NHN Japan、プロゲーマーYuti選手&SpyGea選手インタビュー
次こそ世界の頂点へ。「スペシャルフォース」世界大会に向けての意気込みを語る


「第8回 スペシャルフォースリーグ 2011 夏」決勝トーナメント

8月27日17時~22時開催予定



日本代表選抜予選として開催されている「第8回 スペシャルフォースリーグ 2011 夏

 NHN Japanが運営する人気オンラインFPS「スペシャルフォース」。サービス開始から4年が経過した今も、ますます盛んにクラン戦が行なわれており、競技面での盛り上がりを見せている。NHN Japanではその取り組みのひとつとして今年4月末、2人のトッププレーヤーをプロゲーマーとして正式に登用した。強豪クラン「UHS Athlete」を率いる荒木“Yuti”祐介選手と高橋“SpyGea”恵選手だ。

 Yuti選手とSpyGea選手はプロゲーマーとなってすぐに、オフィシャルブログ、ネット動画配信、定期オフラインイベントなど様々な活動をスタートしている。このあたりについては弊誌連載記事「佐藤カフジのPCゲーム道場」にてすでにお伝えしている通りだ。

 それと同時に、2人は「スペシャルフォース」の選手としての活動も、さらに本腰を入れて取り組みを続けている。選手として大会に出場し、勝利するというのは、特別な立場を与えられたプロゲーマーとしての義務だ。実力勝負の世界であるだけに、敗北が許されないというプレッシャーは決して小さくない。

 そんな中で、2人のプロゲーマーが実力を証明するべき機会がやってこようとしている。今年11月にインドネシアでの決勝大会開催が予定されている「スペシャルフォース」世界大会と、12月に釜山でグランドファイナルが開催される「World Cyber Games 2011(WCG2011)」だ。

 実は、今年の世界大会には国際的なちょっとした事情があり、Yuti選手とSpyGea選手が属するクラン UHS Athlete に思いがけない追い風が吹いている。ここで世界一を狙わなければ、いつ狙うのか。そういった事情を含め、プロゲーマーとして活躍を期待されるYuti選手、SpyGea選手、および、2選手をプロに登用した「スペシャルフォース」プロデューサー佐野亘氏へのインタビュー模様をお届けしたい。


■ 台湾での国際大会で準優勝! 海外クランとも渡り合えるようになったUHS Athlete

「スペシャルフォース」プロデューサー、佐野亘氏
Yuti選手
SpyGea選手

── よろしくお願いします。まず、Yuti選手、SpyGea選手の最近の活動について教えていただければと思います。

NHN Japan 「スペシャルフォース」プロデューサー 佐野 亘氏:8月6日、7日にかけて、台湾で「スペシャルフォース」のサービスを行っているWayiというゲーム会社が主催する国際大会が行なわれました。台湾のプロチーム「Wayi Spider」と、サーマルテイクのプロチーム「Tt APOLLOS」、韓国のセミプロチーム「IT BanK」、そして日本から「UHS Athlete」が出場しました。イメージ的には野球のWBCみたいな感じですね。

── 結果はどうでしたか?

Yuti選手:準優勝でした。

佐野氏:最初は4チームで総当たり戦をやって、上位2チームが決勝戦という形でやりました。UHS Athleteは上位2チームに見事選ばれまして、決勝戦では残念ながらWayi Spiderに負けてしまったというわけです。

── Wayi Spiderとは度々対戦していますね。まだ勝ったことはない?

Yuti選手:いえ、実は総当たり戦のときに勝ちました。初めての勝利ですね。それまでWayi Spiderとの公式戦は0勝5敗だったんですよ。本当に接戦になって、サドンデスまでもつれ込んでやっと勝ちました。

── サドンデスとは本当に接戦だったんですね。

Yuti選手:はい。総当たり戦では4ラウンドで攻守交替するというルールでした。僕達が最初3本とって、攻守交替して今度は彼らに3本連続で取られてしまいました。あと1本取られたら負ける、というところでなんとか取り返して、4-4になりました。そしてサドンデスでもう1ラウンドやって、そこで勝利することができました。

佐野氏:会場はさすがに台湾のホームでしたので、台湾が取ると歓声が上がって、日本が取るとシーンとするという雰囲気でした。そんな中で、彼らがなんとか勝ちをもぎ取ってくれて。本当に、日本の選手ブースの中だけで盛り上がっていたという状態でしたね(笑)。

Yuti選手:すごいアウェイでしたね(笑)。結局、総当たり戦では2勝1敗、Wayi Spiderも2勝1敗と、同じ成績で決勝戦に上がって、もう1度対戦しました。そこではちょっと差がついてしまって、ラウンド取得数7-3で負けてしまいました。

── しかし、以前は全く歯が立たなかったWayi Spiderを相手に、ときには勝てるというところまでチームが成長したんですね。

Yuti選手:そうですね。ただ、8月の大会で使われたゲームクライアントが、日本や韓国で使われるものとは若干仕様が違いまして。「慣性ジャンプ」というテクニックが、長く跳ぶのではなく高く跳ぶという仕様になっていたんですよ。高く跳んでしまうので的になってしまうんですよね。皆その仕様に慣れなくて、そのせいで苦戦した部分もありました。なので、日本や、世界大会標準クライアントでやればもっといい試合ができるかもしれません。

── なるほど。着実に成長している、手応えは感じているんですね。


台湾での国際大会に出場したUHS Athlete。準優勝という結果だったが、台湾のプロチームWayi Spiderに1戦でも勝利できた事実は彼らの自信につながったようだ

■ プロゲーマーとしての活動、日々の練習。海外強豪との交流戦も経験

話題はプロゲーマーとしての活動領域についてへ

── 一方、選手としての活動には、「スペシャルフォース」のプロモーションという側面もあるかと思います。そのあたりについては、どんな手応えがありますか?

佐野氏:やはり、メディアさんから取材を受けたり、イベントを一緒にやりましょうといった声をかけられる機会が多くなっていますね。特に台湾の企業さんからイベントをやりませんかというお声がけいただくことも多いです。8月の大会もそうです。その前の7月には、台湾のサーマルテイクさんから、プロチームを日本に連れてくるから一緒に対戦しませんかという形で、イベントを行なうこともできました。

 そういった形で、PCゲームが盛り上がっている台湾の勢いを、彼らを通じて日本に持ってこれるような状況が生まれたといいますか。そういう意味で、プロゲーマー効果というのは非常に高いものがあったと感じています。

── なるほど。別の角度で言うと、台湾や韓国というのは、メーカーやパブリッシャーが何かをしようというときに、プロゲーマーチームが絡むのが当たり前というところからスタートしているんですね。その点でいうと、NHN Japanがプロゲーマーを持つことで「世界基準」になったと。

佐野氏:あははは(笑)。そうですね。

── SpyGeaさんはNHN Japanの社員、運営スタッフとしてのお仕事もされているそうですが、具体的にどういったことに取り組んでいますか?

SpyGea選手:プロゲーマーの施策としては、月に1回の「プロナンデス」というUStreamを使った放送と、秋葉原のアイ・カフェさんに場所を提供していただいて、「プロゲーマーとアイ・カフェで遊ぼう」、略してPIA(笑)というイベントを実施しています。自分の仕事としては、それぞれの施策の内容を考えたり、台本を制作したり、スポンサーさんを募集してイベントに盛り込んだりといったこともやらせていただいています。平たく言うと、企画ですね。

── なるほど。UStreamの放送はいま何人くらいの視聴者が来ますか?

SpyGea選手:前回の放送で、同時接続数は400人から500人くらいでした。プロゲーマーと対戦する、というイベントが特に興味を持たれていまして、思った以上の注目をいただいています。

佐野氏:5月にスタートしてからじわじわと視聴者数が増えてきていまして、順調に伸びているという感じです。

── そういった活動に並行して、当然ながらゲームの練習も続けているわけですよね。UHS Athleteとしてはどういうふうに活動をしているんですか?

Yuti選手:僕は実家の居酒屋で働いているんですけれども、それが終わって帰ってくるのが10時半くらいになります。その後、だいたい10時45分くらいに皆がボイスチャットに集まって、そこから2、3時間の練習をするようにしています。練習はすべてクラン戦のみです。あとは、作戦会議をたまにやるくらいで。誰かが用事で出られないときは、クランとしての活動はなしで、各個人で練習するという感じです。

── 練習は実戦形式なんですね。対戦するクランは特定の相手がいたりするんですか?

Yuti選手:大会を目指すチームが主に使うIRCチャンネルがありまして、そこで募集をして、戦うという感じです。ある程度強いクランを選んで戦います。

── Wayi-Spiderとオンラインで戦ったこともあると聞きますが、それは日々の練習とはまた別ですか?

Yuti選手:そうですね。相手のほうから声をかけられて、交流戦という形で。台湾のサーバーに接続して対戦するので、ラグの問題もあっていつもどおりのプレイはできないんですけれども。

佐野氏:世界大会の前には、そういった交流戦をやっていますね。去年もWayi Spiderとやりましたし、一昨年も、韓国のIT BanKというセミプロチームと対戦したり、といったことを続けています。


プロゲーマー所属のチームということで、海外チームとの交流機会に恵まれるという点も大きなポイント。写真は韓国のセミプロチーム IT BanK との交流戦の様子

■ 国内では公式戦無敗のUHS Athlete。しかし意外な「難敵」も?!

世界大会について説明する佐野氏

── そして今年もいよいよ世界大会が近づいているわけですが、簡単に概要を紹介していただけますか?

佐野氏:近年、「スペシャルフォース」のサービスを展開する国が増えてきてまして、インドネシアでも新しくサービスが開始されます。それに合わせて世界大会をやりましょうということで、11月5日、6日に、インドネシアに8カ国ほどの代表チームが集まって決勝大会を行ないます。優勝賞金は1万ドルと聞いています。

── 今までの参加実績でいうと、日本、韓国、台湾、中国、アメリカ、あたりですか。

佐野氏:まだすべては確定していなんですが、そうですね。今回はそれに加えて、タイ、フィリピン、ベトナムあたり。もちろん開催国のインドネシアも含めて、たぶん、8カ国かそれ以上になる見込みです。あと、今までは1カ国で2チーム出るということもあったのですが、今回は1カ国1チームという形になります。ですがその前に、UHS Athleteが世界大会に出るなら日本代表決定戦で勝たなくてはなりません。

── つまり今の段階では、UHS Athleteが世界大会に出場もできない可能性があると。

佐野氏:そういうことです。日本代表決定戦のオンライン予選はすでに2度実施しまして、現在は「スペシャルフォースリーグ 2011 Summer」という形で3つめのオンライン予選を進めさせていただいています。8月27日にオンラインの最終予選を行ないまして、過去3つのオンライン大会で選ばれた上位4クランが集まり、10月2日に原宿でオフライン決勝大会を行ないます。

── UHS Athleteはオンライン予選からの参加ですか?

佐野氏:いえ、彼らは過去今年1番最初のオンライン大会で優勝していますので、オフライン大会に参加する権利はすでに得ています。

── オンライン予選には合計でどれくらいのチームが参加したんでしょうか。

佐野氏:3回のオンライン大会で延べ400チームくらいですね。その中を勝ち抜いた4クランが、10月2日のオフラインの決勝大会で対決するということになります。そこで見事勝てば、世界大会に出場できるというわけです。

── 仮にそこで、UHS Athleteが負けてしまうようなことがあれば……。

佐野氏:世界大会には出場できません(笑)。まあ、解説っぽい形で連れて行く可能性はなきしにもあらずですけど、基本的には参加できないということになります。

── 来季のプロ契約危うし!と。

佐野氏:そうですね、(負けたら)契約更新できるのかな?(笑)。

選手としては、いつもどおりの練習を続けているというYuti選手
非公式大会では負けることもあるという。それがモチベーションにつながると、SpyGea選手

── Yuti選手、SpyGea選手としては、オフライン大会で絶対に勝たなければいけない。そうなると、世界を目指すために日本でどうやって勝つかということを考えなければいけませんね。何か、特別な準備を始めていますか?

Yuti選手:いえ、いつもどおりに練習しています。ただ、先日の台湾遠征で韓国のIT BanKと何度も練習することができまして、そこで自分たちの弱点などを指摘していただけたので、そこを意識しながら練習していこうと思っています。

── 国際交流しつつ、レベルの高いチームと戦える位置にあるというのはいいですね。同時に、だからこそ国内では絶対に勝たないといけない、というプレッシャーにもなりそうですね。

SpyGea選手:IT BanKさんには、歯が立たないくらいの敗北をしたんですけれども、それで逆にモチベーションが上がりました。そういうチームから色々とアドバイスを聞いて、もっと強くなれればと。その時は、夜遅くまで戦術会議とかしていましたね。

── 今のところ国内大会では無敗ですよね。

Yuti選手:いえ、公式大会では負けたことはないんですけれども、ユーザー主催の非公式なオンライン大会では何度か負けたことがあります。

佐野氏:ジーパーズカップという、ユーザーさん主催のかなりしっかりとした定期大会がありまして。

Yuti選手:あの大会は、なにか悪魔みたいなものが住んでいて、いつも決勝とかで負けてしまうんですよ。その大会でだけずうっと勝てていないという(笑)。

SpyGea選手:いい刺激にはなるんですよね。なぜ負けたかということを反省する機会が得られますので……。

── なるほど、逆に言うと、国内にUHS Athleteに勝てるチームがあるということですよね。特に、ライバル的な意識のあるクランはありますか?

Yuti選手:はい、1つだけあります。そのクランと対戦するときだけ極端に勝率がよくないんですよ。50%くらいかな。本当に相性が悪くて。でもそのクランは、他のクランと対戦すると負けるんですよ(笑)。僕達が遊んで勝てるようなところに、その人達は負けて、僕達とやるときだけやたら強いという。

── なんでですかね?

Yuti選手:なんかやる気が凄い違うらしいです(笑)。よくわかんないですけど、僕達専用にすごい対策を練っているらしくて。

── プロゲーマーが憎い!みたいな(笑)。

Yuti選手:(笑)。そこに僕の後輩がいて、学校でしゃべったこともあるんですよね。

佐野氏:それだけに特別なライバル意識みたいなものがあるのかもしれませんね。

── そのチームが、オフライン大会に出てきそうな可能性ってありますか?

Yuti選手:かなりあります。たぶん、僕らの次に強いとは思うんですけれども、つい最近あったRazerさん主催の大会でなぜかそんなに強くないチームに負けていて……。

SpyGea選手:スコアも結構差がついてました。

── ムラの激しいチームなんですかね。そのあたりの相性がどう出るかがオフライン大会のポイントになるかもしれませんね。

Yuti選手:そうですね、僕達はそこ以外のチームに対しては勝率90%は行ってるので、自信もあるんですが、そのチームが出てきたらヤバいかもしれないです。ただ、オフライン大会の経験で差があるので、仮に彼らが出てきても、僕らの方が有利かなとは思います。


■ 1国1チームというレギュレーションが生んだ「追い風」。世界大会での優勝を目指して

従来と違い、今年は1カ国1チームという出場制限があるという。これがUHS Athleteが上位を目指すための好材料となる

── 日本代表決定戦で勝てれば、という前提になりますが、UHS Athleteとして、今回は世界一を狙えるんでしょうか?

佐野氏:実は、これまでの世界大会ですと、1カ国から複数チームが出てくるということがありました。台湾、タイ、韓国あたりは競技人口も多くてレベルが高いんですが、そういったプロリーグを持っているような国から2チーム以上出てくるようなことがあると、厳しい大会になります。しかし、今年は1カ国1チームという縛りで大会が行なわれます。強い国は台湾、タイ、韓国あたりの3チームに限られてきますので、クジ運とマップ運次第ではかなり上位に食い込めるのではないかと思います。

Yuti選手:最低でも決勝トーナメントには出たいです。

── グループリーグを終えて、日本、台湾、タイ、韓国による決勝トーナメントというのが、最もありそうなパターンですか。

佐野氏:そうですね。

── そうなると、やはり仮想敵となるのは台湾のWayi Spiderや、韓国のIT BanKということになりますかね。

佐野氏:まだ各国で予選が行なわれているので、どうでしょうね。韓国については、「SF HIGHFIVE MASTERS」という大会をやっていまして、そこの優勝チームが代表チームになるということになっています。

Yuti選手:実は「SF HIGHFIVE MASTERS」はアマチュアチームの大会なので、プロチームは出てこれないです。基本アマチュアのみのチームで、セミプロでも1チームに1人か2人しか入れないという制限があるんですよ。それでも十分強そうですけどね。

── となると、韓国内の本当のトップチームというのは世界大会にでてこないんですね。運が向いてきた、と解釈していいんでしょうか。

Yuti選手:もちろん、プロの1番強いチームとやるよりは、勝てる可能性が高まると思います。でも十分に強いチームが出てくるはずですので、油断はできないですね。

佐野氏:実は、その世界大会のすぐ後の12月に「World Cyber Games 2011」がありますので、今年は世界一になるチャンスが2回あるということになります。日本代表になったチームは、2つの世界大会の両方に出場する形になります。

── なるほど。2度のチャンスがある。少なくとも、どちらかで優勝を果たしたい。できれば両方というところですね。

Yuti選手:WCGは憧れだったので、絶対出たいですし、勝ちたいですね。がんばります。

── 選手達を応援する運営サイドとしては、今後どういったことに取り組んでいこうと考えていますか。

佐野氏:いずれ国内でプロリーグのようなものができれば、と考えていますが、まずはその前段階として、プロを5人揃えてちゃんとしたプロチームを作れればと思います。台湾に遠征したときなんかもそうでしたが、向こうの人と話しをすると、2人しかプロいないんですか、みちたいな話になるので(笑)。まずはチームとしてプロ化、というところを目指したいです。

── そのためにも、Yuti選手、SpyGea選手が率いるUHS Athleteが結果を出すことが重要になってきますね。

佐野氏:そうですね。ハードルは高いと思いますが、頑張ってもらいたいと思っています。

日本代表決定戦では100%の勝利を宣言した2人。世界大会でも良い結果を残したいと意気込む

── 最後に、世界大会に向けて意気込みをお願いします。

Yuti選手:これまで3年間世界大会に出てきていて、5位、2位、5位という結果になっているので、そろそろ優勝したいなと、本気で思っています。

SpyGea選手:先日、台湾のイベントで準優勝という結果が出て、手応えを感じています。チームのモチベーションも今、とても高くなっています。日本代表決定戦や世界大会まで、まだまだ期間はあるんですが、気を抜かずにしっかり準備していければ優勝できると信じています。

佐野氏:まずは日本代表決定戦に勝ってくれなければ世界大会に連れていけないですし、そこは勝負の世界ですので、しっかりがんばって貰えればと思います。

Yuti選手:95%の確率で勝てると思います。

── おお、出ましたね。SpyGeaさんは何パーセントでしょうか?

SpyGea選手:100%です。オフラインでは本当に、負けたことがないので。

Yuti選手:負けたことないですね。1度、決勝戦で1マップだけ取られたことがありますが、あのときは本当に焦りました。でも落ち着いて残りのマップをプレイして、勝つことができましたので。落ち着いてやれば今度の大会でも勝てると思います。じゃあ僕も100%で。

── おふたりとも100%勝利を宣言しましたね。楽しみにしています。ぜひ、がんばってください。




 多弁で周りを引っ張るタイプのYuti選手と、寡黙に腕を磨き続けるタイプのSpyGea選手。それぞれタイプは異なれど、そのゲームの腕はまさに一流だ。チームとしてはいまだ世界のトップであるという証明ができずにいるものの、これから控える2つの世界大会では、優勝という目標が現実的と思えるところまで、彼らのレベルは向上してきている。

 ちなみにYuti選手は最近になって「Counter-Strike 1.6」や「Team Fotress 2」といった他のFPSもプレイするようになったとのことで、他のゲームから学ぶことも多いという。例えば「Counter-Strike」では駆け引き、立ち回りのアイディア。世界トップレベルのプレーヤーが持つテクニック。あるいは、「Team Fotress 2」をプレイしていると、ゲームのテンポが非常に速いためか、反射神経が向上するような手応えがあるという。

 そんなYuti選手は、スポンサーについたSteelSeriesの協力でフラッグムービーを作成して公開している。「[JSF]Yuti Master of Mind Game powered by SteelSeries」。このほか、SpyGea選手は毎月のUStream放送や、イベント出演などプロゲーマーとして活躍の場を広げており、プレイ以外の側面でも日本における「プロゲーマー像」を定義しつつある。筆者は、そんな先駆者である2人の活躍を応援したい。




(2011年 8月 25日)

[Reported by 佐藤カフジ]