インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏合同インタビュー

吉田氏「我々は皆さんが想像している何十倍のお客さんを集めたい」

12月26日収録

会場:ニコファーレ

 スクウェア・エニックスは12月26日、動画配信サービス「ニコニコ動画」において、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターを務める吉田直樹氏が出演するニコニコ生放送「吉田プロデューサーと生実況! ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼアα版」をライブ放送した。

収録中の様子
タッチ操作で「FFXIV: 新生エオルゼア」を操作する吉田氏

 その詳細についてはこちらのレポートで詳しくお伝えしたとおりだが、12月27日で終了した「FFXIV: 新生エオルゼア」αテストの締めくくりとして、αテスターを巻き込む形でインスタンスダンジョンのデモや、多人数バトルが行なわれたほか、スペック別の動作状況をライブ放送し、スペック別に最適な環境で快適にゲームが楽しめることがアピールされた。

 サプライズとしては、技術デモとしてWindows 8のタッチパネルUIに対応した「FFXIV: 新生エオルゼア」α版を公開したほか、βテストを複数のフェーズに分け、「レガシーキャンペーン」適用アカウントについては全員フェイズ1から参加可能なことなどが明らかにされた。

 ライブ放送恒例の“ポロリ”としては、甲冑師や裁縫師、鍛冶師の最終装備や、ヒューラン女性、ルガディン女性、ミコッテ男性の種族装備などのイメージイラストが公開された。おまけとしてミコッテのお尻が見えそうで見えないお色気(?)イラストも公開された。アニメーションチームにお色気担当がいるという。

 イベントの途中、αテストのサーバーがダウンするなどトラブルもあり、収録は2時間にも及んだが、吉田氏は収録直後に、ぶら下がりインタビューに応じてくれたので、その模様をお届けしたい。なお、内容的には、ライブ放送での発表を踏まえてのものになっているため、ニコニコ生放送レポートおよび、βテストロードマップをご覧になった上で一読いただきたい。

【ニコニコ生放送】
6万人以上が視聴したため、かなりのメッセージが乱れ飛び、映像はかなり荒かった。ちなみに収録会場では綺麗な映像でデモプレイを見ることができた

【タッチパネルデモ】
モニターをカメラに向けてタッチパネルデモを見せようとしたところ、クライアントがログオフしていたというトラブル。その後の実演デモはかなりうまくいったようだ

【ポロリ】
ヒューラン女
ルガディン女
ミコッテ男
裁縫師
鍛冶師+ミニボム
お色気ミコッテ

【新生FFXIV αバージョンプレイデモ Part8 「インスタンスダンジョン」】
生放送でチャレンジしたインスタンスダンジョン

【「インスタンスダンジョン」スクリーンショット】

吉田直樹氏インタビュー。タッチパネル対応は参考出展、将来的には船や飛行艇内でのバトルも

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏とモーグリ
収録直前にひろゆき氏と談笑する吉田氏

――ニコニコ生放送に出演した感想を聞かせて下さい。

吉田直樹氏:単純な感想になりますが、生放送だったので正直ちょっと緊張していて、普段からプロデューサーレターライブなどでライブ放送をやっていますが、「FFXIV」のプレーヤーに向けてのものが多いので、ある程度ハプニングがあっても、それも含めてライブだと思っていただける部分が多いです。しかし、今回は、ある意味公式放送になってくるので、「FFXIV」プレーヤーだけでなく、「FFXIV」に興味のない方も見て下さるので、色々心配はありましたが、幸い非常に盛り上がって楽しかったです。ただ、サーバーがダウンした際には「落ちてるだろうこれ……」っていう焦りはありました(笑)。かつて「ドラゴンクエストバトルロード」のイベントを実施した際も、イベント実施中に大魔王がフリーズしたことがあって、あの時と同じように「うん、これは絶対落ちてる」っていう瞬間は大変でした(笑)。

――ひろゆきさんと共演していかがでしたか?

吉田氏:めちゃめちゃ楽しかったです。これから飲みにいきましょうってお誘いしたいぐらい(笑)。僕はゲーム制作に関わるようになった頃から、2ちゃんねるは見てましたが、直接お話ししたのは初めてで、「生放送でどんな反応をされるんだろう」と、どきどきしながらもすごく楽しみにしてました。前回、Windows 8の番組の中で、「FFXIV」に対して非常に的確にコメントされていたのがもの凄く印象的で、これはおもしろい話をさせていただけそうだなと、この点では誰よりも僕が楽しみにしてました。

――タッチパネル対応がおもしろかったです。これは機能として基本操作だけでなく、バトルやチャットも行なえるのですか?

吉田氏:チャットはもちろんキーボードが必要になります。タブレットオンリーでも遊べるようにしようとすると、今度はソフトウェアキーボードを付けなければならなくなるので、製品にするにはまだまだ一山二山あるだろうと思っています。ただ、Windows 8のタッチインターフェイスはかなり優秀で、意外と今回お見せしたぐらいまではすんなり実装できます。我々も描画エンジンをフレキシブルに作ったので、フルチューンナップをしなくても、意外と簡単にあそこまで動いたという感じです。僕も昨日の夜中まで、あそこまで動いているということを認識して無くて、夜中、開発ブースをうろうろしていたときに、「ああ、これいけんじゃん」と。そしたらスタッフが「もうちょっと精度があがってから見せようと思ってました」というので、「明日、これニコ生に持っていくけどいいよね?」って(笑)。

――タッチパネルに対応しようと考えたのはいつ頃からですか?

吉田氏:去年(2011年)の秋ぐらい。E3空けたあたりです。Microsoftさんだけではなくて大手メーカーさんとの様々な協業案件の中のひとつです。公表するのはもう少し先になりますが、「新生FFXIV」のローンチに向けて、いろんな話を進めています。「FFXIV」では、単純にパッケージが出るだけでなくて、いろんな連携をしながら、バズを起こしていければいいかなと考えています。これまではどちらかというと地味なPRが多いなという感じだったので、これから発売に向けて、新規のお客様向けに大きな山を作っていければと考えています。

――正式サービス開始時にはタッチパネルで「FFXIV」が遊べると考えていいですか?

吉田氏:正式サービス時はまだ遊べません。ただ、PRプロモーションの中で、店頭でタッチ操作だけでキャラメイクをしてみるということは、今後色んなメーカーさんとお話ししていく中で十分あり得ることだと思います。今の段階でフルゲームがタッチパネルで遊べるということではないですが、スペック的に追いついてきたらタッチパネルにフル対応して、家ではハイスペックPC、出張先ではノートPC、移動中はタブレットで、といったことが最終的に実現できればと考えています。

――グラフィックスオプションで「ベリーハイ」の存在を明らかにしましたが、「ベリーロー」もあるのですか?

吉田氏:先ほど“某ウルトラ本”(笑)で動かしたのは(最低必要環境の)Core 2 Duo以下のスペックのものです。ここまで、このクオリティで動いているのは驚異的かなと思っています。

(吉田氏が某ウルトラ本と呼ぶノートPCでタッチパネルデモを見せる)

 これはグラフィックスオプションの設定は最高のままのものです。ですが、これ以上下限をサポートしても、あまり意味はないと思ってますので、ベリーローを作る、というような発想はないですね。

――PC版の必要動作環境は今後も変わる可能性はありますか?

吉田氏:αテストでは、サーバーの負荷試験がメインだったので、ハイスペックPCをお持ちの方から当選させて頂いて、徐々に安定性を見て広げていきました。今後は同じように下のスペックの方にも手厚くQAをしていくつもりなので、必要とされるPCスペックは変わっていく可能性があります。ベリーハイについては調整中で、まだ上がりそうです。いずれにしても今後極端に大きく変わることはなく、αテストのスペックが目安になるのは間違いないと思いますし、下限がCore 2 Duoなのも間違いないです。一応、その下でも動くことは確認していますが、下を見出すとキリが無いので、一応そこで切っているだけです。8800GTでも動きますし、オンボードでも動かすだけならいけるでしょうね。

――アニマ廃止を発表されましたが、船や飛行艇など既存の乗り物の扱いはどうなるのですか?

吉田氏:メインストーリーの中で、世界に向けて旅立つということを入れてあるのですが、その中で船に乗ったり、飛空挺に乗ったりします。あとはテレポやファストトラベルでどんどん移動して貰うという形です。たとえば、いまグリダニアにいて、ウルダハの友人から「いまFATE(Full Active Time Event)が起きてるからすぐ来い!」となったときに「アニマがないよ!」っていうのはちょっと切ないので、そこは世界中を飛び回って遊んでもらっていいんじゃないかと思います。

 あとは船に乗る意味、飛行艇に乗る意味を、コンテンツとしてくっつけたいと思っています。飛空挺に乗ったときに空賊に襲われて、それを撃退するイベントがあっていいと思うし、船だったら、クラーケンに襲われたり、それ以外にも海のモンスターがいますので、そういうコンテンツが実装されたときに本当に船は船、飛空挺は飛空挺の意味を持つのかなと思っています。乗り物も遊びになっていなければならないということですね。一概に、1度試したから移動としての機能がなくなるかというとそうではなく、雰囲気として世界を旅するためには船や飛空挺があって、1度利用したらファストトラベルできると。その次のタイミングで、船や飛空挺にバトルコンテンツが盛り込まれるようになると思います。

――街中のほか、船や飛空挺にモンスターを出現させることはできるのですか?

吉田氏:可能です。ゾーンさえ用意すれば。「FFXIV」ではパスという概念をなくし、ナビゲーションメッシュから移動ルートを生成するという技術的な支援をもらっているので、戦わせようと思ったらどこでも可能な仕組みにはなっています。

――βテストの規模感はどれぐらいを想定していますか?

吉田氏:最終段階のフェーズ3から、全員に近いイメージ、大々的に数万人どころじゃない、グローバルで数十万まで考えている。ただ今回、データセンターが地域によってわかれます。だから、タイムゾーンによって、その地域だけ数十万ということもあるので、全体ではかなりの人数になるはずです。

――CBTとOBTの区切りはどうなりますか?

吉田氏:CBTとOBTの間には修正期間は入れようと考えています。想定外のフィードバックをいただいても、それにキッチリ対応できるだけのバッファは入れてあります。12月27日0時に公開したロードマップを見ると、まだ時間が掛かるなと思いになる方もいらっしゃると思うのですが、我々はまだスタート地点だと思っているので、今までの「FFXIV」ユーザーが満足するだけではなく、新しいユーザーに他のMMOを比較されても構わないぐらい徹底してテストをやりたいです。そしてフェーズ4をオープンβにするつもりです。

インタビュー直後に公開されたβテストロードマップ
βテストの実質的な再延期の理由と狙いについて語る吉田氏

――12月27日0時に発表するβテストロードマップの狙いについて教えて下さい。

吉田氏:βがはじまってしまえば、できるだけたくさんの人に触れていってもらうことになります。フェーズ3からは、フリーカンパニーという形でコミュニティも作っていけるようになります。もちろん早くリリースするにこしたことはないですが、どんどん作り込みながら、完成度が高まっていく様をプレイしながら味わっていただけると思います。αテストは27日で終わりますが、こんな大規模なαテストも他にないと思いますし、今後予定しているβテストも、一般的なMMORPGで実施しているような普通のβテストにはならないだろうなと思っています。

 たとえば、途中から「旧FFXIV」のキャラクターデータを使えるようになって、しかもレベル50でβテストを遊べるとか(笑)。ですので、これまでの価値観とかけ離れたβテストが行なわれていくので、ぜひプレイをしながらプレーヤーの皆さんも一緒に楽しんで、また厳しい意見もいただきながら、一緒に新生のローンチを迎えられたらなと思っています。

 昨日、αテストの中でユーザーさんに「プレイできない期間が生まれることでコミュニティが離れていく懸念についてどう考えているか?」という質問をTellで受けたので、私もTellで返したのですが、「それは痛いほどよくわかってる」と。ただ、メディアの皆さんにも話したとおり、我々は皆さんが想像している以上の何十倍のお客さんを集めることで、最大の恩返しができると思っていますので、今一時的に「FFXIV」に興味が薄くなったとしても、たくさんの人がいて、それがおもしろければ、必ず帰って来てくれると信じています。我々も早く出したいという誘惑に駆られることもありますが、やはり負けたくないので、勝てるゲームに、少なくとも戦えるゲームにしていきたいと思っています。

――生放送中はβテストスケジュールは発表しませんでしたが、どのような予定になりますか?

吉田氏:ロードマップをご覧下さいとしかいいようがないです(笑)。2月中旬です。ロードマップについては各フェーズごとに細かく説明させていただきました。各フェーズごとにどのようなことをやるのかとか、どこに注力しているのかとか、ぜひ見ていただければと考えております。

――βテストでのワールドの数は?

吉田氏:フェーズ1は5〜10ワールドを想定していて、フェーズ毎にどんどん増えていきます。上限は切っていません。プレイしたいという方がいる限り増やしていきますし、最終的な数は、βテストの上昇率をみて決めると思います。正式サービスの課金率を見て、さらに調整を加えます。「ドラゴンクエストX」とサーバーインフラを共用できるようになっているので、お互いのユーザー数を見ながら、インフラを有効活用していくつもりです。1つの会社で、これだけ巨大なMMOを複数走らせているので、そのインフラをうまく利用しない手はありません。ただ、海外のデータセンターは海外調達になるので、そこはしっかりやっていきます。

――本日の大規模バトルイベントでは、敵が表示されなかったり、消えたりしていましたが、βテスト以降ではこの仕様はどうなりますか?

吉田氏:αテスト版では、描画に対して表示優先順位が入っていません。100体までは全部生で表示するという風になっていて、サーバー負荷試験が目的のαテストではそれで問題はなかったんです。でも、ニコニコ生放送のイベントでは、キャンプ・トランキルに1,000人集まり、キャラクター数が軽く100体を超えてしまったので、表示優先順位を切ってないとああなってしまいますね。処理のアルゴリズムとしては、パーティーメンバー最優先、プレーヤーが乗っているヘイトリストを持っているモンスター、そのモンスターのリンクモンスター、最後にフリーカンパニーのメンバーなど細かく分かれています。その優先順位の仕様はすでにありますので、それがβテストには実装されます。

 βテスト以降は、お使いのPCスペックの表示限界に到達した場合、モンスターではなく、プレーヤーの数が減っていく形になります。今は100で表示制限を掛けていますが、それはメモリを心配しての話で、ハイスペックPCなら表示数を無制限にしても問題ないです。処理が重くてもカク付かないのは、表示数を100に制限しているからで、300とか500にすると、緩やかではありますが重くなります。今は100の制限を付けていますが、この制限は取り払っても問題ないと思います。

(中村聖司)