「GUNDAM VERSUS」レビュー

GUNDAM VERSUS

奥深く熱いチームバトルアクション
“ガンダム愛”みなぎるハイスピードバトル

ジャンル:
  • チームバトルアクション
発売元:
  • バンダイナムコエンターテインメント
開発元:
  • バンダイナムコスタジオ
プラットフォーム:
  • PS4
価格:
8,200円(税別)
発売日:
2017年7月6日

 7月6日に発売された「GUNDAM VERSUS(ガンダムバーサス)」。皆さんはもう戦いまくっているだろうか。筆者は本作がシリーズ初挑戦である。ネット対戦はその戦いの基礎もまだつかみ切れておらず、負けまくりである。

 しかし、それでも楽しいのだ。本作から感じられるのは“対戦ゲームの楽しさ”である。なぜ勝てないかを考え、CPU相手に基礎を覚え、ネットで他の人の戦い方や、初心者講座を参考にし、自分のキャラクター(MS)と対話し、そのポテンシャルを活かすために練習を重ねていく。色々なことを思いつき、実戦してみる……対戦格闘ゲームに夢中だった頃を思い出させる。この感覚は懐かしく、そして熱い。非常に楽しい体験だ。

 今回は本作のポイント共に、筆者が本作をどう楽しんでいるかをレビューしていきたい。立ち回りの“基礎”を覚え、有効的な戦い方を模索しても、他プレーヤーとの連携で意味合いが大きく異なってくる。奥深く、そしてエキサイティングなゲームである。

【PS4「GUNDAM VERSUS」バトル紹介PV】

「強くなりたい!」、作品にみなぎるガンダム愛が、プレイへの熱意を後押しする

 「GUNDAM VERSUS」は、「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオンDX」から始まる家庭用「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」15周年作品であり、PS4での初めてのシリーズ作品だ。プレーヤーはMSを操り、2対2の戦いを基本として、オフライン、オンラインで様々な戦いを繰り広げていく。

基本操作を覚えるチュートリアルモードも
ド派手で様々な技が交差する。プレイしていてもアニメの様々なシーンを思い出す
ブーストダッシュは本作の基本とも言える。プレーヤー達は常に高速に動き回っている
新要素「ブーストダイブ」。移動をキャンセルでき、攻撃をかわしたり、相手の予測を外すことができる

 シリーズで練り込まれた本作の操作性はとても良好でシンプルなため、直感的に楽しめる。敵は○ボタンで自動的にロックオンされ、×ボタンでジャンプとブーストダッシュ、□ボタンと△ボタンで攻撃する。攻撃は方向キーを入れたりジャンプ中、ダッシュ中で様々に変化、さらにR2ボタンやL1ボタンで特殊な射撃や格闘の攻撃ができる。はじめてプレイする人でも多彩な技が出せるだろう。

 そして本作の“ガンダム愛”はやはり一番の魅力だ。初代ガンダムの振り向きざまの射撃やアムロのセリフ、ターンXのギンガナムのセリフ回しと多彩な攻撃、F91の俊敏な動きなど、「ガンダム」ファンのツボを的確についてくるその演出は凄まじい。

 そしてMSのモデリングが良いのだ。PS4ならではのグラフィックスによるMSがキビキビと、簡単な操作で多彩な技を繰り出す。「ガンダム」作品の原作に詳しいほど“元ネタ”がわかって楽しくなる。初心者でもボタンや方向を適当に動かすいわゆる“レバガチャ”で戦っていてもその「ガンダム」におけるスタッフのこだわりに感心し、うれしくなるだろう。

 しかし、オンライン対戦では、自分の実力とは次元が違う戦いに直面することになった。1対1ではもちろん勝てないし、2対2、3対3ではチームの足を引っ張ってしまうのを痛感した。そう、「どう戦えば良いのか」すら見えないのだ。他のプレーヤーはどう戦っているのか、それすら見えず、足を引っ張ってしまっていることの申し訳なさで押しつぶされそうになる。

 「どうすればうまく戦えるのか?」。今の時代はネットですぐに疑問を検索できる。そこでいきなりブチ当たる言葉が「ズンダ」であった。意味は全くわからないが、実は本シリーズの“基本”のひとつであるらしい。射撃してブーストダッシュを行なうことで、射撃の硬直をキャンセル、素早く射撃を繰り返すテクニックだ。本作のプレーヤーはまずこのテクニックの習得が求められる。つまり、ズンダを多用することで、射撃と移動のスピードが段違いになるらしい。

 ここからネットでは「初心者必須のテクニック」が延々と語られているが、個人的な実感としては「それはもっとずっと後に必要となること」だった。ちなみに前述の「射撃キャンセルダッシュ」のことをなぜ「ズンダ」というかは、ネットで調べても語源ははっきりしない。言葉そのものと意味が全く繋がっていないのに「まずズンダだよ」と15年語られているのだろうか。

 だから本作がシリーズ初体験のプレーヤー達は「他の人は射撃を素早くするためダッシュで戦場を動いている」という認識がまず必要だと思う。筆者は今でもズンダが本当にできてるか確信が持てないが、プレイしている人達は常にダッシュしているようなスピードで戦っている、ということは肝に銘じておきたい。

 次に覚えなくてはいけないのは「機体のポテンシャル」ではないだろうか。どのボタンを押した時どの技が出るのかを“体得”していく。技の全てを頭にたたき込む必要はなく、「こんな時にこう戦えればいいな」という感じでいい。「格闘の最初の攻撃はリーチが思ったよりずっと長いし、追尾性能も高いな」とか、「レバーを入れた攻撃では相手が吹っ飛んでしまう。チャージ攻撃は当たれば強い」……などなど自分の機体を知り、その上で戦い方を組み立てていく。各機体で全然技が違い、戦い方も異なる。

 機体のポテンシャルを体得するには「フリーバトル」で敵のコストを無限にして色々技を試してみるのが良い。技を確認したら対戦だ。筆者の場合は連続技などをネットで覚えた後、同じくフリーバトルでCPUを一番強くした上で1対1の対戦を重ねた。まだまだがむしゃらだが、結構勝てるようになり、動きも覚えてきた。

 今回、筆者は自機として「ガンダム・バルバトス」を選んでみた。かなり格闘が強い機体で、射撃も使いやすいいわゆる“強機体”だと言われているのを知ったのは後の話だが、ひたすら動き回り、少しずつ戦い慣れてくると、どんどんゲームが楽しくなっていった。

 バルバトスの射撃は1弾1弾補充されるので、弾数が足りない状況になりがちだ。無駄撃ちをしないためにどう戦うか? ブーストをあっという間に使い果たしてしまうリスクも承知で、今作の新要素である「ブーストダイブ」も活用する。敵に格闘を挑むときは横にステップしてから相手の背後に動くと良い。この時にブーストを使い切ってもとにかく当てれば繋げられそうだ……。まだガードも使えないし、格闘で空振りしてしまうなど課題は山積みだが、ずいぶん動けるようになった。

 さて実戦だ! 2対2でのオンライン対戦、カジュアルマッチを選んでみたが、これが全く勝手が違う。連続技を決めようとしてももう1人の敵に止められてしまうし、2対2でどう相手をいなしつつ攻撃を集中するかは、とても奥深いことが実感できた。ここまできてようやくネットでの「初心者のコツ」が何を言っているのかがわかってきたのである。ターゲットとの位置取りや牽制の重要性、味方を助けるために気をつける、追われたら味方の方に逃げることを心がける……奥深く、楽しい。

 こういうところまで考えが回るようになり、ようやく本作の魅力の一端にきちんと触れることができたと感じた。そして今までよりも強く「うまくなりたい、機体をうまく使いたい」と思えるようになった。慣れてきても腕はヘボいままだが、もう少しがんばれば、もう少し戦えるようになるのではないかと、今は思っている。

【スクリーンショット】
最初はどう戦って良いかすらわからなかった。そして基本を覚えても連携の難しさを痛感する。奥深さこそが楽しいゲームだ
まずはひたすらCPU相手に1対1。ここから戦いを学んでみた

対戦だけじゃない! 次々と現われる敵と戦うモードも

 もちろん本作はオンライン対戦だけではない。「アルティメットバトル」、「トライアルバトル」といった要素も用意されている。「アルティメットバトル」は次々と現われる敵と戦っていくモード。“戦力ゲージ”が設定されており、これをいかに減らさずに長く戦い抜くかが求められる。

ウェーブを突破していくアルティメットバトル
ステージをクリアしていくトライアルバトル

 5ステージ進むとインターバルが設定されており、ここで機体のパワーアップや戦力ゲージの回復ができる。パワーアップをするほど消費ポイントが上がっていくため、長期的な戦略が求められる。難易度「ハード」では50ものウェーブがあり、かなり長い戦いを覚悟しなくてはならない。

 面白いのがオンライン要素である。「オンラインプレイ」に設定すると普段はソロプレイで、相棒のCPUと戦っていくのだが、「エクストラスウェーブ」として他のプレーヤーと協力/対戦が楽しめるのだ。巨大なボスと戦う「ボスハンター」や、プレーヤー達との3on3の対戦、さらには戦場に現われる敵を制限時間内にいくつ倒すかを競うルールまであって楽しい。エクストラウェーブはプレイできればボーナスのバトルポイントとなり、インターバルで使用できるポイントが増えるのもうれしい。

 「トライアルバトル」はソロプレイ用のモード。相棒となるCPUや敵がステージで変わるので様々なシチュエーションが楽しめる。「完全再現」とまではいかないかもしれないが、「機動戦士ガンダム」をはじめ、関連キャラクター、ステージの構成が工夫されていて、原作の戦場で戦っている気分をきちんと味わえる。

 これらのモードで楽しいのは自分の機体をたっぷり活躍させられるところだ。対戦モードと戦い方が大きく異なり、敵も弱めなため多数の敵を蹴散らす一騎当千の戦いを味わえる。「俺の機体カッコイイ!」と、無敵気分に浸れるのである。もちろん慣れてない機体の練習モードとしてもぴったりで、どう戦えば良いか、どんな技を出せば良いかを学べる。

 今回、「GUNDAM VERSUS」は対戦をメインとしながらも、協力プレイも楽しさを提示できたのは大きいと思う。強力なMA(モビルアーマー)に対し、最大6人で立ち向かえるのはシンプルに楽しい。「GUNDAM VERSUS」は今後さらに機体が増えるだけでなく、これまでのシリーズのようにバランス調整を行ない完成度をさらに上げていくようだ。ソロプレイ/協力プレイモードの拡張にも期待したいところだ。

【スクリーンショット】
トライアルバトルは原作を思い出させるシチュエーションが良い
アルティメットバトルはオンラインにしておくと協力や対戦ができるエクストラウェーブが挿入される

やりこむ事でさらに戦い方がわかってくる。どこまでも戦いを追求

 本作はやりこんでいくほど機体レベルが上がり、「機体開発ツリー」で、プレイすることで入手できる「GP」を消費することで様々な要素をアンロックできる。アンロックできる要素は新しいパイロットや称号・エンブレム、さらにはバトルナビまでも用意されているが、プレーヤーとして注目したいのはやはり「ストライカー」だ。

やりこむことで様々な要素をアンロックできる
色々な機体に触ることで攻略法も見えてくる

 機体開発ツリーでストライカーをアンロックしていくことで新たな"呼び出し機体"をアンロックできる。ストライカーは格闘タイプや射撃タイプなどその種類は様々だ。ガンダム・バルバトスを育てていくと「グシオン改」や「鉄華団モビルワーカー」等がアンロックできる。筆者が今使ってるのは使用機体と同じ「ガンダム・バルバトス」。メイスを投げつけ、当てることで敵を麻痺させられる。これにソードを投げる特殊射撃のコンボは決まると爽快だ。

 このストライカーは1度アンロックしてしまえば作品の枠を越えて設定が可能で、V2ガンダムが百式を呼び出したりもできる。プレーヤー達は効果的にストライカーを使っていて、極太のビーム攻撃をする機体や、爆風を広げる攻撃を行なう機体をチョイスし効果的に使っている。遠距離攻撃の手数が足りないバルバトスにはどんなストライカーが合うか……そういった弱点を埋めたり、もしくは敵が味方を囲んでるときにビームで援護したいなど様々なことが考えられる。ストライカーを得るために機体をやりこんでみるといったことも必要になってくるだろう。

 他の機体をプレイする場合の練習としては、CPUを同じ機体にするのも有効だろう。基礎としてどんな機体にどんな武装があり、どう使えば有効なのかを教えてくれる。実際に機体を使うと想像と違って面食らう場合もある。∀ガンダムは敵対すると極太のビームや、ビームライフルの射撃が脅威なのだが、プレイしてみると基本の遠距離攻撃はリーチが非常に短いガンダムハンマーだったりするのだ。弾数の少ないサブ射撃や、溜め撃ちのビームを使っていたのかと、CPUの立ち回りからその機体について学ぶことも多かった。

 「GUNDAM VERSUS」は“強くなりたい”と素直に思えるゲームである。筆者のような初心者は対戦する前にCPU相手に戦い方をじっくり学べるし、その戦い方を応用して
「アルティメットバトル」や「トライアルバトル」を進めていくのもいい。とにかくひたすら実戦で強くなる、もしくは対戦をやらずCPU戦にこだわる、というのももちろんアリだ。コミュニティに参加して先輩プレーヤーに学ぶ、という遊び方もできる。「プレーヤーマッチ」ではルームを作成し濃いプレイを楽しんでいる人達も多い。

 そしてなにより「ガンダム」だから良いのだ。最新のグラフィックスで動き、ハイスピードな戦いを繰り広げるMSを見ることができる。アニメでの活躍シーンを戦闘のモーションに活用しているところや、キャラクター達のセリフが楽しいし、作品の枠を越えて戦う“if”な雰囲気も良い。最新の「ガンダムゲーム」ならではの面白さが本作には詰まっている。カジュアルマッチではすぐに対戦相手も見つかる人気の高さも大きな魅力だ。

 これまでの「機動戦士ガンダム VS.」シリーズがそうであったように、本作もファンの間で長く楽しまれるゲームとなるだろう。プレーヤーの腕の差、経験の差がはっきり出るゲームではあるが、本作の「面白さ」は直感的であり、大きな魅力がある。初心者でも気軽に楽しめる要素も多く、学んでみたいと思わせる奥深さがある。この世界に飛び込んで欲しい。

【PS4「GUNDAM VERSUS」第1弾アップデート紹介PV】

【スクリーンショット】
「戦い続けること」がゲーム上達の1番の近道だ。本作にみなぎる「ガンダム愛」はその熱意を後押ししてくれる