【連載第60回】韓国最新オンラインゲームレポート

SCEK、「PlayStation新製品ローンチングカンファレンス」を開催
新型PS3、PSPGoの韓国発売を正式発表。PSNタイトル半額キャンペーンを実施

9月17日開催(現地時間)

会場:FRADIA


 Sony Computer Entertainment Korea(SCEK)は9月17日、ソウル市ハンガン市民公園内レストランFRADIAにおいて「PlayStation新製品ローンチングカンファレンス」を開催した。

本発表会はハンガンの水面上に位置するレストランFRADIAにて行なわれた

 本発表会では韓国において、低価格化、軽量化された新型プレイステーション 3(PS3)とPSP goの発売日の告知と、それに伴う新たな韓国語版ローカライズタイトルのライナップが発表された。新型PS3の発売日は9月23日、価格は428,000ウォン(約32,100円)。PSP Goの発売日は10月1日、価格は328,000ウォン(約24,600円)となっている。日本での価格設定と比較すると、PS3は日本の方が若干安く、PSP Goは韓国の方が若干安いということになる。

 パッケージ販売よりオンライン販売の方が強い韓国市場は、PlayStationNetwork(PSN)を通じてタイトル販売を展開するPSP goに期待しているようだった。本稿では発表会の内容をお伝えしたい。



■ 韓国では新型PS3とPSP Goの登場で従来機を値下げ。多数の韓国語ローカライズタイトルも発売

SCE Asiaプレジデント安田哲彦氏。「インターネットインフラ強国である韓国で新型PS3とPSP goの展開はSCEグループとしても非常に期待しています」と述べた
本発表会はトーク形式で行なわれた。左から順にSCEKプラットフォームサポートチーム課長イ・ソンフン氏、SCEK代表取締役社長イ・ソンウック氏、SCEKセールスチーム次長イ・ジェウン氏

 本発表会では新型PS3とPSP goの韓国発売が発表された。今までE3やGamescomなどを通じて、欧米地域や日本の発売に関する内容は発表されてきたが、韓国発売に関する内容は今回が始めてである。会場には韓国メディア関係者や、韓国に法人を持つサードパーティの関係者、プレイステーションファンクラブ会員等が招待され、華やかに開催された。

 まず、SCE Asiaプレジデントの安田哲彦氏が登壇し、挨拶を行なった。SCEKが2002年に設立され、以来韓国のコンシューマ市場を牽引してきた存在であることを強調したあと、オンラインインフラの強い韓国での新型PS3やPSP goの活躍に期待を述べた。その後はSCEK代表取締役社長イ・ソンウック氏が登壇し、今回の発表内容について簡単な説明を行なった。

 本発表会ではイ・ソンウック氏、SCEKセイルズチーム次長イ・ジェウン氏、SCEKプラットフォームサポートチーム課長イ・ソンフン氏が登壇し、映像から出される質問に3人が回答していくトーク形式で新型PS3とPSP goの説明を行なった。

 発売時期については、新型PS3は9月23日、PSP goは10月1日。日本ではPSP Goの発売が11月1日だが、韓国ではそれより1カ月早い10月1日に発売される。これは欧米と同じ発売時期だ。価格についてPS3が428,000ウォン(約32,100円)、PSP goが328,000ウォン(約24,600円)となる。

 新型機の発売に伴い、従来機の値下げも併せて発表された。まず、プレイステーション 2(SCPH-90005)は178,000ウォン(約13,350円)から148,000ウォン(約11,100円)へ。PSP 3000(PSP-30005)は268,000ウォン(約20,100円)から228,000ウォン(約17,100円)へ値下げされる。日本では見られない、アジア独自の取り組みとなる。

 発売日と価格の発表が終わると、新型PS3とPSP goの特徴についての説明が行なわれた。新型機の特徴についてはすでに繰り返し記事にしているのでここでは繰り返さないが、韓国においても、日本や欧米で取り扱うハードとまったく同じ仕様のものが発売される。

 PSP goではついにUMDスロットがなくなり、ゲームソフトはPSNを通じて購入することになる。これにあわせSCE Asiaが統括する韓国を含むアジア地域では、PSNのマーケティングの一環として、PSNで配信されているPS3タイトルの一部を半額で提供するキャンペーンを進行している。期間は9月1日から10月29日まで。PSPとは直接関係ないが、PSNの利用促進に効果のありそうなプロモーションと言えそうだ。

 最後に韓国語版のラインナップが発表された。PS3が11本、PSPが9本となる。フルローカライズもしくは韓国語字幕で発売される予定で、発売日についてはもっとも早いタイトルでも“10月”とボカされている。タイトルラインナップは以下の通り。

    ・PS3 ローカライズ予定タイトル一覧
    「EyePet」、SCE、2009年12月発売予定
    「God of War III」、SCE、2010年3月発売予定
    「Gran Turismo 5」、SCE、発売日未定
    「Heavy Rain」、SCE、2010年発売予定
    「MAG」、SCE、2010年発売予定
    「ModNation Racers(仮)」、SCE、2010年発売予定
    「Ratchet & Clank Future 2」、SCE、2009年秋発売予定
    「UNCHARTED 2」、SCE、2009年10月発売予定
    「Assassin's Creed 2」、Ubi Soft、2009年冬発売予定
    「NINJA GAIDEN 2」、KOEI、2009年秋発売予定
    「TEKKEN 6」、バンダイナムコゲームス、2009年10月発売予定
    ・PSP ローカライズ予定タイトル一覧
    「Gran Turismo」、USD/PSN、SCE、2009年10月発売予定
    「Invizimals」、USD/PSN、SCE、2009年11月発売予定
    「Fat Princess:Fistful of Cake(仮)」、UMD/PSN、SCE、2009年冬発売予定
    「LittleBigPlanet」、UMD/PSN、SCE、2009年11月発売予定
    「SOCOM:U.S. Navy SEALs Fireteam Bravo 3」、UMD/PSN、SCE、2009年11月発売予定
    「MotoreStorm:Arctic Edge」、UMD/PSN、SCE、2009年10月発売予定
    「Everybody's Sukkiri」、UMD/PSN、SCE、2009年秋発売予定
    「LocoRoco midnight Carnival」、PSN、SCE、2009年秋発売予定
    「PERSONA 3 PORTABLE」、UMD/PSN、Atlus、2010年発売予定

小型軽量化された新型PS3(左)とUMDスロットを廃し、PSNを通じたオンライン販売に特化した新端末PSP go(右)

会場内では新型PS3の試遊台が8台、PSP goの試遊台が6台置かれ、自由にプレイすることができた

来月に発売予定のPS3「UNCHARTED 2」。試遊台には韓国語にローカライズされたバージョンが設置されていた

PS3の大作アクション「God of War III」をプレイアブル出展。韓国語版はまだ間に合わなかったためか、E3の英語バージョンが設置されていた

PS3「EyePet」。韓国ではPS2の「EyeToy」が大ヒットしたためか、本作に対する期待も高い



■ 韓国市場はPlayStation Networkを通じてオンライン販売を展開するPSP goに期待

 発表会後に関係者に話を聞いたところ、特に韓国のサードパーティーは、オンラインでゲームの販売が行なえるPSP goへ期待を寄せる声が大きかった。

 韓国のコンシューマ市場は本体こそ堅調に販売実績を伸ばしているが、ゲームソフトは全くといっていいほど売れない深刻な状況に追い込まれている。関係者によれば、ヒットしても3,000本がせいぜいで、1万枚出れば大ヒットという状況だという。

 その理由としては韓国では違法コピーが未だに活発なことが挙げられる。コピーが可能だった旧型PSPはユーザーたちの間では、新型より高値で取引されている。さらに、韓国において200万台を突破したニンテンドーDSはマジコンの問題が解決しておらず、そのおかげでゲームソフトは1,000本すら届かない。SCEK、任天堂、マイクロソフトの3社とも法律的に対応はしているが、事態は未だに改善されていないのが現状だ。特にタイトルの販売だけで売り上げを上げているサードパーティにとっては、非常に深刻な問題である。

 PSP goでは、PSNを通じてタイトルのオンライン販売を行なうため、違法コピー行為も容易く阻止できる上、オンラインゲームが主流である韓国にとっては、パッケージ販売よりオンライン販売の方が馴染んでいるという見方をしている。さらに、パッケージ作業に掛かる費用も省くこともできるため、低価格化等の施策により多くのユーザーたちに楽しんで貰えるという。

 SCE Asiaでもその点を狙って半額割引といったイベントをアジア地域限定で行なうなど、PSNに勝負を掛けようとしているようだ。韓国のPSNは、韓国でPS3が発売された2007年6月16日からサービスが開始されており、現在、アジア地域全体で60万人の会員を持つ。全世界の会員数が2,700万人であることを考えると寂しい限りだが、それだけにしっかり普及させれば、市場が一変する可能性すらあるわけだ。

 今後は、無料体験版やPSタイトルのPSP版「ゲームアカイブ」、ゲームアイテム、映像といった多様なラインナップを拡大していく方針だという。PSP goの登場で会員やコンテンツ数の拡大も期待したいところである。

 PSP goは、コンシューマ市場が弱いアジア地域において、新たな可能性を感じさせるプラットフォームだ。韓国だけでなく、違法コピー行為で悩まされている国々のビジネスにおいて大きな福音となる可能性がある。そういった面を含めて今後、PSP goの活躍に期待したい。


カメラ同梱版で発売されるPSP「Invizimals」

PSP「Gran Turismo」は早くも韓国語にローカライズされている

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(2009年 9月 18日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]