インタビュー
M2 Shot Triggers「弾銃フィーバロン」インタビュー前編
19年ぶりの“フィーバー!”ディスコサウンド彩る異色のSTGが本日配信!
2017年4月28日 00:00
往年の名作をこだわり満載に蘇らせる、エムツーのSTGブランド「M2 Shot Triggers」。その第2弾、プレイステーション 4用シューティング「弾銃フィーバロン」がついに本日配信! 1998年のアーケードシーンに突如としてディスコサウンドや「フィーバー!」のシャウトを響き渡らせたハイテンションシューティングが、19年ぶりに初の家庭用移植を叶えて復活する。
配信に合わせ、第1弾の「バトルガレッガ Rev.2016」同様に今回もエムツーにてインタビューを行なわせて頂いた。ご参加頂いたのは、エムツー代表取締役の堀井直樹氏、M2 Shot Triggers シリーズディレクターの長野敦也氏、「弾銃フィーバロン」ディレクターの久保田和樹氏、「弾銃フィーバロン」プログラマーの福井将之氏。
今回も“移植への苦労話や裏話”、“こだわり”のエピソードをたっぷり伺ったので、インタビューは前後編にわけてお送りしていくこととなった。前編となる本稿では、移植の経緯や、収録しているゲームモード&BGMセット、M2 Shot Triggersシリーズの特徴と言えるM2ガジェットなどの魅力について、お伝えしていこう。
なお今回は、「弾銃フィーバロン」というゲームのポイントをお聞きするべく、全国1位ハイスコア記録保持者(2017年4月25日現在)のプレーヤー「PAL」さんにも、ご参加頂いた。PALさんにはインタビュー前編でも今回の移植への感想などをところどころで伺っているほか、インタビュー後編では、「弾銃フィーバロン」というゲームの魅力やプレイのポイント、スコアラーとしての取り組みなどをお聞きしたので、その内容をお伝えしていく予定だ。
実は8年前から温められていた「弾銃フィーバロン」家庭用機種への移植
【弾銃フィーバロン】
1998年、彗星のごとくアーケード用シューティングゲームとして稼動された「弾銃フィーバロン」。今では弾幕系シューティングの代名詞とも言えるケイブが開発した作品だが、本作はSTGの原点である「撃つ」、「避ける」、「稼ぐ」に回帰し、爽快感とシンプル性を追求した非弾幕系のハイスピード縦スクロールシューティングゲームとなっている。
ディスコ風サウンドにミラーボール、ダンサーが踊り狂うボンバー、独特過ぎるほどに独特なストーリーラインなど、他にない味わいの世界観を持つ。
一方で、敵の撃つ弾の速度が速く、プレイにおいては「パターン構築からのスピーディーな敵撃破」、敵を素早く撃破することで追加の敵を出現させていく「早回し」の要素があり、スコアアタックはそれらをギリギリにこなしていくことがポイントになるなど、骨太な醍醐味を備えている。
――シューティングの移植シリーズ「M2 Shot Triggers」として発表されたのは、ちょうど約1年前のことでしたよね。
堀井氏:そうですね、ちょうど1年前のケイブ祭りでした。そこでは今冬に発売予定とお伝えしていたのですが……。そのときは冬には全然間に合うというか、2016年の6月ぐらいにはかなりできていたので「これは楽勝だな!」とすら思っていたんですけど。
昨年は「バトルガレッガ」が20周年というタイミングでもあって、「バトルガレッガ Rev.2016」を遅らせるわけにはいかないということになり。申し訳ないですが「バトルガレッガ Rev.2016」を優先する形にしました。
長野氏:本当は「バトルガレッガ Rev.2016」と「弾銃フィーバロン」を去年の年末に同時に発売する予定だったんですよ。
堀井氏:そうなんです。ただ遅れたぶん、「バトルガレッガ Rev.2016」に加えたモリモリの仕様を全部「弾銃フィーバロン」にも載せることができました。
久保田氏:オプションの項目などは「バトルガレッガ Rev.2016」より多いですね。
――「バトルガレッガ Rev.2016」の発売前にも、「弾銃フィーバロン」の画面は公開されていましたし、その時点でも結構進んでいたんですね。1年前から進め、あいだに「バトルガレッガ Rev.2016」がありつつ、それが一段落してからとすると……「弾銃フィーバロン」に集中したのはだいたい半年ぐらいというところですか?
堀井氏:本格的に仕上げていったのは、「バトルガレッガ Rev.2016」の後からで2017年に入ってからですね。「バトルガレッガ Rev.2016」の発売後にそのアップデートを作って、そこから「弾銃フィーバロン」に集中していったというぐらいです。
福井氏:2016年の前半戦では“原作の再現度”の部分を終わらせていて。2017年になってからの後半戦は“追加モード”を入れていったという感じですね。
堀井氏:やっぱり頭にあるのは、「アーケード版をそのままに出して、プレーヤーの皆さまに満足して頂ける遊びを提供できるだろうか」というもので。「弾銃フィーバロン」はかなりピーキーなゲームなので、アーケード版の面白さを理解していただけるような、アーケード版への道を繋ぐようなモードを作りたい、という意識が福井にあったんです。「SUPER EASYモード」の存在などがそうですね。
――このインタビューの前にSUPER EASYモードでプレイさせて頂きましたが、実は「弾銃フィーバロン」についておおまかな知識はあれど、まともにプレイするのはほとんど初めてだったんです。でも、ノーコンティニュークリアできましたね。スーパーイージーは初見でもクリアできるぐらいの難易度というのが実証されました(笑)。
福井氏:初見で残機5クリアはなかなかの好成績ですね!
――それはおそらく「バトルガレッガ Rev.2016」をプレイしたおかげですね。だいぶ鍛え直されたので……(笑)。
久保田氏:プレイすることでちゃくちゃくと腕が上がっていく、我々の狙い通り!
全員:(笑)。
――それでは、今回の移植のそもそものところをお聞きしたいのですが。こういう言い方はあれですけど、なぜ「弾銃フィーバロン」を選んだのでしょう?
堀井氏:それ、いろんな人に言われるんですよ(苦笑)。発表当初にある個人ブログを読むと、「エムツーというそれなりに名前を上げてきた会社が、なぜコンシューマーデビューの第1弾に『弾銃フィーバロン』を選ぶのか?」というようなことを書かれていて本気でずっこけたんですけど(笑)。まぁ、自分が外の立場で見てたら同じように思うんだろうなとは思いますが、単純にこれはもう「好きだったから」としか言いようがないです。
アーケード稼動当時、友人が毎週のように「弾銃フィーバロン」のスコアに挑んでいたのですが、システム的にとてもピーキーなゲームで、それこそサイボーグ兵士を1人取り逃すだけでもう、全国レベルのスコアは狙えなくなるんですよね。友人はいつも全国1位にはなれず、2位ぐらいのスコアを出して、くずおれていたんです。その悶絶っぷりを見て興味は持っていたんですけど、自分でアーケードでプレイするのはさすがに大変そう。なので、いつか家で遊べるようにしたいなって思っていたんですよ。
それから時が経って、2010年に開催されたケイブ祭りでXbox 360コントローラーで動く「弾銃フィーバロン」の存在が公開されたのですが、エムツーとしてはその頃から手をつけていたんですよ。ケイブさんに「弾銃フィーバロン」移植の話を最初に持ちかけたときの書面にはプラットフォームはPS3と書かれていたんですよ。
――思い入れは約19年前、移植の手付けは約8年前……ということですよね。長い話です(笑)。
久保田氏:うちの会社は「長く温めていました!」っていうものが多いですからね(笑)。
――そういう思い入れや経緯から、発表としてはM2 Shot Triggersの第1弾に「弾銃フィーバロン」が登場したというわけですね。
堀井氏:昨年に「弾銃フィーバロン」移植を発表したときのケイブ祭りは、なにしろお祭りですし、何かしら発表したかったんですよね。エムツーとしては「バトルガレッガ」と「弾銃フィーバロン」の両方を作っているものの発売時期は決めかねていたというところだったのですが、お見せできるものもあるし、ケイブの「弾銃フィーバロン」を発表して欲しいという話になって。
それで「弾銃フィーバロン」を先に公開したという流れになりましたが、発表する機会が先にあっただけで「弾銃フィーバロン」がシリーズ第1弾というわけではなかったんですよ。
長野氏:先ほどもありましたけど、同時発売の予定でいましたからね。
福井氏:発表から1年、お待たせ致しました。
久保田氏:本当にお待たせ致しました。
堀井氏:去年の6月の状況を見たら「冬発売は楽勝でしょ?」ってみんな思うから!
長野氏:いや思わないよ!
堀井氏:6月の時点で「バトルガレッガ Rev.2016」の仕様があそこまで増えるとは思ってないし! 収録するサウンドとかモードを作ったりとか!
長野氏:まぁ、モードはね。ほら、福井くんが来てくれたからさ(笑)。
堀井氏:今日参加している福井は、元々SE系の仕事をしていたのですが、ゲーム業界に来たかったという人で。そんな彼がうちにきて自分の理想を突き詰めていった結果「バトルガレッガ Rev.2016」の仕様が盛り盛りになっていったんですよ。
長野氏:確かにね。あの段階ではここまでになるとは思ってなかったね。
堀井氏:でしょう? だから6月の時点では冬発売は楽勝だと思ってたんですよ。福井くんがハードルを上げたんだ!
福井氏:えぇっ! ハードル上げたのはみんなも一緒じゃないすか(笑)。
久保田氏:いやいや、人のせいにしないでくださいよ(笑)!
全員:(笑)。
堀井氏:いやこれはね、否定的な話ではなく肯定的な話だから!
――いろいろこだわりができて、それはその人のせいでもあるけど、結果いいものになった(笑)。
堀井氏:そう! お待ち頂いたぶんいいものになったんですよ。
長野氏:「弾銃フィーバロン」は「バトルガレッガ Rev.2016」以上にいろいろと詰め込んだものになりました。それこそ昨年の6月頃にはどちらにも「SUPER EASY モードをつけよう!」というのはあったんですよ。でもそこから「ガレッガはプレミアムモードも作ろう!」ということになっていって。
福井氏:そこから全国レベルのプレーヤーさんに来て頂いて、いろんな意見を聞いて調整を突き詰めたりもして。いろいろありましたね。
久保田氏:いろいろありましたねー本当に。配信の直前まで作り込んでいましたから。
堀井氏:来て頂いた人は当たり前だけど、みんな好きなんだよね。その熱に当てられるところは毎回ある。ある意味、外から奧成さん(※セガの奥成洋輔氏)的な人が来るような感じはあるんですよ。
――話すと笑顔で仕様が無茶振りされて、でも納期は守ろうねという。
堀井氏:奧成さんは無茶振りだとわかっていつつも、でも言えばやるよねっていう読みがあり、納期も想定しているわけですけど、プレーヤーさんはそういうのではなく作品が好きな気持ちからの屈託のない意見ですから。ただ、その一言で3カ月(納期が延びるほどの作業が発生する)っていうこともあり得る。
――そういう意味でも「バトルガレッガ」はヘビーなタイトルだっただろうなと思えます。一方で「弾銃フィーバロン」はいろいろ遊びを思いついて、あれもこれもとなりそうなイメージがありますね。
久保田氏:世界観としても「バトルガレッガ」はすごく硬派でしっかりとしていて。私たちが下手に手を加えるとそれを崩してしまうというところがあるので、ナーバスに扱っていたんですよね。でも「弾銃フィーバロン」は逆で、どうとでもできるという。
――求められているところもそんな感じがありますよね。
久保田氏:ケイブさんにもいろいろと「こういうことをしてもいいでしょうか?」とビクビクしながらお伺いを立てたんですけど、「なんでも好きにやっていいですよ-」っていうありがたいお話で。その結果、「こんな形になりました、お待たせしました!」という感じになりました。
アーケード基板の独特な挙動を再現すべく、手付けでチューニングを重ねていくベース部分の移植
――移植についてですが、ベースのアーケードモードは去年の6月にはできていたということですが、そのベース作りの難易度や苦労はいかがでしたか?
長野氏:うーん、移植のベースは先ほどあった8年前に手をつけていたものからあるんですよね。それをPS4に持ってくること自体は、それほど手間ではないです。ただ、そこからが本番で、「バトルガレッガ Rev.2016」のように基板の挙動を再現するチューニングをたくさん行なっていますね。
堀井氏:なんだかんだでそこに時間がかかりますね。同じ基板のゲームを何作も移植していけば、そこは多少は楽になるんでしょうけど。VDP(基板内にある映像表示系のチップ)の仕様が違っていたり、フレームレートが違っていたりするので、そのあたりを全部やり直していく感じになりますね。
――なるほど。「弾銃フィーバロン」の基板に関してはあまり知られていないというか、お店の人以外にはちゃんと知っている人がいなさそうです。
堀井氏:確かに。この基板は他社にもライセンスしているのかな?
長野氏:何種類か出ているよね?
久保田氏:「魚ポコ」が、近い仕組みの基板ですね。
堀井氏:そうか、じゃあ「魚ポコ」の移植は楽かもしれない! ショットしないけど。
――(笑)。ちょうど過渡期の基板ですよね。
長野氏:切り替わる頃のものですねー。
堀井氏:あのへんの基板とかATLUS基板があって、「怒首領蜂大往生」とかはPGM基板を使って、その後からケイブさんは自前の基板に移行という流れでしたね。「弾銃フィーバロン」から数年すると独自基板になっていくという、まさに過渡期の基板です。
――VDPの挙動を再現するのがやはり大変ですよね。
福井氏:そうですね、表示系の作業は重かったところじゃないでしょうか。例えば“ちらつきの再現”ですね。
長野氏:キャラクターオーバーでのちらつきですね。最初にベースができたという段階だと、そういうのは起きない状態です。
久保田氏:あのゲームはアーケード版を結構プレイしていたんですけど、いろんなところでちらつくんですよね。わかりやすいところだとステージクリア時にドカーンと大きくスコアが表示されるんですけど、そこもちらつくんです。でも、移植したベースの状態ではちらつきがなかったので、プログラマーにそれを話してお願いして。そこから「バトルガレッガ Rev.2016」でもやっていましたがアーケードとの比較動画を作って、フレームずれなども含めてチェックを重ねていきました。
――やはりそのあたりを再現していかないと“似て非なる物”みたいになってしまいますよね。
堀井氏:今日来て頂いたPALさんぐらいの人がプレイされると「なんか違うんじゃない?」って確実に言われてしまいますよ。
PAL氏:今日プレイさせて頂いた限りでは大丈夫だと思います!
堀井氏:ありがとうございます! もう「そういうところをやらないと」っていうのは社内でも周知されているので。そういう意味ではやることはいつもどおりで、すんなり進められるようにはなっています。
長野氏:ただ、そういうところをどんどん付け足していくと処理負荷が増えていくんですよ。
――なるほど、オリジナル版だと自然発生していたものを、あえて別に用意して加えていくわけで、ゴテゴテしていくわけですね。
長野氏:そうなんです。そういう負荷が増えていくこととの兼ね合いがあるんですよ。
福井氏:処理負荷との戦いはもう大変でしたね。特に反応速度を上げるところが今回もまた大変でした。担当プログラマーが苦労していました。
――反応速度やフレームレート周りですと、アナログでフレームがスムーズに通っていたものがデジタルになって間に挟まるものも増えて、それらひとつひとつでズレが加わって。処理の流れからして今の環境とはまったく違いますよね。
堀井氏:増えましたねー。やっぱりNTSC信号最高ですよ!
全員:(笑)。
――やはりエムツーさんの移植作のポイントはそのあたりですよね。自動的な変換ではできない手付けの作業がたくさんあって、「弾銃フィーバロン」もやっぱり大変だったということで。
福井氏:手付けの作業と、そこからの調整があって。作っては検証して、それを調整してまた検証して、という過程を何度も経ていきます。その時間だけでも合計すると1~2カ月ぐらいはあったかなというところです。
長野氏:そのあたりのアーケード挙動の再現も含めて、「弾銃フィーバロン」と「バトルガレッガ Rev.2016」を並行して進めていたんですよね。でも、「このままだと『バトルガレッガ Rev.2016』は今年中に間に合わないぞ」となって、「弾銃フィーバロン」を1度ストップして「バトルガレッガ Rev.2016」に全員参加してもらいました。
久保田氏:「バトルガレッガ Rev.2016」に全員投入でギリギリでしたからね(苦笑)。
長野氏:「バトルガレッガ Rev.2016」はM2 Shot Triggers用のUIとかも全部1から作りましたから、その辺りも含めると同時進行では間に合わない、となって。でも、「バトルガレッガ Rev.2016」ベースに作れるので、「弾銃フィーバロン」は早く出来上がったんですよ。
堀井氏:「早かった」って言っても、待っていたユーザーさんには全然伝わらないから! 遅れてるから!
長野氏:いやまぁ、開発的にはすごく早いペースで作れたということで(笑)。
――逆に、そのまま同時進行で無理に2つを作っていたら、それぞれに違いが出ちゃっておかしな結果になっていたかもしれないですね。
久保田氏:そうですね、共通するところなのに片方はちゃんとしていて、もう片方は変なことになっているとか、そういう歪さが出ていたと思います。
堀井氏:あとは、もし同時進行を貫いていたら、それぞれの仕様を削っていただろうね間違いなく。
久保田氏:そうですね、そういう意味ではお待たせしてしまいましたが今の順序でリリースできたのは良かったと思います。
3つのゲームモード+たっぷりのカスタム項目を搭載!「FEVER モード」のコンセプトは“景気良く”!
――今回収録しているゲームモードについて教えてもらえますか? まず「ARCADE モード」はもう、アーケードを忠実に再現したものということですよね。
福井氏:アーケードの仕様そのままに楽しめるゲームモードになります。
――「SUPER EASY モード」は、シューティングを遊び慣れている人なら楽々にクリアできるぐらいの難易度ということで。
久保田氏:基本的な難易度が低いだけでなく、“セーフィティーライン”というものを画面の下の方に用意していて、そこの中にいると敵の弾が当たったときにオートボンバーが発動します。あと、サイボーグ兵士に触らずとも近づくだけで吸い込むようになっているので、取りやすくなっていますね。
――それでも「SUPER EASY モード」でもランクは上がるようになっているんですよね。
久保田氏:そうですね、「SUPER EASY モード」で遊び初めて上達してきたら、少しずつ歯ごたえも出てくるようにしているんです。
――次は「FEVERモード」ですね。やはりこれが気になるところですが。
福井氏:「バトルガレッガ Rev.2016」でのプレミアムモードにあたるものですね。
久保田氏:エムツー独自の解釈によるまったく新しいモードです。「弾銃フィーバロン」なのか、そうでないのかわからないぐらいの、ルール的にはかなり「弾銃フィーバロン」から逸脱した内容になっています。
“フィーバー”という名前のとおり、パチンコなどで言われるたくさん稼げるフィーバー中というものをモチーフにしています。SUPER EASY モードにもある「セーフティーライン」があって、その中で被弾したときにはオートボンバーが発動するのは同じなのですが、違いとしてライン内にいるとサイボーグ兵士が自機に向かって飛んできます。回収しなくていいんですね。
あと、ライン内にいるだけで、素点ことサイボーグカウンターベーススコアが0.5秒ごとに1上がっていくという要素もあります。
そのライン以外の要素で「FEVERモード」全体のポイントを一言にまとめると“サイボーグ兵士がジャラジャラ出てきて滅茶苦茶スコアを稼げる”というものになっています。
例えば、原作アーケード版では、モタモタしていると敵を倒してもサイボーグ兵士が出てこなくなったりするんですよね。そういうところも必ずたくさんサイボーグ兵士が出てくるようにしていたり。SUPER EASY モードもそうしています。
そういう調整をたくさん行なっていて、福井には「とにかく景気よくしてくれ!」と手を加えてもらいました(笑)。
福井氏:コンセプトは「景気よく」ですね(笑)。
久保田氏:あとは……「FEVERモード」プレイ開始前の説明文にも、なにやら思わせぶりなことが書いてありますが……。セーフティーラインが消えることがあります。消えるとどうなるのかは……お楽しみください。
堀井氏:「君、ゲーム上手いよね!」っていう。
――また、「バトルガレッガ Rev.2016」のときの楽しいプレーヤーいじめみたいなことが!
全員:(笑)。
福井氏:今回はいじめないです!大幅に変えてあります。
久保田氏:ですね、今回のは“ご褒美”に近いような。
福井氏:「バトルガレッガ Rev.2016」の裏が“敵の攻撃のリミッターが外れる”という感じなら、「弾銃フィーバロン」の裏は“稼ぎのリミッターが外れる”という感じですね。
久保田氏:あんまり難しさは変わらないですね。
堀井氏:より稼げるように。
久保田氏:セーフティーラインが消えるというのが稼ぎのスイッチというか合図みたいになっています。
――セーフティーラインが消えるということは、オートボンバーが無くなっちゃったりするんですか?
久保田氏:逆に、オートボンバーはどこでも発動するようになるんです。
――おっと、そうなんですか。ということはメリットしかないような?
長野氏:でも、裏に入ってからはある意味、オートボンバーは稼ぎのペナルティとも言えるものになるんですよ。
久保田氏:オートボンバーが発動すると、サイボーグカウンターベーススコアが1割ぐらい落ちるんです。なので、裏で稼ぎを狙うなら被弾しないことが基本にはなります。一方で、オートボンバーがどこでも発動するのでアグレッシブな“張りつき(画面上に張りつき、敵に密着してスピーディーに倒す)”もやっていけるというところもあり。そういう挑戦的なモードになっています。
いろんな条件でセーフティーラインが出たり消えたりするんですけど、ラインがあるときはセーフティーゾーンの中で戦って頂くのがベストなんじゃないかなとは思います。
福井氏:やりたかったことを大雑把に言うと、ラインの出ている表のときには画面の下の方にいてこのゲームの基本を身につけて欲しい。それで余裕が出てきてラインが消えて裏に入ったら、今度はパターンを覚えてもらったうえで画面上での張りつきなんかにも挑戦してみて欲しいんです。
表では敵の攻撃を避けつつ撃つ基本の面白さを、裏では張りつきや稼ぎの面白さを知って欲しい。そういう学びと気づきを表と裏でわけています。
久保田氏:ある意味、表はSUPER EASY モードに近くて、セーフティーラインが消える裏は免許皆伝のような。「あとは自分の腕で稼いでいけ!」みたいな感じで。そういったところを狙いにしていますね。
福井氏:「FEVERモード」に隠されている裏を見つけて、ぜひフィーバーして欲しいですね(笑)。
久保田氏:スコアを狙うという人がやり込むと、きっと最終的には「これは別ゲーだな!」っていう印象を持たれると思います。とんでもないゲームに変貌しますので(笑)。
――楽しみですね。でもまぁ「バトルガレッガ Rev.2016」のプレミアムモードに裏がありましたし、もはやお約束感もあるかもしれません。今回もきっと何か仕込んであるに決まっていると(笑)。
久保田氏:確かに。「バトルガレッガ Rev.2016」は完全にノーヒントで搭載していましたけど、今回は「FEVERモード」プレイ開始時の説明で匂わせていたりもしますので、それなりにもう「もうわかってますよね?」みたいな感じにはなってますね(笑)。
福井氏:SNSでも「『弾銃フィーバロン』にも裏ありますよね?待ってます」的なお声を頂いてますので(笑)。
久保田氏:今回も強烈なものが入ってます!
カスタムモードの中には「SPEEDY」というモードも。アーケード版クリアへの道を歩める
――残るゲームモードは自由に設定する「カスタム」ですよね。(カスタム用のベース設定を切り替えつつ)……あれ?見慣れないものがこんなところに。この「SPEEDY」というモードはなんでしょう?
福井氏:それは実はですね、カスタムモードの中にある派生モードというものなんです。
――これは、気づかない人もいそうなところに入ってますね(笑)。
久保田氏:そうなんですよ(笑)。まず「SPEEDY」についてご説明すると、難易度的には「FEVER」よりもアーケード寄りで難しいです。アーケードの練習になると思います。弾のスピードが速くて、ノーミスで進行していくとアーケードと同じになっていきます。
――なぜメインのゲームモードには入れなかったのでしょう?
福井氏:「SPEEDY」はどちらかというとアーケード練習用の補助モードに近いというか。カスタム設定をひとつひとついじるよりも手っ取り早く練習できるセットを入れたという感じに近いですね。
――なるほど。メインではない場所とはいえこのモードを入れたというのには、なにかしらの意図や考えを感じますね。
福井氏:「SPEEDY」は「FEVER」とは違った、アレンジのもうひとつの方向性というところがありますね。「FEVER」はアーケードよりも敵の弾速をだいぶ遅くしているんですよね。そうすることで弾速の速いボスの攻撃も見えるようにしています。でもそうすると、アーケードの練習としてはもう少し速いモードも欲しいという気持ちにもなるんですよね。
原作に対してのアレンジの方向性として、弾速を遅くさせつつ盛り込んでいる「FEVER」と、よりアーケード寄りの弾速になっている「SPEEDY」とは別々の方向性だなと思っていて。アーケードの練習をしていくための方向性が「SPEEDY」ですね。
「虫姫さま」で例えると、「FEVER」は「マニアック」モードなら、「SPEEDY」は「オリジナル」モードみたいな。強引な例えではありますが。
久保田氏:「FEVER」は弾速は遅いですけど、弾の数や敵の配置はアーケードと同じなので、そういうところを知っていくのにいいと思うんですよね。一方で「SPEEDY」での弾の避け方はアーケードに近くなるので。両方を辿っていくと、いずれアーケードもクリアできるようになるかも、というバランスで入れてあるという感じですね。
福井氏:難しさの段階で言うと、1番簡単な「SUPER EASY モード」、次に「FEVER モード」の表裏でプレイの醍醐味を楽しんでもらって、その次は弾が速い「SPEEDY モード」、1番最後に「ARCADE モード」があるという。そういう順番でプレイしてもらうとアーケードモードも上達していきやすいかもしれないです。
たっぷりのカスタマイズ! 弾速MAXのオリジナル設定「グラッチェ・愛の裁きモード」も
――先ほど「OTHER SETTINGの項目がかなり多い」というお話がありましたが、見せてもらってもいいですか?(項目を見て)……わぁー多い(笑)。
堀井氏:もう多すぎの境地だと思うし、初めての人は面食らうと思うので。なんとかしたいんですけどねー。
久保田氏:「スタッフロール表示の再現」とかもあります。基板でのスタッフロールだとシルエットが1回だけ表示されるんですけど、内部的には6回表示されているんです。ただ、黒い背景に黒いシルエットを表示しているので見えないんですよね。
――なるほど、「本当はこういう見せ方をしたかったんだろうな」を再現できるというわけですね。
福井氏:「グラッチェの無敵ON/OFF」なんかもデフォルトの設定だとボンバーを撃つまで無敵なんですけど、そこも設定で切れるように。グラッチェとガチバトルができます。
PAL氏:魚太郎でも戦える! 人によっては激アツな話ですね。
久保田氏:魚太郎はボンバーがないのでグラッチェの無敵を解除できなかったですけど、この設定を使えば戦えます。
――本当にがっつり詰め込まれてますねー。この「グラッチェ・愛の裁きモード」というのは……?
久保田氏:これはですね……(笑)。
福井が締め切り間際に入れた“とんでもなく難しいフィーバロン”です。「弾銃フィーバロン」はランク(難易度上昇)の仕組みがありますが、それがもう最初から最高の状態でプレイできるというものです。
PAL氏:ノーミスでプレイしていった終盤のような状態ですか?
久保田氏:それよりも難易度が上がります。「弾銃フィーバロン」で1番ランクが上がるのは「サイボーグ兵士を取り逃す」ということなんですね。なので、ノーミスMAXの難易度にサイボーグ兵士取り逃しのランク上昇も最大になったものを、最初から遊べるという機能になってます。
そうすると、スタート時点から弾速が通常の倍ぐらいになるんですよ(笑)。
PAL氏:それは……ちゃんと遊べるゲームになるんですか?
全員:(笑)。
長野氏:でも結構、面白かったんですよね。
久保田氏:面白いぐらい弾が速いです(笑)。ちなみに一部の敵は内部的にいじってあって、より強烈な攻撃をしてきますので。
堀井氏:でもこれを上手いこと遊ぶと脳汁出るんでしょう?
久保田氏:いろいろ設定をいじって、例えばエクステンド設定を100人とかにすると、バンバン1UPが出て、バンバン死につつも突き進んでいくみたいな遊び方もできて、普通とは違った面白さになりますね。
PAL氏:「グラッチェ・愛の裁きモード」というネーミングを考えるのも大変そう。
久保田氏:福井と2人で公式サイトを見ながら「なんか良い言葉ないかなー!」って探してましたね(笑)。グラッチェ提督がストーリー中に「愛の裁き」という言葉を使っているのでそこからですね。彼はラブラブファイターで、そもそもこのゲームのストーリーは「妻との会話を邪魔された」っていう理由で始まっていたりと、設定がいろいろとユニークです。そういうニュアンスを汲み取りつつ、好き勝手に作り込んだという感じですね。
――「バトルガレッガ Rev.2016」同様に、基本のオプション設定もかなりあって、それと別にOTHER SETTINGも多数あって。徹底してカスタムできますね。
久保田氏:オプションが23項目、さらに特殊なOTHER SETTINGは19項目ありますね。オプションは「FEVER」や「SUPER EASY モード」といったゲームモードの設定に組み込まれているものですね。
福井氏:カスタムモードでSUPER EASYモードをベースに、「グラッチェ・愛の裁きモード」でプレイする……ということも可能です。
BGMセットは4種類収録!chibi-techさんの「VIP ARRANGE」、春日氏による“東亜っぽく”を追求した「FM ARRANGE」は必聴!
――BGMセットについてお聞きしたいのですが。「ARCADE」、「VIP ARRANGE」、「FM ARRANGE」、「SOUND TRACK」とありますが。
堀井氏:今回の「弾銃フィーバロン」ではBGMセットに、弊社のサウンドクリエイターのChibi-Techがリミックスした「VIP ARRANGE」と、同じく弊社サウンドクリエイターの春日達彦によるアレンジで、このゲームが「東亜プラン」のテイストに近い作品なので 「東亜プラン」の基板で「弾銃フィーバロン」の曲を鳴らしている「FM ARRANGE」を収録しているんですよ。
PAL氏:東亜プランというと「究極タイガー」とかあのへんの……?
堀井氏:もう少しあとの「ゼロウィング」あたりの基板の音源を使っているんですけど、基本的には同じですね。OPL2(YM3812)です。
久保田氏:東亜プラン風アレンジをちょっと鳴らしてみましょうか……! これがアーケードの1面の曲ですが、これを「FM ARRANGE」にすると……
――あぁっ! これはもう“いかにも東亜プラン”っていう感じがしますね。
久保田氏:全曲をこのテイストで書き下ろしているんですよ。このBGMでゲームをプレイすると“なにかをいろいろと彷彿とさせる”ものがあります(笑)。
福井氏:春日が東亜プランサウンドを研究し尽くしてアレンジしていますので。
久保田氏:キーワードは“東亜っぽく”ですね(笑)。FM音源で音楽を作るだけなら簡単なんですけど、“東亜っぽく”というのが難しかったようで、すごく苦心してましたね。
堀井氏:「弾銃フィーバロン」というゲームは、東亜プランという会社がまずあって、そこからケイブへと何人かが移って、ケイブでシューティングゲームを作っていった過渡期の作品なので。触って遊んでいる感覚には東亜プランっぽさがあるんですよね。そこで曲の方でも“東亜っぽく”をやってみたというところで。
――「FM ARRANGE」は新規で書き下ろしているということですが、PCMのデータを参考にしつつアレンジしていって……というような作り方だったんですか?
長野氏:耳コピですね。
堀井氏:元のゲームのサウンドがストリームなんですよ。しかも容量節約のためにモノラルで鳴っていて。それに20年近く前のゲームですしデータもなく、サウンドトラックのCDしか残っていないということだったので。基板からの音とサントラを元にアレンジを作っています。
せっかくですしchibi-techがリミックスした「VIP ARRANGE」も聴いてもらいましょうか。
久保田氏:かなり“今風”に仕上がっています!
――(1面の「恋のダンシング・ボンバー」VIP ARRANGEを聴きつつ)これもいいですねー、まさに豪華な「VIP」というテイスト。chibi-techさんの活動的にもマッチしている感じがしますね。
久保田氏:ちなみに今回は名義をchibi-techにしているんですよ。本人的にそこは大きいようで、これまでのゲームのクレジットには本名のジェイリン・ニスペロスで載せていたのですが、今回クレジットはやはり本名なのですが、M2ガジェットのBGM情報などにはアレンジャーとしてのchibi-tech名義で載せています。
――なるほど、それだけご本人も力を入れて制作したという感じが伝わってきますね。あ、このあたりの高めかた(ステージ5の曲の後半)とか、たまらないですね!これはchibi-techサウンドファンな人はたまらないかも。
久保田氏:ちなみにこのステージ5の曲は途中にいくつかシャウトが入るんですけど、元のサウンドデータはストリームで曲と混じってしまっていて持ってこられないので、「エムツー社員ボイス」になっています(笑)。
――録ったんですね(笑)。
久保田氏:社内のそのへんで(笑)。「ワン、ツー、スリー!」のシャウトとかはどう聞いても僕の声です(笑)。
――「バトルガレッガ Rev.2016」でも感じたのですが、M2 Shot TriggersシリーズはどれもBGMの魅力を楽しめるものになっていますよね。シューティングゲームの夢中になれる感覚にBGMは大事だと思いますし、力が入っているのは嬉しいですね。
久保田氏:今回、chibi-techによるアレンジを入れようというのは最初の段階から決まっていたんですけど、春日の「FM ARRANGE」も入れようというのは土壇場になってから決まって。冬発売から延びたぶん、そこで入ったもののひとつですね。
長野氏:僕がもう「東亜プラン」推しなので。「入れようよ!」と(笑)。
堀井氏:うちのプログラマーでMDX(X68000を中心に普及したFM音源ドライバー「MXDRV」)用の音楽データを作っている人間がいて、「弾銃フィーバロン」がアーケードにあった頃にX68000での東亜アレンジをやっていたんですよ。それをみんなで聴いて、「あ、確かに東亜っぽさが出る」となったんですよね。
長野氏:そうそう、でもさすがに仕事のあるプログラマーにこれやってよとは言えなかったので、春日に「こんなような東亜っぽくやって!」って頼んだんですよね。
堀井氏:そのMDXの「弾銃フィーバロン」東亜アレンジも良かったんですよ。
長野氏:あれも良かったんだけどX68000で鳴ってるから音源も違うからね。もっと東亜っぽくするからOPL2でやろうということで、基板を調べて、同じ機能と制約のドライバーを用意して、最終的に基板から鳴らして録音というやり方にして、そのまんま東亜プランの音にしたんです。
堀井氏:もっと時間があったら、ゼロウィングの基板だったら基板の音源部分だけをエミュレーションしてリクエストさせるみたいなこともしたかったんですけど、さすがにその時間まではなかった(笑)。
久保田氏:まぁ今のものでも充分に鳴ってる音は本物ですから。
福井氏:社内で「東亜チェック」をして。「ちょっとこのフレーズは東亜っぽくないかな?」なんて言ってリテイクがかかったり。春日からも「ここは東亜っぽさを出すためにこうしたい!」っていう主張もあったり。議論してました。
――東亜チェックに東亜議論!
長野氏:こういうアホなこだわりを今回もやっています(笑)。
――(「FM ARRANGE」を聴きつつ)、いやこれもかなりきてますよね……他のアレンジとは全然違う感覚でプレイできそうです。
福井氏:次の面に行くごとに不意打ちで「東亜」っぽさが襲ってくるんですよ(笑)。
長野氏:本当は効果音も全部やりたかったんですけど、それは時間が足りなかったんですよね。「バトルガレッガ Rev.2016」に続いて今回もM2PCMを載せていますので、効果音も全部M2PCMにしちゃえばできたとは思うんですけどね。
福井氏:M2PCMと言えば、魚太郎の効果音の話もあって。魚太郎ってレバーで操作するごとに「ニャーニャーニャー」って鳴くんですよね。でもアーケードだとPCMのチャンネルが足りなくなるので、他の効果音を消しながら「ニャーニャー」鳴らしているんですよ。
久保田氏:「イエース!」とかのシャウトも中断されるので、「イエーニャーニャーニャー」みたいになっちゃうんですよね。
福井氏:そこをちゃんと鳴らしたいというのがあったので、魚太郎使用時に「ニャーニャー」をM2PCMで鳴らして他の効果音を消さないようにするモードをつけました。もちろん、アーケードどおりの鳴り方をするモードもあります!
久保田氏:しかも、魚太郎のボイスボリュームを調整できる機能もついてます!
堀井氏:明らかに自分たちの欲しいモードをつけてるよね! ただ、「弾銃フィーバロン」を知っている人からすると欲しい機能だよねとも思う(笑)。
久保田氏:ですよね(笑)。そんなことばっかりやってましたから。だからOTHER SETTINGの項目が19個とかになってしまって。「バトルガレッガ Rev.2016」の4倍ぐらいになってます。
――なるほど(笑)。BGMセットのお話に戻らせてもらいますが、4つ目は「SOUND TRACK」がありますね。
久保田氏:サウンドトラックCDの音源なのですが、聴いてみるとアーケードの音源とはいろいろと違っているんですよ。まずアーケードがモノラルだったのに対してサウンドトラックCDはステレオになっていて。音そのものも微妙に違っているんですよね。
――ちょっと聴かせて頂きますね……あ、これはステレオになっているだけでなくて、音色がだいぶ違っていますね。
久保田氏:そうなんです。それ以上に決定的に違いのある曲もあって。タイムアタックモードの曲がアーケード版だと裏でギターが鳴っているんですけど、サウンドトラックCDだとその音がないんですよ。
――(アーケードとサウンドトラックを聴き比べて)あ、「タッタラータッタラー」っていう裏の小さいギター音がないですね。
福井氏:こういう違いがあったりするので、これは単純なステレオ版というのではなく、もう軽いアレンジバージョンとしてアーケードとは別のBGMセットとして収録しています。
M2ガジェットは今回も盛りだくさん!「バトルガレッガ Rev.2016」もまだアップデートします!!
――このシリーズの醍醐味と言える「M2ガジェット」ですが、今作もいろいろと搭載されていますね。
久保田氏:はい、ガジェットも盛りだくさんです。左側は基本情報が多いですが、まず左上は「スコア」ですね。このゲームはクリアしたときにしかトータルスコアが見られないので、ステージスコアとトータルを表示しています。
その下は残機数とボンバー数で、これはもう説明不要ですよね。その下は各ステージのリザルトとハイスコアですが、機種別に保存されます。その下にはボタン配置のわかる「コントローラー」情報です。
――左下のサイボーグ兵士はちょっと置いておきましょうか(笑)。
久保田氏:そうですね、じゃあ右のガジェットに。右上にあるのは「サイボーグ兵士カウンター」です。サイボーグ兵士を助けるとどんどん上がっていく、通称“ベーススコア”とか“素点”と呼ばれるものですね。背景にミラーボールがあるんですけど、スコアが高まるにつれて輝いていきます。ちょっと見てみましょう……。
――あ、ちょっと光り出しましたね! あ、さらに回り出した!
福井氏:さらに次の段階もあるんですよ。
――あぁ、すっごい明るくなった!
堀井氏:やっぱり「弾銃フィーバロン」と言えばミラーボールですよ! このミラーボールのためだけにHDR対応しようぜって言ったのに、誰も相手にしてくれなかったんですよ!
――(笑)。
久保田氏:最初は回ってなくて光らせていただけだったんですけど。社長が「回せっ!」って言って(笑)。
――回らないとミラーボールらしさがないですしね。どうせならこのガジェットパーツだけじゃなく、画面の背景全部に大映しで表示して欲しかったぐらいです(笑)。
堀井氏:そう、それも言ってたんですよ! ガジェットの枠はみ出して光らせたかった!
久保田氏:(笑)。続きまして、「敵弾スピード」という敵が撃ってきている弾の速度を数値化してみせているものです。その隣は「兵士アラート」。サイボーグ兵士が画面に消えていくまでを数値の上昇で示しています。99まで上がると画面外ロストで、70を越えるとSOSという文字も光ります!
――でも、このガジェットを見てる間に取り逃しますよね?
堀井氏:逃す逃す(笑)。
久保田氏:リプレイや配信で見ている人向けのガジェットですかね(笑)。この数値や光り方を見て「やばいよー!」っと思ってもらえれば。
――「バトルガレッガ Rev.2016」でも僕は“M2ガジェット死”っていう言葉を使ってますから。フォーメーションのガジェットをチラ見した瞬間に「あぁ、今ガジェット見てた!」みたいな。
久保田氏:「M2ガジェット死」っていう新しい言葉が(笑)。で、次は「自機攻撃力」です。このゲームはショットの威力が距離で変わるのが特徴で、それを視覚化しています。
――攻撃力が大幅に変わっていたりしますね。敵への張りつきがすごく重要なのがわかります。
久保田氏:ショットによって変わったりもするのですが、BOMBは画面の下で撃って上に行くに連れて攻撃力が上がっていくんですよ。
長野氏:これってPALさんはご存じでしたか?
PAL氏:はい、2面のボスとかには下から撃って当てていますね。
久保田氏:BOMBがゆっくりと上がっていくので、画面の下で撃つと上に行く頃にはだいぶ攻撃力が上がるんですよ。それを数字で実感できるようになっています。
その隣は「1UPカウント」で、1UPが出現するまでの残りサイボーグ兵士数を棒グラフでわかりやすくしています。ちなみにタイムアタックモードだとこの1UP情報は必要ないので、代わりに「隠し地上物」のカウントになります。
次が結構独特なのですが、「ステージセクション別スコア」です。ステージを3つのセクションに区切っていて、セクションを通過したときにそこまでの点数を確認できます。トップスコアから何点差、平均スコアから何点差というのも載せています。これはもう完全にスコアラーさんのための機能ですね。
――レースゲームのような考え方ですね。
久保田氏:ラップタイムのような概念になっていますね。
――平均スコアというのはどうやって出ているのでしょう?オンライン対応だったりするのですか?
久保田氏:自分がプレイした過去10プレイでの平均ですね。オンラインにしてしまうと、平均が滅茶苦茶になる可能性もあるので、あくまで自分のためのものになっています。
――なるほど、この機能はスコアラーさんとしてはどうでしょう?
PAL氏:すごく重要ですね。プレイしていると、ある程度の通過点でスコアを確認したりするんですが、「弾銃フィーバロン」は結構それが見えづらかったりもするので、この機能があるとやりやすいですね。
福井氏:稼ぎを意識しだした人にも上達が見えやすいという点で、役立つのではと思います。
久保田氏:その下にあるのは「ステージ進捗バー」ですね。ステージを3つのセクションにわけて進行を表示しています。ボスにたどり着いてからはボスの体力ゲージに変わりますね。あと、タイムアタックモードのときはセクションと一緒に時間も表示されますね。
右の一番下は「BGM情報」です。曲名とコンポーザー、アレンジBGMのときにはアレンジャーも表示します。
――なるほど、そして最後に回した左下の踊っているこれですが……。
久保田氏:「ダンシングサイボーグ兵士」というネタ的なものです(笑)。コンセプトとしてはプレイ中に「なーんか左下で動いてるなー気になるなー」って思うぐらいのものにしたいなと。たまに女サイボーグ兵士も出てきます。わりとレアです。
ダンスのパターンが結構あって20種類以上ありますね。レアなものもいくつか……。しかも組み合わせもあるので、いろいろと多彩になっています。
堀井氏:でも意味はないです(笑)。
――(笑)。
久保田氏:縦画面表示ももちろん可能で、縦画面用のガジェットも用意しています。縦画面だと表示数が限られるので、特に重要だと思われる「トータルスコア」、「敵弾スピード」、「サイボーグ兵士カウンター」、「自機攻撃力」、「1UPカウント」、「ステージ進捗バー」を上下に配置しています。いくつかパターンを用意してますし、ゆくゆくはガジェットのレイアウトもエディットできるように……と検討しております。
――なるほど……ちなみに「バトルガレッガ Rev.2016」では画面サイズをフィットにしたときにガジェットが画面に被ってしまうという問題がありましたが、今回はどうでしょうか?
久保田氏:大丈夫です! フィット表示にしてもこのとおり、ガジェットが横にスライドして避けてくれるので、ゲーム画面には被りません!
長野氏:「バトルガレッガ Rev.2016」も次のアップデートぐらいで直ります!
――あ、ついに! 良かったー!
堀井氏:お待たせしてしまってすみません!「バトルガレッガ Rev.2016」もやりまーす!!
(後編に続く)
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