「モンスターハンター フロンティア オンライン」インタビュー
「シーズン9.0」の見所から「シーズン10」への展望を杉浦氏に聞く
7月でサービス開始3周年を迎えた、株式会社カプコンのXbox 360/Windows用オンラインハンティングアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン」(MHF)。アップデートにより進化を続ける本作は、9月29日に大型アップデート「シーズン9.0 “瀑突(ばくとつ)、グレンゼブル”」を実装する。
今回のアップデートでも、新モンスター“蛮竜”「グレンゼブル」と新フィールド「高地」を始め、多岐にわたる新要素の追加と、既存要素の調整が行なわれている。また今回は、Xbox 360版が発売されてから初の大型アップデートとなり、カプコンとしてもアップデートに対して今までとは異なるアプローチが迫られることになる。
今回は「シーズン9.0」のアップデート内容と、Xbox 360版をスタートしてからの現状、さらに「MHF」のこの先の展望も含め、カプコン開発統括本部オンライン開発部「MHF」運営プロデューサーの杉浦一徳氏にお話を伺った。
インタビュー記事の前に、今回のアップデートの要素が詰め込まれたムービーがあるので、まずはこちらをご覧いただきたい。
【「シーズン9.0」紹介ムービー】 |
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■ 新フィールド「高地」は実在する高地をイメージ?
「MHF」運営プロデューサーの杉浦一徳氏。「シーズン9.0」を控える上、「東京ゲームショウ」への出展準備にも追われている最中のインタビューとなった |
――まずは新モンスターと言いたいところですが、今回は新フィールド「高地」から伺いたいと思います。こちらはどんなフィールドでしょうか?
杉浦一徳氏: 「高地」の最大の特徴は、天候変化です。今だとフィールドごとに天気の良し悪しが固定だったのですが、「高地」では最初は晴れていても、時間が経つと天気が悪くなる、といったように天候が変わります。同じフィールドでも天候のいい時と悪い時で見え方がかなり違うので、そういうビジュアル的な部分での工夫も含めて挑戦してみました。また天候変化は、新モンスター「グレンゼブル」に影響します。「グレンゼブル」がどうなるのかは楽しみにして欲しいところです。
――天候変化が及ぼす影響は「グレンゼブル」に対してだけですか?
杉浦氏: 大きな影響としては、グレンゼブルに与える影響です。天候変化そのものは、他のモンスターの狩りでも発生しますので「グレンゼブル」以外のクエストでも見ていただけます。9月29日のアップデート時点では、「グレンゼブル」以外に2頭、既存のモンスターが「高地」に実装されます。
――他にはどういった要素がありますか?
杉浦氏: 「峡谷」で「特殊自然物」としてギミックを入れたのですが、その経験をもとに、今回は「高地」に特殊なギミックをご用意しました。これをうまく使ってもらうことで、より深く楽しんでいただけると思います。
――フィールドの見所はどこでしょうか?
「高地」の見所の1つ、大瀑布。今までにないタイプの美しい風景が楽しめるのも魅力だ |
杉浦氏: 大瀑布だったり、眼下の山々を眺める風景だったりと、狩りとは別のところで見ごたえがあります。こういった新フィールドを企画する時には、毎回いろんな候補がでます。見栄えの良し悪しだけでなく、狩りをする場としてどうなのかというところも含めて議論します。今回は高低差があり、見た目にもうまく差別化できるというところから、「高地」が選ばれました。
――周囲の風景も面白いですし、頂上は急に景色が変わるなど、今までと違うものは詰め込まれていると感じました。
杉浦氏: オンラインゲームで大事なこととして、ビジュアルを見せた時に「実際にそこに行ってみたい」という気持ちを起こさせることが大事だと思っています。「高地」は自然たっぷりなフィールドで、滝があって涼しそうだなと思えますし、楽しんでいただけると思います。
――事前にいただいた資料には「某有名な高地をイメージした」と書いてありますが。
杉浦氏: 元ネタはそうです。さすがにロケ取材まではしていませんが(笑)。写真などでそれなりの資料をそろえて作っています。オリジナリティのあるステージで、開発チームが自信を持って提供しています
――「高地」には新しい小型モンスターも登場するそうですね。
杉浦氏: 「MHF」では初めてとなる、オリジナルの小型モンスターが入ります。こちらの情報を公開してまだ1週間も経っていませんが、お客様からはかなりの反応をいただいています。「エルペ」は「ケルビ」に似た印象があるので、「ケルビフェイク」のように「エルペ」の武器や防具を作って欲しいというご意見をいただいています。「ブルック」はハンターが襲うと、他の個体がリンクして襲ってくるという仕組みが入っています。
【スクリーンショット】 | |
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新モンスターの「エルペ」(左)と「ブルック」。小型モンスターながら、今までのモンスターにはない特徴を持っている |
■ 「グレンゼブル」はパワフル系モンスター。ハードコア剛種クエストも登場
荒々しい性格から「蛮竜」と名づけられた新モンスター「グレンゼブル」 |
角を地面に突き刺して攻撃する「グレンゼブル」。今までのモンスターでは見たことのないユニークな動きだ |
――では次に、新モンスター「グレンゼブル」について伺います。これはどんな特徴を持つモンスターでしょうか?
杉浦氏: 「グレンゼブル」は頭にある角が特徴的な飛竜種です。動きはもっさりした感じで、パワフルな重量級のモンスターです。既存のモンスターで言うと「グラビモス」のような雰囲気が強いです。
――イラストでは「シーズン8.0」の新モンスター「デュラガウア」に近い印象も受けましたが、PVで空を飛んでいて違いに気づきました。
杉浦氏: 「デュラガウア」のように俊敏ではなく、パワフルで1撃が重いというモンスターに仕上がっています。動きはスローだけれど当たると大ダメージというのは、「MHF」の中では珍しい部類に入ると思います。またこういうモンスターによくある特徴として、ちょっと可愛く見えるモーションがあります。そういう愛嬌も含めて、私個人は「怪獣っぽく見えるところもあるな」と思います。
――「グレンゼブル」の開発において、特に注力した点などはありますか?
杉浦氏: 手前味噌ですが、この1年近くのアップデートで入ったモンスター、特に「オルガロン」や「デュラガウア」、「ドラギュロス」は、お客様からとてもご好評いただいていて、ご要望をそんなに外していないと思っています。1番厳しいご指摘をいただいたのは「ベルキュロス」ですが、その反省を活かして「ドラギュロス」を仕上げました。そういう意味では、開発チームも反省点を次回にしっかり活かしていて、お客様からの評価を見ても私は安心もしましたし、嬉しくもありました。
あと開発において注意しているのは、ハメの存在です。お客様からも、「ガチで勝負ができるモンスターを入れて欲しい」という声をいただいていました。この1年では、かなりハメ対策を考えつつ、「ガチで狩りができる面白いモンスターを!」という方向でやってきました。今回の「グレンゼブル」も、角を使って地面を刺すなど、今までにない動きが多数盛り込まれています。今回もお客様からいただく評価が楽しみなモンスターに仕上がったと思います。
――角以外の攻撃では、水を使うようですね。使い方もPVでは色々なパターンが見られました。
杉浦氏: その辺りもぜひゲームの中で確認していただければと思います。遠距離まで届く攻撃というところが少しいやらしくて、離れていてもダメージを受けます。あとは前述のとおり、環境の変化で行動が変化しますので注意が必要です。
新たな特異個体の中では最も手強いという「テオ・テスカトル」 |
――他にも、今回は特異個体が8体も入るのですね。
杉浦氏: 特異個体は既存のモンスターが違う動きをするというところで、新鮮さや新しい攻撃モーションにインパクトがあり、とても喜んでいただけています。今回は「ダイミョウザザミ」、「ガノトトス」、「エスピナス亜種」、「テオ・テスカトル」、「バサルモス」、「パリアプリア」、「ヒプノック」、「ティガレックス」の8種類が入ります。中でも「ティガレックス」は隻眼なんです。このように今回から外見にも手を加えています。強さで言えば、ハードコア剛種クエストの「テオ・テスカトル」が1番手強いかなと思います。
――紹介ムービーにも出ていましたが、明らかにブレスの距離が長いですよね。
杉浦氏: 気づかれましたか? 恐らくみなさん、最初は即クエストを失敗するくらいの強さだと思います(笑)。ただ剛種クエストは、クエストをリタイヤしてもチケットを消費しなくなりました。試しに行ってみて、ブレスの間合いなどを見ていただきたいと思います。あと「パリアプリア」もハードコア剛種クエストで登場します。かなり強化していますので、通常のものと同じ印象で行くと危ないですね。ビジュアル的にも「パリアプリア」の特徴を表現した攻撃がありますので、1度体験していただきたいですね。体験すると相当痛い目にあうかもしれませんが(笑)。
特異個体はこれからも増やしていきます。ハードコアだとHR500以上ででないと遊べませんが、「シーズン10」ではハードコアクエスト以外でも遊べる方法も考えています。
■ 男女合計22種類を1度に実装! SR300からの「秘伝防具」
上は片手剣、下はランスの「秘伝防具」。基本は似ているが、全て独自のデザインになっている |
――PVの中で、白い装備をしているハンターが目を引きました。
杉浦氏: これは今回の目玉の1つとなる「秘伝防具」です。武器種ごとに男女それぞれ、トータル22種用意しています。これはスキルランク(SR)300から入手できます。この防具には1個1個に、武器種専用スキルを用意しています。デザインは人気の高い「エクエス」系のような雰囲気を踏襲しました。「エクエス」系のデザインはお客様に相当好まれているので、今回はそこを少し意識したデザインを採用しました。
PC版でSRを取ったお客様は、課金していただいているお客様全体の25%に達しています。SRを上げる新たなモチベーションにしていただくために、SR300に設定しました。
――これを着ている人は、その武器が大好きなスペシャリストであるということですね。
杉浦氏: そう受け取っていただければと思っています。もちろん、全部コンプリートする方も現われるとは思いますが。
――どういったスキルが付くのでしょうか?
杉浦氏: それぞれの武器種を活かせるスキルという方向で考えています。それがお客様に喜ばれるかどうか……最後は効率的なスキルかどうかという話にはなると思いますが、単純に特定の武器種を強くするのではなく、武器種ごとのSR武器を使用した時の狩りの幅を広げるようなスキル設定を目指しています。
「グレンゼブル」の防具(剣士タイプ) |
――その他の防具はどんなものがありますか?
杉浦氏: もちろん「グレンゼブル」の防具があります。今回はかなり素材を意識したデザインです。ファンタジー系の鎧が好きな方も多いですが、今回はモンスターの素材が色濃く出た、フルフェイスタイプのデザインにしてみました。
それ以外に、課金系の防具が3つ入ります。「プレミアムキット」の防具は騎士の甲冑をイメージしたデザインが入っているのですが、こういった騎士系や甲冑は人気が高く、多くの方に気に入っていただけると思います。あとは「オルガロン」防具をイメージして作ったブースターパック第7弾の色違いと、「アクラ・ヴァシム」をイメージしたフル甲冑、女性のキャラクターはお色気タイプのものが新しいブースターパックに入ります。
防具と合わせて、新たな上位スキルも追加します。「龍風圧無効」の上の「暴風圧無効」と、「耐震」の上の「耐震+2」などが入ります。それに伴い「耐震」は「耐震+1」と名称が変わります。
■ アイテムボックス検索などリファインも多数
――その他の変更点で大きなところを教えてください。
杉浦氏: 既に発表していますが、武器のレア度を修正します。「シーズン8.0」でSRの導入に合わせて、武器のレア度を一気に直しました。その中でお客様から、レア度をもう少し調整して欲しいというご意見があり、今回、一部を修正しました。ただしボウガンは強化後の性能でレア度を付けており、強化前と強化後でレア度が変えられません。この部分の仕様変更が相当難しいので、申し訳ありませんが今回は現状のままにさせていただきます。ボウガン系がSR100になってもSP武器が使えないという部分は、本当に心苦しく思っております。申し訳ございません。それ以外のところでは、上方修正に近い形で対応しています。
課金関連では、「アシストコース」という新コースを導入します。「アシストコース」を利用すると、ラスタ酒場にいるNPC「レジェンドラスタ」を雇って、自分のラスタにして狩りに出られます。「レジェンドラスタ」は相当強く、役に立つと思います。ただ、4人で狩りする時には意味がないとか、「アシストコース」を使ったから4人でやりたくないと言われては困るので、「レジェンドラスタ」を連れて行ける以外に、素材やギルド貢献ポイントが多くもらえたり、通常とは異なるプーギーも登場するといった2次的なインセンティブもかなり用意しています。
あとリファイン要素としては、本当は6月のアップデートに間に合えばよかったなと思う、かなり涼めそうな氷のマイハウス。他にはアイテムボックスに検索機能を入れました。アイテムボックスは「シーズン8.0」でページを増やしたところ、色々な物を入れたらどこに何があるのかわからないという声が上がったので、検索機能を強化しました。また変種のモンスターを中心に、肉質を少し変更しています。お客様からご意見いただいたところは、結構修正できたのではないかと思います。
■ 好調なXbox 360版。次の展開は「オンラインで無料体験」
9月29日発売予定のXbox 360用「MHF シーズン9.0 プレミアムパッケージ」 |
――Xbox 360版が発売されて2カ月ほど経ちました。現状はいかがですか?
杉浦氏: おかげさまで、「好調」、「順調」という言葉しかありません。始まる前は「PC版とは客層が違うんだ」、「1カ月でユーザーがほとんどいなくなる」、「課金の仕方や意味がわからなくて誰もやらない」など、かなりネガティブな意見が社内外の各方面から相当いただいていた時期もありました。しかし「そんなことはない!」と上司の小野(義徳氏、カプコン オンライン開発部部長)とともに強い意志で進めてきました。その結果、サービスが始まってみると非常に好調です。
プレミアムコースも初月はPC版の10倍くらい売れています。エクストラコースをご利用いただいている割合も、PC版よりXbox 360版のほうがかなり高いです。プレミアムコースが10倍売れているのは、嬉しい反面、すぐに燃え尽きないかと心配ではありますが、Xbox 360版のお客様が月額課金への抵抗がなかったのには大変驚きましたし、感謝しています。このプロジェクトに関わったスタッフの皆さんが、課金関連の敷居を低くするために相当な努力をしてくれたこともいい結果に繋がったと思います。
――今後何か予定されている施策はありますか?
杉浦氏: 体験版の準備を進めています。パッケージと同じようなケースに入れたもので、中に「Xbox LIVE 48時間無料トライアル ゴールド メンバーシップご利用コード」と、起動ゲームディスクが入っています。Xbox 360をお持ちでネットワークに接続されているお客様であれば、体験版を手に入れてインストールすれば、PC版の「トライアルコース」と同じような形で、HR2までのクエストが遊べます。体験期間の終了後は、「ハンターライフコース」をご購入いただければ、そのキャラクターで続けて遊べます。
――パッケージを購入しなくてもいいのですか?
杉浦氏: はい。ただしXbox LIVE ゴールドメンバーシップは48時間で切れてしまいますので、別途ご購入いただくことになります。その際には、店頭で販売されている「MHF」のパッケージにXbox LIVE ゴールドメンバーシップも相当な月数分が付いているので、そちらをお選びいただくのがかなりお得だとは思います。現状では約6,000円のパッケージを、いきなり購入しなければ新規のお客様が入ってこられないというハードルの高い状態ですので、これをなるべく下げようという判断から、体験版を用意することにしました。
――Xbox 360版の運営において何か気になる点はありますか?
杉浦氏: 1つだけあります。「MHF」の公式WEBサイトをあまり見ていただけていないのです。期間限定クエストやゲーム内イベントの情報はお知らせにも出してはいますが、メインはWEBサイトで発信しています。最近、ゲーム内イベントの後にアンケートを取ると、そもそもゲーム内イベントがあったことを知らなかったとおっしゃるお客様が多くいらっしゃいます。みなさんPCは持っておられるのですが、PCで「MHF」の情報を入手するという考えに至っていないようなので、そこをうまく誘導するのが課題だと思います。WEB限定でシリアルコードを公開するなどして、こういうサイトがあり、時々お得な情報が得られるということを、時間をかけてお伝えしていきたいですね。
――なるほど。ただそれ以外には、サーバーのトラブルもほとんどなく順調な様子ですね。
杉浦氏: 一切ないわけではないですが、大きなトラブルは起きていません。唯一の懸念点は、9月29日のアップデートです。Xbox 360のお客様には、「シーズン9.0」のアップデートは早めにお願いしたいですね。アップデートの総容量は150MBを超えると思いますので、インターネット回線次第では、ダウンロードに1時間かかったりすることもあります。当日はそこだけが少し心配です。
――電源を入れてゲームを遊ぼうと思ったらアップデートが始まり、終わるまで遊べないというのは、Xbox 360では初めての経験ですよね。
杉浦氏: アップデートで1日遊べなくなってしまい、イライラさせてしまうということだけが心配です。ただアップデートの容量が大きいということは、それだけコンテンツもいっぱい用意しましたということなので、そこはお許しいただきたいところです。
――以前、ネットカフェ特典をXbox 360版でどうするかという話がありました。こちらはどうなっているのでしょうか?
杉浦氏: Xbox 360限定で新しい課金コースをご用意することにしました。名称は今のところ「Nコース」になる予定です。ネットカフェの価格に合わせ、5時間1,500円くらいを予定していて、ネットカフェとほぼ同様の特典が手に入ります。マーケットプレースで購入できるサービスとして現在準備中です。
■ 「シーズン10」以降のアップデートはさらに大規模化!
――「シーズン9.0」以降のアップデート計画はどのようになっていますか?
杉浦氏: 2011年1月に「シーズン10」を実施します。「シーズン9.0」の約4カ月後に「シーズン10」が来て、春には「シーズン11」と、今までと同じペースでガンガン飛ばしていきます。
――「シーズン9.5」は予定していますか?
杉浦氏: 今は予定していません。最初は予定していたのですが、2つに分けずにまとめてやってしまおうということになり、「シーズン9.0」に全て入れました。
――「シーズン10」については特異個体関連のほか、どういった内容を予定されていますか?
杉浦氏: 新しいことを色々と入れた挑戦的なアップデートになります。予定通り行けば新スタイルも実装できそうですし、2010年に実装できなかったメインコンテンツ関連のものでお客様が望まれているものは、来年の計画に色々入ってきます。かなり大規模なアップデートを予定していますので、期待してください。お客様が増えた分、開発や運営のスタッフも増員して、1回当たりのアップデートのコンテンツボリュームを増やしていきますので、今年よりも来年のほうがさらに盛り上がっていくと思います。
「シーズン10」は既存のお客様に「より刺激」を与えて、ゲーム内イベントもマンネリ化しないよう、そしてゲーム内イベントを通じて新しい試みをたくさん提供できるようなアップデートを目指したいです。私個人としては「開発」と「運営」が一体となって提供するゲーム内イベントは、質も量も「MHF」がオンラインゲームNo.1だという自負があります。人海戦術で実施するようなGMイベントとは一線を画したものをふんだんに提供し続けていきます。
そしてその次の「シーズン11」は、さらに大型のアップデートとするべく準備中です。春は新規のお客様が1番増えるタイミングでもありますので、期待してください。
■ 「MHF」3周年を迎えて
早くもサービス4年目に突入した「MHF」。しかし杉浦氏は「まだまだこれからが本番」といった様子だ |
――「MHF」もサービス開始から3年が経ちました。振り返って、何か思い出はありますか?
杉浦氏: その都度お話ししているので新しい話はありませんが、総括して言えるのは、スタッフが1つにまとまって、より強固なチームになっていけたということです。1年目はご迷惑をかけたオープンβがあり、2年目はハンゲームでのチャネリングが立ち上がりました。3年目は表向きには何もありませんでしたが、水面下ではXbox 360版の企画が動いていました。ほぼ1年ごとに何かしらのプロジェクトがありましたので、来年、再来年もきっと大きなプロジェクトがあると思います。
そういう新しい試みに対して、「またか……」と疲れるのではなく、「よし、やってやろう!」と思えるお祭り好きなタイプのスタッフが、この仕事に適正があると思います。この3年の運営チームを振り返ると、そういうスタッフが集まっているからここまでやってこられたかなと思います。この3~4年で作った歴史の浅い組織ですから、ドジを踏んだこともあります。しかし、いいスタッフが集まったことで、着実に結果を出してきたのも確かです。この3~4年のエピソードはそこに収まりますね。
――スタッフ募集のアピールみたいですね(笑)。
杉浦氏: 今、スタッフを募集していますので、我こそはという方はぜひいらしてください(笑)。毎日のようにトラブルが起きても、お客様からたくさん叱咤されても、そんなことではへこたれず、向上心を持ち続けられる方をお待ちしています。オンラインゲームの運営では、お客様には見えないトラブルも含めて、内部では毎日のようにトラブルだらけです。ほとんどが外的な要因ですが……でも、そこでいじけてはいけません。胃は痛いですけれど(笑)。
――あと、年末にかけての企画やイベントなどがあれば教えてください。
杉浦氏: ゲーム内イベントについては、イベントチームを発足させ、ここ半年ほどで彼らが経験を積んだことで、かなり攻めのイベントに変わりつつあります。そういう意味で、年末年始も何か思い切ったことをやりたいと思います。先日、昨年のお正月の限定配信クエストを再配信したところ、いきなり今年最高の同時接続数を記録しました。その後も数字は下がらずに遊んでいただけて、そのうちに狩人祭が始まってと、アップデート後3カ月を過ぎても高い同時接続数を維持しています。「シーズン10」はそういったいい結果をうまくノウハウとして蓄積し、ゲーム内イベントを強化していきます。
狩人祭でも、新鮮味を出そうと工夫しています。1つの試みとして、9月の狩人祭は勝ち組・負け組がなく、運営チームが設定したノルマの入魂数を超えられるかどうかを争う形にしました。他にも狩人祭のボーナス試練が美味しすぎて他をやらないという話が出ているので、ボーナス試練をなくして、通常の入魂数を2倍、3倍の値にすることで、日頃の試練をどう活かすかも考えています。「ボーナス試練を探すのも楽しい」という声も忘れずに、そこはそこで別なご提案ができるように企画中です。
他にもゲーム内イベントに関しては、いろんな企画を考えています。すぐにはできないと思いますが、韋駄天杯の第3種目も考えたいです。ゲーム内イベントはオンラインゲームの継続プレイの基礎だと思っていますので、今まで以上に質を上げ、バリエーションを増やす努力を続けています。新たな要素を増やすにはシステムのカスタマイズ性が要求されるので、イベントチームにどんどん提案させて、「シーズン9.0」以降のアップデートに入れていきます。来年はゲーム内イベントのカスタマイズ性は相当強化されるはずですし、自由度が上がった分だけスタッフの力量が問われるので、イベントチームも本領発揮できると思います。またそのための武器を与えてくれる開発チームの努力のすごさも「MHF」のウリです。
――では最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。
杉浦氏: まずXbox 360版では初めての大型アップデートになります。ディスクに入っていなかったコンテンツが増え、昨日まで体験できなかったことが、アップデート後に体験できるということを、現実として体験していただきたいです。新フィールドや新モンスターが増えるというのは、ダウンロードコンテンツを1つ落としてくるのとは全然違うボリュームだと思います。大型アップデートとはこういうものなのだなと経験していただければ、「シーズン10」やそれ以降も「MHF」の大型アップデートのすごさをイメージしていただけると思います。
4年目に入るPC版には、ハイエンドなコンテンツを遊んでいただいているお客様もいらっしゃれば、まだミドルの方、カジュアルに遊んでいらっしゃる方もおられます。そのニーズを埋めていくことが、我々の課題だと思っています。今回は22種類の「秘伝防具」を始め、HR22から新モンスターを遊べるようにしたり、ミドルレンジのお客様に向けてモンスターの肉質を見直したりと、幅広いニーズに対応することに取り組んだという一面もあります。
お客様が増えたことで開発スタッフも増え、増えたスタッフが今まで見落としていた、あるいは手を付けられなかったところにも着手し、1アップデートごとのボリュームも着実に増えてきています。「シーズン10」、「シーズン11」では、間違いなくボリュームの多さを体験していただけます。これからの展開にも期待していてください。
――ありがとうございました。
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(2010年 9月 24日)