先行レビュー

触って遊んで感心する大阪「ジブリパーク展」内覧会レポート

「千と千尋」ハクの立体造形が初公開。ポスターから注意書きまで仕込みネタが盛りだくさん

【ジブリパーク展】
開催期間:7月18日~9月26日
会場:大阪南港ATCギャラリー(大阪市住之江区南港北2-1-10)
開場時間:9:00~17:00(最終入場は16:30まで)
料金:一般1,900円、中学・高校生1,600円、4歳~小学生1,000円、3歳以下無料(事前日時指定制)

 皆さんはスタジオジブリ作品の世界を表現したテーマパーク「ジブリパーク」に、行ったことありますか? いわゆる「テーマパーク」という言葉から連想されるような絶叫マシンもパレードもないけれど、ジブリ作品の風景や建物が「昔からそこにあった」かのように公園に溶け込んでいる。つまり、歩くだけでジブリの世界に迷い込める場所だ。

 今回、そんなジブリパークの魅力をギュッと詰め込んだ「ジブリパーク展」が、7月18日から大阪南港ATCギャラリーで始まった。しかも、本展は資料をガラス越しに眺めるタイプの展覧会ではない。「みて、さわって、まわって楽しい」がテーマの体験型展示会だ。だからほとんどの造形物は触ってOKという豪快な作り。しかもキャッチコピーは「来てみなけりゃ、わからない。」という挑発っぷりである。

 そこまで言われたら、確かめるしかないよね。ということで、一般公開に先駆けて開催された内覧会をレポートしていきたい。

会場入口の巨大バナー。「来てみなけりゃ、わからない。」とある
壁面いっぱいに歴代作品のキャラクターが勢揃い。入場前から足が止まる
キキの床アートと一枚。お気に入りキャラとのツーショットも撮れるぞ

金のインコと湯婆婆がお出迎え

 展示室に入ってまず目に飛び込んでくるのは、金色に輝くインコのトロフィーを掲げた、メインビジュアルの大きな壁だ。このインコは映画「君たちはどう生きるか」が2024年に第96回アカデミー賞で長編アニメーション映画部門を受賞したことを記念して、スタジオジブリに贈られたトロフィーがモチーフになっている。しかも本展では写真だけでなく、その実物のトロフィーまで展示されている。オスカー像の代わりに金色のインコが胸を張る姿は、なんとも堂々としたもので、受賞作を観た人ならこの人選(鳥選?)に深く頷くはずである。

 続く部屋では、映画「千と千尋の神隠し」のあの湯婆婆が待ち構えている。机に向かい、赤い爪の手で契約書にペンを走らせる、完全に「あの場面」の湯婆婆である。机の上には金貨と宝石と書類の山、背後には大きな金庫まで置かれた徹底ぶり。つまり僕らはここで契約を交わし、この先に広がる「小さなジブリパーク」の住人として迎え入れられるわけだ。名前を奪われないように気をつけながら、先へ進もう。

 なお、街の入口には「よい子のおやくそく」なる掟書きも掲げられている。「こ わさない/ど うしんにかえる/も ちかえらない……」と、頭文字を並べると「こ・ど・も・の・ま・ち」になる凝りよう。しかも最後の「ち」が「ち なみに『食べるを描く。』増補改訂版は撮影できません。」という業務連絡なのがずるい。

契約書にペンを走らせる湯婆婆がお出迎え。机正面の「油」の金文字まで抜かりなし
「よい子のおやくそく」。頭文字を縦に読むと「こ・ど・も・の・ま・ち」になる

床は巨大すごろく! 大人が遊べる「小さなジブリパーク」

 メインの会場に入ると、一番大きなエリア「小さなジブリパーク」が拡がる。そこは展示室……というだけでなく、ジブリパークの5つのエリアを象徴する建物や仕掛けが、ぎゅうぎゅうに詰め込また空間だ。

 このエリア、実はジブリパークの「ジブリの大倉庫」にある遊び場「こどもの街」がベース。本家の「こどもの街」は小学生以下のお子様専用で、大人には縁のない場所。それが本展では、大人も童心に帰って遊んでいいことになっているのだ。これは遊ぶしかないぜ!

 まず注目してほしいのが床である。全面が巨大なすごろくになっていて、「スタート!」のマスから「1マスすすむ」「3マスもどる」「どこにいこうかな?」と、マス目をたどりながら街を回れる仕掛けだ。ところどころに置かれたサイコロやキャラクター柄の椅子は、よく見るとひとつずつデザインが違う。坊の前掛け、トトロのお腹……これはどの作品だろう、と探しながら座るのが正しい遊び方である。

 街並みの作り込みも尋常ではない。バス停の行き先は「七国山行」。時刻表はよく見るとひらがなの語呂合わせになっている。映画「となりのトトロ」でお馴染みのあの地名が、当たり前の顔をして街に馴染んでいるのだ。ほかにも、麦わら帽子をかぶったトトロが万歳する壁画、ウサギの耳が生えた鳥居のようなゲート、右書きの看板が時代を感じさせる映画館「オリヲン座」……と、視界のどこを切り取っても情報が詰まっている。「少し昔の日本」と「ジブリの世界」が地続きになっている感覚は、この物量があってこそだろう。

床のすごろくは「スタート!」から始まる。「小さなジブリパークへようこそ」
「1マスすすむ」「3マスもどる」。分岐点では真剣に進路を悩んでほしい
キャラクター柄の回転式遊具。トトロのお腹柄探しが楽しい
東京・小金井の「少し昔の街並み」ゾーン。電車の行き先表示は「全自動」
バス停は「七国山行」。歯医者のポスターまで、隅々があの世界のもの

エビフライに抱きつき、居酒屋で乾杯し、銭湯に入る

 街には店がいっぱいある。客……じゃなくて街の住人としては、はしごするしかない。

 まずは「Cafe 大陸横断飛行」。ジブリパークのジブリの大倉庫の横に実在するカフェで、そこで実際に売られている人気メニューを、巨大な立体ベンチにしてしまったのが本展バージョンだ。目玉は何といっても巨大エビフライのぬいぐるみ。白いタルタルソースのクッションに座り、エビフライを抱えて写真が撮れる。床のサインには「やさしくさわってね」。優しく、しかし全力で抱きしめよう。

 その近くには「インコパンと写真をとろう!」のスタンドがあり、ジブリパークで実際に売られているインコパンのぬいぐるみを借りて撮影できる。「使ったら元にもどしてね」の注意書きまで含めて微笑ましい。ちなみにインコパンのぬいぐるみは、最後のショップで買って帰れる。覚えておこう。

 続いて居酒屋へ。本家こどもの街にも実際にあるという居酒屋は4人掛けで、卓上のビール瓶やジョッキ、おでんの皿はぜんぶ触ってOK。僕も巨大な「ハッピービール」の瓶とジョッキを掲げて乾杯した。壁に貼られた「ASOBIビール」のカレンダーや、「拓け楽園 強靱なクチバシ、柔軟な羽毛を求めます」という謎の求人ポスターなど、小道具が全部パロディ品なので、飲む(ふりをする)前にぜひ壁にも注目してほしい。店名の看板「やきとり スタミナ動く乃城」に至っては、どこかで聞いた城の名前である。ほかにも同じように遊べるカレー屋などもあるので、食べ歩き(のふり)が捗るぞ。

 街の奥には銭湯「たまのゆ」もある。番台にのれん、富士山の壁画と、昭和の銭湯を完全再現……かと思いきや、入浴料金表には「大人百円/中人五十円/幼児二十円」に続いて「神様無料」の一行が。壁には「となりのトトロ」の七国山病院のポスターまで貼ってある。極めつけは富士山の壁画で、よく見ると崖の上にロボット兵が立ち、海には見覚えのある小舟が浮かんでいる。隠しネタの密度が高すぎる!

 ちなみに番台まわりの貼り紙も読み逃せない。「たまの湯ご利用の方コインランドリー洗剤無料サービス!」という生活感あふれるお知らせに、「牛乳とシベリア 誰もが恋する味」をうたう「森中ミルクホール」の広告。シベリアといえば「もしかしてあの作品のこと?」など、いたるところにジブリっぽさがある。

カフェ大陸横断飛行の巨大エビフライベンチ。「やさしくさわってね」
インコパンのぬいぐるみは借りて撮影OK。「使ったら元にもどしてね」
インコパンを掲げて街を案内してくれた、株式会社ジブリパーク 運営本部運営統括部の上村早江子さん
居酒屋で乾杯する僕。瓶のラベルは「ハッピービール」である
居酒屋の壁は求人ポスターまでパロディ。「強靱なクチバシ」を求めているらしい
店名は「やきとり スタミナ動く乃城」。奥には大阪会場限定の通天閣が見える
銭湯「たまのゆ」。「おはだツルツル」の効能書きが気になる
番台と入浴料金表。「神様無料」の一行を見逃すな
富士山の壁画をよく見ると、崖の上にロボット兵。隠しネタの密度が凄い
神様たちと入浴する僕。タオルを頭に載せれば完全に常連である

小人の目線で世界を見上げる

 「借りぐらしのアリエッティ」のゾーンでは、自分が小人になりアリエッティの目線で世界がどう見えているのかを体感できる仕掛けだ。

 壁には葉っぱの形をした小さなのぞき穴もいくつか開いている。覗くと何が見えるのかは……ここでは伏せておこう。ぜひ自分の目で確かめてほしい。

 個人的に好きだったのが、巨大な木を真下から見上げるスポットだ。半透明の葉が幾重にも重なる隙間から、小鳥や虫の影が透けて見える。小人になって草むらから空を見上げる、あの視点である。にぎやかな体験展示の中で、ここだけふっと時間が止まる。疲れたらここで空を見上げるといいだろう。

巨大な鉛筆とクリップが転がる小人の部屋。アリエッティの目線になれる
葉っぱ形ののぞき穴。何が見えるかは現地で確かめてほしい
巨大な木を真下から見上げる。葉の上に小鳥と虫の影が透ける

受話器を取って「かしら」を撫でる

 丘の上に洋館が描かれた壁画の前には、レトロな電話ボックスが立っている。「耳をすませば」の地球屋を思わせるロケーションだ。ボックスの中には緑の公衆電話と、「受話器をとってみて!」の貼り紙。言われるがまま受話器を耳に当てると……? 何が聞こえるかは内緒だ。こういう「試したら何か起きる」仕掛けが、この街には無数に埋まっている。貼り紙を見つけたら、とりあえず従ってみるのが正解である。

 ゲームコーナーもある。懐かしのインベーダーゲームを模した「ジーベーダーゲーム」は、玉を転がしてドット絵の駒を狙うアナログゲームだ。盤面には「50」「100」の得点円盤が並び、駒をよく見るとトトロ風、ネコバス風、ポニョ風と、どこかで見た顔ばかり。電源を一切使わないゲームなのに、気づけば大人が真剣に玉を転がしている。これは本家こどもの街にもあるゲームだが、ほかに昔の駄菓子屋にあった新幹線ゲームをオマージュしたコインゲームなど、本展でしか遊べない台も用意されているそうだ。

 そして僕のイチオシは「おいおいタッチ」である。台から突き出た緑色の頭(かしら)を撫でるゲームで、あそびかたの説明には「あたまをやさしくなでてください かしらがなにかこたえてくれるかも」とある。もぐらたたきならぬ、もぐらなで。「ぜったいにつよくたたいたり なぐったりしないでください」という注意書きの、先回りの優しさも味わってほしい。

丘の上の洋館を望む電話ボックス。「受話器をとってみて!」
言われるがまま受話器を取る僕。何が聞こえたかは内緒だ
「ジーベーダーゲーム」の盤面。ドット絵の駒に見覚えのある顔が並ぶ
「おいおいタッチ」。かしらは撫でるもの、叩いてはいけない

「スタジオジブリ」制作室も登場。「仕事しろシゴト!」

 街の一角には「スタジオジブリ」の制作室もある。机に向かうのは、眼鏡に白ヒゲ、くわえタバコで冷や汗をかきながら鉛筆を走らせる、豚のアニメーターだ。頭上の吹き出しには手書きで「仕事しろシゴト!」。この豚さんが誰のモチーフなのかは、あえて言うまい。

 そしてこの席の手前には、空いた椅子がちゃんと用意されている。座れば、アシスタントになった気分でお仕事体験ができるというわけだ。僕も筆を握って机に向かってみたが、隣で豚さんが締切に追われているので、こちらまで謎の焦りに襲われた。取材に来てまで自分の締切を思い出す羽目になるとは……。

 机の上の作り込みも見てほしい。牛乳瓶、スパイスの赤缶を転用した鉛筆立て、レトロな電動鉛筆削り、そして山盛りの吸い殻まで再現された灰皿。アニメスタジオの「生活」が細部に宿っている。隣には「ろくおん中」の札が掛かったアフレコブースまであり、モニターの中ではヘッドホンを着けた黄色い鳥が熱唱中だ。

「スタジオ ジブリ」制作室。吹き出しの「仕事しろシゴト!」が刺さる
アシスタント気分で机に向かう僕。隣の豚さんの冷や汗が他人事ではない
机の上は灰皿の吸い殻まで作り込み済み。スパイス缶の鉛筆立てが渋い
「ろくおん中」のアフレコブース。モニターの中で黄色い鳥が熱唱している
扉の貼り紙「開放禁止……所長」。凍える豚のイラスト付きである

貼り紙・看板を「読む」ほど楽しい街

 この街の本当の恐ろしさは、貼り紙と看板にある。読める文字が、ほぼ全部ネタになっているからだ。

 映画ポスター風の「てんぐはつらいよ」は、中折れ帽にちょび髭の赤天狗が旅に出る図。迷い猫の貼り紙には「特徴:猫背」。注意ポスター「それ、フィッシング詐欺」では、釣り竿で小判をぶら下げたサギ(鳥のほう)に、招き猫が釣られかけている。「犬のみなさまへ 人間を散歩に連れて行く際はスコップと袋を持たせてください」という自治会からのお願いまであった。ほかにも、船舶・鉄道・戦車と並ぶ昭和丸出しの「模型工作教室」の広告。どれも一瞬「昔の街の普通の貼り紙」に見えて、二度見するとジブリネタが仕込まれているのが憎い。

 元ネタ探しも楽しい。「海原電鉄」のレトロな広告看板。手書きの名札が付いた巨大クッション「メイのふとん」。扉のルーレットが床のすごろくと連動している「動く城」の立体切り出しの横には、ハンドルを回すと中で小さな街が回るミニメリーゴーラウンドまで置かれている。「アーヤと魔女」風の人形劇スポットでは、説明板いわく「棒をもってポーズを決めてみよう」とあり、2体のパペットの間に入り、ほうきを構えて一員になれる。そして古本屋「熱風書店」。棚にはニーチェやカントの背表紙がびっしり詰まっているが、この店名、愛知県のジブリパーク内「ジブリの大倉庫」にある小さな本屋と同じというニクイ演出。

映画ポスター風の「てんぐはつらいよ」。旅に出る赤天狗である
「まよいねこ 特徴:猫背」。この情報で見つかるのだろうか
「それ、フィッシング詐欺」。サギ(鳥)が小判を釣っている
「犬のみなさまへ」。人間の散歩マナーが問われている
「海原電鉄」のレトロ広告。「滋養 絶佳 満と楽と快」
手書きの名札付き「メイのふとん」。ツギハギまで再現された巨大クッションだ
扉のルーレットが床のすごろくと連動している「動く城」
棒を持ってポーズを決める人形劇スポット。相方はなかなかの強面だ
水彩タッチの田園にモザイク柄のイノシシ。このゾーンだけ空気が優しい
古本屋「熱風書店」。棚には哲学書がびっしり

企画展「『食べるを描く。』増補改訂版」で、あの台所に立つ

 「小さなジブリパーク」を抜けると、企画展「『食べるを描く。』増補改訂版」が待っている。ジブリパークで開催されてきた、ジブリ作品の「食」に迫る企画展示の増補改訂版だ。先に大事なことを言っておくと、このエリアだけは一般来場者の撮影が不可(本記事の写真は、内覧会で特別に撮影したもの)。だからこそ、しっかり目に焼き付けてきてほしい。

 入口では、ジブリ作品に登場した料理の数々が食品サンプルでずらりとお出迎え。目玉焼きにスパゲッティ、カレー……どれも「あのシーンのあれだ」と指をさしたくなる再現度だ。

 そしてこのエリアの主役は、実物大で再現された「作品の台所」たちである。まず「となりのトトロ」から、草壁家の台所。タイル張りのかまど、手押しポンプ、まな板の上の長ネギまで、あの家の空気ごと再現されている。ちゃぶ台の上には、サツキが作ったあの弁当(桜でんぶに目刺し、グリーンピース)が3人分。奥にはタイル張りの五右衛門風呂まで再現されていて、木札には小さく「入れません」。入りたかった。解説パネルの手描き間取り図には「カンタがのぞいてる場所」という書き込みがあって、こういう遊びがいちいち嬉しい。

 さらに「天空の城ラピュタ」からはタイガーモス号の厨房を再現。狭い金属壁の通路にハムやソーセージが吊るされ、シータがドーラ一家の食事を切り盛りした、あの空間に実際に入れる。壁のパネルにはタイガーモス号の内部断面図が掲げられ、25項目の凡例の中にちゃんと「厨房」の文字。自分が今、船のどこに立っているのかが分かる仕掛けだ。「コクリコ坂から」のコクリコ荘の台所には、レトロな冷蔵庫におひつ、目玉焼きの朝食膳。本物の背景画も並んでいて、絵の中の食卓に自分が立つ、という不思議な体験ができる。

 極めつけは「千と千尋の神隠し」の、あの屋台である。大皿にはうろこの照りまで精巧な巨大な魚がでんと鎮座。僕も両親の気持ちで肉塊に思いっきりかぶりついてきた。なお近くの暗がりには、柵越しに豚が3頭たたずんでいる……そう、あの場面だ。

 資料展示も濃い。千尋が泣きながらあんまんを頬張る、あの場面の修正原画がタイムシートとともに展示され、場面写真に原画、監督の修正指示まで並ぶ。ほかにも「魔女の宅急便」のグーチョキパン店の美術設定や店内俯瞰図など、「食べものを背景で描くか、作画で描くか」というプロの視点に踏み込んだ解説が続くき、「食べる芝居」でお腹がいっぱいになる!……いやむしろお腹が空いてくる!

企画展の入口では、ジブリ飯の食品サンプルがずらりとお出迎え
実物大の草壁家の台所。かまどから手押しポンプまで完全再現
ちゃぶ台にはサツキが作ったあの弁当
タイガーモス号の厨房。吊るされたハムの中に立てば気分はシータだ
コクリコ荘の台所。レトロ冷蔵庫とおひつの生活感がたまらない
背景画そのままに立体化された巨大魚
両親気分で肉塊にかぶりつく僕。この後の運命はいかに
柵の向こうに豚が3頭。……お父さん? お母さん?

「なりきり名場面展」でシータを受け止め、ハクと空を飛ぶ

 最後のエリア「ジブリのなりきり名場面展」は、作品の名場面のセットに自分が入り込めるフォトスポット群で全5場面。床の×印に立てば、あの場面が完成する仕組みである。

 「天空の城ラピュタ」では、空から降ってくるシータを受け止めるパズーに。「思い出のマーニー」では入り江のほとりでマーニーと手を取り合い、「紅の豚」ではポルコのパンチを顔面に受け、「千と千尋の神隠し」では海原電鉄でカオナシの隣の席に座る。カオナシの隣は、実際に座ると分かるが、なかなかの緊張感だ。窓の外には夕暮れの海と電飾の一本木の島。座る前に、車窓と網棚もチェックしてほしい。

 そして本展の目玉が、今回初公開となるハクの立体造形である。綿の雲の上を泳ぐ白龍は、たてがみの流れや角まで美しく作り込まれていて、隣に立てば千尋の気分で空の旅ができる。

 シータを受け止め、ポルコに殴られ、ハクと空を飛ぶ。まさに、ジブリ作品のキャラクターになった気分である。カメラの充電は、このエリアまで残しておくといいだろう。

空から降ってくるシータを受け止める僕。今日から僕がパズーだ
入り江でマーニーと手を取り合う。床の×印に立てば名場面が完成する
ポルコのパンチを顔面に受ける僕。渾身の演技である
海原電鉄でカオナシの隣に座る。真顔になるしかない
雲の上でハクに寄り添うこともできるぞ

グッズショップは「散財の予感」しかない

 出口前のグッズショップも侮れない。メインビジュアルの金色インコをそのままキーホルダーやTシャツにしたトロフィーグッズに、初公開のハクに合わせたハク推しグッズ(マスコットぬいぐるみ、手ぬぐい、湯屋の「ゆ」札キーリングなど)のがずらり。大阪会場ならではのご当地メダルもある。公開記念のグッズと思えば、財布のひもは自然と緩むだろう。内覧会に出かけるたびに原稿料の半分を物販で溶かしてきた僕からの忠告としては、カバンと財布には、ぜひ余裕を持たせておいてほしい。

グッズショップ。ネコバスからインコクッションまで、物欲の危険地帯である
メインビジュアルの金色インコは、キーホルダーやTシャツになっている
初公開に合わせたハクグッズも充実。湯屋の「ゆ」札キーリングが憎い
個人的に「名台詞かるた」が渋い
書籍コーナーには「THE ART OF」シリーズから公式ガイドブックまで

「来てみなけりゃ、わからない。」は合っている

 というわけで、「ジブリパーク展」の先行体験レポートをお届けした。正直、「展覧会」という言葉から想像する量の3倍は身体を動かした。見て、触って、回って、撫でて、殴られた(ポルコに)。貴重な資料をじっくり眺める時間と、童心に帰って遊び倒す時間が同居する、珍しい構成の展覧会である。

 正直に白状すると、僕もまだ元ネタを全部は拾いきれていない。1周目は体験で忙しく、2周目でようやく壁の文字が目に入ってくる。そういう情報密度なのだ。だから断言しよう。「ジブリパーク展」は来てみなけりゃ、わからない。会期は9月26日までの約2ヶ月間、会期中は無休。会場は屋内なので、真夏の大阪でも天候を気にせず遊べるので、夏休みに行くならチケットは早めに押さえておこう。

 最後に、出口で見つけたのが「つづきはジブリパークで」の白い文字の横に、手描きの吹き出しでこう書かれていた。「待ってます。みやざきごろう 2026.7.16」……内覧会の前日に、宮崎吾朗監督が残していった直筆メッセージである。次は愛知に行くべし!

出口の「つづきはジブリパークで」の横に、宮崎吾朗監督の直筆メッセージ