先行レビュー

「ビースト・オブ・リンカネーション」先行プレイ。ゲームフリークが挑む完全新作は荒廃した未来の“日本”を旅する

見切り、受け流し、開花技で活路を開く本格アクションRPG!

【Beast of Reincarnation】
8月4日 発売予定
価格:8,980円

 ハピネットは、ゲームフリークが開発する、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用のアクションRPG「Beast of Reincarnation(ビースト・オブ・リンカネーション)」を8月4日に発売する。本作は、ゲームフリークが贈る“完全新作”として発表されたアクションアドベンチャー作品だ。Xbox Game Passに対応する。

 記憶と感情をなくし、さらに周囲の人々に疎まれてきた主人公のエマと、彼女に付き添う相棒のクゥが織りなす「一人と一匹のアクションRPG」とされている。今回はメディア向けに開かれた本作の試遊会に参加し、PC版の開発中バージョンをプレイしてきたので、ゲームの先行プレイで得られた所感についてお届けしていきたい。

【「Beast of Reincarnation」PS5パッケージ版 トレーラー】

“穢れ”が蔓延する西暦4026年の日本を描く

 舞台となるのは、西暦4026年の遠い日本の未来。主人公・エマは「穢れ人」と呼ばれる存在で、人々が住まう居住エリアのコロニーから離れて暮らしていた。この世界では各地で“穢れ”が蔓延し、多くの動物が草木花々の入り混じる異形の存在「腐蝕体」に姿を変えてしまう。エマもそんな穢れを身に宿す少女であり、一本結びの長い髪が、植物と同化している。

 そんなエマは、あるときを境に都の王からの命を受けて、穢れの根源というべき「輪廻の獣」の討伐を命じられる。紆余曲折の末に出会った腐蝕体の相棒・クゥ、そして浄化船の仲間たちとともに輪廻の獣討伐の旅に赴くことになる。

エマ
腐蝕体の相棒クゥ
都の王から命令を受けて旅立つことに

 今回試遊したチャプター1では、浄化船の旅が始まった物語冒頭部分を描きつつ、その進行に合わせた形でエマの過去とクゥとの出会い、そして彼女たちの旅が実際にスタートした経緯までが語られた。

 物語の鍵を握るのは、記憶も感情も失っている主人公のエマ自身だ。コロニー近辺の腐蝕体をただ討伐する命令を孤独にこなす日々を送っていたが、誰にも明かしていない秘密があった。それが、自分自身にしか姿が見えないヴァイオレットという霊体の少女の存在である。

 チャプター1では、エマの過去を描いた回想時点から、既にヴァイオレットと行動を共にしている。その上、ヴァイオレット自身にまつわる描写がほとんどなく、エマしか見えないという事実が余計にエマの秘められた謎を強調する。どのような秘密が隠されているのか、それだけで物語を読み進める動機になりそうだ。

 また、ヴァイオレットは霊体だが、エマ以上に感情の起伏があって人間らしい人物でもある。劇中でも人並みのリアクションを見せてくれるため、人々との交流において何かと不器用そうなエマに対しては、まだ常識を備えたヴァイオレットが横から口出しする形でエマの生活を手助けしている。ただ、エマにしか見えないので、やはり周囲からはエマがただ独り言を呟いているようにしか見えない。

霊体の少女ヴァイオレット
エマにあれこれ教える保護者のような存在

 ネタバレになりかねないので言及は避けるが、少なくともチャプター1を最後まで遊んだ身としては、ヴァイオレットの件を含めて、謎を残し続けるエマへの興味が掻き立てられる構成になっている。チャプター1は旅の道中という突発的な導入から始まるものの、“物語のこれから”を密に描く上で、必要不可欠な経緯と情報をあまり分散させずにまとめ上げている。

 過去の振り返りや回想を挟むほど、目的に向けて旅を続けているであろう今の時間軸はプレーヤーの中で次第に希釈されてしまうもの。チャプター1では、ゲームの世界を楽しむために必要な前提条件を入念に用意してくれるような見せ方となっていた。それでもなお、核心に関わる多くの謎が残されていて、次チャプターへの興味が尽きることはない。

守勢と攻勢が激しく入れ替わる歯応え十分の本格アクション。コマンド選択による搦め手も

 本作のバトルは、エマを操作して敵との攻防を繰り広げるアクションバトルと、リソースが溜まった時点で、クゥに指示を出して「開花技」(スキル攻撃)を仕掛ける、簡易的なコマンド選択のシステムが融合している。融合しているとはいっても、エマの操作を主体としたアクション側に比重が置かれているので、奇をてらうシステムではない。開花技は戦局を打開する指向性の強い要素で、たとえば攻防の駆け引きを続けている“敵に対して搦め手”のような役割を果たす。

 今回はチャプター1を難易度「ノーマル」にてプレイしていたが、まずバトルは全体的に歯応えのあるバランス感だ。見切り(ジャスト回避)と、受け流しなど、シビアなタイミングを要求する操作が多い。加えて敵が2体以上にもなると、エマの操作だけでは防戦になりやすい。そうしたときに、クゥの開花技が非常に役立つ。

アクションによる駆け引きが中心
「見切り」と「受け流し」で攻撃を防ぎながら確実に敵を削っていく戦闘システム
「開花技」選択時はスロー状態になりコマンド選択を行う

 コマンド選択中は時間がゆっくりと流れ続けるが、どの開花技を使用するかでプレーヤーが悩む時間は十分にあった。開花技を洗濯するとその後にQTEが発生するので、これに成功すれば敵にダメージを与えながらエマ自身の体力を回復できるといったメリットがある。

 付け加えるなら、クゥの全ての開花技に回復効果が備わるかまではわからなかった。ただ、チャプター1の範囲で取得したスキルは、ほとんどに回復効果が備わっているようだ。この回復効果のおかげで、戦闘中に手持ちの回復アイテムを切らしたとしても、厳しい戦況を打開する可能性が生まれている。ただし、同じ開花技は続けて使用できない。

 また、開花技の中には、エマが跳躍するための巨大な彼岸花を生み出す、地形効果的なものもある。これを利用して敵の攻撃を避けつつ、空から奇襲を仕掛ける戦い方も可能だ。大型の敵にはこうした立体的な挙動を絡めて立ち回れると、操作の楽しさもひとしおといったところ。

QTE成功で回復しながらダメージを与えることができた
クゥの出現させた彼岸花がジャンプ台のように
ボス敵とのバトルでも彼岸花への跳躍は回避手段になる

 もう少しバトルの基本について紹介してみたい。まず、「シビアなバランス感」とお伝えしたが、より正確に言えば、フィールド上の敵との戦闘に関してはオフェンスとディフェンスの駆け引きが極端な傾向になりやすい。数と勢いに押されると、あっという間にエマは力尽きてしまうし、こちらの攻めが順調であれば、逆に敵を文字通り一瞬で葬り去ることもできる。感覚的にはシーソーゲームのようなバランス感だ。

 これは、体力ゲージとは別に備わる敵の「ダウンゲージ」の存在が大きい。攻撃を当て続けるか、受け流しで防御に成功すると、敵のダウンゲージが蓄積する。ダウンゲージが最大まで溜まると、敵は「絶」状態に移行し大きなスキを晒すのだ。このとき、体力量に関係なく敵を確殺(即死攻撃)できる。つまり、通常の戦闘においてはダウンゲージの蓄積がキモとなる。ボス敵など一部の敵はさすがに確殺とはならないものの、体勢を崩してダウンするので、この隙にコンボを叩き込む……といった流れである。

体力(赤いゲージ)の下にあるのが「ダウンゲージ」
ダウンゲージがMAXになるとエマの即死攻撃が効く「絶」状態になる。決まれば気持ちいい

 敵の強さについて言えば、難易度「ノーマル」から、フィールドの敵がこちらの攻撃をそれなりに防ぐ。特に“ゴーレム”と呼ばれるロボット型の敵は、攻撃の切り返し方も地味に上手い。駆け引きの中で強力な連続攻撃を繰り出す場合もあるので、プレーヤーが敵の攻撃パターンを覚えるまでは気が抜けないだろう。腐蝕体の敵も同様である。本試遊では、熊のような大型種2体に囲まれてしまい、強敵を同時に相手する緊張感を体験できた。

 本作は、いわゆる“死にゲー”にカテゴライズできる作品とまでは思わないが、攻防の切り替わりが激しいアクションゲームではある。エマとクゥは戦闘を重ねてレベルアップをしたり、スキルツリーで新たな技を覚えるため、戦いを有利に進める選択肢も広い。同時に武器の強化要素も備わるので、勝てない敵やボスが登場しても「探索と育成を進める」といったわかりやすい形で、この先も攻略していけるのではないかと思う。

離れた相手は射撃で体力を減らす戦い方も有効(残弾数あり)
敵に気づかれていなければ、背後・上空からのステルスキルもある
死亡しても「野営地」からやり直せる
野営地で新たなスキルやコンボを解放したり、能力値を引き上げてエマとクゥを育成する

ツタ化した髪で高所もスイスイいける。寄り道と攻略の手掛かりが隠されたフィールド探索

 「Beast of Reincarnation」は、ストーリー体験を重視するタイトルであり、オープンワールドではなくリニアなマップ構造を採用する。物語主体のゲームなのは間違いないが、実際に遊んでみるとチャプター1のフィールドはそれなりに探索を楽しめる広さが担保されていた。クエスト目標を無視してフィールド探索を楽しんでもいいし、もちろん、探索中に隠された宝箱だって見つかる。

 フィールド探索そのものはほとんど寄り道に近い温度感で、とにかく物語を読み進めたいプレーヤーへの強制力もない。ただ、物語の都合で各所に分散しているアイテムを探すといったシチュエーションはあった。荒廃し切った未来の日本ということで、歩き回ってみると水田のような場所も見つかる。草木が生い茂る自然に呑まれた情景を目にする地形が大部分を占めていたとしても、どこか“日本らしさ”を残しているように見える。

どこか日本の田舎を彷彿とさせる。エマの和装を合わせると、中世の封建時代的に見えなくもない
隠された宝箱
水田っぽい場所

 エマは、植物と一体化した自分の髪を脚に絡めながらツタとして伸ばし、高所を軽々と移動できる。一定の高さまではツタ化した髪が昇降台の役割を担うのだ。それを越える高所に対しては、跳躍ポイントさえあればワイヤーアクションの要領で飛び移れる。この髪を伸ばすアクションが、探索シーンで大いに役立つ。ジャンプボタンをただ長押しするだけで、メキメキ伸びるツタ化した髪。そしてそれに合わせて宙に浮いていくエマの様子は中々に異様な光景である。

 こうした特殊な移動アクションは何かと使用の制約(専用リソースの消費など)が付き纏うイメージだが、特にそんなことはない。ただし、ツタを伸ばし切ってしまうと、エマは自由落下する。ジャンプと結びついたアクションになっているので、一度地面に着地しないと再び使うことはできない。面白い移動アクションだが万能というわけでもないのだ。

ジャンプボタン長押しでぐんぐん上昇できる
真正面の離れた足場にはツタを前に伸ばす形で足場を作ることもできる
跳躍ポイントがあればツタを巧みに利用して素早く登れる

 試遊では時間も限られているので、フィールド探索もサッと済ませながらのゲームプレイとなった。その中で見つけたのは、人型ロボットとして四肢の駆動機能がほぼ失われた修行僧のような「伝承ゴーレム」というNPCだ。彼らは自分たちがいる地方について、ヒントを口伝してくれる。

 今回の試遊では「ヌシ(腐蝕体のボス)を倒す方法は?」、「暴走ゴーレムに効く武器はある?」、「武器はどこにある?」といった、チャプター1のフィールドに関連する3つのヒントから、いずれか1つに答えてくれた。なお、伝承ゴーレムを経由することなく、探索で既にヒントの答えを得ていれば「情報入手済み」と表記される。

 言うなれば、彼らはチャプター攻略のヒントを出してくれるNPCだ。プレーヤーが行き詰まって探索している最中に出会えれば、チャプターを突破する足掛かりになる。フィールド探索を通じてエマとクゥを育成しながら、伝承ゴーレムのヒントを頼りにチャプターを攻略するレベルデザインが出来上がっているわけである。

「伝承ゴーレム」。有用な情報を教えてくれる

ゲームフリークの新境地を感じさせる完全新作にとにかく期待!

 今回プレイしたのはチャプター1のみだったが、本作が目指したいとする方向性は十分に伝わってきた。見切りや受け流しを軸にした歯応えのあるアクションに、クゥの開花技による戦略性。単なる力押しでは勝てない緊張感もあって、思いのほか手堅いアクションゲームとして仕上げてきたことに驚いた。ストーリーを軸としたリニアなマップ構成でありながら寄り道の余白もちゃんと用意されている。

 何より、エマを含むほとんどの登場人物に何かしらの謎が秘められているようで、物語冒頭の掴みは悪くなさそうだ。また、ムービーシーンやゲーム中のカットシーンは、邦画のように静かで人物の心情を間によって表現する見せ方が多いと感じている。アクションのジャンルでは、珍しい演出のように思えるが、それも日本を題材とする本作ならではの魅力なのかもしれない。

 果たしてゲームフリークによる完全新作が、世界中のゲーマーたちからどのように受け止められるのか。純粋な興味と期待感が煽られる先行プレイとなった。

クゥと友情を深めるのも重要らしい