「GE62 7RE Camo Squad Limited Edition」レビュー

GE62 7RE Camo Squad Limited Edition

MSIから迷彩PCが登場! 「GRワイルドランズ」コラボモデルの出来栄えをチェック

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • MSI
開発元:
  • MSI
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
199,800円(税込)
発売日:
2017年3月8日

「GE62 7RE Camo Squad」外箱

 迷彩カラーのゲーミングPCはいかが? MSIとUbisoftのコラボで実現した「GE62 7RE Camo Squad」が、3月8日より国内限定200台で販売中だ。特定タイトルとのコラボレーションモデルというと、マウスやゲームパッドといったペリフェラルではよく見られるものの、PC本体とのコラボというのはなかなか珍しい。

 本製品はMSIのゲーミングノートPC「GE62 7RE Apache Pro」をベースに、Ubisoftの最新オープンワールドFPS「ゴーストリコン ワイルドランズ」をイメージした迷彩ペイントを施した逸品だ。さらにこの製品には記念グッズとしてオリジナルの「Camo Squadマウスパッド」、「Camo Squadバックパック」、「Camo Squadボトル」、ドッグタグセットがもれなく付属している。

 もちろん、コラボタイトルの「ゴーストリコン ワイルドランズ」はシーズンパス付きの限定エディションのダウンロードコードが付属。これら付属品だけで2万円以上の価値があるという、なかなかに豪華なスペシャルエディションとなっている。

 本製品の価格は199,800円(税込)となっており、ベースモデルの「GE62」(実売17万円前後)に比べると2万円強ほど高価だ。付属品の価値を含めてファン向けのコレクションアイテム色の強い製品ということで、本体デザインや付属グッズの出来ばえも含めて見ていこう。

同じものは2つとないという迷彩デザイン&限定グッズのあわせ技

迷彩塗装が施されたPC本体

 PC本体はベースモデルの「GE62」と全く同じ形状・スペックだ。CPUにはCore i7-7700HQという、現在最もゲーム性能が高いといわれるCPU(クロック番長とも)を搭載し、GPUにはNVIDIAが今年1月に発表したばかりのGeForce GTX 1050Tiを搭載することで、最新ゲームタイトルをHD解像度で快適に動かせる性能を確保している。

 基本スペックは以下のとおり。

【GE62 7RE Camo Squad Limited Edition】スペック
CPUIntel Core i7 7700HQ (Kabylake)
GPUNVIDIA GeForce GTX 1050Ti
メモリDDR4-2400 SO-DIMM 16GB(8GBx2)
ディスプレイ15.6インチ 1,920x1,080 IPSレベルタイプ / 60Hz
ストレージ256GB SSD(M.2 SATA3)+1TB HDD(SATA3) 7200rpm
光学ドライブDVDスーパーマルチ
接続端子Type-C USB3.1 Gen2x1、USB3.0x2, SDカードスロット、HDMI x1、Mini-DisplayPort x1
有線LANRivet Networks Killer E2500 GBLAN+Killer Shield K9000
無線LANインテル デュアルバンド・ワイヤレス-AC 3168(IEEE802.11a/b/g/n/ac)
キーボードSteelSeries製10キー付日本語アイソレーションタイプ マルチカラーLEDバックライト付
ACアダプター150W
外形寸法383×260×27~29mm(幅×奥行き×厚さ)
重量約2.4kg(バッテリー含む)
OSWindows 10 Home

キーボードはMSIゲーミングノートPC標準のSteelSeries製ゲーミングモデル
光学ドライブはDVDスーパーマルチ

 ゲーミングノートPCとしては軽量な2.4kgという重量に、必要充分以上の接続端子類を備えているというのが「GE62」の良いところだ。その上で本製品での違いとなるのは、見ての通り、迷彩ペイントである。

 ペイントはご覧のとおり砂漠用デジタルパターン迷彩となっており、ツヤ感のある仕上げのおかげでオリジナルの「GE62」よりも高級感がある。「ゴーストリコン ワイルドランズ」の作中で見られる、地面が多く露出したボリビアの山岳地帯をイメージしたデザインだろう。緑色のジャングル迷彩という手もあったはずだが、そうすると暗色ベースで地味になりかねないので、色味が明るく華やかに見えるほうを採用したということだろう。

 MSIによると、この迷彩パターンは1台1台が微妙に異なっており、ひとつとして同じものはないそうだ。ここは個性派ゲーマーのためのコレクションアイテムとして重要なポイントと言えるかもしれない。自分の「GE62」は世界に1つ!と確信を持って言えるからだ。

砂漠用のカーキ色を基調としたデジタル迷彩。すべての個体で微妙にパターンが違うという
形状そのものはベースモデルの「GE62 7RE Apache Pro」と同等だが、迷彩カラーの上質な塗装によりツヤのある質感に仕上がっている

付属グッズ一式
バックパックに一式を入れた所。まだまだ余裕たっぷり
付属マウスパッドも同様の迷彩パターンだ
ドッグタグ。4種類すべて異なる銃の刻印が施されている

 付属品についても見てみよう。ノートPCよりも大きな箱に入っているのは、「Camo Squadマウスパッド」、「Camo Squadバックパック」、「Camo Squadボトル」とオリジナルのドッグタグセットだ。

 とくに値打ちがありそうなのが「Camo Squadバックパック」。ノートPC本体と同様の砂漠用デジタル迷彩柄になっていて、15.6インチの「GE62」どころか18インチクラスの大型ゲーミングノートPCもゆうゆう収まる大きさだ。各ポケットは多数のハーネスでしっかりと保護できるようになっており、山野で転げ回っても荷物が溢れることは全くなさそうという、しっかりとした作り。布地も耐熱・防刃の頑丈な素材のようで、似たようなものをほかで求めればなかなかいい値段がしそうだ。

 これと共通のデザインで付属するのが「Camo Squadボトル」。これは容量500ccほどの耐熱ブラスチック製水筒で、二重の蓋で飲みくちが保護されているため、傾いたりぶつけたりしても中身が溢れることがない。アウトドア活動に適したデザインだ。上記バックパクのサイドボケットに綺麗に収まる大きさとなっているので携帯もスムーズ。デザインがシンプルでかさばらないので、インドアで使用してもよさそうだ。

 さらに、同デザインのゲーミンググッズとしてオリジナルのマウスパッドが付属。これは目の細かい布製で、充分にゲーミング用途に耐えうるものだ。丸めればバックパックのポケットにすっぽりと収まる。これらのセットで最新のゲーミング環境をスタイリッシュに持ち運べる、というわけだ。アウトドア派のゲーマー(希少だと思うが)なら飾って眺めるだけでなくキャンプや登山で実用しても面白そうだ。

 付属品の最後となるのはオリジナルデザインのドッグタグ。表には「MSI Camo Sqauad」の刻印、背面には「TRUE GAMING」の文字とアサルトライフルの刻印が施されている。チェーンは1本のみだが、タグは同サイズのものが4つあり、あしらわれた銃器のデザインがどれも違うというのが面白い。

 同じものは2つとない迷彩ペイントのゲーミングノートPCと、これら実用性も備えた限定グッズのあわせ技。「ゴーストリコン ワイルドランズ」で描かれるボリビアの大自然も、気分上々で楽しめるに違いない。もちろん、デザイン自体は「ゴーストリコン ワイルドランズ」に寄せすぎたものにはなっていないので、ミリタリーFPS全般が好きな人ならどこかしら刺さるところがありそうだ。

単品でもそこそこいい値段がしそうなバックパック
ボトルは日頃使いにも良さそうなシンプルデザイン
マウスパッドはキメの細かい布製。模様以外は標準的な感じである

というわけで実際にアウトドアで使ってみた

自然の中に紛れてみる
おわかりだろうか

 実用性について語るなら実践してみるのがイチバンということで、実際に本製品一式をバックパックに詰め込んでアウトドア使用をシミュレートしてみた。と言っても、一式担いで近所の河川敷にお散歩に行った程度ではあるのだが。

 約2.4kgのPC本体とマウス、マウスパッド、ボトルをバックパックに詰めて出陣。ハーネスがしっかりしているので、きっちり締め込めばほとんど余計な重さを感じずにスイスイ歩ける。布地も頑丈なので、多少草木にこすれても全く問題なしだ。迷彩塗装の効果は抜群で、枯草の中に放り込んでしまうと周囲に溶け込んでしまって、ぱっと見ではほとんどわからなくなる次第。「敵」から身を隠すにはもってこいだが、そんなののいないこの平和な社会。むしろうっかり紛失する原因になりそうなので、普段以上の注意が必要な感じである。

 というわけでその場でアウトドア・ゲーミングにチャレンジしてみた。枯草広がる真冬の野っ原でノートPCを広げ、「ゴーストリコン ワイルドランズ」のプレイを試みてみた。

大自然PCゲーミング環境

決してあやしい者ではありません

 ……とりあえず膝や尻に草が刺さってこそばゆい……。地面がデコボコでマウスがうまく扱えない……。あと、風が吹くたびに枯草の破片がPCの上に飛んできて、故障が心配になったり。PCゲーミングとアウトドア活動は、水と油の関係のようである。

 ほかにも、日光の下ではさすがに液晶ディスプレイの輝度が足りず、画面が暗くてよく見えないとか、バッテリー駆動ではGPUのフルパワーが発揮できず、ゲーム中のフレームレートが落ち気味になるとか、たっぷり遊び込めるほどバッテリーが持たないとか、いろいろあってワイルドランズ(荒野)における「ゴーストリコン ワイルドランズ」のプレイを断念。夏場ならこれに加えて虫が寄ってくるとか蚊に刺されるとか、草露の水分がPCに入り込んで壊れるとかありそうで、なかなか簡単にはいかなそうである。

 それでも意地を張ってアウトドア・ゲーミングを試みる姿は、傍から見ると完全に不審者。なんとなく周囲からの奇異の目にさらされている気がして、残念ながら今回は撤退を余儀なくされたのであった。

 とまあ、焼き刃のチャレンジでは芳しくない感じにはなってしまったものの、電源やテーブルなどの設備の整ったキャンプ場などであれば、ずっとスタイリッシュにこのセットを使いこなせるだろう。適材適所で活用すれば、もっとまっとうな意味での“注目”を浴びられることは期待できる。

HDゲーミングに充分なスペック。もちろん「ゴーストリコン ワイルドランズ」も快適動作

「ゴーストリコン ワイルドランズ」を起動してみたところ

 さて、ここまでは限定グッズとしてのインプレッションをひととおりご紹介したので、ここからはPCの中身について見てみよう。

 上述の通り、本製品の主要スペックはCPUにCore i7-7700HQ、GPUにGeForce GTX 1050Tiというもの。CPUはハイエンドといっても差し支えないモデルが搭載されているが、GPUはモデルナンバー的にはエントリークラス相当の位置づけだ。前世代と比較するならばGeforce GTX 970Mをやや上回るグラフィックス性能となっており、おおむね「最新ゲームをHD解像度で快適に遊べる」という基準を満たすものになる。

 以下に、「3DMark」におけるFire Strike、Time Spyのベンチマークスコアをご紹介しておこう。いずれも、格付けとしては前世代のゲーミングノートPCの標準値からは倍程度の性能があるものの、Oculus/HTCが推奨とするVR Ready性能には「やや及ばない」という感じである。

「Fire Strike」テスト結果はスコア6,775

「Time Spy」テスト結果はスコア2,526

 とはいえVRゲームが全く動かないわけではない。HDMIポートにVRヘッドセットを繋げばきちんと使えるし、処理が軽めのVRゲームであればおおむね快適に遊べる。特に最近、Oculusでは充分なフレームレートが得られない条件下でも快適さを損ないにくい技術をドライバーレベルで導入してきているので、使いようによっては充分にVRゲームにも耐えられるはずだ。

広大なオープンワールドでの小隊アクションが楽しめる「ゴーストリコン ワイルドランズ」

 もちろん、コラボタイトルである「ゴーストリコン ワイルドランズ」は、フルHD解像度にて快適に遊ぶことが可能だ。本作はわりとグラフィックス処理が重めのタイトルではあるのだが、「高」設定でも平均42fpsと、PS4/Xbox One版の上限である30fpsを大きく超えるフレームレートで動作できる。

 さらに設定を下げていけばより高いフレームレートを得ることが可能だ。例えば「中」設定では平均50fps程度、「低」設定であれば常時60fps以上のパフォーマンスとなる。このあたり、設定を探って自分なりの応えを見つけることもPCゲームの楽しみのひとつであるので、いろいろと試してみることをオススメしておきたい。ただし、フルパワーが出せるのはACアダプター接続時のみ。上述したようにバッテリー駆動時ではCPU/GPUのパワーが抑えられ、おおよそ半分のフレームレートとなるため、基本的に本製品はデスク上で電源に繋いで使うものだと理解しておこう。

グラフィックス設定「高」。42fps前後で動作
グラフィックス設定「低」。安定して60fps以上を確保

プリインストールソフトにはさらなる充実を求めたい

各種ゲーム機能へのハブとなる「Dragon Center」
「Nahimic」では音声エフェクトの発生方向を可視化できる
ゲーム動画配信アプリの「Xsplit Gamecaster」は1年間のライセンス付き

 以上、本製品「GE62 7RE Camo Squad」の特徴をご紹介してきたが、コラボレーションモデルならではの不満点もあった。肝心の「ゴーストリコン ワイルドランズ」は製品コードが付属するのみでプリインストールまではされていないので、本体を箱から出して実際に遊べるようになるまで、Steam/Uplayの導入→ゲームのダウンロード・インストールといった手間がかかってしまうのである。その洗礼は奇しくも、開封式イベントでも顕在化してしまったが、これは設計ミスというより、PCゲームの配信システム的にやむを得ない部分といえる。ただ、このあたりはわりと、PCゲーム初心者にはハードルになってしまうのではないかと心配されるし、ベテラン勢にとっても面倒臭さを感じる部分だ。せっかくのコラボモデルということで、そのあたりはもう一工夫あると良かったと思う。

 ちなみに他のMSI製ゲーミングノートPCと同様に、関連ソフトウェアはあらかじめプリインストールされている。ハードウェアモニターや各種パフォーマンス調整ができるMSI謹製の「Dragon Center」を中心に、キーボードの動作設定を行なう「SteelSeries Engine」、GPU機能を活用するNVIDIAの「GeForce Experience」、オーディオ機能拡張の「Nahimic」ユーティリティ、ネットワーク最適化アプリ「Killer Control Center」、そしてゲーム動画配信ソフト「Xsplit Gamecaster」は年間ライセンス付きで、それぞれ箱出し直後から使えるようになっている。

 とはいえ、現在のゲーミングシーンにおいてはそれだけでゲームがはじめられるわけではないというのが実際のところ。まずほとんど誰もが箱出し直後にSteamをインストールすることになるし、「Overwatch」プレーヤーならBattle.netの導入が初手になる。「バトルフィールド」シリーズのプレーヤーならそれに加えてOrigin。「ゴーストリコン」ならもちろんUplay。このあたりの、ほぼ標準的なゲーム配信システムについては積極的にプリインストール化を進めて欲しいと感じた次第だ。プリインストールまではいかなくても、「Dragon Center」上にショートカットを用意してもらえたりすると、箱出しからゲーム開始までの作業にサクサク感が増し、ゲーミングPCならではの満足度も向上しそうである。

 いずれにしても、今回のようなコラボモデルは非常に面白い試みだ。ぜひ、今後ともラインナップの拡充を期待したい。例えばUbisoft作品であれば「For Honor」のコラボモデルなどあれば筆者的には非常に刺さるものになりそうだし、歴戦のFPSゲーマーには「Quake Champions」コラボPCなど出てくれば思わずよだれを垂らしてしまうかも。そうしてたくさんのコラボモデルが出てくれば、ひとりひとりが自分の好きなゲームを効果的にアピールできる手段が増え、PCゲームの世界はもっと個性豊かでワクワクするものになっていきそうだ。