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「Call of Duty: Black Ops 7」FPS初心者向け徹底レビュー。「BO2」以来シリーズ初プレイ筆者によるPvEから入れる魅力をお届け

【Call of Duty: Black Ops 7】
11月14日 発売
価格:
通常版 9,800円
秘蔵版 13,200円

 今やeスポーツを筆頭に、日本国内のゲーマーたちに広く親しまれるジャンルとなった「FPS(ファースト・パーソン・シューティング)」。銃を手に取り、1人の兵士の視点から戦場へと繰り出す本ジャンルは、平成時代の少しニッチ気味な需要を考えると、かつてないほどの大衆化に成功したと言っても過言ではない。

 そしてつい先日、Activisionから世界的な人気を誇るFPSゲーム「Call of Duty」シリーズ(以下、「CoD」)の最新作として、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam用に「Call of Duty: Black Ops 7」(以下、「BO7」)が発売された。

 そんな人気タイトルの発売に際して、まだFPSというジャンルに親しんでいない人や久しぶりに「CoD」シリーズを遊びたいという方向けに、本稿では“初心者目線でのレビュー”をお届けする。

 とは言っても、筆者は13年前に発売された「Call of Duty: Black Ops 2」(以下、「BO2」)を当時プレイしていた経験があるため、完全なFPS/「CoD」シリーズの初心者とは呼べないだろう。しかし「BO2」以降は「CoD」シリーズに触れていなかったし、13年も経っているので概ね初心者寄りである。

 なお、「BO7」では「BO2」の続編となるストーリーが描かれるという。実際にゲームをプレイしてみると、思いのほかあの頃の「BO2」を想起させる面白さを残していた。以上を踏まえて、本稿では完全な初心者とまではいかないにしろ、約13年ぶりにプレイした「CoD」シリーズの最新作について紐解いていこうと思う。

 今週(12月15日週)には、「BO7」の一部コンテンツを無料で楽しめるフリートライアルも開始される予定とのことなので、気になる方はぜひチェックしてみてほしい。

【Call of Duty: Black Ops 7 | ローンチトレーラー】

久しぶりの「CoD」復帰でも安心。「BO7」で味わえるかつての懐かしさに酔いしれる

 手始めに、読者の方に参考になるように、筆者の状況について改めてお伝えしておく。過去「CoD」シリーズをプレイした記憶を遡ってみると、2012年11月に発売された「BO2」から、過去作を一切プレイしていない。つまるところ、「BO2」以降、ライフスタイルの変化などで遊ぶゲームの趣向が変わり、シリーズに触れることがなくなってしまっていた。

 普段プレイしているタイトルと言えば、「ゼンレスゾーンゼロ」「ドールズフロントライン」「鳴潮」など、スマートフォン/PCで遊べる基本無料のタイトルなど。しかし、自分にとっては「BO2」こそが対戦系FPSの原体験であり、いわゆる思い出補正の掛かり方も強いということ。かつて、試合に負けてはそれを自分のせいにしたくなくて、ディスプレイ越しに「バカヤロー!」と怒鳴り散らしていた学生時代が懐かしい。

 それを良い思い出と捉えるか、自分自身の黒歴史として笑い話にするかはともかく、筆者の青春を象徴するゲームの1つだったことは間違いない。そのため「BO7」での体験はとにかく懐かしい気持ちでいっぱいだった。さながら十数年ぶりの再会(?)にも近い心持ちで、遊ぶほどに懐かしさがこみ上げてきた。「そうそう、こんな感じこんな感じ...」と独りごちながら、出会い頭に瞬殺される戦場の殺伐さ、非情さに自然と口角が上がっていた。

 話を戻すと、結論「BO7」はただ“懐かしいだけ”ではなかった。対戦型FPSをじっくり遊ぶのはおよそ十数年ぶりで、「BO」シリーズの7作目から久しぶりにプレイするというブランクがあったにもかかわらず、見知らぬ者同士から生まれる阿吽の一体感が堪らなく痛快だった。

 繰り返しになるが、本稿では前述のタイトルなどをプレイしているFPSに慣れていない方や、筆者と似た形でゲームの趣向が変わった方に向けたレポートをお届けしていく。

仲間と連携しながらキルを獲得するのが堪らなく好きだ
仕事そっちのけで普通にゲームをプレイしていた

アクロバティックに格好いい動きで戦える「ウォールジャンプ」! 試合後のハイライトに映りたくなる

 詳細に入る前に初心者の方や復帰勢にまずお伝えしたいのが、本作には「ウォールジャンプ」があること。ウォールジャンプを駆使した立体的な挙動でダイナミックに撃ち合えるのが大きな魅力となっていて、復帰勢からしたらなんだか新鮮に感じられるかもしれないが、思い出の中にある「BO2」のスピード感を思い返してみると、新要素としての違和感が全くない。むしろ「BO2」の頃からあったのではないかと思えるほど、ウォールジャンプがうまくゲームに馴染んでいる。

 とはいえ、初心者と上級者では動きに差があるのも事実。上手いプレイヤーの動きはほとんどパルクールなのに、筆者の場合はジャンプの飛距離が足りず、時折自滅する様である。しかし、上級者のアクロバティックな動きにはとても憧れてしまう。特に、試合終了後にはマッチでのいい動きがハイライトされのだが、それがかなりクールで惹かれる。きっと、FPS初心者にとってもこうしたハイライト機能が、ゲームを上達させる動機付けになるのだろうとしみじみ思う。

自分もハイライトされたい...

PvEで慣れてからPvPに行けば快適に遊べる! 全モードレベル共通で初心者に優しい

 ここからは、ゲームの詳細について深掘りしていきたい。本作には主に3つのメインコンテンツがある。ソロでも協力プレイでも遊べるメインストーリーにあたる「キャンペーンモード」、さまざまなルールで対戦が楽しめる「マルチプレイヤーモード」、シリーズには欠かせない「ゾンビモード」の3つだ。

 いずれのモードもシステムに些細な違いはあれど、基本操作そのものはほぼ一緒。ただ、ゾンビモードは恒例のお楽しみ要素といったところで、ゲームプレイの毛色は根底から大きく異なっている。この辺りの詳細は後述するが、基本操作方法に関しては実践形式のチュートリアルが用意されているため、あまり気負わずプレイできる。一度操作に慣れればどのモードも問題なく楽しめるので心配しないでほしい。

「キャンペーンモード」
「ゾンビモード」

 また、「キャンペーンモード」と「ゾンビモード」は人との対戦プレイ(PvP)ではなくNPCと戦うPvEである。つまり、プレイヤー同士がワイワイ協力しながら敵を倒していくコンテンツなので、初心者があまりストレスを感じずにFPSの醍醐味を体感しやすいモードだと言える。とりわけ嬉しいのは、本作ではプレイヤーレベルと武器レベルの経験値をPvPだけでなくPvEでもガッツリ稼げるようになったこと。

 レベルに応じて銃や銃のパーツが解放されていくため、初心者がPvEである程度装備を揃えてから、本番のPvPに挑むといった動線ができている。過去の経験上、ナイフのレベルを上げるのが特に大変だったので、PvEで経験値が稼げる本作は、時代に則したアップデートを遂げたと断言できる。初心者に優しいのだ。

 以降は各モードについて深掘りしていくが、遊ぶ順番を指定しているわけではない。まずは気になったモードで遊んで本作の操作感に慣れてほしい。

しっかり働かないと経験値は貰えないので頑張ろう

光学迷彩に視覚共有技術まで! 未来の兵装が彩るキャンペーンモードと、新モード「エンドゲーム」

 まずは初心者が比較的遊びやすい「キャンペーンモード」から紹介していく。先にも軽く触れた通り、協力系コンテンツでありながらメインストーリーの性質を併せ持つのがこのモード。時代背景はテクノロジーが現代社会よりもさらに発展した2035年の近未来である。AI技術やAR(拡張現実)の軍事転用が一層進み、プレイヤーたちの精鋭チーム「JSOC」にも少人数でハードな作戦行動に対応できる多彩な装備が支給されている。

 例えば、隊員同士が視覚を共有できる人体拡張技術、夢の詰まった透明になれる光学迷彩、高所から単独での高速移動を可能にするウイングスーツ、建物の屋上までひとっ飛びなジャンプのアビリティなど、「あったらいいな」と「実現したら面白い」近未来ガジェットの数々が、ストーリー内ではたくさん登場する。今の技術ではまだ手が届かなそうなSFアイテム群にワクワクする。

 果たして実際の2035年において、こうした装備が正式採用される未来があるのかどうか。この手の話題には疎いけれども、部分的に採用されたり、かつて検討された装備が一つや二つはありそうだ。マニアはこの辺の軍事考証を照らし合わせるのも、楽しみ方の1つとなるだろうか。

びょいーんと、大きく跳躍できる「キネティックジャンプ」
「ウイングスーツ」。高所から使えば遠方の目的地まで一気に接近できる

 「BO7」の物語は、過去に倒したテロ組織の親玉から世界に向けて10年越しのビデオメッセージが放映され、世界が再び混乱の渦に飲まれていくというものだ。敵の親玉ラウル・メネンデスは、「BO2」のキャンペーンモードで確かにトドメを刺したはずなのだが...これは一体どういうことなのか。しかし実際にプレイしてみると、「なるほど」となる。

 物語が「BO2」から地続きで敷居が高い印象になるのは否めないが、本モードの“核”は最大4人の協力プレイで挑むゲーム体験。濃密な人間ドラマとムービーシーンも最低限用意されているものの、終始ゲーム内ミッションに徹しているので「BO2」未経験者でも問題なく楽しめる内容になっている。どうしても気になる人はこれまでの物語を振り返るストーリートレーラーをチェックするといいだろう。

【Call of Duty: Black Ops 7 | Black Opsのこれまでのストーリー】

 そんなCO-OPのマルチ体験は、「CoD」であるのにややオカルト染みたシチュエーションが多分に含まれる。あるときは現実世界でやり手のスナイパーと対峙したり、またあるときは、巨大な植物を相手にボスバトル。後者に関しては、従来の「CoD」に抱いていたイメージが覆された心持ちだが、実は物語のカギとなる“謎の兵器”に関連する。

 あまり紹介し過ぎても面白味が欠けてしまうだろうから、内容についてはこれ以上言及しないが、間違いなくCO-OPの楽しさに直結する、シチュエーションと言える。ゲーム体験としては、MMORPGのダンジョンコンテンツやボスバトルが、そのまま「CoD」にやってきたかのような切り口かもしれない。案外、このぶっ飛んだ意外性から紡がれる4人での共闘感が、FPS初心者の受け皿になれる要素ではないだろうか。

ゾンビモードのゾンビより怖いです
王道のボス戦をまさか「CoD」キャンペーンモードで楽しめるなんて...

 さらに、CO-OPにはキャンペーンモードと別に「エンドゲーム」と呼ばれる新モードも用意されている。「エンドゲーム」は、作中で訪れる広大なマップ「アヴァロン」を舞台に、キャラクターを強化しながら危険度の高いエリアへステップアップし、最終的にアヴァロンからの脱出を目指していくというものだ。このモードがユニークなのは、最大32人のプレイヤーたちがアヴァロン各地に、それぞれスクアッド(4人チーム)として参加している点。CO-OPなので敵対することはなく、32人が別々に課せられたミッションの達成を目指している。

 フィールド内でたまたま出会った他のチームと協力し合う瞬間も多くあり、こちらも初心者に遊びやすいモードとなっている。後述するゾンビモードとは全く異なるプレイフィールで、ますますMMORPGを遊んでいる感覚である。マップの各地に多種多様なミッションが点在している性質上、皆がバラバラに動き回るケースが多々見られた。

 効率重視なら、恐らくスクワッド単位で行動した方が各ミッションの達成率も高まると思われるが、それすらお構いなしのフリーダムな雰囲気に筆者は逆に魅力を感じている。プレイヤー同士が戦わない平和なエクストラクションシューター(脱出系シューター)とでも表現すれば良いのか、かなり新鮮だ。友人同士でボイスチャットをしながら遊べるモードが、キャンペーンモードとエンドゲームで2つ増えたと思うと、「CoD」シリーズの裾野が広がり続けているのを実感した。

「エンドゲーム」のマップはかなり広い
出会った他のプレイヤーと共闘することも
無事に脱出できれば一応のクリア扱い

「BO」がついに大規模戦へ!「BO」解釈による20vs20

 FPSと言えばやはりPvPという人は多いだろう。特に「CoD」シリーズのブランドイメージは、恐らくeスポーツにおける競技シーンに裏打ちされたもの。対戦ルールもオーソドックスなチームデスマッチから、エリア争奪戦、リスポーン(復活)なしの特殊ルール、さらには20vs20の大規模戦まで網羅するようになった。特に大規模戦の「スカーミッシュ」では、広大なマップを舞台にウイングスーツで駆け抜けたり、仲間とビークルに乗ったりできるのが、チーム戦の魅力としても成立している。

 「CoD」の中でも「BO」シリーズ系列は、もともとそこまで大規模戦にフォーカスされることがなかった印象を持っている。一方で、同じ「CoD」でも「MW(モダン・ウォーフェア)」系列においては、2023年11月10日発売の「Modern Warfare III」で、最大64人対戦に対応している。

 筆者が記憶している限りにおいて、「MW」と「BO」では、キャラクターの挙動からして異なっているはずなので、単純なプレイヤー数での比較は野暮というものだが、「BO」シリーズに大規模戦が追加されていることに感動を禁じ得ない。「ああ、ついに『BO』でも大規模戦が...」などと感慨に浸ってプレイしていると、隠れたスナイパーにヘッドショットを決められていたりもした。色々な距離で戦えるのも魅力だろう。

「スカーミッシュ」の主な内容
ビークルにも乗れる

 「BO」はいわゆる「スポーツ系」のFPSで、シンプルなマップ内における少数チーム戦の駆け引きが持ち味だと思う。過去作では試合展開の早さとスピード感溢れるゲームプレイにのめり込んでいた。そうした従来の「BO」のフォーマットをそのまま大規模戦に持ってきたのは、個人的に賛否を覚悟での英断と言わざるを得ない。とはいえ、ビークルやウイングスーツといったガジェットが使用できるので、これに関しては大規模戦ならではの調整がされていると思う。

 一方で、キャンペーンモードとエンドゲームで使用できた便利ガジェットが対戦で使えないというのは些か勿体ない気持ちもある。さすがに全てのガジェットを利用できるわけではないが、その一部がゲームプレイに対して密接に紐付くことで、これまでの「BO」プレイヤーが培ってきたノウハウとは全く新しい概念が形成され、そこにやり込む価値が生まれる。結果として、大規模戦が苦手なプレイヤーも出てくれば、その逆も然りだ。得意・不得意の格差で、ルールごとに棲み分けされることに、ある種プレイスキルの個性が光るような気がしてならない。

 また、「スカーミッシュ」のルールは、キルレートを競い合うものではない。マップに出現する特定のエリアを占領し、両チームが合計ポイント数を稼ぐルールだ。ゆえにざっくばらんに言ってしまうと、初心者でもとりあえず拠点を制圧していれば仕事をしたことになる。1人でマップをウロウロしていると、ただデス数を重ねるだけだが、チーム全体の勝敗を考えたとき、特にそれが大きな損失になっているわけでもない。そう思うと、参加人数も多いし、比較的気楽にマッチを楽しめるはず。右も左も分からない初心者は、とりあえず仲間と行動するだけでも、それなりの貢献ができるからオススメだ。

 本稿執筆にあたり、取材を兼ねて数マッチほど「スカーミッシュ」をプレイしてみた所感では、スカーミッシュは他のルールと比べて、1試合辺りに費やすプレイ時間はやや長めだった。しかしながら、最大15分という時間制限の中、どちらかのチームがスコア上限に達すると、制限時間前であっても試合は終了する場合もある。よほどの戦力差でもない限り、プレイ時間は概ね10分~15分程度と見積もっていい。

 プレイの所感としては、やはり「BO」なので、ハイテンポに敵も味方も次々と倒れていく。ステージが広大で地形の起伏を利用しやすい構造だからか、いつも以上に周囲には気を配る必要があった。それでも全く認識していない方角から、一撃が飛んでくるケースも多く、単独行動中の緊張感はスリリングなものだ。戦場は恐ろしく混沌としているが、プラスに考えれば、その混沌に乗じて上級者にラッキーパンチをお見舞いできる可能性もある。

まずはここから。“気楽なPvPルール”で始める「BO7」入門

 ここまで「スカーミッシュ」を紹介したが、より手軽なPvPについても紹介したい。いずれのルールも少数チーム同士の戦いが基本となるため、友達同士などでメンバーが固まったチームとマッチングすれば、結構な割合で野良チームがボコボコにされてしまう難しさを痛感する。その分、敵側視点のハイライトやキルカメラで、学び取れるものは決して少なくない。臆せずプレイヤースキルの上達を目指して参加してもらいたい。

 まずは、誰でも分かり易いルールの筆頭である「チームデスマッチ」。両チームの合計キル数が純粋に競われるので最初に遊ぶルールとしては、ややハードルが高いかもしれない。しかし、とにかくシンプルなので遊びやすい。

 他にもリカバリーが利いたり仲間のミスを拭える奥深さがある「キルコンファーム」もある。こちらは倒した敵からドッグタグを拾い集めてスコアを稼ぐという趣旨だ。倒された仲間のドッグタグを拾えば、敵に拾われてスコアが加算される心配がない。ただし、ドッグタグの場所が把握できる性質から、回収することで位置バレするリスクは高まる。あえてドッグタグをエサにするといったテクニックも使えるので、単純にキル数を競い合う「チームデスマッチ」とは、違った戦略が求められてくる。戦略の創意工夫が楽しいルールだ。

倒したら「ドッグタグ」を回収しないとスコアに加算されない

 全てのルールをプレイした上で、FPS初心者でも比較的遊びやすそうに思えたのは「ドミネーション」、「ハードポイント」、「オーバーロード」の3種目。特に「ドミネーション」は、「スカーミッシュ」のルールを通常のマップでプレイしているイメージだ。時間経過で出現する目標地点を確保して防衛し、敵と奪い合い、総合スコアの差が勝敗を決する。スカーミッシュほどマップが広くないので、マップ構造を理解しやすい上、仲間とも連携しやすい印象を受けた。

 「ハードポイント」も、ドミネーションと同様にエリア争奪戦。違いと言えば、1つのエリアを奪い合うハードポイントに対し、ドミネーションでは3つのエリアを制圧できる。激戦区が転々とするハードポイント、仲間と手分けしながら防御の薄いエリアを狙うドミネーションといったところ。

 3つめの「オーバーロード」は“「CoD」版ラグビー”とでも言うべきか。試合開始直後、あるいはポイントが決定した後、マップに出現するEMPデバイスを確保し、複数ある敵チームのゴールポイントまで運び込むというもの。EMPデバイスを保有したプレイヤーは当然敵から狙われやすい。

 倒されると、EMPデバイスをドロップしてしまうので、なるべく敵との交戦を避けられそうなルートを選ぶか、仲間に守ってもらうか、腕に自信があれば、戦いながら正面突破するのも選択の一つだ。「オーバーロード」はいずれのルールでも見られない「敵から逃げ切る」という、“逃走”がキモとなる。敵の射線から身を隠す、敵を巻くため高所へ逃げるなど、エイム力以上に移動操作のテクニックが重要視されやすい。

 ここで紹介した3つは、どれもキル数とデス数を考慮しないルールだ。中でも「オーバーロード」は、EMPを保有した仲間を守るため、敢えて強引な動き方で敵を攪乱することも勝利に寄与しやすい。自分がEMPを抱えるキャリー役になると、スコアのために必死で仲間が護衛してくれるから、それはそれでちょっぴりVIPな気分を味わえるのもポイント高め。

 キャリー中に倒されてしまっても、近くに居た仲間が自分の意思とEMPのバトンを引き継いでくれる。ちなみに運び込むのが苦手なプレイヤーでも、敵のキルに集中するだけで護衛の役割は果たせていると思う。敵さえ寄ってこなければ、キャリー役は仕事が全うできるので、結構ありがたい。「オーバーロード」は、今回プレイしている中で、一番好きなルールとなった。

 ある程度、自分のプレイに自信が付いてきたら、ぜひ「サーチ&デストロイ」と「ガンファイト」を遊んでみてほしい。「サーチ&デストロイ」は、敵陣営の物資を爆破するか、敵を全滅させるとスコアになる攻防戦だ。

 このルールはリスポーンができないので、人を選ぶ側面があるものの、生と死の緊張感が煽られるという魅力がある。ガンファイトもリスポーンは不可。こちらは2vs2のチーム戦で、「サーチ&デストロイ」以上にシビアなゲーム性となっている。思わずプレイヤーも息を殺すほど、慎重を期する立ち回りが勝敗を分けていく...。

復活できないからこその緊張感が、慎重な立ち回りを養ってくれる
「ガンファイト」は友人とバディを組むと盛り上がりそうだ

ホラーよりも仲間との“旅感”がイイ。仲間とゾンビの群れから生き残る「BO7」ゾンビモード

 最後は「BO」シリーズ恒例の「ゾンビモード」について紹介していく。「ゾンビモード」は、各ロケーションがリニアに接続された大型マップを舞台に、ゾンビの攻勢から生き残りつつ、謎解きと脱出を目指すPvEモードとなる。最大4人での協力プレイが中心で、ロケーションごとにミッションをこなしながら装備を拡充していくゲームモードだ。

 ちなみにホラー要素が苦手な人でも多分問題はない。根拠はホラーゲーム嫌いな筆者が、特に臆することなく遊べているから。「ゾンビモード」は全体的にホラー色よりも、B級映画のポップさとシュールさ加減の方が強い。

 今回の「ゾンビモード」では、最もポピュラーな「スタンダード」をベースに、ミッションガイドとミニマップの廃止、ロードアウト(マッチ開始時の初期装備)の編集ができないハードコアモード「カース」が新たに加わった。そのほか「サバイバル」と「デッド オプス アーケード 4」の全4種類のゲームモードが収録されている。

 「スタンダード」は、基本的に仲間と協力しながらゲーム中のガイドに沿っていく流れだ。ミッションをこなしながら、不思議な車「ワンダービークル」に乗り込み、4人で各地の旅を続けていく。その様子はさながらロードムービー的であり、B級ゾンビ映画的でもある。

 クリアまでの流れを把握しているプレイヤーが仲間にいると、トントン拍子で旅が進むのでおんぶに抱っこ状態。今回のプレイでは最後まで旅を続けることができず、途中で脱出する場面がほとんどだった。通常のCO-OPモードと比べても、謎解きと探索が必要になることから、「スタンダード」といえどもクリアは難しい。ちなみに新たに追加された「カース」は、よりマニアに向けた難易度だと言える。

「ワンダービークル」に皆で乗り込み、ゾンビを蹴散らしながら旅をするのがただただ楽しい
「カース」はヒントがないので、初心者には不向きかもしれない。その反面、ゼロから探索していく面白さがある

 「サバイバル」はその名の通り、ゾンビと戦い続けて生き残るのが目的だ。「スタンダード」や「カース」と異なるのは、謎解きが存在せず固定されたロケーションの中だけでゾンビと戦う、戦闘主体のモードだということ。ゾンビとの戦いだけを楽しみたければ、サバイバルをプレイするのも、ゾンビモードの練習となる。ゾンビモードはPvEではあるが、大量のゾンビを引き連れて逃げ回る、PvPとは違った技術も必要不可欠。ソロでもスクアッドでも遊べるので、初心者はまずサバイバルで慣れておくのが良さそうだ。

 「デッド オプス アーケード 4」は、見下ろし系のローグライト・シューティングとなる。見下ろすだけではなく、FPSとしても楽しめる。ゾンビモードが番外編的な位置づけだと思うのだが、このモードはさらなる番外編...いわば、“ミニゲーム”と表現した方が適切ではある。武器やパワーアップアイテムで、無数のゾンビたちを相手に無双できる、一風変わったコンテンツであった。

群がるゾンビを一網打尽にするアーケードライクなミニゲーム
ゲーム開始前に視点を変更できる。もちろんゲーム体験も変化
一応、世界観とあらすじのようなものがある

シーズン01が開催中! 今後もますますコンテンツが増える

 12月5日からはシーズン01も開催中。シーズン01では小道具に変装するパーティーモード「プロップハント」の復活や、「ゾンビモード」の新マップなどが追加された。

【Call of Duty Black Ops 7 | シーズン01 ローンチトレーラー】
シーズン01のロードマップ
小道具に変装して逃げるパーティーモード「プロップハント」

 また、「エンドゲーム」にすべてのプレイヤーが即時参加できるようになり、新たに巨大な敵と戦うイベントが追加されている。

 さらに、「ゾンビモード」には宇宙に漂う20世紀初頭の天文台が舞台の新マップ「アストラマロルム」が登場。20世紀中頃の映画のような雰囲気でゾンビの物語が展開されている。

 シーズン01だけでもかなりのコンテンツが追加されているので、今後のシーズンでも続々と武器やマップ、スキルなどが増えていくだろう。また、今週(12月15日週)には シーズン01のフリートライアルも開始される予定とのことなので、この機会に遊んでみてはいかがだろうか。

□「Call of Duty: Black Ops 7およびCall of Duty: Warzone シーズン01: 知っておくべき全情報」

【Call of Duty: Black Ops 7 | アストラマロルム シネマティック】

久々の復帰でも楽しめた。「BO7」が改めて教えてくれたFPSの面白さ

 今回は筆者にとって久しぶりの「CoD」となったが、「BO2」の頃に味わった、スポーツライクな所感が手応えとしてハッキリ残っているように感じている。あの頃と比べると、ルールは増えたし、経験値の獲得のしやすさも段違いだった。ゾンビモードが中心だったCO-OPの遊び方に選択肢が増え、初心者がPvEでゲームの感覚を掴みやすくなっている点も大きい。

 最近ではあまり対戦ゲームをプレイしなくなったが、「BO7」はルールの多彩さと、各ルール1試合ごとのまとまりの良さが大変気に入っており、本稿執筆後もゲームプレイを続けていく方針だ。心境としては、久しぶりに対戦ゲームに熱中できている自分を発見できて、素直に嬉しい気持ちである。「CoD」に限った話ではなく、FPSジャンルそのものを、広くプレイしたいというきっかけが生まれたと考えている。

敵を拘束して肉壁にするアクション(初めて成功した)

 FPSというジャンルは、日本国内でも「BO2」の頃と比べて、だいぶ市民権を得てきたように思う。それでも、3D酔いの問題や対戦の心理的ストレスが苦手で、遊べる人が限られてくるジャンルなのは変わらないだろう。しかし、FPSほど上達の実感が得やすいゲームジャンルも、そうないのではないだろうか。

 エクストラクションシューターや、バトルロイヤルシューターが人気を博している時代に、より“クラシカルな対人戦FPS”を選択するという行為が、その手のトレンディなシューターを今後プレイする上で、役立つ経験値になるかもしれない。己の実力を着実に磨き、上達する楽しさを味わえるFPSをお求めならば、間違いなく「BO」シリーズは応えてくれる。競技性の高いFPS作品、そして、友人たちと盛り上がれるCO-OPゲームを探している人にもおすすめだ。

お馴染み銃のカスタマイズ要素もモチベーションになる
メインストーリーもお忘れなく