PS3/Xbox 360ゲームレビュー

大人のストーリーと中毒性の高いパズルアクションが楽しめる
ペルソナチームが送るHD対応タイトル第1弾

「キャサリン」

  • ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 発売元:インデックス
  • 開発元:アトラス
  • 価格:7,329円
  • プラットフォーム:PS3/Xbox 360
  • 発売日:発売中(2月17日発売)
  • プレイ人数:1~2人
  • CEROレーティング:C(15才以上対象)


 株式会社インデックスのゲームブランドであるアトラスは、プレイステーション 3/Xbox 360用アクションアドベンチャー「キャサリン」を2月17日に発売した。本作は、独特の世界観ややり込み要素のあるゲーム性で人気の高い「ペルソナ」チームが、初めてPS3/Xbox 360というHD機向けに開発したオリジナルタイトルとなっている。

 ゲーム内容は、主人公が会話を繰り返しながらストーリーと進めていくアドベンチャーパートと、悪夢の中でゴールを目指して石を動かしながらゴールを目指して上に登っていくパズル性の高いアクションパートという2つの柱をメインに構成されており、どちらもやり込み甲斐のある内容に仕上がっている。

 ここからは、メインストーリーが楽しめる“ゴールデンシアター”モードを中心に、本作の内容と魅力について紹介していこう。


■ 恋愛と結婚をテーマに繰り広げられるストーリー

ゲームは“ゴールデン遊戯劇場(プレイシアター)”というテレビ番組風の紹介からスタート。プレーヤーは番組内の主人公であるヴィンセントを操りながらストーリーを進めていくことになる

 本作の主人公は、ヴィンセント・ブルックス。システムエンジニアとして働きながら1人暮らしをしている彼には、5年前の同窓会で再会した時からのつき合っている恋人のキャサリンがいた。

 ある日近所のカフェで恋人とお茶をしていたヴィンセントは、彼女から結婚についてのプレッシャーをかけられてしまう。その後、なじみのバー“STRAY SHEEP”で深酒を飲んでいると、いつの間にか意識を失ってしまう……。悪夢にうなされた後に目覚めてみると、自宅のベッドの横には見慣れぬ若いもう1人の美女キャサリンが……。

 こうして図らずも浮気してしまったヴィンセント。「これは事故だ」と思いつつも、恋人を傷つけないように隠し通そうとする彼だったが、浮気相手のキャサリンもヴィンセントを気に入ったようで、夜な夜なアプローチをかけてくる。恋人と浮気相手、2人のキャサリンの間で揺れ動くヴィンセントには、どのような結末が待ち受けているのだろうか……。


【主な登場人物】
彼が本作の主人公であるヴィンセント・ブルックス。基本的には善良で優しい性格で、恋人のキャサリンを大事に思いつつも、なかなか結婚には踏み出せないでいる(CV:山寺宏一)ヴィンセントと5年来のつきあいがある恋人のキャサリン。面倒見のいい性格で、何かとヴィンセントの世話を焼くが、いいにくいことをハッキリという一面も(CV:三石琴乃)バー“STRAY SHEEP”で酔いつぶれたヴィンセントが目覚めた際に、横で寝ていた浮気相手のキャサリン。以降何かとヴィンセントにアプローチを仕掛けてくるようになる(CV:沢城みゆき)
ヴィンセントの幼なじみの1人、ジョニー。後輩のトビーたちの失敗をフォローするなど面倒見のいい真面目な性格。結婚は理想の相手としかしない、というのがモットー(CV:子安武人)ヴィンセントと同年齢の友人、オーランド。1度結婚しているが、事業に失敗して妻に逃げられて以来、女性不信となっている(CV:平田広明)ジョニーの後輩で、グループの中では唯一年下の飲み仲間のトビー。年上の女性が好みで、バーのウェイトレスのエリカにモーションをかけている(CV:谷山紀章)
バーのウェイトレス、エリカ。ヴィンセントたちの同級生で、高校時代に失踪したことがあるなど、ミステリアスな一面を持っている(CV:皆川純子)ヴィンセントたちが集うバーのマスター。過去に女性関係でさまざまなトラブルを起こしたため、サングラスで顔を隠しているらしい(CV:若本規夫)

 このようなプロローグから本作のストーリーは動き始める。ヴィンセントを中心に、2人のキャサリンや“STRAY SHEEP”で出会う人たちの多くが、恋愛や結婚に関する悩みや不安をかかえており、彼らと会話する中で、揺れ動くヴィンセントの感情を楽しむことができる。

 本作のストーリーについてプレイ中に最初に感じたのは、恋愛や結婚のほかにも、自由と責任など、誰しもが多かれ少なかれ持論のある内容をテーマにすることで、とても感情移入できる内容になっているということ。特に、ヴィンセントと同様に、結婚について考えることの多いであろう20~30代の男性にとっては、とても興味深い内容となるはずだ。

重要な場面ではアニメーションムービーが再生され楽しむことができる。アニメーションムービーの制作は「鉄コン筋クリート」などで高い評価を得ているSTUDIO4℃が担当しているプレーヤーはヴィンセントが悪夢にうなされるようになった後の約1週間をプレイできる。各日の最初には、キャラクターたちの豊かな表情が楽しめるCGを使ったイベントシーンも用意されている最初のイベントシーンが終わると、悪夢の中で上を目指すアクションパートがスタートする。とはいえ、最初なのでチュートリアルが用意されており、操作やルールなどを遊びながら学べるようになっている



■ アドベンチャーパートでは登場人物たちと会話したり
  携帯電話を使いながらストーリーが進行していく

アドベンチャーパートでは、バーの中を自由に動き回ることができるほか、コンフィグ画面を開いて、難易度などの設定を変更することもできる。アドベンチャーパート後のアクションパートがクリアできない場合は、ここで難易度をイージーにして再挑戦してみよう

 アドベンチャーパートの舞台となるのは、ヴィンセントのいきつけのバー“STRAY SHEEP”。ここでは、ジョニーやオーランドといった幼なじみたちやほかの客たちと会話をしながら、情報を集めたり、悩みの相談を受けることができる。

 バーの中で会話できる客たちの多くは、ヴィンセントと同様の悪夢に悩まされており、毎晩見る悪夢についての情報を交換することもできる。客たちとの会話はゲームを進行する上で必須ではないものの、さまざまな人の価値観やエピソードに触れることができるので、会話をしたほうがよりゲームを楽しめるはずだ。

 なお、バーの中で会話をしたりすることで、少しずつ時間が進行し、会話の内容も変化していく。中には時間が経つと帰ってしまう客もいるので、バーの中では何よりもまず会話をすることをおすすめしたい。


ジョニーやオーランドといった幼なじみたち以外にも、“STRAY SHEEP”を訪れる客たちのそれぞれにドラマが用意されている。時間の許す限り彼らと話をして相談に乗ってあげようバーの中ではカクテル、ビール、日本酒、ウィスキーといったお酒を注文して飲むことができる。お酒を飲むことで体が温まり、その晩の悪夢の中でのヴィンセントの行動が素早くなるお酒を飲みきると、そのお酒に関する豆知識が紹介される。豆知識の内容は、毎回異なる豆知識が聞けるので、興味がある人はお酒を忘れずに飲んでおこう

 バーでは客と会話するほかにも、さまざまな遊び要素が用意されている。ここからは、会話以外でバーで楽しめる要素について紹介していこう。

・ 携帯電話

浮気相手からのメールには、きわどい画像が添付されていることもある。こうした人前では見られない画像は、トイレに行くことで閲覧可能だ

 バーで会話をしていると恋人や浮気相手からメールが届くことがある。浮気相手からのメールには、きわどい画像が添付されていることもあり、男性にとっては嬉しい要素となることだろう。

 なお、メールの送受信のほかにも携帯電話を操作することでセーブを行なったり、これまでにクリアしてきた悪夢ステージに再挑戦することもできる。特に悪夢ステージへの再挑戦ではリトライ回数が無限になるため、失敗を恐れることなくトライ可能。よってどんな評価でもとりあえずクリアしておき、ゴールドプライズを目指すときは携帯電話からプレイすることをおすすめしたい。


バーで会話をしていると恋人や浮気相手からしばしばメールが届く。メールを返信する際には、入力された文章を取り消すことで別の文章に変えることができ、自分なりの文章の返信メールを作り出すことが可能だ。なお、メールを返信すると、返信したメールの内容によって、謎のメーターが現われて針がどちらかに変化する。このメーターはエンディングに若干の影響を与えるので、よく考えて返信しよう

・ ビデオゲーム機「ラプンツェル」

 バーの一角に設置してあるビデオゲーム機では、「ラプンツェル」というゲームを実際に楽しむことができる。「ラプンツェル」のゲーム内容は、悪夢の中とほぼ同じ内容となっており、このゲームをプレイすることで悪夢をクリアできるようになるはずだ。

 ただし、「ラプンツェル」では制限時間がない代わりに、石を押し引きできる回数に制限があるほか、ゴール地点の高さが決まっているので、石を崩してゴールすることはできなくなっている。

 「ラプンツェル」をプレイできるのは一晩に3回まで。ただし、1度“ゴールデンシアター”モードをクリアすれば、フリープレイとなって何度でもプレイできるようになる。ゲーム本編よりも「ラプンツェル」をクリアする方に熱中する人も出そうなほど面白い内容だが、“ゴールデンシアター”モードをクリアした後のお楽しみとしてとっておいてもいいだろう。

「ラプンツェル」の目的は、悪夢の中と同じく王子をゴール地点まで導いて、塔に捕らわれている姫との逢瀬を重ねること。じっくり考えながら、少ない手数で確実にゴールを目指していくことが重要となる

・ ジュークボックス

 ジュークボックスを操作すると、バーの中のBGMをほかの曲に変更することができる。曲目は、ゲームを進めてトロフィーや実績をとることで追加されていくので、単純にゲームを進めるだけではなく、さまざまなことに挑戦していこう。

ジュークボックスを操作すれば、バーの中のBGMを変更可能。最初に選択できる曲目は少ないものの、ゲームが進んでいくと「キャサリン」のオリジナル曲のほかに、「ペルソナ」シリーズや「女神転生」シリーズの曲も楽しむことができるようになる



■ 夜に待ち受けるのは中毒性の高い悪夢ステージ
  さまざまな“技”を駆使してゴールを目指し悪夢から生還しよう

画面左下に見えるのが、現在のヴィンセントの位置。右上にはこれまでのスコアと現在のスコア、残りリトライ回数、などが表示されている。

 バーから帰宅すると、悪夢の中でのパズルアクションパートがスタート。悪夢ステージの目的は、時間によって下から崩れていく中を、石を動かしたりしながらヴィンセントを操作して登っていき、頂上にあるゴール地点にたどりつくこと。

 基本的な操作は、方向キーによる上下左右の移動と○ボタンによる石の押し引き、そして右スティックで辺りを見渡すことのみ。アクション性はそれなりに高いものの、操作自体は簡単なので、すぐに慣れることができるはずだ。

 アクションパズルとして特徴的な点として、石は辺同士でのみくっついて固定されることと、奥行きがあるということが挙げられる。この2つの要素により、単純な操作ながらも頭の使いがいのあるパズルアクションが楽しめる内容となっている。


足場のある場所ならば、ヴィンセントは石を押し引きすることができる。こうして石を動かして階段状に組み上げながら頂上を目指そう石と石は、辺が重なる位置が光って固定されて動かなくなるルールとなっている。そのため、下に石がない場所に足場を作り出すことも可能だ石は複数ならんでいる状態でも、まとめて押し出すことができる。ただし、引く際には1つずつしか動かすことができないので要注意。

足場のない場所に移動しようとすると、ヴィンセントは石にぶら下がった状態になる。ぶら下がったまま左右に移動することも可能だステージ上には、アイテムが落ちていることもある。アイテムは1つしか持てないが、使い方によっては通常では移動できない場所へ移動できるようになるので、なるべく取得しておきたいステージが進むと、ヴィンセントの邪魔をするほかの羊たちが登場してくる。1つの石には1人しか乗ることができないので、ほかの羊が乗っている場合には、石を移動させたりする必要がある


 また、石にはヴィンセントが2回乗ると壊れてしまうものや、重い石や動かせない石、下から罠が飛び出してくる石など、さまざまな種類・性質のものが用意されている。それぞれの特徴を考えながら動かさないと、打つ手なしの状態になりやすいので注意したい。

壊れかけの石は、ヴィンセントが2度乗った後に移動すると崩れてなくなってしまう。ほかの石とくっついている石がなくなると、くっついている石もずれてしまうので要注意だヴィンセントが乗ると、下から罠が飛び出してくる石もある。罠を食らわないように、すぐに別の場所に移動しよう。なお、罠を起動させてしまえば、2度と作動しなくなる氷でできた石の上で移動しようとしたり、石を移動させようとすると、滑り続けてしまう。ぶら下がって移動したり、壁となる石を用意するなどして、落下死するのを防ぎたい


 悪夢を毎日見るようになったヴィンセントと同様に、夢の中では悪夢を見るようになったほかの男性(羊)たちの姿を見ることができる。彼らとはゴール地点に到達した後に一息つくことができる踊り場で会話することができる。

 踊り場でほかの羊たちと会話をしてみると、彼らも恋人や家族となんらかの問題を抱えていることがわかる。わけのわからないゲームに落とされて不安を抱えているのはお互いさまなので、ときには叱咤激励をしながら、ゴールへ登るための“技”に関する情報を交換したりしていこう。

 このほかに、踊り場では記帳台でセーブしたり、アイテムを購入したりすることもできる。悪夢中に失敗した場合のリトライ回数には制限があるため、忘れずにセーブするとともに、どうしてもクリアできない場合にはアイテムを購入することも考えておきたい。

踊り場にいる羊たちとは、悪夢を登りきる際に役に立つ“技”に関する情報を交換することができる。いずれもゲームをクリアするのにかかせない内容なので、忘れずに話しかけるようにしたい踊り場から次のステージに進むには、告解室に入って命の価値を量る質問に答えなければならない。どちらの答えを選んでもかまわないので、まずは自分の気持ちに素直に答えてみるのがいいだろう次のステージに進むロード画面中には、ほかのプレーヤーが初回にどのように答えたかについての円グラフを見ることができる。ネットワークに繋がっていれば円グラフは毎回更新されるのが興味深い


 いくつかの踊り場を経由していくことで、悪夢の終わりとなる最終ステージに到達できる。最終ステージでは、その日のストーリーの内容に合ったさまざまな怪物がボスとして登場し、ヴィンセントが上に登るのを邪魔してくる。

 怪物の執拗な攻撃をうまくかわしながらゴールに到達すると、見事に悪夢ステージクリア。それまでに獲得したスコアによって、ゴールド・シルバー・ブロンズのいずれかのプライズ(評価)を得ることができる。

 こうして悪夢が終わると次の日へと進み、イベントシーンを見た後に“STRAY SHEEP”でのアドベンチャーパートへと進んでいく、というのが基本的なゲームの流れとなっている。クリアした悪夢ステージについては、携帯電話の中から再挑戦することができるので、まずはプライズを気にせずにクリアしてしまうのがいいだろう。

各夜の最終ステージでは、さまざまな怪物がヴィンセントに襲いかかってくる。怪物がしかけてくるさまざまな攻撃に対処しながら、ゴールを目指そう見事に怪物の攻撃を振り切ってゴールすると、怪物はゴールの扉から放たれる光によって撃退される。今までプレーヤーを悩ませていた怪物が倒される、爽快な瞬間だ最終ステージをクリアすると、スコアによって、ゴールド・シルバー・ブロンズのいずれかのプライズ(評価)が受けられる。ゴールドを目指すには、素早く登ってボーナスを得ながら高スコアを目指そう


 悪夢ステージをプレイして感じたことは、後半のステージやボス戦ではアクション性が高くなり素早い操作が要求されるわりに、1つの操作ミスが命取りになることがあるということ。下からステージが崩れていく時間制限があるため、あせる気持ちもよくわかるが、闇雲に石を動かすばかりでは、まぐれで状況が好転することよりも状況が悪化することのほうが多い。

 一見クリアするための解法がわからないときこそ、冷静になって右スティックであたりを見回すことが大事だ。よく見るとクリアしやすくなる特殊な石が用意されていたり、思わぬ抜け道を発見することもある。

 以下に、本作のアクションパートをクリアする際に欠かせない、最も基本となる事柄をまとめておくので、どうしても悪夢ステージをクリアできないという人は参考にしていただきたい。

・ もっとも基本となるのは安定した足場を作ること

最低2つ、できれば3つ以上の石が並んだ安定した足場を用意できれば、そこから上に登ることはもちろん、石を押し出して次の足場を作りやすくなる。直立した壁が立ちふさがっているときには、まず安定した足場を確保し続けることを考えながらルートを想定していこう

・ ぶら下がりから新たな道が拓けることも

ぶら下がった後に左右に移動する“スパイダー”という技を使えば、足場がない場所へも簡単に移動できる。安定した足場を築けない場所や、遠くに別のルートが見えている場所では、ぶら下がって“スパイダー”で別の場所に移動したほうが、楽に登っていけることもある

・ 時には大胆に石を崩してみよう

石を積み上げたり、ぶら下がりから移動できないような場所では、思い切って石を崩すことで、道が拓けることもある。ただし、やみくもに石を崩すと裏目に出ることも多い。右スティックで石同士のつながりを確認して、どの石が崩れるかを意識しながら石を崩していこう

 これらの基本的な事柄を常に意識するとともに、場面に合わせて組み合わせたり使い分けることができれば、ほとんどの場所で登るためのルートが見えてくるはずだ。どうしても悪夢ステージがクリアできないという人は、この3つを意識しながら再チャレンジしてみてほしい。

 また、現在アトラスでは、難易度を緩和したパッチを準備中とのこと。「どうしてもアクションパートが難しい!」と感じたユーザーはこちらのパッチを利用しよう。


■ 何段登れるかを競う“バベル”や2人で対戦できる“コロシアム”など
  アクション専用のモードも用意

“バベル”モードでは左上にこれまでに登った段数、右上にこれまでにかかたタイムと難易度のレベルが表示される。また、ゲームの進行に合わせて、プレイ中の気分が盛り上がる実況も聞こえるようになっている

 メインストーリーが楽しめる“ゴールデンシアター”モードのほかにも、どれだけ素早く上に登っていけるかに挑戦できる“バベル”モードや、“ゴールデンシアター”モードをクリア後には2人で対戦プレイを楽しめる“コロシアム”モードなどの、アクション専用のモードも用意されている。

 特に、“バベル”モードはある程度の法則性を持ちながらもランダムに上から石が降ってくるため、直感による判断が大事なゲームプレイが楽しめる。決められた解法がないため、状況判断と経験が重要なモードといえるだろう。

 “バベル”モードはネットワークランキングにも対応しており、クリアタイムを世界中のほかのプレーヤーと競い合うこともできる。実際に4つある“バベル”モードのステージの中から、もっとも最初に遊ぶことができる“アルター”をクリアしてみたが、トップのプレーヤーとは2分以上の差があるなど、まだまだタイムを詰めることができそうだった。

 なお、“バベル”モードをプレイするには、ノーマル以上の難易度でゴールドプライズを取得する必要がある。ノーマルモードでゴールドプライズを取得できないような腕では、“バベル”モードに挑戦してもあっという間に落下してしまうと思われるので、まずはノーマル以上の難易度でゴールドプライズを取得してから、“バベルモード”に挑戦していただきたい


“バベル”モードの最初のステージである“アルター”をプレイするには、ノーマル以上の難易度でゴールドプライズを1つ以上獲得する必要がある見事に“アルター”を登りきって制覇!自分の持てる技のすべてを出し切れば、必ずクリアできるので、あきらめずに挑戦しつづけてほしいネットワークに繋がっていれば、“バベル”モードでの記録は常にランキングとして更新される。クリア後も1番を目指してタイムを削っていこう



■ 独特な世界観・ストーリーといろいろな意味でハマるパズルアクション
  2つが高い次元で融合した良作オリジナルタイトル

 本作の内容と魅力について紹介してきたが、いかがだろうか。感情移入できるストーリーと中毒性の高いパズルアクションが融合することにより、ついついもう少しプレイしたいという気にさせられる内容に仕上がっている。

 筆者が“ゴールデンシアター”モードをクリアするのにかかった時間は約15時間弱。少なく感じられるかも知れないが、あくまでこれはアクションパートで詰まったため、4夜目からイージーモードに変更してプレイした結果だ。「ラプンツェル」や難易度ノーマルやハード、“バベル”モードが残されているほかに、本作はマルチエンディングになっており、ヴィンセントの行動や発言によって、さまざまなエンディングが用意されている。ほかのエンディングを探しながらプレイすることもできるため、まだまだ楽しむことができそうな印象だ。

 本作の不満点を1つを挙げるとすれば、悪夢ステージの中で詰まってしまった場合の救済策がないこと。悪夢ステージをクリアできなければストーリーも先に続けられないため、1度クリアできなくなってしまうと、なかなか先に進めない状態になってしまう。実際、筆者も罠が仕掛けられた石が稼動するのは1回だけだということに気づかずにプレイし続けて、2~30分ほど詰まってしまったことがあった。パズル要素が強いだけに、簡単に解法がわかってしまうと確かにゲームとしての面白さがなくなってしまうが、どうしても詰まってしまった人向けになんらかの救済措置があってもいいように感じられた。

 ただし、“ゴールデンシアター”モードの悪夢の中については、ステージが完全に固定化されているため、何度も繰り返しプレイし続けていれば、いつかはクリアできるはずだ。また、難易度をイージーに変更してプレイすれば、石が増えてクリアしやすくなる上、アンドゥすることで石を動かす1手前の状態に戻せるようになる。そのため、素早くやり直しもできるようになるため、どうしてもクリアできないという人は、イージーでプレイすることをおすすめしたい。

 こう書いていると難しいゲームのように感じられるかもしれないが、1度解法がわかってしまえば簡単なため、柔軟な発想ができるかどうかによって、プレーヤーごとに感じる難易度はさまざまとなる。また、逆に言うと詰まってしまうことがあるからこそ、試行錯誤を繰り返し、ついに突破できたときの爽快感と達成感が大きく感じることができるはず。長くゴールを阻まれていたステージをクリアできたときの喜びは格別なので、使っていない“技”がないか振り返りながら、あきらめずに何度でも挑戦してもらいたい。

 以上のように、本作は誰もが持つ普遍的な題材をテーマにした感情移入しやすいストーリーと人間らしさを持ったキャラクターたちと、単純なルール・操作ながら奥深く頭を悩ませるパズルアクションの要素が融合した、魅力的な内容となっている。パズル要素の強いアクションゲームが好きな人はもちろん、ヴィンセントのように、恋愛や結婚に漠然とした悩みや不安を感じている人ならば、何らかの部分で共感できる内容になっているので、そのような人にもぜひプレイしてもらいたい1本だ。



(C))ATLUS CO.,LTD. 2010

(2011年3月4日)

[Reported by 菅原哲二 ]