使って試してみました! ゲームグッズ研究所

連載第375回

Razerのゲーミングキーボード「Razer BlackWidow Ultimate」
発売間近の2016年仕様版を先行して試してみた

 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。

 Razerの販売代理店であるMSYより、最新のゲーミングキーボード「Razer BlackWidow Ultimate 2016」が1月29日に発売される。今回はその製品を先行してお借りできたので、昨年のモデルとの比較も交えつつ、ゲーマー向けキーボードの秘密、良さを探ってみた。


2016年版の「Razer BlackWidow Ultimate」&「Stealth」をチェック!

メーカー:Razer
価格:14,800円
メーカー:Razer
価格:14,800円

 今回発売される2016年の最新モデルは、この「Razer BlackWidow Ultimate 2016」と「Stealth」なのだが、両製品の違いは“ステルス”の名が示す通り、通常モデルと静音モデルの違い。通常モデルのキースイッチには確実なキータッチを伝える「Razer Green Switch」が、静音モデルのステルスには静音性を重視した「Razer Orange Switch」が採用されている。

 スイッチの違いからキータッチの重さにも多少の違いはあり、通常モデルのグリーンスイッチは押下圧力50g。静音モデルのオレンジスイッチは押下圧力45gとなっている。どちらのスイッチも、“6,000万回の打鍵耐久性テスト”をクリアしているということで、激しいキー入力をするときもあるゲーミングデバイスとして耐久性もしっかりとしたものになっている。

 また、両キーボードには日本語/英語キーボードがそれぞれ用意されているので、合計で4つのモデルが発売されることになる。今回試したのは、いずれも日本語キーボード版だ。

 キースイッチ以外は共通した仕様になっており、テンキーありのゲーミングキーボードとなっている。接続コネクタはUSBコネクタ2個と、オーディオ入力用のミニジャックが備えられており、キーボード側にも右側面にUSB端子を1個、オーディオ出力のミニジャックを搭載していて、スループットできるようになっている。

 キー配列もクセのない標準的なものだが、前モデルだと左端に並んでいたマクロキーが排除された。これによって横幅も多少コンパクトになっている。マクロレコード機能自体は健在で、任意のキーに設定できるため、前モデルのマクロ専用キーはなくてもいいのでは、というところだろう。

こちらが2016年版の「Razer BlackWidow Ultimate」。上が通常版、下が静音版の「Stealth」だ。外見的にはほぼ違いがないが、多少「Stealth」の方が静音の仕組みのためか厚みがある
通常版に採用されているキースイッチ「Razer Green Switch」
静音版に採用されているキースイッチ「Razer Orange Switch」

ゲーミングキーボードとは言っても、ソリッドなデザインではあるがあまりゴテゴテはしていない。右側面にはUSBとオーディオのスループットがあり、接続ケーブルもキーボード接続用のコネクタ以外にUSBとオーディオのコネクタが各1つずつある

前モデルでは左端にマクロ実行用のキーが5個搭載されていたのだが、2016年モデルではそれは排除された
上が前モデル、下が2016年版。マクロキーが排除されたことで横幅も少しコンパクトになった

 ファンクションキーとの組み合わせでは、ボリュームコントロールキー、メディアキー、マクロレコードキー、ゲーミングモードキー、スリープモードキーなどが搭載されている。

 ゲーミングモードにすると、「Windowsキー」、「Alt+Tab」、「Alt+F4」など、ゲームプレイ中に押してしまうと困るキーを無効にできる。物理的にキーを外しているというユーザーもいるとは思うが、こうしたモード切替一発で無効にできるのはありがたいところ。

 このほか、「キーロールオーバーアンチゴースト」、いわゆるキーの同時押し数(ロールオーバー)と、瞬間的な連続入力を正確に認識する機能(アンチゴースト)の機能に、10キーまで対応している。同時押しは当然として、瞬間的な入力の入れ替わりを防ぎ、正確に認識してくれるアンチゴースト機能は、目に見えない機能ではあるが、ゲームプレイにおいてとても重要だ。

 なお、キー入力のデータ転送速度は1,000Hz(1ms)の高速ポーリングレート。レスポンスにおいても万全だ。

ファンクションキーとの組み合わせでは、ボリュームコントロール、動画再生などのメディアコントロール、マクロレコード、ゲーミングモード、発光の輝度調整が行なえる

 Razerのイメージカラーである緑色に発光するライティングエフェクトが搭載されている。Razerのハードウェアを統合してコントロール・管理できるソフトウェア「Razer Synapse」を使うと発光パターンの変更もできる。発光パターンは以下の通り。

・息をするようにゆっくりと点灯と消灯を繰り返す「Breathing(呼吸音)」
・押下したキー単体が発光する「Reactive(反応性)」
・押下したキーを中心に光が広がる「Ripple(波紋効果)」
・夜空の星の様に全キーがランダムに発光する「Starlight(スターライト)」
・全体が常時点灯する「Static(静的)」
・波打つように光が流れていく「Wave(ウェーブ)」

 発光パターンはこの6種類以外に、自分でカスタマイズしたカスタム設定も作れるほか、キーボード単体でもファンクションキーとの組み合わせで発光の強さも調節可能。もちろん発光をオフにすることもできる。

Razer製品を統合してコントロール・管理できるソフトウェア「Razer Synapse」。こちらを使うと発光パターンの切り替えやカスタマイズが行なえる(発光パターンに「ストレート」という項目があるが、こちらは「スターライト」の誤訳だろう)

使ってわかる“実用性重視の機能”。本格ゲーミングキーボードならではのフィーリング&レスポンス

 実際に両キーボードを使ってみた。プレイしたのは主に、「スターウォーズ バトルフロント」や「バトルフィールド4」などのシュータータイトルだ。

 プレイを試すために設置してみての、いわゆる外観や所有感の点で言うと、こちらは良好、上質だ。ゲーミングデバイスというとゴテゴテしたものもあるが、今回試している両キーボードは、ソリッドなデザインではあるが、基本はシンプル。不必要と思えるような過度な機能もなく、実用的な製品となっている。USBケーブルもしっかり編み込みでカバーされており、安心感がある。

 肝心のキー入力の感想としては、まず通常モデルの「Razer BlackWidow Ultimate 2016」でプレイしてみたのだが、なんと言ってもキーの感触がいい。音で表現するなら「カシャカシャカシャ」という、小気味いい感触だ。カチッとスイッチの入るメカニカル感が音とともに指に伝わってくるものの、スイッチの感触自体は軽い。もちろん、1,000Hz(1ms)の高速ポーリングレートという入力レスポンスにも不満はなく非常にクイックだ。

 一方、静音の「Stealth」だと、キーの打鍵音は「パシパシ」という高音が抑えられたような音で、カチッというスイッチ音が全くなくなっている。指にもクリック感がなく、クニャッとした押下感だ。また、スイッチそのもの押下圧力も通常モデルより低いこともあり、キーの感触は全体的に柔らかい。

 しっかりとしたクリック感、スイッチ感を気持ちよく感じるなら通常モデル。柔らかく静かな打鍵音を求めるのなら静音モデルという選択になる。

 プレイしていて感じるのは、「10キーまでのキーロールオーバーアンチゴースト」機能がなんといってもありがたいということ。ゲーミングキーボードとしては基本的な機能ではあるが、キーの同時押しを可能にしつつ、ほぼ同時押しに近いような瞬間的な入力の順を正確に検知するという機能で、多数のキーを駆使するゲームであればあるほど、これがゲームプレイに効いてくる。

 従来のキーボードでは、瞬間的な反応を求められたときに、「今こうやって入力したんだけど、そうは動かなかったような……?」というときが多少なりともあるわけで、もちろん指を正確に動かせていないときだってあるものの、あまりに瞬間的に連続入力したことで入力順が正しく反映されていない……ということも起きてしまう。それを機能面で防いでくれるのは、まずなによりデバイスへの信頼感、安心感がある。もちろん、今回試した両キーボードでもその点にぬかりはなく、快適なプレイができた。

 ソフトウェア「Razer Synapse」を使ってのキーカスタマイズ機能も充実している。全てのキーに別のキーやマウスの機能、マクロ、プログラムの起動、マルチメディアコントロール機能、そして無効化などを設定できる。このキーボードはテンキーのあるタイプだが、テンキーを使わないという人なら、マクロなど各種の機能を割り当ててしまってもいいだろう。

 使い勝手の面で言えば、1キー入力ですぐに切り替えられるゲーミングモードがまず便利だ。普段使いとゲームプレイをすぐさま変えられる。

 また、右側面にあるUSBコネクタとオーディオ出漁のミニジャックの存在もありがたい。右側面なので、多少マウスのスペースにケーブル類が出てしまいそうな懸念はあるのだが、充分なスペースを取っている人ならば問題ないだろう。これについてはゲームプレイだけでなく普段使いにおいても便利だ。

Windowsキー等を無効にできるゲーミングモードの一発切り替えや、全キーのカスタマイズも可能など、実用的な機能が充実している。質実剛健な印象のキーボードだ

より洗練され、より質実剛健になった本格ゲーミングキーボード

 発売直前のゲーミングキーボード「Razer BlackWidow Ultimate 2016」と同「Stealth」を使ってみた。緑色に点灯するイルミネーション機能こそ、いかにもゲーミングキーボードというところだが、シンプルなデザインに実用性重視の機能が揃っており、前モデルよりもさらに洗練されたキーボードとなっていた。

 不満点もなく、ゲーミングキーボードをいくつも乗り換えてきたようなヘビーユーザーも、初めてゲーミングキーボードに興味を持っているという人の入門用にも、オススメできるキーボードだ。

(ゲーム環境向上委員会)