「カウンターストライクオンライン」開発・運営スタッフインタビュー
8月12日の正式サービスにて、話題の「ゾンビモード」を実装!
サービスの現状とこれからを聞く

7月29日収録



7月14日にプリオープンサービスを開始した「CSO」。正式サービスに向けて大きな変化が待っている

 株式会社ネクソンは、同社にとって始めてのオンラインFPSとなる「カウンターストライクオンライン(CSO)」のプレオープンサービスを7月15日より展開している。現在のところ韓国・台湾・中国で先行サービスされている内容のうち、一部を提供している状況だが、正式サービスの開始を8月12日に控え、これから大きな変化が待っている。

 「CSO」は、基本料金無料でプレイできるオンラインサービスとしては後発に位置するタイトルだが、この種のチーム戦FPSにおける元祖である米Valveの「Counter-Strike」をそのままベースとしているため、長年FPSをプレイしているベテランプレーヤーから強い関心を持たれている。その一方、オーソドックスなゲームモードだけを提供しているプレオープンサービスの時点では、既存のオンラインFPSファンに対して、その魅力を充分にアピールできていないのも事実だ。

 正式サービスの開始に向けて鍵となるのは、いかに多くの新規プレーヤーに遊んでもらうか、という点になるだろう。先行してサービスされた韓国では、新ゲームモード「ゾンビモード」の導入によって、他のオンラインFPSとの差別化に成功し、一転して大きな人気を獲得している。日本でも同様の戦略が機能するだろうか。あるいは日本独自のゲーム内容が提供されることもあるのだろうか。

 このあたりの関心事を中心に、今回、東京・中央区にあるネクソンのオフィスを訪ね、開発および運営スタッフに対するインタビューを行なった。インタビューに答えてくれたのは、本作のマーケティングを担当する島嵜直樹氏、運営を担当する八木沢彰彦氏、そして韓国NEXONで開発を担当するパク・キョンミン氏と、企画を担当するチョ・デファン氏だ。

 およそ1時間に及んだインタビューでは、ゾンビモードの特徴に始まり、サービスの現状、そして日韓の連携体制や今後予定されている展開など、様々なテーマでお話を伺った。その内容から、正式サービス開始を契機に「CSO」の風景は大きく様変わりする、ということが言えそうだ。



■ 8月12日の正式サービスと同時に「ゾンビモード」を導入!
 各国で大人気の「ゾンビモード」とはどんなゲームなのか?

「CSO」に携わる、日韓両国のスタッフ4名にお話を伺った
国内のマーケティングを担当する島嵜直樹氏
国内サービスの運営を担当する八木沢彰彦氏
ゾンビのイメージ画。ゾンビはアサルトライフルを空になるまで撃ち続けても倒せないほどの圧倒的な体力がある

──: まずは、「CSO」の現状について教えてください。

ネクソン マーケティング2チーム 島嵜直樹氏: 7月15日からプレオープンという形で、一部のアイテム課金をスタートしました。ユニークユーザー等々は、おかげさまで順調に伸びている状態となっております。今日もアップデートをいたしまして、マップが追加されますし、8月5日にもアップデートを控えております。そしてその後、8月12日に正式サービスに移行いたします。そこで入ってくるのが、待望の「ゾンビモード」です。

──:まず確認しておきたいのですが、プレオープンサービスが始まってから数日間、たぶん海外プレーヤーだと思いますが、ゲーム内で不正な武器を使って場を荒らしまわっているという風景が見られました。これについてはどういった対応を取られたのでしょうか?

ネクソン ゲーム運用3チーム 八木沢彰彦氏: それについては、発覚してからすぐに開発のほうに連絡をとりまして、サーバー側のアップデートによってそれができないように対処しました。

──: 現状、および正式サービス以後も、そういった不正はできない、というふうに期待していいでしょうか。

八木沢氏: はい。大丈夫です。

──: それを聞いて安心しました。では、正式サービス開始と同時に始まる「ゾンビモード」について解説をお願いしたいと思います。私はまだ実際にプレイしたことはないんですが、韓国でプレイされている状況については聞いておりまして、とにかく大人気のモードだというふうに伝えられていますね。

島嵜氏: はい。ゾンビモードは、最初は全員が人間の状態でスタートします。最大32人が1つのルームに入れるのですが、ゲームスタートと同時に10カウントダウンが始まり、それが終わった時点で、ランダムに誰かがゾンビになります。そこからが本当のゲームスタートです。

 人間側はゾンビを倒すか、制限時間まで逃げるという遊び方になります。ゾンビは、人間側を全員ゾンビにすれば勝ちです。ゾンビに攻撃された人間は即ゾンビになりますので、今まで味方だった人間が敵に変わるわけです。

──: ゾンビはかなり強力な能力を持っているんですよね。

島嵜氏: はい。攻撃方法としては「ひっかく」ことしかできないのですが、そのぶんヒットポイントが異常に高くなっています。だからなかなか死なないですね。そして自分がゾンビにされてしまったら、今度はゾンビチームの勝利を目指して人間を攻撃しにいくと、そういうゲームの流れになっています。

 要は普通は倒されてしまった時点でゲームが終わってしまうところを、ゾンビモードではやられてしまっても改めてゾンビ側としてプレイできるわけです。このあたり、FPSに不慣れで、技術があまり高くない初心者の方でも長くゲームが楽しめる、という部分が、このゾンビモードの特徴になっています。

──: ゾンビとしてプレイしている最中に倒されてしまった場合は、観戦状態になるんですか?

島嵜氏: それは、さすがにそうですね。ゾンビ側で倒された場合は終わってしまいます。ただ、早々倒されることはないですね。本当に異常なほどのヒットポイントが設定されていますので。

──: そのお話を聞くと、「なかなか人間側が勝てないのでは」という風に思えるのですが、そのあたりのバランスはいかがでしょう。

島嵜氏: そうですね、これがわりと人間側も勝てる内容になっているのですが、詳しくはNEXONで本作の開発を進めておりますパクさん、チョさんへご質問をいただければと思います。

──: わかりました。ひとまず国内の状況に目を向けますと、正式サービスではこのゾンビモードの導入が目玉になるということですね。その際には、ゾンビモード専用のマップなども導入されるのでしょうか。

八木沢氏: はい。新しいマップも導入されます。ですが専用というわけではなく、マップによって「ゾンビモードができます、デスマッチができます、オリジナルができます」というふうにそれぞれ設定されていますので、大抵は複数のゲームモードで使えるようになっています。

──: また、ゾンビモード専用の強力な武器、例えば超ロングマガジンのマシンガンですとか、50口径のハンドガン両手持ちのようなものも同時に導入されると期待してよいですか?

島嵜氏: はい、もちろん導入いたします。また、アップデートの度に新しい武器を随時ご提供していく予定です。

──: 韓国ではこのゾンビモードに大きなアップデートが何度も加えられて、導入当初とはかなり違ったものになってきていますが、日本で8月12日の正式サービス開始の際に導入されるバージョンは、どのようなものになりますか。

島嵜氏: 最新ではないですね。ゾンビモードに関しては、韓国ではいくつかのサブモードが追加されたりしているんですけれども、日本ではまず、いちばん最初の基本的なゾンビモードから入れていきます。

【ゾンビモード プレイ映像】
ゾンビは人間キャラクターを遥かに超える体力を誇り、アサルトライフルをマガジンが空になるまで的中させても倒せないほどだ。近づいて「ひっかく」ことにより人間をゾンビに変え、全ての人間をゾンビにしてしまえばゾンビチームの勝利ということになる


■ 「CSO」の同時接続数は韓国で5万人、台湾で7万人、中国で40万人!
 その人気を支えるスタッフの開発姿勢を聞く

韓国NEXONで「CSO」の開発を担当するパク・キョンミン氏
同じく韓国NEXONで「CSO」の企画全般を担当するチョ・デファン氏

──: 続いて、韓国で開発を担当している2人にお話を伺いたいと思います。まず、パク・ギョンミンさんと、チョ・デファンさんのそれぞれのご担当について教えてください。

NEXON 開発1本部開発4室室長 パク・キョンミン氏: 開発の責任者として本作に携わらせて頂いています、パクと申します。

NEXON  開発1本部開発4室CSOチーム企画パート長 チョ・デファン氏: 企画全般を担当しておりますチョと申します。

──: 開発は、韓国NEXONのオフィスで進められているとのことですが、開発チームの規模、構成について簡単に教えていただけますか。

パク氏: 開発チームは20名ほどで、課金ですとか、海外展開のサポートといった運用チームが10名程となっております。

──: 日本との連携体制についてはいかがでしょうか。日本から独自の企画や、要望が伝えられえることはありますか?

八木沢氏: 基本的には、韓国NEXONには開発担当の方と、海外事業支援チームというのがありまして、その海外事業支援チームが国際的な窓口になっています。日本側としては、私が所属している「CSO」の運用担当が窓口となって、韓国の海外事業支援チームを通じて開発と連携するといった形になっています。

──: 具体的に、日本側からの企画・要望などがあって、それが実現されたようなケースは既にありますか?

八木沢氏: 現時点では、ゲーム内のポイントや経験値の設定を「どうしましょう、こうしましょう」という話であったり、「こういうマップを入れたほうがいい」といったことが主ですね。見た目的に大きな部分はまだないのですが、今のところは細かい部分で調整をお願いしている部分が多いです。

──: 基本的には、韓国でサービスされている内容をそのまま日本に持ってくる、ということではなく、日本側の要望も組み込まれているという風に考えて良いですか?

パク氏: ええ、現地の状況に合わせる必要があるので、ゲーム内容、アイテムの販売方式などは、日本の現状に合わせて進めていく必要があると思います。そのため今後も、開発の内容も日本ユーザーの反応を見て合わせていきたいと考えています。

先行サービスされている各国で大人気のゾンビモード。中国ではなんと40万人が「CSO」に同時接続しているという

──: なるほど。それではさっそく韓国で大人気といわれるゾンビモードについて詳しくお話を聞きたいと思います。現時点では、韓国でサービスされている最新のゾンビモードの内容について教えてください。

パク氏: 最新のものではまずゾンビの種類がいろいろと増えています。例えば自分の姿を隠せるゾンビですとか、ヒットポイントが他のゾンビより高いものですとか、他のゾンビを治療できるゾンビなんかもあります。

 また、ゾンビモードのゲーム内で「補給箱」というものが支給されることがあるんですが、そこから良い武器や、そこでしか手に入らないような強い武器が出現することがあります。また人間キャラのジャンプ力を高めるアイテムなどもあって、いくつか有料で提供しています。

──: そのゾンビモードは、韓国の「CSO」のサービスがブレイクする重要なきっかけになったと聞いています。実際のところ、現状でどれくらいのユーザーが「CSO」を遊んでいるのでしょうか?

パク氏: ゾンビモードの導入前と比べると、まずユーザー数がものすごく増えました。最大同時接続数ですと、韓国で5万人に達しています。台湾では7万人から8万人、中国ですと40万人を超えるくらいです。

──: 40万人! 中国はホント凄いですね(笑)。ユニークユーザー数でいうと、1,000万人くらいの数字になりそうですが、それだけゾンビモードという全く新しい遊び方が強く支持されているということですね。そこで気になるのが、では「Counter-Strike」本来の遊び方であるオリジナルルールを楽しむお客さんも増えたのか、ということなのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

パク氏: 確かに、ゾンビモードによって非常に多くの新規ユーザーを獲得できましたし、それをきっかけとしてチームデスマッチや、オリジナルルールを楽しむユーザーの方も増えました。

──: レガシーな「Counter-Strike」の遊び方としては、やはりシリアスなクラン戦だと思いますが、それについては?

チョ氏: クラン戦もたくさんプレイされていると思いますが、全体の規模からすれば、まだまだ多いとはいえませんね。ただ、クラン戦を楽しんでいるユーザーさんは継続的にプレイされているのが特徴だと思います。現状ではゾンビモードに機能が偏っている部分が強いため、クラン戦についてはまだまだ支援機能が足りない部分もありますので、今後はそういった部分にも力を注いでいきたいと考えています。

 例えば、クラン戦はだいたい5対5でやるのですが、現状ではルーム内のチャットで「5人集まった?」、「集まった、go go go」という感じで手動でやっているのですが、そういった部分をきちんと機能化して、便利に使えるようサポートしていきたいです。

──: なるほど、これまではゾンビモードの開発にリソースをかけてきたため、クラン戦については、これから機能を拡充していきたいと。

パク氏: そうですね。もちろん全くサポートしてこなかったわけではないのですが、やはりゾンビモードが入ってから、なかなか進められない部分もあったため、現在では6カ月分くらいの「やること」が溜まっている状態です。

チョ氏: そのための企画書が、もう1年半前から積んであります(一同笑)。なので、そこについてはこれから重点的にやっていきたいと思います。

──: なるほど。ひとつ基本的な話を伺いたいと思いますが、いわゆる「オンラインゲーム」ではユーザーをどのように「惹きつけ続ける」か、ということが普遍的な課題だと思います。「CSO」では、どのあたりがそのポイントになるのでしょうか。

チョ氏: まず「Counter-Strike」由来のゲーム性が基本にあると思いますし、良質なマップがたくさんあることが、長くプレイするための魅力のひとつになっていると思います。また、オリジナルで開発した武器を含め、多種多様な武器がありますので、それも魅力のひとつだと思います。

 マップに関しては、他のゲームに比べて非常にクオリティが高いと考えています。やはり「Counter-Strike」の時代からユーザーたちの中で人気だったものが選ばれていますので、非常に面白いマップになっていると思います。

2000年ごろから続く「Counter-Strike」コミュニティに揉まれて生き残ってきたマップは、ことごとく良質なものが揃っている。現在プレオープンサービス中の「CSO」でも順次導入され、オリジナルルールを中心に楽しまれている


■ 「Counter-Strike」の人気を支えたコミュニティのユーザーフィードバック
 日本ユーザーの動向によっては、新モードの実装もありうる!

オリジナルマップの製作方針について語るパク氏とチョ氏
ネクソンオリジナルのマップは、どちらかというとデスマッチ向きの手狭なものが多い

──: マップのお話が出たのでお伺いしたいのですが、新規マップの開発は基本的に韓国で行なっていると考えていいですか?

パク氏: はい、そうです。

──: いわゆるベテランの「Counter-Strike」プレーヤーにとっては、元からあったマップが非常にプレイしやすい反面、NEXONさんオリジナルのマップには多少の違和感がある、というのが私の感じているところです。おそらく、マップの遊ばれ方として設定している前提の違いがあるのではと思うのですが、そのあたりを含め、どのようにオリジナルマップの開発を進めているかを教えてください。

チョ氏: 元々の「Counter-Strike」のマップは、おっしゃる通りものすごく優れていると思いますし、確かに既存のユーザーには遊びやすいと思います。ですが新規のユーザーさんには、マップの面積が広いことなどから、プレイが難しい面があるというふうにも思います。

 そこで、NEXONで製作するマップでは、そういった初心者の方でも楽しくプレイできるように、規模が小さめのものを意識して作っています。小さくて、敵にすぐ会えるような形です。というわけで、ベテラン向けのマップは元々良いものがあるので、初心者向けを強く意識しています。

パク氏: ちなみにマップデザイナーのスタッフは、最初の頃から「Counter-Strike」のマップ製作をずっとやっている人なのですが、「このマップは広すぎるから、半分削ってよ」みたいな形で注文を出したこともあるんですよ。

──: なるほど。また「Counter-Strike」の良質なマップは、あくまでコミュニティに選ばれてきた少数のものが残ったゆえに良質であるという経緯がありますよね。「CSO」においてもユーザーフィードバックによる改良は重要なものになると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

パク氏: 韓国版のサービスでは、新しいマップを作ったらそれが公式ホームページ上にアップされますが、それに掲示板的なものがついていて、自由に意見を書けるようになっています。そこでユーザーさんのフィードバックがたくさん得られますので、その意見を参考にしつつ、次の開発に役立てるということをしています。

──: なるほど、それは良いシステムですね。それによって既存のマップがアップデートされるということもあるんですか?

チョ氏: 確かに既存のユーザーから批判的なフィードバックを頂いた場合などに、少しの修正を加えて出すこともあります。

パク氏: あと最近は、ゾンビモードで熱心にプレイするユーザーさんが増えた影響で、全体的にマップの把握が早くなっているので、これまでのように狭いマップだけでなく、複雑で広めのマップも製作するようになっています。

八木沢氏の話では、日本でのユーザーフィードバックを拾うシステムはまだまだ整備されていない印象。まずはゾンビモードに対する反応が重要なものになりそうだ
韓国ではゾンビモードのアップデートが続けられ、ゾンビと人間がひとつのチームになる「ユニオンモード」なるものも提供されているそうだ(画像は韓国版サービスのゾンビモード)

──: ただ、そのマップに対するフィードバック用の掲示板機能というのは、日本の公式サイトにはないですよね?

八木沢氏: 今はないですね。ゲーム全般に対するご意見フォームはありますが……。

──: 今後、いかがですか? そういった個別のマップなどに対するフィードバックフォームを付けるというのは。

八木沢氏: マップに関して言うと、もとが韓国で作っているものですし、韓国、中国、台湾といった各国の意見を受けて製作するものになっているので、日本のユーザーさんのご意見がそのまま反映されるか、というと難しいと思うんですよね。なのでそこは、実際やるかやらないか、よく考えてみたいと思います。

──: いちユーザーとして、是非、期待しております。ではまた韓国の話題に戻りたいと思いますが、今後韓国では、どのような方向性で「CSO」を伸ばしていきたいとお考えでしょうか。

パク氏: 最近、新しいゲームモードとして「ユニオンモード」(ゾンビ+人間の連合チームで戦うモード)を提供開始しました。そういった形で今まではゾンビモードに力を集中してきたのですが、その一方で他のモードで楽しんでくださるユーザーさんにはちょっと寂しい思いをさせてしまったかもしれません。

 ですので、今後はそういったユーザーさんを含め、全てのモードを継続的に補完していきたいと思います。それと同時にゾンビモードのアップデートもしていって、新しいモードも開発しつつ、全てにバランスのとれた開発をしていきたいと思っています。

──: 日本でサービスが始まったことによって、何か特別に意識していることはありますか?

チョ氏: 日本のユーザーのログを見ていて、BOTモードで遊ぶ人が多いと思いました。ですので、人対人というより、気楽に楽しめるようなモードが好まれるのかなと感じています。いずれにしても今後の動向を見ていかないといけませんが、現在ではそういった感触を受けています。

パク氏: ゾンビモードについては、人対人ではありますが、通常のゲームモードとは違って初心者でも気楽にプレイできる雰囲気があります。ですので、日本でも良い反応をいただけるのではないかと期待しているところです。

──: なるほど、日本でBOTを相手に遊ぶ人が多いというのは、何か新しいゲームモードのきっかけになるかもしれませんね。

チョ氏: そうですね、そこからヒントを得て、BOTを利用した長く楽しめるモードが考えられないかな、というふうに思っています。やはり開発には時間がかるので現時点ではっきりしたことは言えないのですが、開発チームではロールプレイングゲームモード的なものをやってみたいという意見が出ていまして、ちょっとしたテストもしています。

──: ほう、それは楽しみですね。

チョ氏: 日本のユーザーがたくさんきてくれて、韓国の開発スタッフが驚くくらい盛況になれば、是非実現しなくてはならないだろうなと思います。

パク氏: RPG的なモードについては、まだ詳しいことは決まっていないのではっきりとは言えないのですが、前向きに検討していきたいと思います。

ちなみに、最近行なわれたアップデートでは「Counter-Strike」由来のマップが2つ追加されるなど、ベテランプレーヤーからのフィードバックに答える形でコンテンツ拡充が行なわれているようだ。正式サービス後はゾンビモードの登場が大きなインパクトを果たすはずなので、新規プレーヤーのフィードバックがより多く反映されることになるかもしれない


■ ゾンビモードに託された「CSO」の未来。ネクソンはFPS市場そのものを広げるための施策を考える

日韓双方の意見が一致するところは、ゾンビモードが初心者でもカジュアルに楽しめるゲームモードであるということ。新規ユーザーの獲得と市場の拡大に大きな期待を寄せている

──: 最後のテーマとして、日本でのサービスの今後についてお伺いしたいと思います。プレオープンサービス開始から2週間ほどが経過したわけですが、その中でユーザーの反応はいかがでしたでしょうか。

八木沢氏: 7月15日にプレオープンを始めたところですけれども、始めた当初はクレジットとか経験値の部分で「高い」、「キツい」といった意見が集中的に出てきましたので、そこは開発のほうと話をして、少しずつ調整を進めています。あと、マップに関する意見が多いですね。現時点では「Counter-Strike」を元々やられていた方がが多いようでして、「このマップを早くやりたい」という意見が多いです。

──: なるほど。ただ、今後を考えるなら、ベテランの「Counter-Strike」プレーヤーというのは少数派にならざるを得ない部分がありますよね。

八木沢氏: 確かに、そうですね。私達が考えるところとしては、やはりゾンビモードを入れることでたくさんのユーザーさんに来ていただくということはもちろんですし、その先、いまFPSをやっていない方にも触れてもらって、「FPSってこんなに面白いんですよ」という部分を伝えたいと思っています。そうして日本のFPSユーザー数そのものを増やしていきたいと考えています。既存のFPSユーザーさんには、そこでコミュニティを引っ張る存在になっていくのかなと。

──: となると、現状プレオープンとして提供している「CSO」は、本当に準備期間であり、ゾンビモードの導入が本当のスタートであるということになるわけですね。では、ゾンビモードによってどれくらいの盛り上がりが期待できると考えていますか?

八木沢氏: ゾンビモードは、実際にやっていただくと面白さがわかるというゲームになっていますので、広告展開やプロモーションの努力によっていかに多くのユーザーさんに触ってもらえるか、というのが大きなところです。それさえできれば、本当に多くの方に楽しんでいただけるものになると考えています。

島嵜氏: 具体的な数値目標というのは申し上げられないのですが、先ほど八木沢が申し上げたとおり、「日本の市場を広げたい」ということが目標としてあります。そこでゾンビモードがアピールポイントになるということで、これを機にプロモーションを一気にかけていくつもりです。既存のFPSユーザーはもちろん、FPSという言葉を知らないという方も囲い込んでいって、今の5倍、10倍という規模を目指したいと思います。

──: そこで例えばネットカフェ連動イベントであるとか、正式サービスに向けて何か特別な施策を考えていますか?

島嵜氏: そうですね、おっしゃるとおりネットカフェ関連では、先日まで行なっていたクローズドベータの段階でも、「ネットカフェにいけば落選した方でも遊べる」という施策をやっていました。このような対人戦のゲームでは人の目にみえる場というのがとても大事だと思いますので、当然これからもしっかりやっていきたいと思います。例えば店舗単位、店舗間のイベント等々、私達が力添えをできる部分では全面的に支援していきたいです。

──: なるほど、わかりました。「ゾンビモード」のその後の計画も気になるのですが、例えば、ゲーム内容について、何か日本独自で考えている企画はありますか? 

八木沢氏: 運用メンバー間では「こういうのをやりたいね」というアイディアを実は練ってます。でもまだ開発には言ってないので、ここでは申し上げられないです(一同笑)。まだ詰めてる段階なので、今開発に言っちゃって「できない」と言われたら終わっちゃいますので、まあ、言えないですがあるにはあるということで(笑)。

ゾンビモードの導入によりFPS市場の拡大を期待するネクソン。「CSO」がどのようなタイトルになっていくか注目したい

──: 確かに言うタイミングが重要ですからね(笑)。今後日本独自の、面白い企画が明らかになることを期待しています。最後に、「CSO」のユーザー、あるいはこれから「CSO」をプレイする方に向けて一言ずつメッセージをお願いします。 

八木沢氏: 「CSO」は、オリジナルの「Counter-Strike」という存在がありますので、既存のユーザーの方はすぐに慣れ親しんでいただけると思いますし、8月12日に入りますゾンビモードでは、これまでFPSをやっていなかった人でも楽しめるようになります。そこでFPSに触れた人が、さらに「Counter-Strike」ならではのモードを段階的にやっていただくことで、さらにFPSの楽しさを知ってもらえたらと思います。

島嵜氏: 日本のFPS市場はまだまだ少ないと思っています。そこを広げていくためにも、本当に新しいユーザーの方にプレイしていただきたいです。潜在的なユーザーはまだまだたくさんいらっしゃると思いますので、そういった方にまずFPSというものを認知していただいて、1度でもやってみようと思える存在に「CSO」を育てていく、そのための施策を打っていきたいと思います。ぜひ、ゾンビモードをきっかけにFPSの楽しみを知っていただけたらと思います。

パク氏: FPSユーザーの方にはもちろん沢山来ていただきたいですし、FPSをやったことがない人にも、ゾンビモードというものがありますので、「CSO」を始めてのFPSとして楽しんでいただけたら幸いです。

チョ氏: 最初の「Counter-Strike」からもう10年が経ちました。若い人たちはもうオリジナルを知らない人が多いと思いますけれども、そこで逆に、昔を知っているベテランプレーヤーの方と、若い方が一緒になって、世代間交流のような感じで楽しい時間を過ごしてくれたらと思います。

──: ありがとうございました。


 今回のインタビューでは、韓国・台湾・中国に続き、ゾンビモードによって日本でも大きなユーザーベースを獲得したい、という強い期待を、全スタッフが共有していることが印象に残った。ネクソンとしては、ゾンビモードのゲーム性で勝負できるので、あとはいかにPRしていくか、というところに意識を集中しているようだ。

 また、インタビュー後、「Counter-Strike」そのものがコミュニティベースで生まれたものだけに、「CSO」はベテランプレーヤーの厳しい批判に晒されやすいのでは?という点を指摘したところ、実際に島嵜氏や八木沢氏はそれを強く感じているようだった。だが島嵜氏はそれを、他のタイトルにはない大きなチャンスであると、前向きに捉えている。

 果たして、ネクソンの狙い通り、8月12日に投入されるゾンビモードが「CSO」爆発の契機となるだろうか。そのためには、マーケティング、運営両面の地道な取り組みが必要になってくるだろう。今後「CSO」がどのようなタイトルに成長していくか、大いに注目していきたい。



(C)2009 NEXON Co., Ltd & Valve Corporation, All Rights Reserved. Valve, Counter-Strike and Counter-Strike Online are trademarks, registered trademarks, or applied trademarks of Valve Corporation.

(2009年 8月 10日)

[Reported by 佐藤カフジ]