの女性は、何故あんなに個性的なのか?」など、様々な質問をぶつけてみた。
「マスエフェクト 3」は2月27日に先行体験会も行なわれている。序盤の展開や、3つのゲームモードなどを体験できたので、こちらもお読みいただきたい。
【マスエフェクト 3 最新トレーラー】 |
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リーパーの襲撃に崩壊していく地球。シェパードは地球を救えるだろうか |
■ より幅広いユーザーに向け、“アクション重視”と“ストーリー重視”の新モードを搭載
BioWare「マスエフェクト 3」アソシエイトプロジェクトマネージャーのロビン・デベルジュ氏 |
リーパーにより破壊される地球。救えるのは主人公シェパードだけだ |
3つのゲームモードで、より間口が広くなる。アクションモードは、より激しい戦いを体験できる |
――まず最初に「マスエフェクト 3」が完成した今の気持ちを教えてください。
デベルジュ氏: 本作の開発に関われたことを、とても誇らしく思っています。たくさんの才能溢れるメンバーと、仕事をすることができました。ファンの皆さんの反応を見るのがとても楽しみです。
――前作「マスエフェクト 2」では、「マスエフェクト」とは違い、あえてストーリーに区切りをつけず、「本当の戦いはこれから」といった形で“引き”を持たせた終わり方になっていましたが、この明確に続編を提示させる終わらせ形にしたのは、どうしてだったのでしょうか。
デベルジュ氏: 「マスエフェクト」シリーズは最初から3部作を構想して制作されました。「マスエフェクト 3」は今作で完結編となるため、明確な繋がりを提示しました。しかし、「マスエフェクト」世界は非常に“濃く”、まだまだ語られることがたくさんあるので、今後の展開も楽しみにして欲しいですね。
「マスエフェクト 2」はマルチエンディングでした。「マスエフェクト 3」では前作で行なった決断によりゲーム展開が変化するので、「マスエフェクト 2」をプレイした人は一層楽しめると思います。
――今回完結するのは、「リーパーとの戦い」という要素でしょうか。
デベルジュ氏: 「シェパードとリーパー」という要素ですね。
――「マスエフェクト 2」ではリーパーの拠点はかなり早い段階で提示され、プレーヤーはすぐにそこに行くこともできるが、あえて回り道をすることでたくさんの仲間を集め、仲間の絆を深めるということができました。個人的には、物語の“構造”がシンプルだった部分が不満だったのですが、「マスエフェクト 3」ではどうでしょうか?
デベルジュ氏: 今回は、ゲームモードの選択で、大きくゲーム展開が変わります。「マスエフェクト 3」では「RPGモード」、「ストーリーモード」、「アクションモード」の3つのモードが用意されており、「アクションモード」はゴールに向けて一直線に進みたい人向けです。ゲーム内での選択肢はコンバット中心で、TPSのような感覚で、ストーリーはムービーシーンで展開します。細かい分岐はなく、プレーヤーが選択するのは、大きなストーリーでの分岐のみです。
「RPGモード」と、「ストーリーモード」では仲間との絆を深めたり、様々な細かい決断と、シナリオの分岐があります。世界観を掘り下げ、たっぷり楽しめるモードになっています。各モードではゲームの進め方そのものが変わります。最終到達点は変わらないのですが、そこまでの展開はまったく変わったものになるでしょう。
――「アクションモード」のプレイ時間は、エンディングまで何時間ほどでしょうか。
デベルジュ氏: プレイ時間に関して明確にお教えできません。とても遊びごたえのあるモードだ、としか今は答えられません。アクションモードで腕を鍛えたプレーヤーならば、マルチプレイモードも大いに楽しんでもらえると思いますので、ボリュームに関しても満足してもらえると思います。
――これまでRPGを作り続けていたBioWareが、TPSのようなゲームモードを作るのは、かなりの冒険だったのではないでしょうか。
デベルジュ氏: その通りです。難しい挑戦でしたが、「より多くの人に楽しんでいただくためのゲームのカスタマイズ」という視点から、あえて新しい遊び方というものを提示してみました。
――一方で、「ストーリーモード」ならではのセールスポイントはどんなものでしょうか。
デベルジュ氏: こちらは、コンバット要素が苦手な人向けです。映画のようにストーリーを楽しみながら、細かい選択は全てプレーヤーが決断可能です。仲間や世界との関係や、ロマンスなど、自分の行動が世界に影響を与えていく感覚をたっぷり楽しんでもらえると思います。ストーリーに集中してもらうために、「RPGモード」よりもコンバット要素が簡単になっています。「アクションモード」、「ストーリーモード」はもっともっと多くのユーザーに「マスエフェクト 3」を遊んでもらうために用意したゲームモードなのです。
■ 過酷な戦いには強烈なキャラクターが必要。マルチをやりこむことで、シングルが有利に
悪人プレイの魅力を、と聞くとデベルジュ氏は驚いた声を上げてから、考え込んで語ってくれた |
1作目から登場しているリアラ。美女に見えるが、実は雌雄同体で、プレーヤーが男女どちらでも恋愛の対象となる |
――次にどうしても聞きたかったことなのですが、「マスエフェクト」シリーズでは全身に刺青をした「ジャック」や、ゲーム内で“女ゴリラ”と呼ばれてしまう「アシュリー」など、強烈な個性を持った女性ばかりですが、こういったエキセントリックな女性キャラクターばかりなのはどうしてなのでしょうか。どういった“狙い”でキャラクターを造形しているのでしょうか。
デベルジュ氏: 「マスエフェクト」の世界は、リーパーの脅威もあり、とても過酷なものとなっています。そして、シェパードがたどる道のりはそれ以上にきついものになります。そのシェパードにあえて同行する道を選ぶ女性に要求されるのは“タフであること”です。過酷な状況を生き抜いていくためにも、強烈なキャラクター性が必要だと考え、こういったキャラクター達を作りました。
ただ、これらの女性キャラクターも、柔らかい、女性的な一面を持っています。普段は隠れているかもしれませんが、関係を深めていくことで見えてきます。また、女性でのシェパードをプレイする場合は、タフさを前面に出して押し切ることも、時には柔らかさを見せることも可能となっています。
――もう1つ、「マスエフェクト」シリーズでは、利他的な善人と、利己的な悪人プレイができ、ゲーム展開が変わってきます。私はつい善人プレイをしてしまいます。英雄であるシェパードを目指してしまうのですが、あえて“悪人”を目指すことの魅力を教えてください。
デベルジュ氏: 普段私達は、生活をしていく上でも、善人であることを心がけて生きています。悪人プレイは、そういった日常から離れた経験ができるのが魅力だと思うんです。日常では、悪いことをするとつけが回ってきますし、それを恐れるからこそ悪いことをしません。ゲーム内でもつけが回ってきますが、現実のプレーヤーにまで悪い影響はありません。ゲーム内であえて悪いことをしてみるのもありだと思います。
ゲーム内で、悪人プレイをしていると多くの敵を作ってしまいます。「マスエフェクト 3」では、リーパーによって銀河に暮らす全種族が脅威にさらされ、その脅威に立ち向かうために力を合わせなくてはなりませんが、他種族の信用を失う行動ばかりしていると、誰も協力してくれません。リーパーとの戦いはとても厳しいものになると思いますが、あえて茨の道を進むというプレイも可能です。
――「マスエフェクト 3」の特徴として「マルチプレイ」があります。このモードの特徴を教えてください。
デベルジュ氏: マルチプレイではシングルプレイと違い、人間以外のエイリアン種族でプレイが可能です。ここが最大のセールスポイントですね。そして何より友達と力を合わせ、最大4人での協力プレイが楽しめるのが楽しいですね。
マルチプレイでは、最大で20レベルまで成長させることができ、アビリティを習得し、武器や装備をアップグレードしていくことで、プレーヤーごとの個性的なキャラクターを作り上げることが可能になっています。複数のキャラクターを作ることができるので、色々な戦い方を楽しむことができます。
――マルチプレイのキャラクターを、シングルプレイに登場させることは可能でしょうか。
デベルジュ氏: できません。彼らはシェパードとは別な場所で戦っているのです。ただし、マルチプレイでプレイを重ねていくことで、シングルプレイのコンテンツがアンロックされるという要素があります。マルチプレイをやり込むことでシングルプレイが有利になる要素もあるので、そういった意味で、マルチプレイがシングルプレイに影響を及ぼしていきます。
――最後に、日本のプレーヤーへのメッセージをお願いします。
デベルジュ氏: 「マスエフェクト 3」は特に充実した内容になり、壮大な戦いが待っています。このゲームを楽しんでいただければ嬉しいです。
【スクリーンショット】 | ||
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戦闘部分のスクリーンショット。マルチプレイでは、プレーヤー達の協力が必要だ |
(2012年 3月 2日)