ご高評をいただいている「夏休み! ゲーム祭!!」も、はや3回目。今回は夏らしくじっくり腰を据えて楽しめる、シミュレーションゲームでいってみよう……って、なになに、「この手のゲームは、夏よりも秋や冬のほうが向いてるんじゃないか」って? いやまあ、そういう説もありますが、夏休みだからこそまとまった時間が取れるという人もいるわけでして、えー、ムニャムニャ。

 というわけで、ここGAME Watchでは、スケールの大きなSFストラテジー「シュヴァルツシルトN ~未来への胎動~」を。窓の杜では、稼いで稼いで稼ぎまくる会社運営ゲーム「BOOMING」をご紹介!! さーて、今夜は眠れないぞ。

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【第3回】

今日からアナタも総司令官、敵軍を破って宇宙の覇者となれ!!

シュヴァルツシルト N ~未来への胎動~

銀河の歴史がまた1ページ……

プレーヤーが演じるナゴウム条約連盟の総司令官、アレック・ハン
 以前から不思議に思っていたのだが、SF系のストラテジーは、なぜか海外の作品が少ない。SFといえばシューティングがアクションがほとんどで、ストラテジー系の作品は歴史モノか近代戦モノが主流だ。逆に日本には、ボーステックの「銀河英雄伝説」やバンダイのスーパーロボット系、ハドソンの「ネクタリス」、コスモスコンピュータの「レジオナルパワー」など優れた作品がいくつもある。やはりこれは、アニメ文化の影響によるものなのだろうか? SFに対する感覚の違いが透けて見えるようで、ちょっと興味深い。

 「シュヴァルツシルト」もまた、SFストラテジーの名作のひとつ。'80年代後半に最初の作品が発売されて以降、様々なプラットフォームで新作が作られてきた。ターン制のプレイと艦隊戦の妙味、そしてキャラクタを立てたドラマチックなストーリーが、シリーズの持ち味だ。

前回の戦争から10年を経て、2大勢力がいま再び対決する

 今回紹介する「シュヴァルツシルト N ~未来への胎動~」は、「シュヴァルツシルトEX、GXR」から20年後、「シュヴァルツシルトW、W2」から10年後の世界が舞台となっている。過去の作品に登場したキャラクタたちが再び登場するだけでなく、ストーリーの上でもつながっているが、必ずしも過去の作品をプレイしている必要はない。もちろん知っていればより深く楽しむことができるはずだが、いきなり始めても十分楽しめるように作られている。

 ストーリーは、ざっとこんな感じ。複数の星間国家が互いに覇権を争う、シュヴァルツシルト銀河。過去に幾度となく戦火に見舞われ、そのたびに勢力図が書き換えられてきたが、現在はナゴウム条約連盟(NTU)が中央星域を支配している。10年前に勃発したレインローグ帝国対ナゴウム条約連盟の戦争は熾烈を極めたが、それが収拾した後は、とりあえず平和な時代が続いていた。しかし、レインローグ帝国が再び侵略を始めたことによって、銀河は再び戦乱の時代を迎える。プレーヤーは、ナゴウム条約連盟の総司令アレック・ハンを演じて、レインローグ帝国の野望を阻止しなければならない。

 戦闘はレインローグ帝国対ナゴウム条約連盟という構図で行なわれるが、どちらの国家も見た目ほど磐石ではない。その内部には反主流グループや、現在の指揮系統に不満を感じている者もいる。キャラクタ同士の疑念や嫉妬、思惑を巻き込んで、先の見えない戦いが続く。

宇宙だがマップは平面で、ところどころに移動できない部分もある マップ上には1ユニット1艦隊で表示される。敵艦隊と隣接すると戦闘開始 占領した惑星や要塞には攻撃衛星を配置することができる。拠点防御の要だ
艦隊司令官を任命。表示されるパラメータを見て、適した任務を与えよう 技術開発に予算を割くと、そのぶん強力な戦闘艦を建造できるようになる

10個艦隊、最大30隻の戦闘艦を率いて戦う

 戦闘はターン制で進む。戦闘艦の生産を行ない、艦隊を編成し、前線に移動させる。スクエアをびっしり並べた平面的なマップを採用していることもあって、「大戦略」などと似たスタイルだ。敵の艦隊や惑星に隣接すると自動的に戦闘シーンに切り替わり、どちらか一方の旗艦が撃沈されるか、撤退するまでリアルタイムの艦隊戦が続けられる。1艦隊は3隻の戦闘艦で編成され、最大10個艦隊を組織することができるので、プレーヤーは30隻の戦闘艦を率いて戦うことができる。戦闘艦は技術レベルによって武装や船体が変わるため、単に数を揃えるだけでなく、どのような戦闘艦を生産するかがこのゲームでは重要なポイントとなるだろう。

 スタート直後、プレーヤーに与えられた使命は、レインローグ帝国の前衛部隊第5軍を排除し、ナゴウム条約連盟に加入するアースIVを解放すること。艦隊を派遣し、敵が占領する要塞と惑星を全て奪還すればいい。このミッションをクリアするとキャラクタ同士が会話するインターミッションが表示され、次の使命が与えられる。つまり全体マップはかなり広いが、プレイはキャンペーン方式による局地戦の連続で行なわれるというわけだ。レインローグ帝国第5軍を倒す前に、その向こう側にいる部隊が侵攻してくることはないので、落ち着いて戦ってほしい。

戦闘はリアルタイムで行われる。どちらか一方の旗艦が撃沈されるか、撤退するまで続く

技術開発を怠ることなく、常に新鋭艦を生産せよ!!

 これといった必勝法は思いつかないが、ちょっとした戦い方のコツならある。まず第一に、技術開発を怠らないこと。シナリオが進むにつれて、敵の戦闘艦の威力は急激に増していく。大型の巡洋艦が登場するようになると、駆逐艦程度では歯が立たない。ミサイルとレーザーの開発をメインに進めて、常に敵と同等かそれ以上の能力がある戦闘艦を生産できるようにしよう。そのためには、性急な進攻を避け、資金を貯めながら進めるようにするのがポイントだ。とくにシナリオが切り替わった直後は、敵軍が一気に攻撃を仕掛けてくる。ここで敗れると、せっかく占領した惑星や要塞が再び敵のものになってしまうので、注意しよう。味方の艦隊を最前線に送り、次の戦闘の準備が整ってからシナリオをクリアするといい。

 ふたつめは、艦隊司令官の能力を知ること。艦隊司令官には攻撃、防御、判断力、精神力などいくつかのパラメータがある。敵軍に切り込む突撃隊長には攻撃に長けた者を、猛攻に耐え敵の進撃を食い止める艦隊には防御に長けた者を当てること。当たり前のことだが、これはとても重要だ。また司令官たちは、戦闘を繰り返すことによってレベルアップすることも覚えておこう。

ナゴウム条約連盟軍の各戦闘艦。ミサイルを主力にしたものと、レーザーを主力にしたものがある。敵艦隊の編成を調査して、それに合ったものを建造しよう

戦術の幅が広く、ゲームバランスも良好

 まだプレイの途中なので安易な評価は避けるべきだが、しかし、これはかなりクオリティの高いストラテジーだと思う。とにかく、プレーヤーに与えられた選択肢の幅が広い。戦闘艦の設計や艦隊編成が自由に行なえるし、少数精鋭で戦うことも、逆に物量作戦で挑むこともできる。どう戦うかは、プレーヤーの思うがままなのだ。ゲームバランスも良好で、シナリオの展開に合わせてドラマチックな艦隊戦を楽しむことができる。途中ちょっとキツく感じるところもあるが、敵軍の兵力を調査し、それに対抗しうる艦隊を編成すればなんとかなるはずだ。ロード/セーブがいつでも行なえること、ウィンドウ表示でプレイできる点も高く評価したい。

 ただビジュアル的には、もう少し検討の余地が残されているかもしれない。全体マップの表示が窮屈で、艦隊ユニットを選びにくく感じることがあった。設計した戦闘艦の表示についても、たとえばその攻撃力や防御力を、棒グラフやレーダーチャートで比較できればわかりやすかったのではないだろうか。ストーリーやゲームバランスは申し分がない仕上がりなので、今後はこうした“見せ方”についても、よりよいものを目指してもらいたいと思う。

(C)2001.KOGADO STUDIO ,inc.


「シュヴァルツシルト N ~未来への胎動~」
  • 発売元:NECインターチャネル (企画・制作・著作:工画堂スタジオ)
  • 価格:9,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me
  • 発売日:8月3日(発売中)
  • CPU:MMX Pentium 233MHz
  • メモリ:64MB以上
  • HDD:50MBバイト以上の空き容量
  • CD-ROM:4倍速以上


□NECインターチャネルのホームページ
http://www.neic.co.jp/
□工画堂のホームページ
http://www.kogado.com/
□「シュヴァルツシルト N ~未来への胎動~」のページ
http://www.neic.co.jp/shuva/n/n01.html
http://www.kogado.com/html/hotnews/sch_n.htm

(2001年8月17日)

[Reported by 駒沢 丈治]

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