ハンビット、「HELLGATE(仮)」運営チームインタビュー
本来の良さを活かし、オンラインゲームとしての完成度を高めた再出発
株式会社ハンビットユビキタスエンターテインメントは、Windows用オンラインアクションRPG「HELLGATE(仮)」の評価・改善テスト(クローズドαテスト)を2010年6月11日に開始する予定だ。このテストは300名という限られた人数で行ない、日本展開に向けたゲーム性などを検討していくという。
「HELLGATE」は、韓国HanbitSoftが、2008年にFlagship Studiosからライセンスを獲得した「HELLGATE:London」の後継作で、現在韓国では「HELLGATE: Resurrection」を経て、「HELLGATE: Tokyo」としてサービスを展開している。今回の評価・改善テストを経て、日本向け正式サービスしていく予定だ。
日本でHUEがサービスする「HELLGATE」はオンラインゲームとして完成度を上げ、さらに日本に向けたローカライズを積極的に行なっていくという。今回は、HUE CEOのYoo Ra Kim氏と本作のプロデューサーを務めるオンライン事業本部オンライン事業1部部長中尾圭吾氏に話を聞いた。最新スクリーンショットと共にお伝えしたい。
■ 不満点を解消し、オンライン専用コンテンツとして再登場、韓国とも違う日本独自仕様に
「HELLGATE」のプロデューサーを務めるHUEオンライン事業本部オンライン事業1部部長中尾圭吾氏 |
日本ユーザーの好みを意識したキャラクターの顔パターン。多彩なパターンが選択できる |
最初に、「HELLGATE:London」について説明したい。「HELLGATE:London」は「DIABLO」シリーズに携わったスタッフが所属するFlagship Studiosが開発した3DアクションRPGで、北米では2007年10月、日本では2008年7月にパッケージとして販売された。
コアゲーマーから大きな期待を受けて発売された「HELLGATE:London」は、世界観やゲーム性などで評価は受けた一方、ボリューム不足、いくつものバグといった部分で批判を受けた。オンラインゲームとして欧米・東アジア地域にて展開したが日本は北米サーバーへ接続する形となり、サービス開始当初は取引やパーティーマッチングシステムの不備もあり、東アジア地域での人気は伸び悩んだ形となった。その後、修正は続けられたものの日本や欧米でのオンラインサービスは2009年1月で終了した。
一方、韓国では2009年12月よりT3 Entertainmentが開発を引き継ぐ形で、基本プレイ無料オンラインゲームとしての機能を強化した「HELLGATE: Resurrection」を展開、2010年4月にはアジア各国、特に日本市場を強く意識し、「HELLGATE: Tokyo」へとバージョンアップを果たした。こうした流れのなか、今回の評価・改善テストは日本展開に向けての第一歩となる。
中尾氏は日本で展開する「HELLGATE」は日本のユーザーを強く意識した作品にしながら、オリジナルの良かった部分はきちんと残していくと語る。キャラクターのデザインに関しては比較的目の大きな、柔らかいラインのデザインを取り入れ、オリジナルのきつめなキャラクターも用意していく。全体的に“幅”を持たせたデザインにしていくという。
ゲームの基本的な感触は俗に「ハックアンドスラッシュ」と呼ばれる戦闘を重視したゲーム性を「HELLGATE」でも継承していく。敵との戦いの感触、爽快感を受け継ぎ、さらに発展したものを目指す。ストーリーに関しては、評価テストのバージョンで入れられるかは未定だが、新しく練り込み、より世界観にマッチしたローカライズを行なったストーリーが展開する。また、以前パッケージ版として発売された「HELLGATE:London 完全日本語版」では声優による吹き替えの音声が収録されていたが、「HELLGATE」では新キャストによる台詞が収録される予定だ。
「HELLGATE」はオンラインでのプレイのみとなる。オンライン要素としてはMO的な楽しさを目指しているという。MMO的な集団戦、大規模戦ではなく、少数の仲間達との協力プレイの面白さをアピールしていく予定だ。「HELLGATE」ではいつでもパーティー募集が可能で、簡単にパーティープレイが可能となっている。また、パーティープレイによるメリットも強調していくが、前作同様、ソロプレイを好むユーザーへの配慮も欠かさないという。
「HELLGATE:London」では日本のプレーヤーは北米サーバーに繋いでいたが、「HELLGATE」では日本の国内に設置された、日本の独立したサーバーになる。また、オークションシステムが実装され、手に入れたアイテムをスムーズに取引できるようになっている。またPvP要素など様々な方向性のコンテンツを追加していく予定だ。
中尾氏は「HELLGATE」は基本となるゲーム性はそのまま、“よりプレイしやすく、完成度を上げ上げる。”という点を特に強調する。ユーザーから指摘のあったバグや不具合、パーティープレイのハードルの高さ、足りなかった機能など「HELLGATE:London」に対してユーザーが求めていた修正、追加要望や、ゲームバランスの改善などを果たした、完全版といえるものが「HELLGATE」だという。一方、歯ごたえのある難易度や、凝ったゲーム性、コアプレーヤーをピックアップしていく施策など、中尾氏は様々な施策も考案中だ。
現段階の「HELLGATE」での基本的なゲーム展開は「HELLGATE:London」に準じたものとなっている。注目の新マップ「HELLGATE: Tokyo」は、「HELLGATE:London」に続くものということで、高レベルプレーヤー向けマップになる予定だという。ただし、日本オリジナル要素、日本専用アバターなど、日本でサービスするための要素の充実は行なっていき、ゲームを始めた時から楽しめる要素は増やしていくようだ。
評価・改善テストでは「HELLGATE:London」をプレイしたことのあるユーザーだけではなく、ゲーム全般に興味のあるコアユーザーの参加を募っている。全く新しいオンラインゲームとして、ビジュアルや操作感はもちろん、ゲーム性に対する忌憚なき意見が欲しいと中尾氏は語る。評価・改善テストに先立ち、メッセージを日本語化したクライアントが用意され、数カ月前からHUEスタッフ達による検討、改善が行なわれ、それらの意見によってブラッシュアップが図られているが、今回のテストでは、どこをどう直したといった情報や、先入観ではなく、テスターにはゲームの核となる要素を評価してもらいたいとのことだ。
「テスターの皆さんから、本当にどんな意見でももらいたいと思います。300名という人数は少ないかもしれませんが、だからこそゲームに対しての真摯な想いをぶつけて欲しいですし、どんな意見が来るか期待してます」と中尾氏は語る。新しくスタートする「HELLGATE」の展開に注目したい。
キャラクター選択画面。日本のユーザーを意識したデザインを取り入れながら、オリジナルの欧米センスもきちんと活かしていく | ||
冒頭は「HELLGATE:London」に準じたものになる、が様々なところが改良されていると中尾氏は語る。名称やメッセージは仮のもので、今後改良されていく | ||
中央はパーティー募集システム、右がオークションシステム。オンラインゲームとしての基本的な機能がきちんと実装されている |
■ HUE CEOのYoo Ra Kim氏が語るこれからの「HELLGATE」
HUE CEOのYoo Ra Kim氏。「HELLGATE」は特に力を入れて進めているプロジェクトだという |
続いて「HELLGATE」のHUEとしての取り組みを語ってくれたのはHUEのCEOを務めるYoo Ra Kim氏だ。Kim氏は韓国HanbitSoftの事業取締役も務めている。韓国での「HELLGATE:Resurrection」での展開の手応えについては、「2年近くアップデートが止まっていたタイトルを再始動させるのは難しいのですが、開発をT3 Entertainmentで引き受け、リニューアルすることで韓国のユーザーの高い評価を得ることができました」とこれまでを振り返った。
「競争の激しい韓国市場ではリニューアルで評価を得るというのは難しいのですが、基本をしっかりさせることで『すごいゲームだ』と、本作が持っていたポテンシャルを改めて認識してもらいました。私としては、この優れたポテンシャルを持つ『HELLGATE』はHUEにとってこれまで展開しているタイトルとはまた違ったジャンルのゲームとして、必要な作品だと考えました」とKim氏は語った。
しかしその上でKim氏は韓国で展開している「HELLGATE:Resurrection」ではHUEの中心になるタイトルとしてはまだ足りないものがあると考えたという。そこで提案したのが「HELLGATE:Tokyo」というアップデートプランだ。これからHanbitsoftが「HELLGATE」を東アジア地域で展開する上で、多くの人がイメージを持っている「東京」という新しい舞台を用意し、さらに日本のユーザーの意見を取り入れた形で作っていく。今後、東アジアで展開していく「HELLGATE」は日本でのサービスを行なうバージョンがひな形になっていくとのことだ。
HanbitSoft の期待に応え、HUEとしても、経験豊富なスタッフによるチームが準備を進めている。開発チームとの打ち合わせをも綿密に行なっており、先日もT3 Entertainmentの開発スタッフ達を日本に招き、4日間議論を重ねたという。今回の評価・改善テストでの反響、結果を活かし、日本向けのバージョンを別途開発していくという。
T3 Entertainmentが開発を引き受けたことで、オンラインゲームとしての完成度を上げていくことはもちろん、HUEによる日本ユーザーに向けてのカルチャライズが成功の鍵だとKim氏は考えている。既に取り組んでいるアプローチの1つが日本ユーザーにも受け入れられる、かわいらしさを感じるキャラクターモデルだ。
一方、新たなコンテンツ、マップデザインとして取り入れるのが「HELLGATE: Tokyo」だ。韓国では4月に実装しており、今後日本の様々な都市をモデルに追加していく予定だ。「日本の名前が付いたマップは、日本のユーザーさんには『私ここ知ってる! 見たことある!』といった感想を持ってもらえるように作っていきます。そうすることでユーザーの思い入れが深くなってくると思います。東京の観光案内的な要素も持たせることで、東アジア地域のユーザーさんにも喜んでもらいたいと思います」とKim氏は語った。
「日本といえば、“桜”ですよね。『HELLGATE: Tokyo』では桜が咲き、ロンドンの暗い地下鉄とは違った景色が広がっています。桜が咲き美しいフィールドにゾンビが闊歩しているギャップなども楽しんでください」とKim氏は新要素をアピールする。開発者の中には日本に留学経験があったり、日本が好きな、詳しいスタッフもいるとのことだ。現在は明かせないが、様々な施策も予定しているという。
「『HELLGATE:London』はゲームとして素晴らしい可能性を持っていましたが、続けること、遊び続けることを考えて作れていなかったと思います。T3 Entertainmentが開発を引き継ぐことで、何年もプレイできるゲームに生まれ変わりました。『HELLGATE』は3~5人でMOとして楽しめるゲームです。MMOではなく、友達と数人で楽しめる、コンシューマーゲームに近い感触で楽しめるタイトルとして、HUEとしても新しい挑戦として運営していきたいです」。
最後にKim氏はユーザーへのメッセージとして「本作を初めて遊ぶ人には、魅力的なゲーム性を体験していただきたいですし、数年前から『HELLGATE:London』をプレイしていただいたユーザーの方にとっては、より完成度の上がった本作を改めて楽しんで欲しいです。HUEとしての運営経験とスタッフの熱意により、ユーザーさんの意見を積極的に取り入れて一緒に成長していきたいと思います。日本発のオリジナルタイトルというくらいの気持ちで、皆さんの声を反映できるゲームにしていきます」と語った。
スキルのバランスやインターフェイスなど含めて、テストでは様々な意見を求めていくという | ||
多数の敵を相手に、スキルを駆使し戦う。派手で激しい戦闘は本作の大きなセールスポイントだ。本作の持つポテンシャルを活かしながら、よりプレイしやすく、受け入れやすいゲーム性というのはどういったものになるか、注目していきたい |
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Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.
(2010年 5月 28日)