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「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

ついに現行版のサービスが終了! 2年間の総括と今後のストーリー展開を聞く


11月13日収録

スクウェア・エニックス本社



 11月11日、ついに「ファイナルファンタジーXIV」のサービスが終了した。全ワールドダウンと同時にエンディングの変わりとなる「時代の終焉」トレーラーを公開し、MMORPG史上稀に見る劇的なエピローグを迎えた。「FFXIV」のストーリーはそのまま完全新規のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のプロローグへと引き継がれ、内部的にも今後は開発ラインを一本化し、同作の正式サービスに向けて、開発を急ピッチで進めていくことになる。

今回は特別に就任直後に作成したという内部資料を見せて頂いた

 GAME Watchでは、直近で、8月のGamescomのタイミングと、10月のPS3版公開のタイミングでそれぞれインタビューを行なっているが、現行版のサービス終了に合わせて三度インタビューを敢行した。

 今回のインタビューでは、個人的に強い関心を持っていた今後のストーリー展開と、現在水面下で実施されているαテストの今後の展開について、そして2013年1月下旬以降に実施を予定しているβテスト、それ以降の展開の3点について集中的に話を伺った。

 とりわけストーリーについては、吉田氏が今回のインタビュー内で語っているように、実はGamescomのインタビューの際に、バハムートに関する質問をしたところ、吉田氏より「それだけは今は伏せてほしい」と要請され、質問そのものをカットした経緯があるのだが、今回のインタビューでその“貸し”を返して頂いた。その部分もぜひお楽しみ頂きたい。

 インタビュー前編では、主に現行版「FFXIV」のサービス終了の感想と、「時代の終焉」トレーラー、そして新生「FFXIV」のストーリーなど、主に今後のストーリー展開について話を伺い、インタビュー後編では、αテスト、βテスト、アーリーアクセス、正式サービスと、今後の新生「FFXIV」のサービススケジュールについて話を伺っている。

 なお、ゲームの表記について、11月11日にサービス終了した旧「FFXIV」を“現行「FFXIV」”、これからサービスがスタートする「FFXIV: 新生エオルゼア」を“新生「FFXIV」”と表記している。


■ 現行「FFXIV」を終えた感想について。吉田氏「正直、ホッとしている」

「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏
2010年12月10日に電撃発表された開発体制の変更
その10カ月後の2011年10月に発表した「新生ファイナルファンタジーXIV」

――11月11日に現行「FFXIV」のサービスが終わって、「時代の終焉」トレーラーが公開され、いよいよ「FFXIV: 新生エオルゼア」の物語が動き出したという印象を受けました。今日のインタビューでは、そのストーリーについて伺っていきたいのと、後は現在水面下で行なわれているαテストについて。それから11月11日のプロデューサーレターLIVEで、実施の延期を発表されたβテストと、それ以降の話について、大きく分けてこの3つについて質問させていただきたいと思います。まずは現行「FFXIV」のサービス、「2年間お疲れ様でした」と言っていいのかどうかわかりませんが、サービスを終えた感想から聞かせて下さい。

吉田直樹氏(以下、吉田氏): 正直言うと、やっぱりホッとしているというのが僕個人の感想です。2010年12月10日に体制変更を発表しましたが、実際に引き受けたのはその2週間前。チーム全体会をやって、今日から僕が担当することになったのでよろしく、と、大部分のスタッフが基本的に「初めまして」という状態でしたので、対外的な発表の前に、自己紹介から始まり、まずは彼らの士気を確認するところからのスタートです。「では、これからどのように進めていくか」という方針も必要で、ようやく席に座って当時の現行「FFXIV」を触り始めたら「うーん、どうしようかな……」という状態でした(苦笑)。

 まず、サービスを絶対に止めはしないということが1つ。後は冷静に調査をして現行「FFXIV」のままアップデートを続けることで、なんとか軌道修正可能なのか? その後にもう1回PRかけ直す形で再スタート可能なのか? 実際にクライアントを触りながら確認していました。テクノロジー周りを調査しながら、年末も不眠不休で仕事をして、とにかく12月末くらいはアドレナリン全開、ずっとハイテンションで作業していた記憶があります。

 そもそもプロデューサーとディレクターを1人でやることが、通常ではあり得ない状態で、現行「FFXIV」のプロデューサーとディレクターをやりつつ、新生「FFXIV」のプロデューサーもディレクターもやりつつ、ゲームデザイナーとしても新生「FFXIV」の全ゲームシステムの立案。例えば描画の設計自体もそうですし、やることが多かったです、本当に。MMORPGとしての最低限のゲームデザインが、現行「FFXIV」でどこまで実現できるか、まったくできない部分はアレンジして別の形として入れ込まないといけない。ひたすら突っ走ってきたので、どうやってここまで来たのか、よく覚えてないところもあります(笑)。というわけで「感想は?」と聞かれれば、やはり「ホッとしました」ですね。

 また、今日はちょっと特別ですが、中村さんにはバハムートに関する情報を待っていただいたので、僕が2011年2月18日に開発チームに公開したロードマップと、今回公開したトレーラーの僕が書いた文字コンテがあるので、それをちょっと後ほどサービスでお見せします。

――わかりました。まさに無我夢中の2年間って感じでしたね。

吉田氏: そうですね。今回の仕事量や決断の速度は、自分の能力の限界を超えているとは思うのですが、限界突破までやった気はします。仕事でこれ以上のパフォーマンスはもう一生出せないと思います。

――点数でつけると何点くらい付けられそうですか?

吉田氏: うーん、わからないですね。受け取り方は、自分自身、お客様、スタッフという観点の違いで、いっぱいあると思うんです。最終日なんかはサーバー落ちまくりで、じゃああれが100点かと言われるともちろんそんなことはないんです。「そこは皆さんで評価してください」という型どおりの言葉も面白くないのかな。僕としては、僕個人の能力でいったら、フルに出し切ったという意味で100点だと思います。ミスをした部分は反省して修正できますので、今後の糧とさせていただくとして、振り返ってみて「じゃあ、これ以上、自分の能力で何ができたんだろう?」という想いもありますので。

――現行「FFXIV」最終日はログイン障害が頻発したということですが、実際どのような状況だったのですか?

吉田氏: 正直いうとサーバーダウンは予想できていました。11月1日の最終セーブ以降のログイン人数というのは、海外も含めて全時間帯ちゃんと追っていて、最後の3日間はウェルカムバックも含め、だいたいどのくらいの人が来るのかもだいたい予測はしていて、実際にはいろんな裏技を使ってサーバーパフォーマンスを無理やり上げたり、サーバーチームも全運営チームも、全グローバルチームも24時間態勢で対応してはいたのですが。おそらく、それでも落ちるだろうなと思っていました。意図としては今回の最後のトレーラーは、できるだけ同じ時間帯に、みんなで見て欲しかったというところが強かったです。ログイン障害は、本当に申し訳なかったと思っています。

――ちなみに現行「FFXIV」は終了して、もはや現行とは言えないわけですけど、今後何と呼んでいくのですか?

吉田氏: 僕は、現在のプレーヤーの方は「現行」とか「旧XIV」でいいんじゃないかなと。もしくは「ファイナルファンタジーXIV-0」とか「FFXIV序章」、「レガシーXIV」とかでもぜんぜんいいと思うんです。

――こう呼んで欲しいという公式な呼び方はないんですね。

吉田氏: 今のところ何も想定してなかったですね。ただ、新規の方は別になにも気にしなくても良いですし、まさしく全員が同じスタートラインなので。

――ストーリー的にはどういう呼び方をするんですか?

吉田氏: 「第七霊災編」ですね。例えば新しくRPGを発売しますと言うときに、「FF1」だとかつて「闇の時代があり、4人の戦士たちが闇を振り払い、のちに彼らは光の戦士と呼ばれるようになった」という伝承があってゲームが始まるじゃないですか。あの部分が「第七霊災」です。だから新生「FFXIV」から始める方は、へーそういう前日譚があっての世界なんだねという。そこがリアルに、確かに2年間存在します。それがなかったら新生「FFXIV」は存在しませんので。ただ、新生「FFXIV」から見れば本当にプロローグという形に、僕らはそう認識して作っています。

――吉田さんにとって現行「FFXIV」はどういう存在だったのですか?

吉田氏: うーん、難しいですね。僕がもともと学生時代悪い子だったからかもしれないですが、“不良少年を預かった”って感じがしますね。なかなか更生してくれないんだけど、そうなった生い立ちもわかるし……。なにも、そう育ちたくて育ったわけじゃない。親たちもそう育てたかったわけじゃないというのがあって。感情移入しちゃっているところはあります。だからなんとかしたい!と思ったのもそうです。やっぱりそれを精一杯楽しもうとしてくださったお客様があんないらっしゃったので、「FFXIV」にとって本当に幸せだったと思います。

――実際、終わる時に「さみしい」と言っていたユーザーは結構いましたよね。

吉田氏: そうですね。それが人間ほぼ毎日ログインして、どんなに外からとやかく言われようとも、中に行けば仲間がいて一緒に戦う敵がいて、それがファイナルファンタジーに登場してくる敵であればなおさらですよね。世界がもう崩壊するって予告されてる中で、最大限楽しんでくれたお客様なので、その崩壊に向かって戦うというところで、最近のゲームでは珍しくロールプレイしていただいたんじゃないかなという気はします。

――先日のプロデューサーレターLIVEでも質問が出ていましたが、現行「FFXIV」はもう2度とプレイできないんですか?

吉田氏: セーブせずにワールドは開けますが、セーブはしませんので、プレイという意味ではできないです。

――例えば、タイムトラベルみたいな形で、第七霊災前の世界に行って敵を倒すことで未来を変えるみたいなことはシステム的に可能ですが、そういう形でもありえない?

吉田氏: うーん、わからないですね。たとえば、新生「FFXIV」運営8年目に「あの時のバハムート戦に乗り込め!」みたいなコンテンツを作らないとは言わないですし、現時点で道を狭めることは言いたくないです。僕は面白ければ何だっていいだろうと思っているので。

 ただ、もう2度と味わえない結末をMMOでと、最初に僕はそう謳ってこの第七霊災を始めたので「なんだ後からでも体験できるじゃん!」というのも違うと思うんですよね。もう2度とないって思うし、終わってしまった……と思うからこそ、泣いていただけている方もいると思うので、興ざめさせてはダメだと思うんです。僕もちょっと感傷的になっていますが、例えば「FFVII」のエアリスは生を全うするからこそ、良いんだと思います。

――コンテンツ的な部分で新生にも引き継いでいくものは、蛮神クエストのみですか?

吉田氏: 惑星ハイデリンの物語である「FFXIV」の中で召喚獣というのはそもそも本体が召喚の世界に、エーテルワールドにいるので、現世に召喚されるときって受肉をして、要はクリスタルの力を大量に使って召喚される存在で、倒しても倒しきれない存在です。第七霊災があって、しばらく平和な時代だったのに、また登場というシーンが出てはきますね。ストーリーは全く変わりますだから。


■ 「時代の終焉」トレーラーについて。世界崩壊ストーリーは「WoW」の影響も

吉田氏は就任から数カ月で、今回のメテオとバハムートを使ったエンディングを構想していたことを語ってくれた
具体的な形でお見せできないのが残念だが、ここの資料について解説を行なっている
Blizzard EntertainmentのMMORPG「World of Warcraft」の拡張パック「Cataclysm」

――サービスが終了した直後に公開された「時代の終焉」トレーラーですけども、ある程度楽屋裏を知っているメディア側の人間からすると、あれを見ながらよくここまで現行「FFXIV」を磨き上げたというか、「FF」フォーマットで綺麗に終わらせたなあとちょっと感動しました。トレーラーで完結させるという構想は、就任した時からある程度思い描いていたものなんですか?

吉田氏: (資料を見せながら)これが2011年2月18日の資料ですね。僕が正月ずっと家で寝ないで仕事してベースを作り、そこから1カ月かけて完成させたものです。これが運営のロードマップですね。例えばUIのところだと、パッチ1.15aと1.16でUIの基礎改修をやるよとか、そこからさらに出てきたUIの残りタスクに対してギルドリーヴとビヘストのバランス調整。1.17aではアイテム関連に手を入れ、カラーUI、アイテムのレア度に対してカラーが入った時期なのですけど、引き続きバランス調整、バトルシステムの調整をここで本格的に開始する、とか。実際1.16に繰上げができたり、ここにパブリックカンパニーと書いてありますけど、これがグランドカンパニーですね。グランドカンパニーのクエストを実装し始めるのはこのタイミングからですね。

――ほとんどの計画が2年近く前に完成していたことに驚きですが、時間軸はだいぶズレてるんですね。当初の予定では現行「FFXIV」のサーバーダウンは、今より半年以上前だったのですね。

吉田氏: そうですね。このときまだプログラマーの見積もりがまったく進んでないなかで、とにかく僕からまず最初の初期計画を提示して、これがどのくらい後ろにずれるか工数を出してもらいながら調整していったという形です。このあとロードマップは、その見積もりが出た数字に合わせて調整されていきました。

――この時点ではちょっと見込みが甘かったということですね。

吉田氏: とにかくサーバーがしんどかったです。「現行FFXIV」の処理の多くはLuaスクリプトで書かれているのですが、スクリプトとLuaエンジンの相性が非常に不安定で、プログラマーが手におえなくてメモリからダンプして追っているような状態だったので。実際にこれがきっちり見積もり計画ができたのが2011年の6月くらいですね。

――こちらのドキュメントはなんですか?

吉田氏: これが僕の書いたメテオのプロットですね。要はこのパッチのスケジュールにあわせて、こういう風にメテオが世界に周知されていくということを書いています。その後、シナリオ担当の佐藤弥栄子にクエスト分割して貰いました。

――メテオがバハムートになったのはいつのタイミングなんですか?

吉田氏: 最初からです。ここにもう書いてありますね。「迫るメテオ衛星+バハムートによって」と。それでアトモスが出るあたりのことも書いてあります。モンスターの突然変異だったり、巨大化したり。アトモスにする、というのは、それに沿って開発から出たアイデアですね。

――こういうアイデアは吉田さんの中で暖めていたものがあったのですか?

吉田氏: いえ、今回思いついたものです。

――ご自身のファンタジーの知識を総動員させて?

吉田氏: たぶんゼロから考えろと言われたら、出てこなかった気がします。手がかりが何もないので。でも「ファイナルファンタジーXIV」はMMOだったので、僕がプレーヤーとして経験してきたことが、とても役には立ちました。「Diablo」シリーズも、「Ultima Online」、「Dark Age of Camelot」もかなりのヘビープレーヤーでしたし。

 例えば「FFXI」も3国の存在があって、そこの馴染みも良かったのです。まずプレーヤーたちがもうちょっと団結してもらう意識が必要なので、もともと3都市だったので、3つの都市をちゃんと建てようと。そこにちゃんとプレーヤーが所属する組織がないと話にならんといって、まずその3つを作ることを考えました。それがグランドカンパニー。帰属意識を持って頂きたくて。

 ただ、改めてお客様をもっと広く集めるMMORPGとしてとして成立させるためには、新生して作り直す以外にない。ですが、たくさんのお客様にプレイして頂いていましたし、「サービスを中止します」、単に「新生『FFXIV』に切り替えます」、ではあまりにもおもしろくないですし、印象が悪すぎます。そのときに思ったのは「世界が壊れることにしよう」でした。

 現行「FFXIV」をプレイしていたら、月の横に赤い点があって、「あの赤い点なんなの?」って世界設定のチームに聞いたら、「惑星ハイデリンには2つ衛星があって、月の横にもう1つ月を回っている衛星があるんですよ」と。「それなんか設定あるの?」と聞いたら、「メフィナに絡む設定だけで、使うのは今後です」といわれたので、「それさ、落としてもいい?」って(笑)。

 「FF」的だし、僕自身「FFVII」が好きなので、メテオが落ちてくる話って「FF」らしいじゃないですか。それが激突して世界が壊れるといったら「FF」ファンならストーリー的な納得はいくだろうと。それで、プロットを書き始めたのですが、書き始めてすぐに「ただ落ちたらつまらないよな……」と。既定路線過ぎて。

 僕は昔から本格ミステリー小説中毒なので、何か仕掛けられないかな、と。例えば“メテオ計劃”というキーワードがあれば、「FF」ファンなら誰でも「ああ、隕石が落ちる」と思うじゃないですか。しかも、それがグラフィックス的にパッチのたびに近づいてくると、「ああ、いずれ落ちるんだなあ」と余計に思って頂けるだろうと。

 でももう一方で「FF」と言えば召喚獣、召喚獣と言えばバハムート! というのがあったので。ダラガブは球体ですし、卵のイメージもあるので、実際にはダラガブは落着せず、その寸前に割れてバハムートが出てきて全部焼き尽くす、これかな、と。あとはMMORPGプレーヤーとして、「World of Warcraft」の拡張パックである「Cataclysm」を知っていたのもとても大きかったです。

――おお、「WoW」の影響ですか。

吉田氏: やっぱりMMOではかなりインスパイアされているところはあります。「Cataclysm」を眺めていたのは、「FFXIV」の仕事を受ける前です。MMOなのに古くなったゲームの序盤を作り直すために、こんなストーリー展開を思いつくなんて、Blizzardの人たちは天才だなと思っていたのです。その後、「FFXIV」を担当することになり、図らずも僕自身も全部作り直さなければいけなくなったので、ドラゴンの要素は被るにせよ、やっぱり「ファイナルファンタジー」なので、バハムートに最後暴れてもらった方が、よりサプライズだし、より「FF」らしくなるだろうと。

 やはりこうして振り返ると、様々な制約条件があって、自由に発想できない分だけ、シンプルに、かつ知識や経験を総動員した結果、自然とこうなったというイメージです。実際に全体構想の第1稿が出来上がったのは2011年の1月11日で、まだガタガタの状態でした。その後1カ月かけて僕が全セクションと1回話をして調整して。まずはみんなに説明することが、チームに対しての最初の仕事だったのです。

――それにしても、実に様々なロードマップがあるんですね。

吉田氏: そうですね。全体のロードマップがあって、ストーリー的なロードマップがあって、コンテンツのロードマップがあって。ここはギャザラー/クラフターのロードマップで。さすがにこの取材のためにこんなの作ってきたりはしないので、本物ですよ(笑)。ユーザーの皆さんに「ギャザラー/クラフターは後回しにされた!」と言われてしまったのですが、実際ここにあるように、とにかく前半はレシピをどうにかしないと、いくらシステムを入れ替えても意味がない、と。前半は全部レシピ入れ替えって書いてありますね。こっちが最終的にビジュアルワークスに今回のトレーラーを発注する際、1番最初の打ち合わせに僕が持ってったものです。

こちらが「時代の終焉」トレーラーのもととなった字コンテ
賢人ルイゾワ・ルヴェユール師。新生「FFXIV」では、普通には出てこないという

――この「時代の終焉」トレーラーの発注書は、コンセプトを文字で伝えているんですね。

吉田氏: そうです。僕、絵が超下手くそなので。字コンテで(笑)。

――「時代の終焉」トレーラーは5分以上でかなり長いものですけど、あれはどのくらいの製作期間で作ったのですか?

吉田氏: 長いですよ。実はあの先がまだありますし。

――確かにあの終わり方はエンディングとしては良いですが、プロローグとしては不自然でした。その先を加えたものが新生「FFXIV」のオープニングとして使われるのですか?

吉田氏: というわけではないですね。まずはエンディングとして公開しています。僕は今回の「時代の終焉」トレーラーは、プレイした人にしか意味がわからなくてもいいといって作らせています。RPGのエンディングのムービーをプレイしてないプレーヤーが見てもよくわからないじゃないですか。でもそれでいいという話をしていて、なぜならこの2年間支えてくれて、ダラガブを止めようと必死に戦った冒険者に対する答えなので、誰にでもわかるようにするのは無理だろうと。

 だから、あのまま新生「FFXIV」のオープニングにしたのでは意味がわからないはずなので、あの映像の続きと、それにナレーションなどを加えて編集したものを新生「FFXIV」のオープニングとして使っていこうかと考えています。

――その続き部分というのは、その後の世界の風景を映したちょっと希望が感じられるような内容なのですか?

吉田氏: そうですね。もう新生した世界の話です。例えば、まだ決めてないですが、それこそルイゾワの語りで、かつて第七霊災ありきみたいな語り口で始まって、映像を編集したものを入れて、戦士たちはそれと戦い抗い、しかし空を覆いつくすバハムートの炎が、そして世界は新生したってところから新生「FFXIV」がはじまればいいかなと。

――「時代の終焉」トレーラーの続きの部分というのは、何分くらいなんですか?

吉田氏: 「時代の終焉」トレーラーの3分の1くらいかな? 全部でこれ8分弱くらいあるので。

――長い(笑)。ちょっとした映像作品ですね。

吉田氏: そうですね。ですから、ノーカットの映像はPRで使ったり、「コレクターズエディション」みたいなものに付けたいと思います。本当は、YouTubeじゃなくて映画館で流したかったくらいなんですよ。

――あのトレーラーで一番気になるのはルイゾワはどうなったんだってところだと思うんですが。

吉田氏: それは、今は語らないほうがいいでしょう。普通には出てこないです。


■ 新生「FFXIV」のストーリーについて。ガレマール帝国、蛮神、古代アラグ帝国の3軸展開を予定

吉田氏は身振り手振りを交えながら熱くストーリー展開を語ってくれた
圧倒的な力で、世界を破壊し尽くした蛮神バハムート
現行「FFXIV」で強大な敵として描かれたガレマール帝国との戦いはまだ続く

――ストーリーについてですが、現行「FFXIV」経験者と新規の人とはもちろんですが、現行「FFXIV」をひととおりクリアした人と、そうでない人も、把握している物語に差異があります。このあたりの齟齬は新生「FFXIV」ではどう補完していくのですか?

吉田氏: ある意味ちょっとダイジェストっぽくなりますが、あの第七霊災ってなんだったのかとか、第七霊災のストーリーをなぞりつつ、そもそもダラガブってなんだったのとかをストーリー補完しようと思います。

 それから今回メディアさん用にトレーラーの解説を出させていただきましたが、ダラガブ自体は古代アラグ帝国が作ったバハムートの拘束具なので、バハムートは外郭の内側に楔で自由を奪われています。そもそもいつ誰が打ち上げて、そもそもバハムートって誰が召喚したのかとか、そのあたりは「大迷宮バハムート」というコンテンツの方にストーリーがついているのでそっちを攻略していくとわかるという形です。ただ、これは新生「FFXIV」のメインストーリーではなく、あくまでメインストーリークリア後のお話しですね。

――なるほど、新生「FFXIV」の冒頭で第七霊災がおさらいできるようになっているわけですね。

吉田氏: 第七霊災は特殊で、先ほどもお話ししたように新生「FFXIV」の前日譚なので、ここをいきなりメインストーリーで解説されたって新規の方は「え?」となってしまいます。だからメインストーリーはあくまでガレマール帝国と、ひとまずちゃんと決着をつける形ですね。

――しかし、どう見てもガレマール帝国も無傷では済んでいないのではないですか?

吉田氏: それ以前に、世界がバハムートからあれだけの打撃を受けて、バハムートがあのまま暴れていたらどうなるんだ? というお話は、メインストーリーの中でなんとなく語られます。ただ、その真相はメインストーリーをクリアした後「大迷宮バハムート」に行かないとわからないということになっています。だから表向きは“帝国に対して自由を勝ち取る戦争をみんなでする”というのが、あくまでわかりやすいメインストーリーで、これはレベル50で1回帝国ともけりがつきますね。とにかくここは、新作のゲームを作る気持ちで作っていますので。

――その新生「FFXIV」本編のメインストーリーというのはどのくらいのボリュームなんですか?

吉田氏: レベル50になるまでに必ず通過していただくストーリーなので、結構ボリュームはあります。

――レベル50までということは、今レベル50の人は結構サクサククリアできるんですか?

吉田氏: できますね。ただ、簡単にクリアできても味気ないと思うので、レベルシンクするかもしれないですね。砦攻略とかになってくるので、ある程度シンクして、新旧のプレーヤーが気にせず、パーティーを組んでいってもらえばいいのかなと思います。

――現行「FFXIV」では、ガレマール帝国のネールをはじめ、帝国のいろんなキャラクターが出てきましたが、彼らはもうまったく登場しなくなるのですか?

吉田氏: ネールは死にました、が答えです。

――例えばその部下とか息子が復讐に燃えるとか?

吉田氏: 例えばまだ黒将軍ガイウスは生きています。彼はこの「第七霊災」を高みの見物していただけでした。どちらに転んでも、自分の目指すべき先の害にはならない。ある意味、手を汚さずに静観していたイメージです。ですが、新生「FFXIV」では、まずは彼と何らかの決着をつけるところがポイントですね。

――帝国と決着を付けた上で、バハムートというキー要素があるわけですね。

吉田氏: いえ、バハムートの前に、まだ召喚獣・蛮神というキーがあります。整理すると、新生「FFXIV」では3つのストーリーラインを考えていて、1つはガレマール帝国との戦い。もう1つは蛮神たちです。

 蛮族がいる世界で、どう世界を維持していくか、「FFXIV」の世界の召喚獣は蛮神と呼ばれていて、各蛮族の神で、蛮族が天に祈れば祈るほど実体を持ち、この世に召喚されようとするのが蛮神です。

 蛮神は惑星ハイデリンの力の源であるエーテルの力、つまりクリスタルの力を吸い上げて召喚されてくるので、あまりにも蛮神が召喚されすぎると世界そのものが死んでしまう。要はハイデリンそのものが壊れてしまうので、ここは正直いって三都市同盟から見ても敵だし、帝国側からみても共通の敵になります。

 しかし、帝国は「俺たちは世界平和維持軍なんだ」という考え方です。具体的に言うと、「お前らのような蛮族がホイホイ神降ろしすると、星が壊れてしまうんだ。だからすべて我々の支配下において平和に暮らせばそんなものに祈る必要もなくなるだろう」というのが帝国の考え方なのです。でもグリダニア、リムサ・ロミンサ、ウルダハの三都市は、そもそも都市として自由に生きてきている。三都市から見れば、やはり帝国は侵略者なわけです。

 確かに蛮神が召喚されすぎるとハイデリンは死ぬ。だからプレーヤーは、この間を翻弄されながら自分たちの意思で正しい物を選んで戦っていくというイメージです。といっても、プレーヤーの皆さんは、ガレマール帝国の帝国主義に対して、普通に侵略者を退けるという意味で戦って貰えれば良いと思っています。ただ、蛮族と蛮神に関してはちょっと悩ましいストーリーにはしたいですね。

――その蛮神の中にバハムートは含まれないんですか?

吉田氏: 含まれないわけではないです。設定的には一緒なので。バハムートも蛮族の神です。

「古代アラグ帝国の謎」に関するヒントとなりそうなイメージカット。奥に見えるのがクリスタルタワーだろうか?

――そしてストーリーラインの3つ目はなんですか?

吉田氏: 最後の3つめの軸が「第七霊災」と「バハムート」に関連するストーリー。クリスタルタワーとも関連する「古代アラグ帝国の謎」という話になります。

――「古代アラグ帝国の謎」ですか。クリスタルタワーやバハムートなど、これまでキーワードだけで語られてきた要素がすべて関係してくるわけですか?

吉田氏: 関係してきます。クリスタルタワーも古代アラグ帝国の遺産です。その辺は実はもう現行「FFXIV」でも伏線がいくつかあるので、推理している方もいます。「時代の終焉」トレーラー公開前に、「ダラガブは古代アラグ帝国が作った機械である」というのは現行「FFXIV」のシナリオに登場しています。それと新生「FFXIV」の中にクリスタルタワーがあることを関連づけて、「ダラガブには古代アラグ帝国皇帝ザンデがコールドスリープされていて、その復活のためにネールがメテオ計劃を図ったのではないか?」、そして「ザンデが復活してクリスタルタワーが姿を現すのではないか」という予想をしていて。

――かなりいい予想をしてたのですね。

吉田氏: そこまで推理するなんて凄いなあと思いました。

――ちなみにその3つのストーリーの軸をシステム的にどのようにドライブさせていくのか興味がありますね。

吉田氏: まず1つはあくまでレベル50の間に語られるメインストーリーという形です。

――初期の「FFXIV」では「メインクエスト」という形でメインストーリーが語られ、吉田さんの時代になってから「グランドカンパニークエスト」という形になっていました。新生「FFXIV」ではここがどうなるんですか?

吉田氏: ひとつになります。「メインクエスト」ですね。その中にグランドカンパニーのエピソードも全部入ってきます。

――先ほど説明していただいた3つの軸が全部「メインクエスト」として語られる?

吉田氏: いや、3軸目だけは本編をクリアした後じゃないと挑戦できないストーリーなので、違うかもしれませんね。

――それは拡張ディスクとかではなく、あくまで本編で語られるストーリーなんですか?

吉田氏: 新生「FFXIV」では、まずはメインクエストをレベル50までにクリアし、一応のエンディングを見る。ここが帝国編で、帝国の戦いと、メインクエストの中に出てくる蛮神を倒すところの話までが入っています。

 で、これをクリアした後で挑戦できる「大迷宮バハムート」の中で第七霊災のストーリーに挑戦できます。このストーリーが現行「FFXIV」の第七霊災クエストと同じく、パッチで順次追加されて続いていくというイメージです。長くプレイしていると話がわかってくるという。ですので、拡張ディスクとは違いますね。

――吉田さんはすでに拡張ディスクを出すということを公言されていますが、今出てきた話は、すべて本編で楽しめるコンテンツということですね。

吉田氏: はい、拡張ディスクが出るまでに完結させます。拡張ディスクではまた別のお話を描きたいと思っています。イシュガルドとかもありますしね。

――ハイエンドコンテンツとなる「大迷宮バハムート」は、物理的に大迷宮なんでしょうか? それとも大迷宮という言葉は象徴的な意味で使っているのですか?

吉田氏: 物理的に大迷宮ですね。でかいので(笑)。

――各地に点在する大迷宮の中で、再びバハムートを封じ込めるための鍵を1つずつ見つけていく?

吉田氏: 今言えるのはバハムートに絡むとだけですね。それこそネタばれになってしまいます。

――なるほど、しかし、バハムートは新生「FFXIV」ではどこにいるんですか? 「Skyrim」のように大空を飛んでいて、たまに襲われるとか?(笑)

吉田氏: それだったらとっくにハイデリンごと壊れていますよ(笑)。それについては、あのホワイトアウトした後、何が起きたかという核心の部分なので、むしろあの状況下で新生の空になぜ青空があって、バハムートはいないのはなぜだろうというところからその謎を追っていくのが最終の話になります。

――彼とは最終的に直接対決はあるんですか?

吉田氏: 戦いたいですよね。ただあのサイズじゃ無理だろうって気はするので、ちゃんとストーリー上つじつまがあうようにしてあります。それはどう表現されるかお楽しみにということで。

――バハムートは、クリスタルタワーにも関係してくるということですが、それはどのような形で関係してくるんですか?

吉田氏: いずれも古代アラグ帝国という存在が絡んでいるからなのですが、クリスタルタワーの存在意義とダラガブの存在意義がかなり近かったりするので、そこらへんがそうですね、大元をたどるとみたいなところがあるので、そこはどっちのコンテンツもやっていただくと、わかってくるかなあという。

――ちなみにプロデューサーレターLIVEで、「大迷宮バハムート」の報酬のなかに巴術士の種族装備もありましたが、巴術士も大迷宮バハムートに関わってくるのですか?

吉田氏: いや、それは関係ないです。全クラス報酬を用意するのでたまたまです。

――「大迷宮バハムート」にチャレンジできるようなコアユーザーじゃないと巴術士になれないというわけではない?

吉田氏: ぜんぜん関係ないです。最初から選べるクラスの1つです。そもそも現行「FFXIV」ではギルドがあるのにクラスになれないという謎の状態だったので。「じゃあ銃術士ギルド」はどこへって話ではあるのですが(苦笑)。巴術士は最初から選べます。

(インタビュー後編へ続く)


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(2012年 11月 22日)

[Reported by 中村聖司]