★オンラインゲームレビュー★

多数の悪魔をなぎ払いレアアイテムを狙え!
のめり込むゲーム性が魅力のオンラインRPG

「HELLGATE」



 ハンビットユビキタスエンターテインメントのオンラインRPG「HELLGATE(ヘルゲート)」は、11月26日よりオープンβテストを開始した。12月10日からは基本プレイ無料、コース課金による正式サービスを開始予定だ。コースは料金・内容別に「バリュー」、「スタンダード」、「プレミアム」の3種類が用意されている。

 本作は悪魔に覆われた近未来のロンドンを描く作品で、プレーヤーは人類を守るために様々な能力を駆使して悪魔と戦っていく。 評価改善テスト、クローズドβテストを行ない、弊誌でもファーストインプレッション先行体験レポートを行なってきた「HELLGATE」がついにオープンβサービスを開始した。本作は装備集め、キャラクター育成が楽しい作品であり、筆者自身も他のゲームファンと同じように、キャラクターデータがリセットされないオープンβサービスを待ち望んで者のひとりだ。殺伐とした世界観、多数の敵を相手に、激しく戦い、生き残る達成感。そして良いアイテムを得られた時の喜び。「オンラインゲームって楽しいなあ」と思わせる作品である。


■ 悪魔に占拠され、地下に逃げてから18年。人類の反撃が今始まる

追いつめられた人類は地下鉄の駅で生活している。現在はクリスマスの飾りがあるが、どこかもの悲しい雰囲気も
マップ画面。ゲームが進むとさらに広大に
トワイライトゾーンでは強力な力を持った自分の“未来の姿”を体験できる

 「HELLGATE」の舞台は悪魔に占拠されたロンドンである。2020年、ロンドンは突如開かれた地獄の門から現われた大量の悪魔達の襲撃を受けた。警察と軍隊が立ち向かうがかなわない。そこに突然中世の鎧を思わせる甲冑に身を包み、剣を持つ戦士の一団「テンプラー」が駆けつけ、悪魔に立ち向かう。さらに悪魔や魔法を自分の力として使いこなす「カバリスト」も姿を現わす。しかし彼等の力を持ってしても悪魔を撃退することはかなわず、ロンドンは悪魔に占拠されてしまった。

 それから18年、2038年のロンドンに住む人々は悪魔に対抗する力を鍛え上げ、反撃ののろしを上げる。信仰を力に変え古えの武器に似た剣や鎧を使いこなす「テンプラー」、古代より伝わる魔術を身につけ、敵であるはずの悪魔を使役する「カバリスト」、そして軍隊などで使われていた最新武器、科学技術が産み出した戦闘ロボットなどを使いこなす「ハンター」……。彼らは地下鉄を生活の拠点とし技術を磨いてきた。人類の手にこの世界を取り戻すため、戦いの舞台へと足を踏み出すのだ。

 「HELLGATE」には6つの職業が存在する。近接武器を使いこなすテンプラー系には高い防御力でパーティーの盾になる「ガーディアン」と、両手に武器を持ち、舞うように敵を切り刻む「ブレードマスター」。カバリスト系は何体もの悪魔を呼び出し使役する「サモナー」と、強力な魔法が使える「エヴォカー」がある。ハンター系は銃でバリバリと進める「マークスマン」と、支援ロボットを多数使いこなす「エンジニア」だ。「HELLGATE」はソロでもゲームを進められるバランスとなっているが、協力することでさらにエキサイティングな楽しさが味わえる。

 各職業には様々なスキルがあり、自分のプレイスタイルをさらに突き詰めていくことができる。今回はブレードマスターでプレイしてみた。筆者はこれまでのテストでもこの職業をプレイしている。スキルは接近戦用のものが多いが、ガーディアンと比べると打たれ弱い。しかし流れるように剣を振り敵の周りを回ってダメージを与える姿や、スキルで素早く剣を振る姿が魅力で、プレイしていて楽しい。攻撃を当てることで体力が回復できたり、スキルを使うための「パワー」を回復させるパッシブスキルもある。スキルと共に、装備をこまめに変え、防御力を強めにして進めている。

 武器は3セットまで持つことができ、ショートカットキーでいつでも切り替えられる。敵の属性に合わせて持ちかえるのも有効だ。レベルが上がってくると敵に囲まれ倒される事も多くなるが、どう立ち回って戦うかも見えてくる。3つのセットには、1つは2刀流、2つ目は盾を左手に持つタイプ、3つ目は両手に銃を持つタイプにしてみた。敵が多い時には盾に持ちかえて攻撃をしのぐ。銃のスタイルは特にパーティープレイの時体力が減りすぎて回復を待っているとき、仲間の支援のために使う。状況に合わせて武器を持ちかえ戦うのは、いかにも戦いに慣れた戦士のようで楽しい。職業に合わせて戦い方が見えてくる作品だと感じた。

 また、本作で感心したのが、セキュリティーへの取り組みだ。ゲーム内でセキュリティーが設定可能で、4桁の数字をパスワードとして設定できる。この仕組みそのものは他のゲームでも見られるが、「HELLGATE」の場合、セキュリティーを設定することで経験値ボーナスが得られるのだ。この他、HUEは携帯電話のメール機能を使ったワンタイムパスワードも設定している。本作のプロデューサーの中尾圭吾氏によれば、HUEは不正アクセスの調査や被害に遭ったユーザーへの保障にも力を入れているという。セキュリティー設定は面倒なものだが、こういった“ご褒美”があれば積極的に行なうだろう。他のメーカーも参考にして欲しい姿勢だ。


キャラクター作成画面。女性キャラクターは美形が増えたが、男性キャラクターは特に髪型のバリエーションが少なく感じた。体の大きさに比べ、頭が大きくも感じる。選択肢は今後も増やしていって欲しいところだ
破壊されたロンドンを進む。右は様々な場所に開けられているゲートをくぐった世界。地獄との繋がりを閉じることができるのか
本作ではパーティー募集ウィンドウですぐにパーティーを組むことができ、メンバーのアイコンの青いボタンを押すとゲートが開きすぐに合流できる。気軽に参加でき、一緒にシナリオを攻略できるパーティープレイは楽しい


■ もっともっと良いアイテムを! 根源的な楽しさをもたらすアイテムハンティング

レアリティー、特性、MOD、装備条件……本作のアイテムの情報量は多い
パーティーを組むとアイテムの出現率が上がる。難易度を上げればさらに高くなる
マーケットプレイス。他職業の装備はここで売りに出そう

 「HELLGATE」はエキサイティングな戦闘が楽しめるゲームだ。ゾンビやトカゲ型モンスター、翼の生えたガーゴイルなど様々な醜悪な悪魔が襲いかかってくるのを、バタバタとなぎ倒す楽しさがある。群れで襲いかかってくる敵に囲まれないように立ち向かい、しのぎつつ殲滅していく。ぐぐっとゲームにのめり込む楽しさを持っている。

 ゲーム性、濃厚なストーリー要素も魅力だが、「HELLGATE」の大きな魅力は“アイテムハンティング”である。悪魔を倒すと様々なアイテムを落とす。このアイテムを集め、よりよいアイテムに変えていく、山のように入手できるアイテムから、最上のものを選び抜き、そしてそこからさらに高みを目指していく楽しさこそが、本作の大きなモチベーションとなっている。

 「HELLGATE」はプレーヤーの集まる駅はMMOで、ダンジョンはMOとなっている。ダンジョンでは難易度設定が可能で、「ノーマル」、「ナイトメア」、「ヘル」と変えることができる。難易度設定はいつでも可能で、難易度を上げるほど良いアイテムが出やすくなる。さらにパーティーで挑むとアイテムの出現率が上がる。

 このため、「ヘル」での5人パーティーのプレイが盛んだ。本作のパーティー募集システムは優秀で、リーダーがたとえMOのダンジョンを攻略中でもワープポータルを開いて合流できる。パーティーメンバーが増えるとモンスターの数が多くなる。ヘルは敵の耐久力、攻撃力が共に高く、ソロプレイで攻略するのははかなり難しいが、パーティーで火力を集中させれば大量の悪魔をガンガン倒していける。アイテムもざくざく手に入ってプレーヤーはよりよい装備を選べるようになる。

 アイテムには「エンハンス」、「レア」、「レジェンダリー」、「ユニーク」というレアリティの等級があり、ユニークが現在の最上級だ。レアリティが高いほど様々な能力が付与されている。ダンジョンの難易度が高いほど、パーティー人数が多いほどレアリティが高いアイテムを入手できる確率が高くなる。

 付与される能力はランダムで、ダメージを増やすもの、能力を増すもの、周囲に攻撃する弾を放つものなど様々な種類があり、レアリティが高いほど強い。ダンジョンによって入手できるアイテムは変わっていき、レベルが上がることでよりよい基本性能のアイテムが入手できる。基本性能が高いアイテムの場合は、レアリティが低くても有用だ。そして同じアイテムでもレアリティーが高いもの、付与能力がよりいいものを求めて、アイテムを集めていく。常により良いアイテムを求めて、プレーヤーは戦っていくのだ。

 プレイを重ねると次第にプレーヤーは贅沢になってくる。ほとんどのアイテムが今のものより性能が低くなってしまう。その場合、アイテムは「分解」してしまえばいい。分解した材料を使うことで現在持っているアイテムのアップグレードが可能だ。性能がアップしたアイテムはさらに思い入れのあるものへと変わっていく。また、武器にはMODというオプションをつけることができる。MODにも様々な特性があり、これらをつけることで特性を付与できる。

 この他にも、強いアイテムを作れる設計図などがある。アイテムは自分の職業以外のものも多数手にはいる。強いアイテムは「マーケットプレイス」を通じて売りに出すのもいいだろう。キャラクターを育て上げ、アイテムを取捨選択しながら究極の強さを求めていく。こういった“やりこみ要素”はレベルキャップまでキャラクターを育てた後にあるゲームも多いが、「HELLGATE」の場合、ゲーム序盤から強さを求め、アイテムを集めていくことで先のコンテンツの攻略が楽になり、さらに良いアイテムを求めていける。ゲームの進行と共に楽しめる、重要な要素になっているのだ。


左から、アイテムにオプションを追加する「オーグメントレックス3000」、MODを取り外せる「デモディフィケーター」、アイテムをアップグレードできる「ナノフォージ」。各施設は駅に設置されている
レアリティーの高いアイテムが出現する「隠された宝物庫」はダンジョンにランダムで出現する。青い名前のレアモンスターも良いアイテムを落とす確率が高い。レシピを拾うことでアイテムを作ることも可能だ
パーティープレイでは良いアイテムが沢山入手できる。現在は材料アイテムがインベントリーを圧迫してしまい、1度にたくさん持てない。材料アイテムは消費アイテムやMODと混ざってしまいわかりにくい。改善して欲しい点だ


■ 凝った演出、エキサイティングな戦闘、世界観に引き込まれるメインストーリー

自分以外にもたくさん戦士がいることを再確認できるミレニアムバトル
有名な悪魔であるベルゼブブとの対決
戦いの舞台は精神世界まで広がっていく

 「HELLGATE」はロンドンの広大なマップを悪魔と戦いながら進んでいく。悪魔は強力で、群れをなしており、人類の戦いは苦しい。プレーヤーは時には1人で、あるいは仲間と共に、立ちはだかる悪魔を切り開きながら行動範囲を広げていく。

 「HELLGATE」はストーリー、ステージ共に凝っている。プレーヤーが悪魔と戦うステージはかつて人々が闊歩し、楽しい時を過ごしたロンドンである。そして悪魔に蹂躙され、軍隊や警察はその悪魔と必死に戦った。「HELLGATE」では大英博物館やピカデリーサーカス、セントジェームスパークなどロンドンの街並みや観光地が再現されている。そして通りには無惨に破壊され放置されている戦車や装甲車を見ることができる。かつて行なわれた激しい戦いを感じさせられる風景だ。

 メインストーリーでは悪魔の侵攻を食い止め、ヘルゲートを閉じるための人類の戦いが描かれる。プレーヤーはクエストをこなしていくことで徐々に戦いの鍵を握る重要な役割を担っていく。超自然的存在との邂逅や、多数の戦士達がぶつかる戦場での戦いなど様々な経験を積んでいくこととなる。人類は再び地上を取り戻せるのか、過酷で壮絶な戦いはぜひ体験して欲しいところだ。

 ストーリーはいくつかの章に分かれており、ACT1は大英博物館でクライマックスを迎える。ACT2以降、舞台はさらに広がり、ストーリーも大きくスケールアップしていく。ゲームシステムや演出も派手になり、次はどんなものを見せてくれるか、楽しみになってくる。現在筆者はACT2をクリアしたところだ。オープンβテスト時点ではACT5までのシナリオ、そしてそこからさらに続く危険な冒険が待っているとのことで、たっぷりやりこめそうである。

 ACT2の時点でボリュームもアイデアもたっぷりで驚かされた。「HELLGATE」の駅は戦士達が悪魔を食い止める場所であるが、グリーンパーク駅は悪魔の攻撃がきつすぎるようで商店もなく、土嚢が積んであり戦士達が常に臨戦態勢をとっている。照明も少なく追いつめられた感じが強い。ダウニング通りの先にある「ミレニアムバトル」という場所では悪魔と人間達の大規模な戦いが描かれる。多数のNPCが悪魔と戦っていて、これまでのフィールドとは全く違う雰囲気だ。

 また、ピカデリーサーカスの先にあるアスロットボルトでは巨大な悪魔アスロットとの対決になる。護衛の悪魔も多く、仲間と共に力を合わせて挑みたいところだ。エンバンクメント砦では悪魔ベルゼブブと戦うのだが、ここではNPCの戦士団が一緒に戦ってくれる。ベルゼブブは手下の悪魔を多数召喚するやっかいな敵だけに、仲間の手助けはありがたい。この他、あるキャラクターの精神世界まで冒険の場所は広がっていく。

 悪魔も次々と凝ったものが出てきて面白い。飛行モンスターも増えてくるため、テンプラーは対処法も考えていきたいところだ。ダンターリシはふわふわと後ろに下がりながら弾を出すので、接近戦が挑みにくくてやきもきさせられる。ゾンビマスターは多数のゾンビを召喚し、さらにエネルギーを注入して巨大化させる。突然虚空から現われるコラープターなど、次はどんな悪魔が出てくるか、楽しみになってくる。

 メインコンテンツ以外にも、以前お伝えした「拠点防衛戦」、敵を倒しながら先へと進んでいく「追憶の神殿」といったコンテンツも用意されている。戦って戦って、戦い抜く、という戦闘がメインのある意味殺伐としたゲームではあるが、だからこそプレーヤーを駆り立て、のめり込ませる魅力がある。

 「HELLGATE」は韓国で先行してサービスが行なわれている。韓国で実装されている「HELLGATE:Tokyo」のコンテンツも今後実装予定とのことでボリュームにも期待できる。その上で、「拠点防衛戦」や「追憶の神殿」など日本の提案により実現したコンテンツもあり、日本の「HELLGATE」は韓国とはまた違った展開を見せていくという。今後の日本オリジナル要素は何かにも注目していきたい。なによりも、このエキサイティングなゲーム性に、1度触れてみることをオススメしたい。


沢山の悪魔を倒しながら進んでいく。中央はグリーンパーク駅。追いつめられている雰囲気だ
空を飛ぶ敵には、銃やスキルが有効だ。右は精神世界のマップ。まるで内臓の中のようだ
触手を揺らめかせる「オクバーグ」、周囲に沢山のゾンビを従える「ゾンビマスター」、レーザーのような光線を打ってくる「ストーカー」
5人で4つの柱を守る「拠点防衛戦」。PCへの負荷もかなりきついコンテンツで、処理落ち中にやられてしまう場合も。事前に設定を変えるなどの対策も必要だと感じた
奥深くまで進みレアアイテムを入手する「追憶の神殿」。「拠点防衛戦」と共に、日本が提案したコンテンツだ

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Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.

(2010年 12月 3日)

[Reported by 勝田哲也 ]