Xbox 360/PCゲームデバイスレビュー
Razer Sabertooth
高速操作仕様メインボタンを、マルチファンクションボタンが加速する
(2013/3/8 00:00)
高速操作仕様メインボタンを、マルチファンクションボタンが加速する
「Sabertooth」は、Xbox 360での使用をメインに考えられたコントローラーであるため、本製品は他のRazer製デバイスとは違って、特別なドライバ・ソフトウェアを必要としない。PCでは純正Xbox 360コントローラーのバリエーションとして認識され、そのまま利用できる。
ボタンカスタマイズも「Razer Synapse 2.0」のようなソフトウェアを経由することはなく、すべてコントローラー単体で完結しているので、Xbox 360とPCでの使用感の違いは全くない感じだ。実際にゲームで使用してみたところ、その感触は良好であった。
まず、MFBを使用しないでプレイできるシンプルなアクションゲームや、標準のボタン配置で不満なくプレイできているサッカーゲームなどは、背面のシーソー型ボタンを外した状態で、ほぼ純正コントローラーの代わりという感覚でプレイ可能だ。
そこで気がつくのが、スティック入力の独自性。純正品に比べて、若干ではあるが、センターテンションが強い。使い込んだ純正のスティックでは指の重さを預けるだけでも、ほんの少しの入力が発生するが、本製品では、意識してスティックを傾けない限り入力が発生しないように調整されてる印象だ。
このため、本製品では基本的にアナログ操作が安定する。意識的に10%傾けることは容易な上で、無意識に1%傾けてしまうことがないという感じなのだ。細かなエイミング操作においては、チョイチョイと複数回にわけて高速にスティックを傾ける操作がしやすい。この点はわずかであるが、純正品よりも良い操作感を得られる。
[A]~[Y]のメインボタンの感触も良好だ。ボタントップの高さは純正品と同様になったが、ストロークの浅さ、クリックの軽さは「Onza」から継承されており、わずかではあるが純正品よりも速い入力が可能である。
ボタンストロークが浅いぶん、“戻りのテンション”が少々弱めなので、連打やチョイ押しをする際には少し慣れが必要だ。その一方で、サッカーゲームで素早くパスを出す、というような、意思決定から入力への速さが問われるシーンでは、本製品のボタンはよりよいプレイ感覚を与えてくれる。
そして、本製品の実力をより体感できるのは全ボタンを活用するFPS/TPS系ゲームだ。
多くのゲームで[A]~[Y]のメインボタン部に「ジャンプ」、「殴り」、「リロード」等、頻繁ではないものの、わりと咄嗟に使用することになるアクションが割り当てられているが、純正コントローラーを使っている限り、これらの操作をするには右スティックから親指を離さなければならない。そこにスキが生じる。「殴っている最中にエイミングができない」、「エイミングしながらカバーリングアクションを発動できない」。などである。
本製品では、両スティックの操作を維持したまま、6個の各MFBにアクセスできる。特に使い出があるのは背面のMFB。これらはトリガーを押しながらでもアクセスできるので、「ズームして相手をエイミングして撃ちながら、ジャンプで機動しつつ、殴る」といった、純正コントローラーでは絶対に不可能な動きを実現できるのである。
そういったメリットのある背面MFBが、4つあるというのも良い点だ。[A]~[Y]の4メインボタンの機能を、すべて背面MFBに割り当て可能であるから、どのようなゲームにも対応できるのだ。
これに比べると、ショルダー部、[LB]、[RB]の隣に配置されたの2つのMFBは補助的な役割に留まる。メリットとしては、トリガーからほとんど指をうごかさずに押せる配置となっているので、指1本でトリガー&[LB]/[RB]を使用するスタイルにおいて、より素早くアクセスできる[LB]、[RB]としてこのショルダー部MFBを使うのが王道的と言えそうだ。
「Onza」では、このショルダー部MFBしかなかった。それを、本製品では“補助的”と言い切れるあたり、カスタマイズ可能コントローラーとしての使い出がいかに向上したかがよくわかる。間違いなく、ガチのFPSゲーマーにとって強力な武器になることだろう。
以上のとおり、機能面では申し分なし。純正コントローラーの使い勝手をベースに、独自仕様をうまく付け加えることで、純正品を超える利便性をうまく載せることに成功している。
気になるのは、前モデル「Onza」で問題となった堅牢性の部分だろう。Razer製品の初モノはこの点でよくミソをつけてしまう傾向があるからだ。筆者の場合、本製品を使ってまだ数日で、現時点では問題ないが、まだわからない。本製品を主力として使いつつ、しばらく様子を見てみようと思う。