【連載第267回】ゲームライフに役立つグッズをレポート


操作へのこだわりが生んだ“PRO.”仕様!
HORIのPS3用コントローラー「ホリパッド3 PRO.」を使ってみました


 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 周辺機器メーカーの老舗HORIが放つ、“こだわりのPRO仕様”なコントローラーが、今回試してみた「ホリパッド3 PRO.」だ。方向キーの角度を調節する“方向キー調節ユニット”、斜め入力の範囲を調節する“方向キーの入力範囲調節機能”、プレイしながら片手でワンタッチに連射設定ができる“クイックターボ機能”を備えた、これまでのコントローラーにはなかった機能を搭載。操作にこだわった一品だ。そうした機能を中心に、実際に使って試してみた。

【今週のおしながき】
PS3 HORI 「ホリパッド3 PRO.」

 




● 操作性にこだわり独自の機能を搭載した「ホリパッド3 PRO.」

「ホリパッド3 PRO.」

    メーカー:HORI
    価格:2,980円
    カラーバリエーション:ブラック、ブルー、レッド
    (ブルーとレッドは7月28日発売)


外観はそれほど特殊なものではなくスタンダードな有線コントローラー。だが、操作性にこだわるための独自機能がたっぷりと搭載されている
DUALSHOCK3と並べたところ。横幅が大きく、グリップも長い。全体的にサイズが大きめだ

 HORIが満を持して放つ“PRO仕様”なPS3用コントローラー「ホリパッド3 PRO.」がついに発売された。このコントローラーは同社が発売しているPS3用有線コントローラー「ホリパッド3 ターボ」をベースに、これまでのコントローラにはなかった“独自の工夫”を施しているもの。操作性にこだわる、まさに“PRO”仕様の製品となっている。

 コントローラーとしてはの外観や作りは、「ホリパッド3 ターボ」を踏襲している。表面はツヤのあるクリアな加工になっていて、手に吸い付く感触がある。USBケーブルは約3mとロングケーブルになっている。

 全体のサイズは約16.5×10.5×5.5cm(横×縦×高さ)と、純正コントローラーのDUALSHOCK3と比べると少し横幅があり、L/Rの位置もDUALSHOCK3より外側に位置している。ボタンの角度も少し外側へ開いている。重量は167gと軽い。

 グリップが大きめで、DUALSHOCK3のグリップ部と比べると約1.4cmほど長い。ふくらみもついているので、そのぶんの厚みもある。グリップの向きはあまりハの字に広がっておらず、下に伸びている。

 方向キーは中央が繋がっている十字タイプで、大きさ自体やキーの高さはDUALSHOCK3と似ている。アナログスティックは先端にくぼみがあるタイプ。軸の高さや先端の直径などはDUALSHOCK3と同じだ。

 ○/△/□/×ボタンは直径はほぼDUALSHOCK3と変わらないが、高さがDUALSHOCK3よりも約1.5mmほど高く、クリック感と反発が適度に強めになっている。

 L/Rボタンはボタンの直径が広めで、DUALSHOCK3のL/Rほど丸みはついていない。平らなボタンだ。L2/R2ボタンは押し込みの深いトリガータイプで、ボタンのフチが少し反り返っていて指が外れないようになっている。


L/Rボタンの位置が外側にあり、向きも外へ開いている。グリップは下方向へ伸びていて、長さもあるが、ふくらみによる厚みもかなりある

L2/R2ボタンは押し込みの深いトリガータイプ。感触は少し抵抗が強め

 続いて、この「ホリパッド3 PRO.」最大の特徴である、3つの機能について触れていこう。

・方向キー調節ユニット

 独自の工夫は3つある。まずひとつが、“方向キー調節ユニット”だ。これは、方向キーが丸い枠ごと20度まで回転するというもので、左手の親指に対して方向キーの角度を合わせられる。方向キーの下にロックのためのダイヤルがついており、右に回してロックを緩めてから方向キーを回す。好みの角度にしたらダイヤルを左に回してロックする仕組みだ。


方向キーの丸いフチ内全体が回転する仕組み。ダイヤルを回してロックをゆるめ、指で回転させる。下の3枚は左から順に、通常の角度、10度、20度にしているところ。回転の段階はなくシームレスだが、おおまかにはこの3種類だ

・方向キーの入力範囲調節機能

 2つめは、“方向キーの入力範囲調節機能”。これは方向キーの斜め入力の範囲を広げたり狭めたりできる機能だ。上下左右を重視するタイトルでは斜め入力の範囲を狭めて誤入力を防ぎ、反対に格闘ゲームなどの斜めも頻繁に使うゲームをプレイするときには斜め入力範囲を広くして入力しやすくするというわけだ。

 切り替えはコントローラーの背面、方向キーの裏側あたりにある調節ダイヤルをコインで回して切り替える。コインを使うのは、誤作動を防ぐためだろう。範囲の広い「L」、狭い「S」、通常の3段階に切り替えられる。


コントローラー背面にある調節ダイヤルで方向キーの斜め入力範囲を切り替える。この機能は操作に大きく影響するからか、誤作動がないようコインで回す作りになっている

・クイックターボ機能

 3つめは、“クイックターボ機能”。これはワンタッチで手軽に連射機能をオンオフできるという機能で、コントローラの背面、4ボタンの裏側にあるクイックターボボタンを押すだけ。コントローラーを握っている右手の指がちょうど届く位置にボタンがあるので、手の持ち方を変えずに連射設定できる。オンにすると、○/△/□/×ボタンとL1/L2/R1/R2ボタンが連射になる。


コントローラー右側の背面にある“クイックターボボタン”。これを押すだけで、全ボタンが連射設定になる。プレイしながら片手で設定できるよう、右手の指がすぐに届く位置にボタンがある

コントローラー中央には、スタートボタンやセレクトボタン、PSボタンのほか、アナログスティック感度設定や連射機能、連射速度の切り替えスイッチを搭載

 このほかにも「ホリパッド3 ターボ」にもあった機能として、アナログスティック感度設定や連射機能、連射速度の切り替えが搭載されている。

 アナログスティックの感度設定ではノーマル、ワイド、ナローの3段階にアナログスティックの入力感度を広げたり狭めたりできる。レースゲーム等の微妙なコントロールをするゲームではワイドで感度を広げ、アクションゲームなど素早い操作が求められるときにはナローで感度を狭めたりするというわけだ。

 連射設定はターボボタンを押しながら連射したいボタンを押す方式で、一度設定すると押している間だけ連射、もう一度設定すれば連射ホールドになる。連射設定できるのはクイックターボ機能同様に○/△/□/×ボタンとL1/L2/R1/R2ボタンだ。

 連射機能はクイックターボ機能と使い分けが可能で、例えばいくつかのボタンを連射に設定している最中にクイックターボ機能をオンにすると、全部のボタンが連射になる。そこからクイックターボ機能をオフにすれば、もとの個別に連射設定されている状態に戻る。

 連射速度の切り替えは、スタートボタンの上にあるスイッチで、約5回/秒、約12回/秒、約20回/秒と3段階に切り替えられる。

● 実際に使って試してみた。方向キー操作へのこだわりポイントが光るが、残念な点も

○/△/□/×ボタンは、ボタンの高さやクリック感、反発が適度にあって、感触がとても良い

 実際にゲームプレイを試してみた。コントローラーを手に持った時の感触は、グリップをしっかりとホールドでき、各ボタンやL/R部にも自然と指が置ける。ただ、全体的に大きくて厚みもあるので、手の小さな人では持ちづらく感じてしまうかもしれない。

 アナログスティックの感触は、DUALSHOCK3のスティックと比べると、基本的には近い感触だがほんの少し軽めになっている。方向キーの押下感はDUALSHOCK3とほぼ同じ。○/△/□/×ボタンの押下感はボタンの高さがあることもあり、クリック感と反発が少し強めになっている。

 少し独特なのがL/Rボタンの感触で、L1/R1ボタンは反発が弱めでクリック感が薄い。押しっぱなしにするのは楽だが、適度な反発がないぶん連打はしづらい。

 L2/R2ボタンは、DUALSHOCK3のものと比べると押し込みの感触が堅め。DUALSHOCK3のL2/R2ボタンの押し込みを「グッ」と表現すると、こちらは「グーッ」とした強めの手応えがある。

 少し気になったのは、コントローラー中央のスタートボタン、セレクトボタン周りで、周囲にアナログ感度の切り替えスイッチや連射速度の切り替えスイッチなどが密集しているため、スタートボタンやセレクトボタンが多少押しづらいところがある。とっさに押せないというほどではないのだが、もう少しスペースに余裕が欲しかったところだ。

方向キーの角度を変えることで親指の向きとピッタリ合うようにできる。これによって、方向入力がより自然にできる

 続いて、“方向キー調節ユニット”で、方向キーの角度を変えてみる。ロックのダイヤルは左手の親指で軽く回せるようになっていて触りやすい。ロックをゆるめてから方向キーのフチに指をかけ、ユニットを回転させていく。好みの角度にしたらダイヤルをしめれば完了だ。

 回転するのは20度までなので、見た目にはそこまで大胆な変化ではないのだが、指を添えてみるとその変化の大きさをはっきりと感じる。左手の親指に対して方向キーの向きがまっすぐになる。これ以上の角度は必要ないと思える。

 この20度の状態でゲームをプレイしてみると、最初は違和感が強い。従来のコントローラで右を入力するところが右下に入力することになってくるわけで、指が感じている方向キーの感触では右を押しているが、押している方向感覚は右下気味という、あまり感じたことのない操作感覚になる。グリップがあまりハの字になっておらず、それを握っている手もあまり角度がつかないところも理由だ。20度では指の向きよりも角度がついてしまう。

 そこで、もう少し垂直に近い10度ぐらいにしてみた。すると、指の角度と方向キーの角度がうまくまっすぐに重なり、違和感が少なくなった。従来の0度の角度よりも方向キーへ自然に指を置けて、入力もしやすい。特に左方向の、親指の外側へ押下するときに、指の負担が少ないのを感じた。0度~20度の角度は、自分のフィーリングに合うところで調節するのが良さそうだ。

 続いて、方向キーの斜め入力の範囲を調節する“方向キーの入力範囲調節機能”を使ってみる。コントローラー背面にあるダイヤルをコインで回し、まずは斜めの範囲が狭い「S」にしてみた。

“方向キーの入力範囲調節機能”を、「スーパーストリートファイターIV AE」で試しているところ。斜め入力の範囲を狭くする「S」設定にしたところ、方向キーをぐるぐると回すように入力しているのにもかかわらず、画像のように上下左右だけが入力された。斜めはごくわずかにしか反応する範囲がない

 これで「スーパーストリートファイターIV AE」をプレイしてみた。波動拳コマンドを入力してみるが、出ない。まったく出ない。斜めのジャンプもできない。入力が表示されるキーディスプレイを見てみると、いつもどおりに斜めを入れているつもりでもやはり上下左右にしか入っていなかった。

 斜め入力はできないのだろうか? と、斜め入力範囲を探すようにぐりぐりと入れてみると、ほんのわずかにだけ斜めが入るポイントがあった。従来の入力範囲に比べるとほんのわずかで、瞬間的に斜めに入れることはできないほどだ。予想以上の変化に驚かされたが、これなら斜め入力が誤入力されてしまうことはない。上下左右だけを使うタイプのゲームをプレイするときに活躍する。

 次に、斜め入力の範囲が広い「L」にしてプレイしてみる。こちらは逆に、上下左右の範囲が狭く感じるほどに、斜め入力の範囲が広い。例えば下方向に入れている状態から、ほんのわずかに親指を傾けるだけで斜めに入ってくるほど。

 最初はこの「L」の状態では、垂直ジャンプのつもりでも斜めジャンプになってしまったりと暴発があったのだが、しばらくプレイを続けていると慣れてきて、プレイしやすくなってきた。波動拳コマンドなどの斜めを通るコマンドがしやすく、力を抜いたプレイでもさらりと出てくれる。従来はあまり力を抜きすぎると斜め方向の入力が抜けてしまいがちだが、脱力した操作でちょうどいい具合。最初は斜め入力が暴発していたが、そのうちにこれぐらいの入力範囲のほうが楽にプレイできると感じるようになった。

 「L」設定でしばらくプレイしたあとに通常の状態に戻してみると、これぐらいで斜めジャンプになる、という入力具合でも垂直ジャンプになってしまい、逆にプレイしづらく感じてしまった。「L」設定は、慣れればしっかりと上下左右に入るが、斜めは意識せずともしっかりと入る。弊害として、この「L」設定に慣れると他のパッドでのプレイがしづらくなるかもしれないほど、方向キーでのコマンド入力は格段に楽になる。

方向キーの角度を指と合わせ、斜め入力の範囲もゲームに合わせて調節する。この2つの機能で、抜群の操作フィーリングが得られる

 方向キーの角度調節と斜め入力の範囲調節の、両方の機能を併用できるのがポイント。方向キーを指に適した角度に合わせ、斜め入力も調整すれば、他のコントローラーでは得られなかったような、しっくりとくるフィーリングが得られる。

 どちらの機能も方向キーのみで、アナログ入力であるアナログスティックには関係がないのだが、そのぶん“アナログ入力感度設定”が可能だ。これのテストにはTPSシューターの「SOCOM 4:U.S. Navy SEALs」を使ってみた。

 右アナログスティックを1/3ほど倒した状態で固定し、感度を切り替えてみる。通常だと照準と視点はゆっくりと動いていくが、そこから感度を鋭くするナローにしてみると、1.5倍近いスピードで動くようになった。通常の感度だとスティックを半分近く倒したときのスピードだ。逆に緩やかにするワイドに切り替えると、もとの半分ぐらいのスピードになった。ワイドの感度は通常の0.5倍、ナローは1.5倍というところだろうか。

クイックターボボタンの位置が普通にコントローラーを持っている指に近く、不意に押してしまうことがある。連射設定が気づかないうちにオンになってしまうことが頻繁にあった

 ワンタッチで全ボタンを連射設定にできる“クイックターボボタン”も試してみる。このボタンは右手の中指や薬指がちょうど届く位置にあって、片手で瞬時に連射設定ができる。この手軽さは魅力で、背面にギミックをつけるというのも面白い。

 だが、クイックターボボタンを不意に触ってしまうと連射になってしまうことがあり、そこは大きな問題点だ。ボタンの反応も敏感すぎて、ちょっと指が当たっただけで設定されてしまう。そのため、気づかない間に連射になっていたということが頻繁にあった。

 ここについては、クイックターボボタンをもう少し上の位置にするなり、押している間だけ連射になるように切り替えたり、不意に触ってしまっても大丈夫なようにオフにするスイッチをつけたりと、何らかの工夫が欲しかったところだ。意図せずに連射設定されてしまうとプレイの暴発を招くため、この点はかなり厳しい印象となった。




サイズが大きめながらホールド感とボタン配置は絶妙。ボタンの感触もとても良い。なにより方向キーへのこだわりはかなりのものだ。ただ、クイックターボボタンをはじめ、残念なところもあったのが非常に惜しい

 「ホリパッド3 PRO.」は、PRO仕様のコントローラーとして、独自の機能を組み込んだコントローラーだ。特に方向キーの操作性が非常によく、こだわりを感じさせてくれる。角度を指の向きに合わせて調整できるようにし、方向キー入力の良し悪しを決めるポイントになる斜め入力の範囲調節も可能にしたことで、個人的にジャストフィットするセッティングを追求できる。

 なおかつ、これだけの機能とこだわりを搭載して価格が2,980円と控えめなのもとても魅力的だ。ボタンの感触も好印象で、特に○/△/□/×ボタンのボタンの高さと、そこからくるクリック感の適度な強さは魅力。

 一方で、コントローラーの筐体が少し大きめで、ホールド感自体は良いが、少し持ちづらさを感じさせるところは気になった。また、クイックターボボタンの作りは、もう少し気配りがあれば……と感じられる。この点については次期製品での改善を期待したい。





■■注意■■
  • この記事の情報は編集部が検証した個体のものであり、すべての製品に共通するものではありません。
  • この記事の情報は検証時点現在のものであり、最新情報はバックナンバーをご参照ください。
  • この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
  • GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。


(2011年 7月29日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]