インタビュー

「World of Tanks」9.10アップデートで日本の重戦車を実装決定!

「もし日本にティーガー戦車が届いていたら……」壮大なIFに挑む

8月5日~8月9日開催



会場:Koelnmesse

 Wargaming.netは、ケルンで開催しているヨーロッパ最大のゲームショウGamescom 2015に、PC用タンクアクションゲーム「World of Tanks(以下、『WoT』)」を出展している。

「World of Tanks」のグローバルプロダクトマネージャー、Max Chuvalov氏

 「WoT」がなぜこれほどまでに支持を集めているのか。理由の1つは、細部まで史実にこだわり、美麗なグラフィックスで再現したマニアも納得のリアルな画面作りだ。そしてもう1つは、重厚な見た目とは裏腹の簡単な操作とわかりやすいルールだろう。

 今回、「World of Tanks」のグローバルプロダクトマネージャー、Max Chuvalov氏から、次回の9.10アップデートについて話を聞くことができた。近づいている9.10アップデートの話や、「WoT」の今後について聞くことができたので、たくさんのスクリーンショットとともに紹介したい。9.10アップデートの実装時期は8月末から9月頭頃の予定だ。

「もし日本にティガー戦車が届いていたら」というIFで作られた日本の重戦車ツリー

9.9アップデートで追加された「No. VI (Tiger I)」から広がっていく、日本の重戦車ツリー

 9.10アップデート最大の目玉は、日本の重戦車ツリーの実装だ。今回追加される重戦車はどれも、実際に存在しなかったものの、戦時中に企画されていたり、開発者が構想としてメモなどを残してものがベースとなっている。設計図まで残っているものもあれば、文章の中に名前があるだけのものもある。それらの史料を元に、日本のミリタリーアドバイザーや、ベラルーシの開発スタッフがどんな姿だったのかを検討して作り上げた。

 現在、ゲーム内には7つの国の400種類以上の戦車が登場しているが、それらはすべて実際に戦場で活躍していたものや、試作機として製造されたもの、製造はされなかったが何らかの形で開発の俎上に登っていたものなどで、完全にフィクションというタンクは存在しない。Wargaming.netではリアルさに強いこだわりを持っていて、戦車や背景を作るときには史実を調査し、ゲーム的な楽しさとリアルな世界観がうまく共存できるよう苦心している。

 7月16日に実装された9.9アップデートでは、日本の新車両として「No. VI (Tiger I)」が実装された。この戦車も実在はしていないが、Gamescomに合わせて公開されたトレーラーには、大日本帝国政府がドイツからティーガー戦車を購入したが何らかのトラブルによって日本には届かなかったという事実と、もしその戦車が日本に届いていたら、ティガーをもとにした重戦車を開発していたはずだという空想を広げて、日本の重戦車ツリーが作られている。

 どういった形で登場するタンクを決めているのか質問してみた。世界中のプレーヤーからもっとも多く上がってくる要望は、やはり「自国の戦車を出して欲しい」というものだとChuvalov氏。本作には車両の強さによってTierという区切りがあり、Tier1から10までのラインナップが揃わなければ1つの技術ツリーとして成立させるのは難しい。大国なら揃うが、小さな国では数台しか開発されていないという場合も多く、単体ではツリーを作るのが難しい。そんな小国を集めたヨーロッパツリーが、8つ目の国として今後追加される予定だ。

【日本の重戦車】
Type 89
Type 91 Heavy
Type 95 Heavy
Type 95 Heavy
O-I Experimental
O-I
O-Ni
O-Ho
Type 4 Heavy
Type 4 Heavy
Type 4 Heavy
Type 5 Heavy
Type 5 Heavy

【日本の重戦車の戦闘シーン】

戦火の傷跡残るベルリンなど3つの新マップが登場

チェコスロバキアの技術ツリー

 9.10では、ベルリン、チェコスロバキア、ポーランドの3マップが新たに追加される。いずれも歴史上で有名な戦車戦があった場所だ。新車両としてチェコスロバキアとドイツの戦車も追加される。ほかにも、新たな物理演算で、戦車が岩や他の戦車などにぶつかった時の挙動がよりリアルになっている。また、スピードを出している際の方向転換がしやすくなるドリフトが可能になる。

 さらに現在は、戦車が破壊されてしまうとその戦場での戦いは終了してしまうが、リベンジがしたいという声を受けてFPSのようにリスポーンができるモードも試験的に導入される。さらに空爆や支援砲撃など特殊な戦闘モードもテストされる予定だ。これらは好評であれば正式なルールとして採用されるかもしれない。

 「WoT」タンクの世界大会「The Grand Finals」は今年も開催される。今年の春にワルシャワで決勝戦を終えた第2回リーグは、参加者が第1回の1.5倍に増えた。Wargaming.netでは、eスポーツの育成のために、3つあるリーグのうちの最上位であるゴールドシリーズの出場権を得た選手に対して、映像コンテンツやチュートリアルを作ってもらう代わりに報酬を支払うサラリーシステムを採用している。ここから自分を売り込むノウハウを提供して、プロとして羽ばたいて欲しいという意図があるのだそうだ。今後もよりパワーアップしていきたいとChuvalov氏。ルールについても、自分たちだけで作るのではなく、リーグに参加するプレーヤーやeスポーツのプロプレーヤーから技術的なアドバイスを受けて、みんなで作り上げていきたいと語ってくれた。

 Chuvalov氏に日本のファンへのメッセージを求めたところ「日本の重戦車はとても魅力的な車両となりますので、ぜひプレイしてみてください。これからも我々のゲームで楽しんでください」と語ってくれた。開発者の熱いこだわりがこもった本作。遊んでみると、見た目からは想像できない気軽さと楽しさを感じられると思うので、ミリタリー物はちょっと敷居が高いと感じている人もぜひ1度プレイしてみて欲しい。

【チェコスロバキアの戦車Skoda T 40】

【ヨーロッパ新マップ】
ベルリン
チェコスロバキア
ポーランド

(石井聡)