【特別企画】

ガッツリ遊ぶならPC!! 激アツPCゲームの世界にようこそ
超大作、インディー、VR、eスポーツ……最先端の遊びがここに!

最強のゲームプラットフォームと化したPC

 すっかり娯楽の定番として定着したコンピューターゲーム。2015年には音楽・映画を合わせたよりも大きな市場へと成長し、キング・オブ・エンターテインメントとして人々の生活から切り離せないものになっている。スマホやゲーム機でお気に入りのゲームを楽しんでいる皆さんにとっても、ゲームが日常の一部というのはもう当然の感覚だろう。

 そんなゲームの世界で、いまもっともアツく盛り上がっているカテゴリーがなにかご存知だろうか? ゲーム機? スマートフォン? いやいや、パソコンでゲームを遊ぶ、PCゲームなのである。

 最近の統計では、11兆円にのぼる全世界のゲーム市場のうちおよそ三分の一をPCゲームが占め、なお成長中である。アクティブユーザー数は少なく見積もっても2億人以上。人気タイトルは1億人を超えるプレーヤーを抱え、各地で開催されるゲーム大会などはかつて想像しえなかったほどの規模に拡大している。

世界的な盛り上がりを見せるeスポーツ。熱狂度は人気スポーツ並またはそれ以上だ。インテルも積極的にこの活動を応援している(Intel Extreme MastersのFacebookより)

●PCゲーム人気を支える最強のゲームコンテンツ配信システム「Steam」

 そんなPCゲーム市場の7割を握るとされるのが、2億人以上の会員数を誇る「Steam」だ。その存在は、例えるなら音楽におけるiTunes、動画におけるYouTube。いや、もっとかもしれない。世界中のほとんどあらゆるゲームがSteamに集まり、ワンクリックで購入・ダウンロードして、最高の環境で遊べるのだ。

Steamのトップページ

 Steamでは年間3,000本以上の新作ゲームがリリースされており、この数はすべてのゲーム専用機を足したものよりも多い。数が多いのは小規模なインディーゲームだが、そこはまさに新しいゲームアイデアがしのぎを削る最先端の実験場。ミリオンヒットを記録するゲームの数々が綺羅星のように現れ、多くのゲームユーザーに新鮮な刺激を与え続けてくれている。

 大作ゲームも大充実だ。最近では大手スタジオによるゲームタイトルはPCとゲーム機の双方で展開することが一般的になっているが、PCではより優れたグラフィックスや、最適な操作環境で遊ぶことができるのがいいところだ。たびたびあるセールのおかげで、大作ゲームでもPC版が一番安かったりすることも多くて、やればやるほどお得である。

最新ゲームが手に入るだけでなく、定期的なセールス情報も魅力の一つ。購入したゲームはインストールすればすぐにアクセスでき、また友達がどのゲームをプレイしているかも一目でわかる。意外な発見も?

 さらに、人気のゲームの多くではPCならでの要素としてMOD(Modifications:ユーザーによるゲーム改造)がサポートされていて、新機能や新シナリオなどのコンテンツがユーザーの手でドカドカ追加されている。Steamを使えば、こういったMODの導入もワンクリックで超簡単。おかげでもう、いくら遊んでも遊び尽くせないゲームが山盛りなのである。超ディープ!

●プレイ動画の編集や配信もなんのその

 ゲームを遊ぶ最高のプラットフォームとなったPC。これはそもそもコンテンツを作るためのツールでもある。プログラムを書いたり、写真を編集したり、絵を描いたり、3Dキャラクターをモデリングしたり……あらゆる創作活動がPC上で行なわれている。ゲームファンの世界で特に楽しまれているのは、皆さんにもおなじみであろう、ゲームプレイ動画の配信だ。

 最近のPCではほとんど負荷をかけずにゲームプレイ動画を録画・配信することができ、YouTubeやニコニコ動画といった各種動画サービスへのアップロードや、リアルタイム配信も超簡単。フリーソフトを使って高度な動画編集もできてしまう。そうして作られた無数のプレイ動画を、いまや世界で何億人もの人たちが視聴して楽しんでいる。

Windows 10も2017年春のアップデートより、OS標準で動画配信が可能となる。またいくつかのメーカーから、独自のツールで簡単に配信できる環境がすでに整っている(写真右はNVIDIA Shadow Play)

 そう考えると、PCでゲームを遊ぶこと、それ自体がコンテンツなのだ。ゲームを遊ぶことで新たな体験を生み出し、それを動画の形で簡単に配信・共有する。遊んで、作って、シェア。このサイクルが1つの環境にギュッと凝縮されているから、PCゲームは輪をかけておもしろい。

 ……このように大充実のゲームライフを約束してくれるPCゲームの世界。これをさらに刺激的なものにしてくれているのが、PCゲームを中心に盛り上がる新しい文化、eスポーツだ。これについて詳しくご紹介してみよう。

日本では数や規模はまだまだ小さいが、自分の実力を試せる賞金付きの大会が増えている

Intel Extreme Mastersの大会の様子(Intel Extreme MastersのFacebookより)

ゲームに勝ったら107億円を差し上げます

 およそ107億円。これは、とあるスポーツで2016年に実施された、全ての競技会における賞金総額だ。ただしそのスポーツでは、ボールのかわりに大量の銃弾や魔法のビーム、モンスターのかぎ爪がフィールドを飛び交う。いわゆる“eスポーツ”である。

 “eスポーツ”とは“Electronic Sports”の略で、コンピューターゲームで行なう競技を意味する。いわゆる対戦ゲーム=eスポーツ、といってもおおむね差し支えない。近年では日本でもよく話題を耳にするようになってきたが、その中でも注目されているのはやはり高額賞金をかけた国際的ゲーム大会や、給与制のプロゲーミングチームといった、トップレベルの選手たちが織りなす世界だ。その世界が、いまワールドワイドで急成長中である。

 冒頭で紹介したおよそ107億円という金額について補足しよう。e-Sports Earningsによると、2016年には100種類近いeスポーツ系ゲームでおよそ4,000の賞金付きトーナメントが開催され、およそ14,000人のプレーヤーが参加した。そしておよそ107億円が、各大会での成績に応じてトッププレーヤーたちに配分されたというわけだ。

 なおこの金額の大半を占めるのは「Dota 2」「Counter-Strike: Global Offensive」「League of Legends」といった、それぞれ数千万人のプレーヤーを抱える超人気のオンラインゲームである。特に「Dota 2」は賞金規模が大きく、その世界トップのチームは2016年におよそ10億円を稼ぎ出した。

世界(特にアジア圏)では熱狂的な人気を誇るDota 2。賞金の仕組みも独特で、プロ選手、一般プレイヤー、運営にうまく配分される

FPSは大会常連ジャンルの一つ。Counter-Strike: Global Offensiveを始め、数多くのFPSタイトルがしのぎを削っている

 たくさんのゲームタイトルから構成される大型のeスポーツリーグも人気だ。中でも大きな規模を持つのが「Intel Extreme Masters(IEM)」。3Dシューティングやリアルタイム戦略ゲームなど、人気のeスポーツタイトルのトップ選手たちがジャンルを超えて一同に会し、各タイトルのチャンピオンを決める。実際のスタジアムで開催される決勝大会では、現地に数万人のファンが来場して声援を送る。インターネットライブ配信は数百万人が視聴するというから驚きである。

 そういったステージで活躍するスター選手たちの存在を支えるのはもちろん、それらのゲームをプレイしたり、観戦して楽しんでいる一般のプレーヤーたちだ。その裾野に目を向けると、いわゆる競技人口(アクティブプレーヤー数)はこの3タイトルだけで軽く1億人を超えるほどまで拡大している。正確な統計がないので大雑把な推測にはなるが、eスポーツ系のトップ10タイトルを合わせれば少なくとも2億人を超える人々が“デジタル競技”を楽しんでいるようだ。

 その市場は年間50%近くという高水準で成長しており、2017年中にはeスポーツファンの数がサッカーの競技人口(およそ2億5千万人)を超えそうだ。そのままいけば、2020年ごろにはバスケットボールの競技人口(およそ4億人)をも超え、eスポーツが人類最大の競技人口を誇ることになるだろう。

 このように、もはや世界的な社会現象と化しているeスポーツ。その魅力や楽しみ方に迫ってみたい。

eスポーツならではのおもしろさを紐解く!

 世界中でファンを増やし続けているeスポーツ。その魅力はいったいどこにあるのだろうか。

 第一にあるのはもちろん、人間同士が能力や運を競い合う、勝負事としての面白さだ。

 これは球技や格闘技といった従来のフィジカルスポーツと全く同じで、コンピューターゲームにおいても個人・チームの能力を尽くして白熱の駆け引きを楽しむことができる。しかも人気のゲームは、初心者から上級者まで幅広いレベルで楽しめるように作られているから、敷居が低く、奥は深い。対人戦では結果がすぐに現れるから、上達の成果も掴みやすく、ハマるほどに大きなやりがいを与えてくれる。もちろん、勝ちにこだわらず気楽に遊んだっていい。

 またeスポーツは、とても手軽だ。大きな運動量を必要とするフィジカルスポーツを毎日毎晩楽しむのは肉体的に難しいが、eスポーツは肉体的な負担が少なく、毎日でも無理なく楽しめるし、ちょっとした空き時間でも練習や試合ができる。それでいて集中するほどに頭脳は研ぎ澄まされ、精神的なハリも得られるというものだ。

 お金もあまりかからない。ゲーム機やパソコンがあれば、eスポーツ人気タイトルのほとんどは無料でプレイできる。有料のゲームでも初期コストはせいぜい数千円だ。ハマりにハマってゲームパッドやマウス、キーボードといったペリフェラルにお金をかけるようになったとしても、せいぜい年間数万円といったところ。何百、何千時間と楽しめるホビーとしてはごくごくささやかな出費であり、コストパフォーマンスが異常に良い。

特にパソコンはゲーミングPCやゲーミングマウス等、ゲームに特化したアイテムが登場し近年人気を集めている

 さらに……eスポーツはたくさんの出会いを与えてくれる。インターネットを通じて日本全国、世界各地のプレーヤーたちと対戦。そうしているうちに、気の合う仲間や目標となるライバルたちに囲まれて、すっかりコミュニティの一部になっている自分を発見できる。戦うのも馴れ合うのも、国境や距離なんて関係なしだ。

 そしてフィジカルスポーツの世界では、アマチュアとプロの間に明確な線引きが存在することが多いが、eスポーツは垣根がない。草の根の大会から公式の世界大会まで、大抵の場合、必要な参加資格はそのゲームのプレーヤーであることだけだ。「プロ免許」のようなものは存在しない。昨日今日始めたゲームでも、強ければ勝ち上がって頂点までいけるし、賞金も獲得できる。特に個人戦が主流の格闘ゲームの世界は、そうして上り詰めていくプレーヤーばかりである。誰にでもスターになれるチャンスがあるわけだ。

日本でも本格化しつつあるeスポーツのムーブメント

 2000年代、世界中でeスポーツの熱が増していくなか、日本は比較的に“eスポーツ後進国”とみなされてきた。というのも日本ならではのゲーム文化が持つ特殊事情が関係している。

 特に大きいのは、eスポーツの中心的プラットフォームであるPCゲーム市場が、日本ではあまり大きくなかったという点だ。その理由は簡単で、任天堂、ソニー、セガといったプラットフォーマーによるゲーム機文化が世界で一番充実していたからである。

 それでも2010年代に入ると、日本でもeスポーツ文化がぐんぐんと成長しはじめるようになってきた。皮切りとなったのは、世界トップレベルの格闘ゲーマーである梅原大吾選手が、北米のゲームデバイスメーカー「Madcatz」のスポンサーシップを受ける形でプロゲーマー化を果たし、一躍注目を集めるようになったことだ。これが海外のeスポーツの盛り上がりを日本に輸入する“黒船”の役割を果たした。

 とはいえ、国内では法律的な問題(賭博規制と景品表示法の規制)から高額賞金をかけたゲーム大会が実施されにくく、海外で多く見られる賞金稼ぎ系のプロゲーマーが育ちにくい事情がある。プロゲーマーとして身を立てるためには日本国内で活躍するだけではだめで、まず海外の大会で勝てるようになることが条件のようになっている。

 そのためには、日本国内における各eスポーツタイトルの競技レベルが世界水準に追いついていく必要があるが、それが実現していたのはこれまで日本がお膝元といえる格闘ゲームのジャンルだけであった。しかし、近年ではFPSやMOBAといった海外発のジャンルでも急速なレベルアップが図られてきている。

 例えば、世界1億4千万人の登録ユーザーを誇る「World of Tanks」は国内でも数十万人のプレーヤーが楽しんでおり、そこから世界大会出場レベルのチームが複数現れている。さらに、アクティブユーザー数1億人を誇る人気ゲーム「League of Legends」では、2014年に国内に公式リーグ「League of Legends Japan League(LJL)」が立ち上がり、全国の選りすぐりチームがしのぎを削るようになった。そのことが、昨年何かと話題に登った国内初・完全給与制のプロゲーミングチーム「DetonatioN Gaming」発足の苗床となっている。

World of Tanksの大会「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」の模様

League of Legendsのアマチュア大会「Logicool G CUP 2016」決勝戦の様子

 国内では上述の「DetonatioN」を皮切りに、複数のeスポーツタイトルでプロ、セミプロ級のチームが複数立ち上がってきている。彼らはPCパーツメーカーやゲームデバイスメーカー等のスポンサーシップを受け、専門的にゲームを練習し、トップレベルの試合を繰り広げ、あるときは製品の広告塔、あるときはeスポーツそのもののアンバサダーとして、ファンを楽しませる存在になるべく努力を重ねている。そしてそのことが、私達一般のゲーマーにとってのeスポーツの面白さ、奥深さを増幅してくれているのだ。

 活躍のステージを広げるための業界側の試みも、近年になって積極化している。2015年には、日本のeスポーツシーンを活性化させるための業界団体として日本eスポーツ協会(JeSPA)が設立。人気タイトル複数からなる「日本eスポーツ選手権大会」を2016年より開催しており、さる2017年2月におこなわれた第2回大会では数多くのeスポーツイベントで使用されているゲーミングPC「ガレリア ゲームマスター」による特別協賛のもと、「Overwatch」「Counter-Strike:Global Offensive」といった人気ゲームの頂上決戦が行なわれた。

スポーツを冠するだけあり、ゲームが上手いだけでは勝ち上がれない。当日のコンディションや会場の雰囲気、チームメイトとの連携プレイなど、それまでに培ってきた技量の全てが試されるのだ

サードウェーブデジノスもeスポーツを支援。代表取締役会長の尾崎氏が応援に駆けつけた

 さらに、「ガレリア ゲームマスター」の名を冠した本格的なeスポーツ大会が2017年6月初旬から開催されることも発表。「エントリー部門」の詳報は5月に発表され、「チャレンジ部門」の「eXTREAMSLAND 日本予選大会」の詳細については6月に、日本だけでなく、参加するアジア各国同時に公開される予定となっている。日本におけるeスポーツも、いよいよ本格的な普及期を迎えようとしている。

 頂点が高くなればなるほど、そのゲームで見られる風景は広がっていく。トップレベルの試合を観戦して彼らの美技に酔うもよし、彼らのレベルに挑戦するべく真面目にゲームをプレイしてもよし。大きな大会があるときは、直接会場に足を運んで応援するのも楽しいものだ。

 eスポーツには垣根がない。本稿で触れてきたPCゲームのほか、「シャドウバース」といったスマートフォン用のゲームで対戦することや、「ストリートファイター」など過去に友達と対戦したこともeスポーツに含まれる。それぞれのレベルでそれぞれに楽しみ、新たな発見、出会い、ドラマを楽しもう。手軽だけれども奥深く、分厚い楽しみを得られるからこそ、eスポーツは世界中で大きな支持を集めているのだ。