先行レビュー

コロプラ、生成AIで描く“実写ドラマ”風カードバトル「アクティブシネマRPG 369(ミロク)」先行プレイレポート

荒削りながら一見の価値あり。チャレンジ精神が詰まった意欲作をプレイ

【アクティブシネマRPG 369】
8月31日 配信開始
利用料金:基本無料(アイテム課金制)

 コロプラから電撃的にリリースされた「アクティブシネマRPG 369(ミロク)」。本作は、高品質なシネマティック映像で進行するストーリーとゲームとしての攻略体験を組み合わせた、“アクティブシネマRPG”を掲げるタイトルだ。利用料金は基本無料で、アイテム課金制。PCやスマートフォンのブラウザでプレイできる。

 ブランド「Kuma the Bear」最新作として発表された本作の最大の特徴は、生成AIを活用した実写風の映像だ。プレーヤーはドラマを見るように物語を追いながら、「シキガミ」を使ったバトルに挑んでいく。

 今回は、サービス開始前に実際にプレイする機会を得た。RPGというよりも“連続ショートドラマにリアルタイム性のあるカードバトルを組み合わせた作品”という印象が強かった。本稿では、本作のストーリーやシステムを追いながら、その特徴を紹介していこう。

ショートドラマとリアルタイムカードバトルを組み合わせた作品だ

草薙ウルと陰陽捜査官・立丸シノが怪異事件に挑む

 物語は、霊が視える女子高生「草薙ウル」が怪異「モウジャ」に襲われているところから始まる。

 そこへ現れるのが、特務機関369(ミロク)に所属する陰陽捜査官「立丸シノ」だ。コードネーム「アイリス」と呼ばれるシノはウルを救出し、その後彼女を保護して特務機関369へと連れていく。一度は別行動を取ることになるものの、再び合流するところまでが、今回紹介できる第2章までの大まかな流れだ。

草薙ウルは立丸シノに助けられ、369に保護される

 モウジャが現れる空間は「マガトキ」と呼ばれ、さらに規模の大きな「オオマガトキ」も存在する。オオマガトキはゲーム的にはダンジョンに近く、攻略しながらシキガミの育成などを進めていくことになる。

 怪異を扱う作品ではあるが、少なくとも今回の範囲では強烈なホラー表現はなかった。筆者自身、ホラーゲームはほとんどプレイできないほど苦手なのだが、本作は全く問題なく遊べた。

モウジャが現れる空間はマガトキと呼ばれる。現実世界とは異なる禍々しい空間だ

 ベースこそシリアスな物語だが、シキガミたちが漫才のような掛け合いを始めるなど、コメディ要素も多い。ストーリーの展開も速く、長く停滞するような場面は少なかった。

 強いて言えば、2章の中盤、6体のシキガミがそれぞれの能力を面白おかしく紹介する場面はやや長く感じたものの、それも個性豊かなキャラクターたちを印象づけるシーンとして機能していた。

少し冗長だったが、漫才のような掛け合いのシーンは面白かった。シリアス一辺倒ではない調整がされている

生成AIによる映像は想像以上に自然。ただし違和感はある

 本作の中心となるのは、生成AIを活用した実写風のシネマティック映像だ。まずはその印象をお伝えしたい。

 今回はPCで横画面の「シネマモード」でプレイしたが、スマートフォン向けには「縦型ドラマモード」も用意されている。どちらも映像としてはクオリティが高く、横でも縦でも大きな違和感はなかった。

 また、本作はURLへアクセスすることでブラウザ上からプレイでき、大容量のゲームデータを端末にインストールする必要がないのも特徴だ。特にスマートフォンでのプレイではこの部分は大きなメリットになるだろう。

スマートフォンに最適化された縦型ドラマモードも用意されている

 シネマ部分そのものに操作はなく、基本的にはドラマを見るように物語を追っていく。ストーリーの途中では会話の返答や行動を選ぶ選択肢が登場するが、選択によって物語そのものが大きく変化するわけではない。別のシーンを見たあと、本筋へと合流する形だ。

 また、特定の章をクリアすることが条件となっている選択肢も存在した。だがこの選択肢は、大きなストーリー分岐を楽しむというより、ちょっとした“If”のシーンを楽しむ要素と考えてもらえればと思う。

要所要所で選択を求められることがあるが、ストーリーが変化するような分岐はない

 実際に映像を見て驚いたのは、人物の一貫性がかなり保たれていたことだ。顔や髪型、衣装などがシーンごとに大きく崩れることは少なく、生成AIによる映像だと意識しなければ、それほど気にならない場面も多かった。

 一方で、完全な実写ドラマと比べれば違和感はある。カメラワークや構図にはやや不自然さがあり、背景に映り込む文字が崩れている場面も確認できた。細かな演出まで行き届かないところは、まだまだ生成AIの課題を感じる。

 また特にAIらしさを感じたのが、モウジャのビジュアルだ。人物と比べると生成AI特有の異形感が強く出ている。また、人間型のシキガミは、全体のデザインや衣装の質感がどこかコスプレ的で、このあたりにもAIで生成された映像らしさを感じた。

一部「生成AIを使っているのかな?」と感じさせる部分がある。だが、ゲームプレイ中多くの時間を使う実写風ドラマシーンでは違和感をほとんど感じなかった

時間をリソースとして使うリアルタイムのシキガミバトルはユニーク

 では続いて、ドラマの合間に挟まるモウジャとの戦闘について紹介する。こちらは、シキガミを使ったリアルタイム要素を取り入れたターン制カードバトルだ。

 手札にあたるシキガミは常に4枚が画面に並んでおり、ゲーム内で入手しているシキガミの中からランダムに選ばれる。それぞれ攻撃だけでなく、回復やカウンター、デバフなど様々な効果を持っている。

 特徴的なのは、発動するまでにリアルタイムで時間がかかること。発動までの時間はシキガミごとに異なり、2秒程度のものもあれば、7秒ほどかかるものも存在する。

 自分のターンでは持ち時間が設定されており、シキガミの発動を待っている間もその時間は減り続ける。詠唱中には別のシキガミを使えないため、残り時間を考えながら、どのカードを使うのか判断する必要がある。

バトルはターン制のリアルタイムカードバトルになっている

 持ち時間に余裕があれば1ターンに複数のシキガミを使うこともできるが、一度使ったカードに代わって新しくドローされたカードには数秒の待機時間が発生する。そのため、カードを際限なく連続使用することは難しい。

 そして、相手のターンを経て再び自分のターンになると持ち時間は回復する。一般的なターン制バトルのようにじっくり考えるのではなく、限られた時間の中で手札と状況を確認し、素早く判断していく必要があるのが面白いところだ。

 シキガミの能力も、HPを回復するもの、カウンターを狙うもの、敵にデバフを与えるもの、待機時間が長いほど攻撃力が上昇するものなど様々だ。バトルシステムはデッキ構築などの要素はなく、カードゲームとして見るとシステム自体は比較的シンプルだが、演出はかなり派手で満足感があった。

バトル中のエフェクトはかなり派手で爽快感がある

シキガミを増やすと攻略の幅が広がる

 シキガミは開始時点では4体程度。ストーリーを勧めることで何体かのシキガミが合流するが、ゲーム内課金によって入手するシキガミもいる。なお、課金で入手するシキガミはガチャではなく、欲しいシキガミを直接購入する形式だった。

 面白かったのが、その課金導線をゲーム内で隠していなかったことだ。シキガミたちと合流する場面では、登場人物が「課金をしなくてもクリアできるが、課金してシキガミを入手したほうがスムーズに進められる」といった趣旨の発言をする。メタ的な演出で、ここまで堂々と課金を勧めてくる作品は珍しい。

ストーリーの進行で加入するシキガミもいる
メタ的な表現で課金を進めるキャラクターもいた。今回プレイした範囲ではガチャはなく、狙ったシキガミを確実に入手できる

 実際、プレイした範囲ではボスはそれなりに強く、初期状態ではシキガミの選択肢の少なさを感じた。無課金でも進行は可能だが、シキガミが増えるほど特殊能力の組み合わせも増え、攻略の幅が広がったのは確かだ。

 また、シキガミはバトルやストーリーを通じて入手できる「ムスビ」を使ってレベルを上げられる。一定レベルまで成長させることで、シキガミごとの個別ストーリーも開放されるため、戦力を上げる以外にも、このキャラクターの物語をもっと見たいという気持ちが育成のモチベーションになった。

 ただし、ムスビの入手量は決して多くなく、複数のシキガミを成長させようとするとそれなりのプレイが必要になる。

 ゲーム内課金にはムスビの獲得量を恒久的に2倍にする要素も用意されており、今回のプレイではこの効果も有効にしていた。シキガミの育成速度に直接関わるだけに、長くプレイするほど恩恵が大きくなる課金要素だと感じた。

ムスビを使ってシキガミを成長させていく。標準状態ではムスビの入手量は渋めだった

“ドラマをゲームにする”試みが面白い

 今回プレイして最も強く感じたのは、実写ドラマを見るようなスタイルで遊べるゲームを作ろうとしていることだ。

 映像にはまだ粗さがあり、敵のビジュアルや文字の崩れなど、生成AIらしさが目立つ部分もある。一方で、人物の一貫性は想像以上に保たれており、普通に物語を追うぶんには大きく集中を削がれることはなかった。

一貫性は保たれており、ムービー部分ではほとんど違和感はない

 ゲーム部分を見ても、時間をリソースにしたシキガミバトルには独特の駆け引きがあったし、シキガミを集めて育成する要素も用意されている。

 それでも、作品全体の中心にあるのは、やはり“ドラマを見ること”だ。「アクティブシネマRPG」という名称から一般的なRPGを想像していた筆者としては意外だったが、実際のプレイ感は、インタラクティブな連続ドラマにカードバトルを組み込んだ作品と表現するのが近い。

カードバトルはユニークだし、ドラマ部分の表現も面白い

 生成AIを映像表現に取り入れながら、それを単なる技術デモではなく、ストーリーやゲームシステムと組み合わせてひとつの作品に仕上げている点は興味深い。コロプラらしいチャレンジ精神を感じるタイトルだった。