ソーシャルゲーム「シェンムー街」
監修を務める「シェンムー」生みの親・鈴木裕氏に直撃インタビュー!

12月2日収録

 

鈴木裕氏

 サン電子株式会社、株式会社YS NET、株式会社セガは、株式会社ディー・エヌ・エーが運営する「モバゲータウン」にて展開する「シェンムー」シリーズのソーシャルゲーム「シェンムー街」の正式サービスを行なっている。「シェンムー」シリーズに深い思い入れを抱く人たち、本作で初めて「シェンムー」に触れる人、それぞれ多々おられるかと推察される。プラットフォームこそ違えど、ケータイ画面で展開されるそれは、シェンムーの世界観を表現する“新たな器”だ。

 現実のユーザー比率は別として、読者の平均年齢が高い弊誌の場合「『シェンムー』かぁ。ドリームキャストで遊びまくったなぁ」という世代のほうが多いのではないだろうか。平均年齢を押し上げる側の筆者としては、そこで俄然気になるのが、監修を務める“鈴木裕”氏の存在だ。「ハングオン」、「スペースハリアー」、「アウトラン」、「アフターバーナー」、「パワードリフト」、そして「バーチャファイター」など、1980~1990年代を彩る珠玉のアーケード作品を数多手がけ、コンシューマオリジナル作品「シェンムー」シリーズを世に送り出した、日本を代表するクリエイター。コア向けの作品を多く排出されてきたイメージが強いが、そんな鈴木氏が“カジュアルの典型”ともいうべきソーシャルゲームに関わる。これはもう、世代的にも「興味を抱くな、というほうが無理」というものだ。

 今回、弊誌では鈴木氏にインタビューを行なう機会が与えられた。諸般の事情から明文化できない事柄もあったが、それでも鈴木氏から発せられる“生の声”は、コアな世代、先入観を抱かずプレイしている新規層、どちらにも響くものだと思う。既にプレイされている人はもちろん、本稿で「シェンムー街」を初めて知ったという人も、ぜひご一読いただきたい。



■ コアなファンから新規層まで、すべてにアピールする「シェンムー街」

編: ネットワークとゲームの係わり合いは、技術の進歩で視点が変わるのではないかと思います。そういった変遷を、鈴木さんはどう捉えられていたのでしょう?最近では「1番がソーシャルで、ゲーム性は2番」と仰る方がいらっしゃる一方で、そういったゲームは面白くないと仰るクリエイターさんもいらっしゃいます。

鈴木氏: 1番がネットワークで、2番がゲーム性であってもいい。順序は別に、どっちでもいいと思います。前から「ゲームはルールだ」と思ってますから。ルールとして面白ければ、ゲームとして成立する。ルールを作ることが重要。ルールのなかで面白いところが、ネットワークになっていたり、人になっていたり、ゲーム性になっていたり、システムになっていたり。それぞれの良さがある、という感じです。

編: それがゲームを作る側の個性?

鈴木氏: だと思うんです。だから、こだわりはないですよ、そこは。ただ……“完成度”は高いほうがいいです。低いよりは絶対いい。

編: 「ソーシャルゲーム」という言葉のイメージから、ジャンル的な制約とかこだわりみたいなものは?

鈴木氏: とにかくネットワークに興味があるのは確かです。しかし「コレしかやりたくない」っていうのはないんです。色々な事情によって実現できていない企画も、何個かありますから。それはコンシューマー、業務用、携帯電話向けタイトルであったり。プラットフォームとかは関係ありません。ただ、将来性については、ライブで相手と結びつけることに新しい可能性を大きく感じます。

編: 携帯電話向けタイトルは、作り手として1番可能性を感じ、興味をそそられたということでしょうか?

鈴木氏: 携帯電話の“携帯”は、いつも肌身離さず持って歩くもの、という意味がありますよね。そういうものでゲームができたらいいな、って思ったんですよ。キーワードとしては“ウェアラブル”、“ネットワーク”、“ライブ”の3つです。

編: つながる、という部分を踏まえると、携帯ゲーム機ではまだ難しいですよね。

鈴木氏: そうですね。それは今までコンシューマーっていうジャンルのなかで、ニンテンドーDSやPSPとかあって。どちらかというとセガでずっとやってきた経験がある。もうちょっと大量の人がつながって、何か現象が起きるほうが……予期せぬ現象というか、広がりが起こってほしい。

編: 「シェンムー街」をプレイするなかで、「シェンムー」をどう感じさせていきたいのでしょうか?

鈴木氏: 「シェンムー」は10年以上前(1999年)に出ているゲームですので、その世界観がかもし出す雰囲気や独特の味わいを感じていただきたい。恐らく、携帯電話で今まさに遊んでいらっしゃる方は、やっぱりコアの年齢層とは違う。たとえば10代の方は、たぶんそのころ8~9歳前後で「シェンムー」はやってないでしょうし。9割以上の人が、恐らく「シェンムー」を初めてプレイする方々だと思います。まったく新しく「シェンムー」に触れる人に、他のゲームと違った新しい感覚を味わってもらえたらと思います。

 「シェンムー」も本来もっているもの……人と人とのつながり、関わり、思いやり、日本人としての誇りとか。長い時間遊ぶなかで伝わってくる「シェンムー」なりのよさが、ジワッと伝わればいいのかなと思います。

編: 制作発表会では「昭和の良さ」といった言葉で表現されていましたね。

鈴木氏: 映画でいうと「三丁目の夕日」。「サザエさん」、「ちびまるこちゃん」の世界観です。経験されたことのない若い方でも、あれを観てクスクス笑ったり。今は近所付き合いが凄く少なくなったけど、一体感、団結感があったり、それが凄く大事ですから。そういう、ちょっと人間らしいのがいいかな。

編: それは、ゲーム中で“ユーザー同士が触れ合う”ことで表現されていくのでしょうか?

鈴木氏: そうですね。「シェンムー」は元々シングルゲームでした。多くの登場人物はNPCという形で出てきましたから。以前作ろうとしていたゲームで「シェンムー」のMMO(シェンムーオンライン)がありました。「シェンムー」MMOのなかでは、実際に自分のキャラクターが歩いていて、別々のユーザーのキャラクターも歩いてきて、そこで話しかけたり、物を交換したり、手合わせをしたり。元々あったMMMOのコミュニケーション要素を、できる限り「シェンムー街」にも反映したいなと思っています。

編: 運営を始めてみて、ユーザーの方々の反応はいかがでしたか? 弊誌はコアな読者層が多いので、初報が掲載された際に「鈴木裕さんが作ってるんだ!」という強い興味が読者側にもありました。

鈴木氏: コアな方々が、恐らく「シェンムー」を愛し、支えてくれている人たちだと思います。「シェンムー」に思い入れが強い人ほど「これは『シェンムー』じゃない!」と言われるかもしれないけど、トータルで「シェンムー」を支えてくれている人たちなんです。そして多くの新規の方々も、先々の「シェンムー」を支えてくれる大切な人たちだと私は思っています。

編: 新規の方々が多いというのは面白いですし、仰っている化学反応も期待できますね。

鈴木氏: 新規の方々は「シェンムー」のことを知らないと思います。名前をきいたことがない人も結構います。ゲームですから、1番ダイレクトなのは、ちょっと遊んでみて面白いかどうかです。「シェンムー」なりの味っていうのは、染み込んでいくまでちょっと時間のかかるタイプのゲームかもしれません。

編: 「続けてもらいたい」という気持ちの中で、新規層を想定した新しいアプローチはされていますか?

鈴木氏: 新しく触れる層に対してどういったアプローチを行なうかについては、もちろん考えています。大半は「シェンムー」を遊んだことがない人と予測を立てていましたから。プレイアビリティという面で携帯電話にある真ん中のボタンを中心に、なるべく上下くらいで基本操作ができるように、操作はできるだけ簡単にしました。なるべく労力を少なく遊べるゲームにしないと、と思って設計しています。

編: コア層は「色々なボタンで自由に動きまわりたい」という人もいそうですけど、いかがですか?

鈴木氏: なるべく広い層に遊んでいただきたいのですが、プレイする人がゲーム慣れしている方だけじゃない可能性もあります。少ない操作で“やってる感がある”くらいにしていかないといけないと思います。

編: 将来的には海外向けサービスも検討されていますか?

鈴木氏: 将来的には海外もやりたいと思っています。「シェンムー」というタイトルは以前、海外に向けても販売したタイトルですし、実はYS NETのアクセスは、半分以上海外からなんです。

編: 最後に「シェンムー街」プレーヤーのみなさんにメッセージをお願いします。

鈴木氏: 2月初旬に「交換所」をオープンします。試合で得るトロフィーと、ガチャゴンで余ったアイテムで強力な武器と交換できます。試合がより一層楽しくなるので、ぜひみなさんやってみてください! これでチャイに勝てるぞ!!

編: 本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。



■ モバゲー版「シェンムー街」最新情報! ~「セガ歴代ハードガチャ」が期間限定で登場~


   モバゲーで運営中の「シェンムー街」では、1月27日より期間限定で「セガ歴代ハードガチャ」が登場。ゴールドメダル1枚で、1回ガチャがプレイ可能。セガサターンなど、セガ歴代ハードシリーズがゲットできるというファン垂涎のガチャがゲットできる。期間内にガチャゴンをコンプすると、強力な技書「新月」が入手可能。また、ガチャゴンと同時に新シナリオの配信も開始される。既にプレイしている人はもちろん、興味がある方はこの機会にぜひアクセスしてはいかがだろうか。



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Published by SUNSOFT

(2011年 1月 27日)

[Reported by 豊臣和孝 ]