先行レビュー

子供のころの恐怖を追体験。「リトルナイトメア VR Altered Echoes」インプレッション

シリーズ初のVRゲームで“あの悪夢”に飛び込む

【リトルナイトメア VR Altered Echoes】
4月24日 発売
価格:2,970円(税込)(ダウンロード専売)

 目の前は薄暗い部屋で、見上げれば天井は遥か上にある。テーブルの脚が柱のようにそびえ、なんでもないはずの家具が威圧的に迫ってくる。世界のすべてが自分より大きくて、それだけで少し怖かったような「子供のころの恐怖」を覚えているだろうか。

 バンダイナムコエンターテインメントより4月24日に発売された「リトルナイトメア VR Altered Echoes」は、そんな「子供のころの恐怖」をVRだからこその視点で体験できるVRサスペンスアドベンチャーだ。開発はフランスのICONIKが手がけ、PlayStation VR2/Meta Quest/Steam VRにて展開される。

 今回、発売に先駆けて先行試遊会に参加する機会を得た。本稿では、シリーズ初となるVRならではの一人称視点で描かれた“悪夢の世界”を体験できる「リトルナイトメア VR Altered Echoes」のインプレッションをお届けしていく。

【【リトルナイトメア VR Altered Echoes】アナウンスメントトレーラー】

シリーズ初のVR。「ダークシックス」の目を通して悪夢へ

 「リトルナイトメア」シリーズは、2017年から続くサスペンスアドベンチャーゲーム。2025年10月にナンバリングタイトル最新作の「リトルナイトメア3」がリリースされ、2027年にはシリーズ10周年を迎える。

 プレーヤーは小さな子供の主人公「シックス」となり、不穏で巨大な悪夢の世界からの脱出を目指す。「不穏な絶望の世界」「暗闇」「わずかな希望」をテーマに、チャーミングでありながら恐ろしい独特の世界観が高く評価されてきた。

2025年10月に発売されたナンバリング最新作「リトルナイトメア3」

 今回の「リトルナイトメア VR Altered Echoes」はシリーズ初となるVRタイトル。これまでの作品が三人称視点のアクションゲームだったのに対し、本作ではVRゲームならではの一人称視点を採用する。プレーヤーはシックスの影のような存在「ダークシックス」となり、失われたもう一人の自分を取り戻すため「ノーウェア」と呼ばれる世界を旅していく。

 世界観は「リトルナイトメア2」を踏襲しており、「放送局」をはじめとするおなじみのステージが登場するほか、完全新規のオリジナルステージも用意されている。すべてが2のリメイクというわけではなく、既知のステージと新たなステージが混在する構成だ。

「リトルナイトメア2」のキャラクターが登場する

圧倒的な没入感。子供のころの“あの感覚”を体験する「放送局」

 今回の試遊ではまず「放送局」をプレイ。「リトルナイトメア2」のラストに登場した印象的なステージだ。ダークシックスとなった状態からゲームが始まり、吸い込まれるような部屋から脱出し、不思議な廊下を駆け抜けていく。いわばチュートリアル的な位置づけで、VRヘッドセットを装着した状態で操作に慣れつつ進行していく。

 放送局に降り立って最初に感じたのは圧倒的な没入感。普段から様々なVRコンテンツを楽しんでいる筆者だが、本作の没入感は頭一つ抜きんでている。その理由のひとつは、UIが完全に排除されていることだ。視界に入るのは、ただ薄暗い悪夢の世界だけ。これが没入感を大きく底上げしている。

UIが完全に排除されている。これが没入感を底上げしている要素の1つだ

 そしてもうひとつ、本作ならではの体験として決定的なのが「身長」だ。主人公の「ダークシックス」は小さな子供であり、VRで彼女の視点に立つということは、相対的に周囲のすべてが巨大に見えるということだ。テーブルの脚が太い柱のようにそびえ、椅子の座面が頭上にある。ただそれだけで、世界の見え方がまるで変わる。

 天井は遥か高く、巨大な家具や建造物が圧迫感をもって迫ってくる。それと同時に、高いところから見下ろすと足がすくむレベルで本当に怖い。今回は立った状態でプレイしたのだが、それが余計に恐怖を引き立てていた。実際にそこにいるという感覚が、高所の恐怖をリアルなものにする。

 リトルナイトメアシリーズが一貫して大事にしているテーマは「子供のころの恐怖」だ。それが本作では、VRの一人称視点によってかつてないほど増幅されている。本稿の最初に述べた何もかもが自分より大きく、世界そのものが脅威に感じられた、あの感覚。本作はそれをVRで再現しているのだ。

高所の恐怖、暗い廊下の奥、大きく見える扉。子供のころに感じた怖さがVRで再構築されている

謎解きやアクションも。先頭車両を目指す緊張感がたまらない「駅」

 続いてプレイしたのが新ステージの「駅」だ。ここでは「ペイルシティ」を出発する電車に乗り込み、先頭車両を目指して進んでいく。車内には障害物だけでなく、不気味な「ゲスト」たち、プレーヤーを監視する「車掌」が待ち構えている。彼らの目を盗みながら、車両を一つひとつ進んでいく緊張感がたまらない。

 「駅」ではちょっとした謎解きや簡単なアクション要素が組み込まれている。アイテムを使ったパズル、敵をやり過ごすステルス的な場面など「リトルナイトメア」シリーズおなじみの遊びがVRを通じてより直感的に楽しめる。またVRコントローラーを介した操作も自然で、物を手に取ったり、投げたり、引っ張ったりと、世界に「触れている」実感がある。

 これらの謎解きやアクションの難易度は比較的簡単で、歯応えを求めるゲーマーには少し物足りないかもしれない。だが、これらはあくまでも世界により没入するためのものであり、本作は「リトルナイトメアの恐怖を身をもって体感する」という体験全体に重きを置いている。シリーズ初のVRゲームとして、非常にいいコンセプトだと筆者は感じた。

「駅」のステージも子供の視点から見た怖さが上手く強調されている。特に大人たちの表情の描き方が面白い

程よいボリュームで“子供のころに感じた恐怖”を追体験できる

 ここまで「リトルナイトメア VR Altered Echoes」のインプレッションをお届けしてきた。今回のプレイを通して感じたのは「リトルナイトメア」の恐怖をVRの世界に落とし込んだその上手さ。大人になると忘れてしまう子供のころの視点、子供のころに感じた恐怖。それを追体験できるのは本作の最大の魅力だ。

 プレイ時間は4~6時間とのことで、VRタイトルとしては程よいボリューム。「飛び込もう、目の前に広がる悪夢へ」という本作のテーマが示す通り、これは「悪夢を見る」のではなく「悪夢に飛び込む」体験だ。VRヘッドセットを被った瞬間、あなたは子供に戻り、あの圧倒的な恐怖の世界に呑まれることになるだろう。