「遊歩計 天下統一~歩いて戦国の覇者となれ~」

  • ジャンル:健康玩具 (歩数計)
  • 発売元:株式会社バンダイ
  • 価格:4,725円
  • 対象年齢:15歳以上
  • 発売日:発売中(2009年7月18日)

[ おもちゃソムリエ ]
田渕健康[Kenkou Tabuchi]

 まだまだ残暑も厳しい今日このごろ、ご機嫌いかがでしょうか。私、エレトイ──電池、電源を用いて駆動する玩具のご紹介をさせていただく、おもちゃソムリエの田渕健康と申します。ここでは、今が旬の逸品や、世に埋もれている通好みの快作、そしてイベントレポートなどをお届けし、皆様とエレトイの距離をお近づけするお手伝いをさせていただきます。それでは皆様、しばしの間、心を童心に帰してお付き合いください。



■ 大願を果たすため、遊歩計とともに一歩を刻め

 世はまさに押しも押されぬ戦国ブーム。旧来からのマニア諸氏のみならず、最近はゲームやアニメの影響で、性別年齢問わずにその人気は広く波及しております。そしてその波は、なんと歩数計の世界にまでやってまいりました。今回ご紹介する「遊歩計 天下統一 ~歩いて戦国の覇者となれ~」は、歩数計の機能と天下統一ストーリーが楽しめるミニゲームがひとつになった、まさしく「エンターティメント歩数計」と呼べるシロモノ。さっそくその魅力を解説していきましょう。



■ 今度の遊歩計は戦国時代! 足軽パワーで上洛せよ

 これまで変わり種の歩数計シリーズとして、ユニークなタイトルをリリースし続けてきたのが「遊歩計」シリーズです。徒歩でイスカンダルを目指す「遊歩計 宇宙戦艦ヤマト」や、生き別れた母を求めて力の限り歩きまくる「遊歩計 母をたずねて三千里」など、意欲的なラインナップが取りそろえられております。ちなみにすでに次回作「遊歩計 ベルサイユのばら」も発売が予定されているほどの人気です。

 このシリーズの新作として7月18日に発売された本製品は、歩けば歩くほど遊歩計に兵力が蓄積され、天下統一に繋がっていくというギミックになっております。「足さえあれば天下を獲れる!」──まさに、現代のリアル足軽たちに夢を与える歩数計と言っても過言ではありません。

 本製品には3種類のミニゲームが内蔵されており、織田信長、武田信玄、上杉謙信といったおなじみの武将から主人公を選択できます。ミニゲームをスタートすると、選んだ武将が歩んだ人生を章仕立てで追体験することになり、途中で合戦が挿入されたり、配下に新武将が加わったりと、なかなか変化に富んだストーリーが楽しめます。また、歩数次第で、史実とは違ったストーリーが展開されることもあり、ユーザーの頑張り次第では信長は本能寺を生き抜き、信玄は病に倒れることもないのです! 皆さんの健脚で、どれだけ天下に近づけるでしょうか!?


今度の「遊歩計」は戦国時代! 織田、武田、上杉の3つの大名からひとつを選択し、天下統一を目指して歩きまくりましょう物語は章立てで展開し、一定のノルマを歩くと次の章へと進めます。章の途中には、合戦や新武将の発見、姫の登場などなどイベント盛りだくさん!頑張る足軽に向けて、君主から励ましの言葉がもらえることも。逆に、サボっていると叱られます



■ 歩数計としての実力は? 実際に歩いてみました

 電池をセットして自らの分身となる武将を選択したら、まずは体重などのパーソナルデータを入力しましょう。1日に歩くノルマもここで設定できます。ノルマ歩数は3,000歩から10,000歩まで設定できるので、自分のライフスタイルと合わせて設定できるのがうれしいところ。ちなみに、成人男性の1日の平均歩数は7,000歩強とのことですので、健康増進を目的にするなら、やや強気のノルマ設定にしてもいいかもしれません。

 「遊歩計」シリーズは3Dセンサー(3軸加速度センサー)を搭載しており、高い精度での歩数計測が可能となっています。ベルトにセットするのではなく、胸ポケットやバックに入れて計測することができ、手軽に持ち運べるのがメリット。ただし、キーチェーンやストラップに付けてぶら下げてしまうと余計な振動が生じ、正確に計測できないようです。ズボンのポケットに入れるのが標準的な使い方ですが、ポケットのふくらみが気になる方は、バックのサイドポケットに本製品をしのばせておくのも便利でしょう。

 なお、本製品はなにも入力せずにいると1分間で自動的にスリープモードになるため、「電源スイッチを切り忘れた」とあせる必要はありません。もちろん、スリープモードで歩き出せばしっかり歩数を計測してくれます。こういった扱いやすさも本製品の魅力です。


ズボンのポケットに入れて歩くのがオススメの計測方法ですが、バッグのポケットに入れてもかなりの精度で計測してくれます実際に歩数を数えつつ歩いてみましたが、誤差はさほどありませんでした。さすが振動試験器による歩測計精度:±5%は伊達ではありませんSE.のボリューム調整も可能なので、通勤途中の電車の中など、場所を選ばず歩数をチェックできるのも嬉しいですね



■ 気になるストーリーモードの出来映えは?

 ノルマを課して歩くだけでは、ただの歩数計と変わりありません。本製品の最大の楽しみはやはりストーリーモードにあります。前述のとおり、これはプレーヤーの歩数に応じて有名武将の物語を読み進めていけるわけですが、これがシンプルながらもなかなか熱いストーリー展開を見せてくれます。

 織田信長でプレイしたときは桶狭間の合戦、武田信玄の場合は晴信と名乗っていた青年時代、上杉謙信がまだ関東管領職に就く以前の時代から、それぞれのストーリーが紡がれていきます。私は現在放送中の大河ドラマ「天地人」にあやかって、上杉家でストーリーを進めてみました。義によって戦う謙信のもとに、着々と集結してくる人材たち。

 ミニゲーム開始初期は、謙信の片腕として活躍した柿崎景家や、上杉四天王の宇佐美定満たちが軍師として登場し、ストーリー後半になると、ドラマでも活躍する上杉景勝や直江兼続たちがはせ参じてくれます。途中に挿入される合戦の勝敗次第で配下武将が戦死したり、天命尽きて志し半ばで倒れる武将が出たりと、戦国の世の厳しさを教えてくれるストーリーは必見です。

 ゲームの進行手順を簡単に説明すると、規定の歩数に達した時点で新しいストーリーが開始され、場合によっては「合戦」が始まります。「合戦」は敵の兵力をゼロにすれば勝利で、逆に自軍の兵力をゼロにされると敗北です(敗北してもストーリーは進みます)。

 敵の兵力を減らすには、槍、弓、鉄砲、騎馬、一騎駆けの5つの兵種を効果的に選択していく必要があります。所属陣営によって得意な戦法が違いますので、まずは得意とする兵種からぶつけていきましょう。章が終わると、ウォーキングのノルマ達成率や章クリアまでの早さに応じて3段階の「評価」がなされます。評価次第で兵力の補充数が変わるので、日々のウォーキングを怠らないように注意しましょう。

 ウォーキング→新章開始、合戦→評価……この繰り返しで、天下統一を目指していくのです。果たして、歴史は健脚によって変えられるのでしょうか?


天下統一までの時間は90日! それぞれの章に到達するためには、時間と歩数の条件が設定されています戦では、敵の兵力をゼロにしたら勝利。各兵種は選択できる回数が決まっているので、相手の残存兵力を確認しながら攻撃方法を選んでいきましょうストーリーの進行はパスワードで公式webと連動。章が進んだらパスワードを入力して、自軍の戦いぶりを確認しましょう



■ Webと連動し、より深く「遊歩計」を楽しむ!

 これまでは製品の機能のみを紹介してきましたが、お楽しみはそれだけではありません。本製品はスタンドアローンでも十分楽しめますが、パスワードを用いて特設webサイトと連動させれば、さらに遊歩計の楽しみは広がります。

 特設サイトでは、プレーヤーのストーリー進度に合わせて、美麗な戦国絵巻を閲覧できます。登場する武将は描き下ろしイラストが使用されておりますので、戦国ファンのみならず一見の価値アリですね。さらに、歩いた歩数や、遊歩計で計測できるMET's(身体活動の活発さを示す単位)を入力することで、運動量グラフが閲覧できます。体重の推移や毎日の歩数などが見やすくビジュアライズされるので、健康管理にはもってこいです。IDとパスワードを取得すれば誰でも無料で利用できますので、健康促進のためにもぜひとも活用したいところです。

ユーザー登録するだけで使用可能な公式サイト。かなり力を入れて作られているので、見るだけでも勉強になります柱となるのは3つのコンテンツ。軍師の間では、選択した軍師から歩数やMET'sに応じた健康指南を教授され、勢力図ではストーリーモードの進行度が確認できます
ストーリーモードの進行度がわかる日本地図。開始時は東日本が主戦場となりますが、後半は全国へと戦場が拡大していきます各武将のストーリーモードの詳細も閲覧可能。学研「歴史群像」の監修も受けていることもあり、読み応えは抜群です
軍師の間では、遊歩計で測定した歩数やMET'sから、プレーヤーの健康状態を診断してくれます数値は毎日入力していく必要がありますので、頑張って継続しましょう。これぞ健康愛なり!



■ ただ歩くだけでは物足りない、付加価値を求めたい人に!

 歩数計としても十分な機能を有している本製品ですが、ストーリーモードの存在と、webとの連動は、本製品をひとかどならぬ逸品へと押し上げています。特に、web連動で自分の健康状態がグラフィカルにわかるのは大いに評価したいところ。だいたいの消費カロリーもわかりますので、エクササイズにも十分活用することが可能です。とはいえ、本製品は専用の歩数計専用機としての機能は必要最低限なものに止まっておりますので、本製品を使ってみてウォーキングに興味が出た方は、ワンランク上の本格的な歩数計を買い求めるという手もありますね。

 千里の道も一歩から。覇業への道は、今日の一歩が支えるのです。本製品を懐にしのばせて、全国の戦場跡や古城巡りをするのもまた一興かもしれません。

【テイスティング】
■ 中毒性:☆☆☆
ストーリーの先を見たいがため、歩くのが楽しみになるのは実に上手い仕掛けです

 

■操作性:☆☆
特定のメニュー画面を呼び出すための操作が、慣れるまではやや手間取ります

■健康促進度:☆☆☆☆
全ての健康の基礎である「歩く」というベーシックエクササイズを推進する、またとないアイテムですね

(C) TOMY

(2009年 9月 8日)

[Reported by 田渕健康(トリスター)]