「Xbox One Elite」レビュー

Xbox One Elite

“人類最強のゲームパッド”との遭遇!
細部までこだわりぬいたプレミアムなXbox One

ジャンル:
発売元:
  • 日本マイクロソフト
開発元:
  • 日本マイクロソフト
プラットフォーム:
価格:
発売日:
Xbox One Eliteパッケージ

 「Halo」、「Forza」、「Minecraft」……。ゲームファンの心を掴んで離さないタイトルラインナップで存在感を発揮するXbox One。その究極版ともいえるエディション「Xbox One Elite」が、11月19日、日本マイクロソフトより発売された。

 こちらの記事で既にご報告しているとおり、Xbox One Eliteの価格は49,980円(税別)で、12月31日までは、期間限定キャンペーンで5,000円オフの44,980円(税別)となっている。が、ご存じの通り、もともとの日本への割り当て数が少ないことから、現時点で予約分は即完売し、店頭入荷もなしと、極端な品薄状態となっている。

 というわけでヘビーなXbox Oneユーザーでもまだ入手が厳しいという状態のXbox One Elilteだが、編集部では発売日に合わせて入手することができたので、さっそく、その製品構成や使い勝手についてご報告していこう。

【開封の儀】
箱を開けると、まず鎮座するのはXbox Eliteコントローラーと専用ケース
ハイスピードタイプのHDMIや、ヘッドセット、コントローラー用USBケーブルも同梱
本体外観は通常版と変わりなし

大容量ハイブリッドドライブ+Eliteコントローラー同梱の最強パッケージ

Xbox One Elite本体
こちらがコントローラー等の付属物

 Xbox One Eliteは、ハードウェア的にはノーマルのXbox Oneと完全互換。内蔵ハードディスクを1TBのSSHD(ソリッドステート・ハイブリッドドライブ)に換装し、付属コントローラーをXbox Oneコントローラーの上位版「Xbox Elite ワイヤレス コントローラー」としたパッケージだ。

 通常版のXbox Oneに比べて1万円強ほど割高なものの、通常版(500GB)の倍となる1TBのストレージ容量と、単体で149.99ドル(11月24日時点のレートで約18,420円、日本発売時期未定)となるXbox Eliteワイヤレスコントローラーが付属することを考えれば、むしろ割安と言えるかも。

 Xbox One本体そのものの外観やスペックはほとんどかわらないが、唯一の違いとなるのが1TBのSSHDの搭載だ。SSHDというのは、大容量フラッシュメモリによるSSDと、従来型のHDDを組み合わせたもので、SSD部分をキャッシュとして用いることで、読み込み・書き込み速度の向上と静音化を実現するものだ。日本マイクロソフトでは、これにより従来のHDDからおよそ20%の速度向上を果たしたとしている。

 実際に使ってみて、特に違いが感じられるのは、読み込みスピードというよりも、動作の静粛性だ。通常版の本体は電源オン時やゲームプレイ時に、冷却ファンやハードディスクがうなりを挙げて駆動する音がわりとはっきりと聞こえてくるが、Xbox One Eliteではそのあたりの駆動音がほとんど感じられなくなっている。

初回起動時の本体アップデートを終えると、あとは普通にサインインすれば所有しているゲームを遊び始められる
一気に大量のゲームをインストールしたが、ドライブの駆動音はほとんど感じられなかった
内蔵ストレージ容量。実容量は780.9GB

 SSHDでは、SSD部分はキャッシュメモリとして一部データの読み込み・書き込みに使われるため、全てが高速化されるわけではない。しかし、ゲームソフトのようにある程度ひとかたまりになったデータに繰り返しアクセスするようなコンテンツではキャッシュヒット率が飛躍的に高まるため、極めて効果的だ。

 今回、検証のために全体で200GB程度のゲームをインストールして使用したが、HDDの回転音やアクセス音らしきものが聞こえた記憶がほぼない。ほとんどのデータアクセスがSSD部分に収まっているおかげだろう。これによりHDDの負荷が減る。これは、本体内から熱源が一つ減るということも意味する。通常本体に比べて排熱音も静かに聞こえるのは、このあたりの効果も働いているから、と見るのがよさそうだ。

 しかも全体として1TBの容量があるため、AAAクラスの大型タイトルでも20~30タイトルはすっぽり収まってしまう。実際の使用を考えてみても、大型タイトル10~20本+GameDVRによる録画+その他大量の小規模ゲームコンテンツをらくらく保存できるほどの容量だ。

コントローラー用のUSBケーブル。布巻きで、ゲーミングマウスでよく見るタイプだ
全ゲーマー憧れの、Xbox Eliteコントローラー!

 その他、パッケージ内容で興味深いのは、Xbox One通常版には同梱されていない、コントローラー用のUSBケーブルが標準で付属することだ。しかもただのケーブルではなく、ゲーミングマウスで良く見るような布巻きタイプの強靭なケーブルだ。

 これは無線接続による通信遅延やバッテリー低下によるゲームプレイの中断などを嫌う、ハードコアゲーマーにとってありがたい施策だ。筆者自身もXbox Oneコントローラーをほとんど常時有線接続で使っている方なのだが、標準版本体の場合は別途USBケーブルを購入する必要があった事を考えると、Xbox One Eliteはそのぶんだけ安上がりといえるかもしれない。

 もちろん、通常版のXbox Oneコントローラーと同様に、無線接続でも全機能を問題なく使用することができる。遅延についても無いに等しい(あったとしても体感は不可能)なレベルなので、1日中連続してプレイしたいなどのヘビーデューティでなければ、USBケーブルでの接続は必須ではない。いずれにしても、選択肢があるというのはいいことだ。

【11月25日追記】記述内容の一部に誤りがありましたので、お詫びして修正いたします。

同梱のXbox Eliteコントローラーは、間違いなく“人類最強のゲームパッド”だ

スティックの芯はアルミ削り出し。握り部分には滑り止め加工。外観は似ていても中身は別物
LB/RB部分は抵抗が軽くなり、標準版に比べて押しやすくなっている
4つの背面パドル型ボタン

 Xbox One Eliteの主役は、本体よりもむしろこのコントローラーかもしれない。Xbox Eliteコントローラーは国内ではまだ単体販売されておらず、入手するためにはXbox One Elite本体ごと購入するしかないが、それでもゲーマーなら是が非でも手に入れるべきほどの出来ばえを誇るコントローラーだ。

 全体のシルエットは通常のXbox Oneコントローラーと同等のフォルムだが、部品はすべて別物といってよい程にグレードアップされている。ちょっと触ってみるだけでも、よりしっかりとしたクリック感のあるボタン、センタリングが極めて正確で、滑らかかつ安定した抵抗を持つアナログスティック、軽いタッチで正確に入力できる方向パッドなどなど、別次元の使い心地だ。

 さらに特徴的なのは、背面にある4つのパドル型ボタンだ。コントローラーを握ると自然に両手の人差し指、中指が当たる部分に配置された4つのパドルには、それぞれ任意のボタン機能を割り振ることができる。

本体側のアプリでカスタマイズ。まずは自分専用の名前をつけよう
パドルに任意ボタンの機能を割り当てる
着脱が可能。必要な部分だけ付けるというのも可能
緑色のスイッチでトリガーのハーフロックが可能
スティック・方向パッドは予備パーツに入れ替え可能

 例えばFPSなら、リロードや近接攻撃、ジャンプといった各アクションをABXY各ボタンで行なう場合が多く、それらの操作を行なう際は右スティック(照準操作)から指を離さなければいけないが、それらのアクションを背面パドルに割り当てておけば、スティックから親指を離すことなくあらゆる操作が可能になる。

 レースゲームであれば、左右のパドルにシフトアップ・シフトダウンのボタンを割り当てることで、そのまんまパドルシフト操作を直感的に行なうことが可能になる。こういったカスタマイズはユーザーの自由に、柔軟にできるほか、ゲームタイトルごとのカスタムプリセットも用意されているため、活用の幅はすこぶる広い。

 それに加えて筆者が「これは!」と思ったのが、左右トリガーのハーフロック機能だ。これは、背面にある緑色のスイッチを切り替えることで、各トリガーの50%入力時点でロックをかけられる仕組み。これを用いるとトリガーのストロークが短くなるため素早い操作ができるほか、「Forza」シリーズのようなリアル系レースシムでは、タイヤロックを抑えたスムーズなブレーキングが簡単にできるようになる。タイトル依存は強そうだが、非常に素晴らしい機能だ。

 さらにXbox Eliteコントローラーには各アナログ軸の細かい動作設定や、前面スイッチによる2つのプロファイル切り替えなど、ハイエンドゲーミングマウス顔負けの機能に加え、各スティックや方向パッドのパーツを取り替える仕組みまで備えられている。

 この使い心地、カスタマイズ製、そして絶対的な入力精度の高さ。これを越えるコントローラーは世界のどこにもない!と思えるほどだ。コア中のコアゲーマーであれば、これだけのためにXbox One Eliteを購入しても後悔しないほどの出来ばえである。

 Xbox Eliteコントローラーについてはまだまだ語り足りない部分があるので、これについてはまた稿を改めてご紹介したい。

Xbox 360からの乗り換え組にオススメ。One所有者はEliteコントローラーの単体販売を待ちたい

早く買える日が来て欲しいが……

 さて、ついコントローラーの話でアツくなってしまったが、結局、Xbox One Eliteは買いか、否か?

 前述した各要素をまとめると、本パッケージは1TB SSHD搭載型のXbox One+Eliteコントローラーのセットで、それ以外の部分で本体機能が向上したり、デザインがガラリと変わるようなものではない。そう考えると、既にXbox Oneを所有している既存ユーザーにとっての購入動機は乏しい。とりわけ、本体機能の唯一の違いであるストレージの仕様は、通常版のXbox Oneでも、HDDの換装やUSB3.0対応の外部ストレージの接続で同等以上にできてしまうからだ。

 いっぽう、まだXbox Oneを持っておらず、これから入手しようと考えている層にとって、Xbox One Eliteは良い選択だ。通常版のXbox Oneが搭載する500GBのHDDは、AAAクラスのゲームを10本も入れれば容量一杯になってしまう程度なので、もともとXbox 360等で「Halo」や「Gears of War」、「Forza」といったXbox独占シリーズを楽しんできた層には物足りない。いずれHDDなりSSHDなりを増設する前提なら、通常版プラス1万円ちょっとでプラス500GBのストレージ容量と、Eliteコントローラーまでついてくるのはお買い得といえよう。そういう点でオススメではあるのだが、店頭在庫も通販在庫も払底している現状では選択のしようもない。マイクロソフトには、これからXbox Oneへ以降を考えているユーザーのためにも、早期の在庫拡充をお願いしたいところだ。

 そして本製品の存在意義の大半を占めるといってもいいXbox Eliteコントローラー。既にXbox Oneを所有しているユーザーにとっては、これを使いたければ新しい本体ごと買えというのは非常に酷な話である。北米では149.99ドルで単体販売されているこのコントローラー、その値段分の価値は間違いなくある。しかし、入手方法がXbox One Eliteの購入しかないという現状はどうにかして欲しいところ。既存のXbox Oneユーザーのためにも、また、Windowsゲーマーのためにも、ぜひぜひXbox Eliteコントローラーの単体販売を早期に実現してもらいたいものだ。

(佐藤カフジ)