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「オクトパストラベラー0」試遊レポート! タウンビルドは時間泥棒の新要素。8人バトルで自由度の高い戦闘も楽しめる

【オクトパストラベラー0】
12月4日 発売予定
価格:
7,678円(通常版)
25,980円(コレクターズエディション)
9,878円(デジタルデラックスエディション)
2,860円(デジタルデラックスアップグレード)

 2018年にNintendo Switchで1作目「オクトパストラベラー」が発売され、2023年に続編となる「オクトパストラベラーII」がリリース。さらに、2020年には1作目の数年前を舞台とするスマートフォン向けアプリ「オクトパストラベラー 大陸の覇者」が登場している「オクトパストラベラー」シリーズは、世界中を旅して仲間を集めながらパーティを組んで進む、王道を行く本格派RPGだ。

 そのシリーズ最新作が、12月4日に発売が予定されているプレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC用RPG「オクトパストラベラー0(ゼロ)」だ。今作ではプレイヤー自身が主人公となり、世界を股にかけた冒険に出かけることとなる。

 今回、「オクトパストラベラー0」の発売日が徐々に迫ってきたということで、一足先に試遊する機会を得ることができた。プレイできた範囲は全体のごくごく一部だが、最大8人でパーティを組んで戦えるバトルシステムや、戦闘での新要素となる必殺技、加えて町を復興させる新システムのタウンビルドなども体験できたので、それらの情報についてプレイからわかったことをお伝えしよう。

【『OCTOPATH TRAVELER 0 / オクトパストラベラー0』発表トレーラー】

バトルは最大8人。シリーズ中で最もプレイヤーの個性を出せるシステムに進化

 今作の主人公であるプレイヤーキャラが旅するのは、初代「オクトパストラベラー」の舞台となったオルステラ大陸。主人公の故郷であるウィッシュベールでは、年に一度の聖火祭が催され、人々の笑顔で賑わっていた。しかし、平和を守る蒼い炎を灯そうとしたその時、町は襲われ赤き炎に包まれてしまう。焼け野原となった町を見て、主人公は復讐の道を進むのか、それとも復興の道を拓くのか……すべてを託された君の物語が、ここから始まる。

 今回の試遊プレイでは、オルステラ大陸にあるサンランド地方のサンシェイドという町からスタートし、砂零の遺跡と呼ばれるダンジョンを踏破するまでが体験できた。フィールド移動に関しては従来のシリーズ作品と特に変わりはないものの、今作では最大8人でパーティを組めることから、フィールドでの行列も8人のキャラクターがゾロゾロと並ぶようになっている。もちろん移動時に邪魔になることはなく、いかにも大勢で旅をしているという感覚が、プレイ時の雰囲気を大いに盛り上げた。

町の中では前作までにも存在したフィールドコマンドが使え、成功すれば、さまざまな情報を入手できる。一定回数以上失敗すると相手と険悪な関係になるため、注意が必要だ

 しばらく町の中を歩き回り目的の商人であるルドと出会うと、復興中のウィッシュベールで商売をしてほしいと頼む主人公。しかし、同行していた仲間・フェンの発言から話がこじれてしまい、近場に潜む邪魔なリザードマンを退治したら考えてやると言われてしまう。

 そのため、リザードマンを退治するためにダンジョン最深部へと向かうのだが、当然ながら道中には敵との戦闘も待っているため、一筋縄ではいかない。戦闘システムは前作までを踏襲しているので、シリーズをプレイしている人であれば違和感なく戦うことができるだろう。もちろん、初めてという人も迷わないよう、丁寧なチュートリアルが用意されているので問題ないだろう。

前作までをプレイしたことがある人ならば、この戦闘シーンの画面は見慣れたものかもしれない。右側に表示されているパーティメンバーが4人から8人に増えたのが、一見してわかる変更点だ

 基本的にはシンプルなターン制のコマンドバトルとなっており、画面上部の並びで順番が回ってくる。すべての敵は必ず弱点属性を持っているのだが、初めて出会ったときはそれがわからない。プレイヤー側が剣や槍といった武器、あるいは属性魔法などを使用して攻撃し、それが敵の弱点だった場合、初めてモンスターグラフィックの下にアイコンで表示される仕組みとなっている。

初遭遇時は、敵の弱点はすべて“?”で隠されている。パーティ側の攻撃が弱点だった場合、“?”の部分が弱点アイコンで置き換わる。仲間のキャラクターには、弱点を開示する能力を持つ者もいるので、それを利用して弱点を探す手段もある

 また、敵にはシールドポイントが設定されており、弱点で攻撃するとその数値が減少。0になるとブレイク状態となり、次のターンまで行動不能になる。その間は、倍近いダメージをノーリスクで与えることができるのだ。

シールドポイントをすべて削ると、敵は行動不能に。ここで一気に倒すか、それとも他の敵のシールドポイントを減らしにかかるか……プレイヤーの腕が試されるところ

 さらに、プレイヤー側のキャラクターは毎ターン開始時にブーストポイント(BP)を1得ることができ、行動時にこれを消費することで一度に複数回のアタックをかけたり、特技や呪文といった各種アビリティの威力をアップさせることができるのだ。

BPは、最大で一度に3段階まで消費可能。使った数に応じて、通常攻撃回数が増えたり、アビリティの威力が増加したりする。シールドポイントを削るために使うなどのほか、呪文の威力をアップさせて一気に大ダメージを与えるなど、各プレイヤーの個性が出る部分となるだろう

 「オクトパストラベラー0」では、パーティ人数は前作までの最大4人から、前衛4人、後衛4人の最大8人でパーティを組むことができるようになっている。戦闘時に行動可能なのは前衛のみだが、そのキャラの順番が回ってきたときには後衛と自由に交代させることができるため、上述したBPと組み合わせれば「前衛がBPを消費してシールドポイントを削りブレイクさせ、交代した後衛もBPを使い敵に弱点攻撃を行ない一気に倒す」といった戦術が取れるなど、各プレイヤーごとのオリジナリティ溢れる戦い方が楽しめる。

 なお、ゲーム中では30人以上の仲間たちが集まるので、そこから8人を選んでパーティを組むことになる。こういった場合、待機メンバーには経験値が入らないので改めて成長させなければならないというパターンが多いが、本作では残っているキャラクターたちにも経験値が入る仕組みが用意されている。全キャラクターを育てて、場面ごとに最適なパーティを組みたいと考えている人には朗報だろう。

8人パーティになり、画面内も一気に賑やかになった。前衛のターンには、後衛と自由に交代できる。さて、どのように行動するか……

 さらに、物語が進行していくと主人公は必殺技を覚えていく。これもBPと同じく段階があり、ゲージを最大まで溜めると、最大効果となるLv.3で発動することができる。その威力は絶大で、Lv.3であれば、ピンチの状況を覆すことも十分可能だ。しかも、町に訓練所を建てることで他のキャラクターに必殺技を習得させることもできる。上述したブレイクシステムとBPに加えて、戦闘での新たな駆け引きとなることだろう。

派手な演出通りの効果を発揮してくれる必殺技。同行しているメンバーも、町に訓練所を建てれば覚えることが可能だ

 最深部に到着すると熱砂のリザードマン×3との戦闘後、このクエストで倒すべき相手であるリザードマンの長が、熱砂の大リザードマン×2を従えて登場する。試遊プレイでは、最も緊張感の高まった場面だ。

 リザードマンの長のシールドポイントが16と表示されているのを見て気が遠くなりつつも、こちらは8人パーティという強みを活かし、BPを消費してシールドポイントを削っては後衛と交代してダメージを与えていくという戦法で、何とか勝利をもぎ取ることができた。実際にユーザーがプレイするときは、しっかりとレベルを上げてから戦ったりすることで苦戦しないと思われるので、今回は筆者の戦い方がイマイチだったかもしれない。

敵のHPは通常表示されないものの、攻撃されて減っていくと名前が白から黄色、そして赤色へと徐々に変わっていくので目安になる。ある技を使えば敵の残りHPを教えてくれるキャラもいるが、大事なターンをそれに費やすのは少々もったいないような?

新要素のタウンビルドは、細かい部分にまで凝ることができる時間大泥棒システム!?

 バトルが終了すると、一行は商人のルドと共にウィッシュベールへと凱旋する。そこはほぼ廃墟になっているのだが、今作ではこの町を復興させていく「タウンビルド」という新要素が盛り込まれている。

 最初は何もなかった場所に建物を建て、そこへ人を移住させることで、少しずつ町は元の賑わいを取り戻していく。その建物も数多くの種類があり、例えば商店を建てれば交易品が入手できたり、拠点を造れば料理を作って持ち歩くこともできる。

 ただし、建物を建てるには材料が必要で、それを集めるにはさまざまな場所を訪れて集めなければならない。建物の規模が大きくなるほど消費する材料も増えるので、ストーリーを進めつつ収集していくのが良さそうだ。

 なお、住み着いてくれる住人たちはそれぞれ町に役立つ住民アビリティを持っているので、適材適所に配置するのが町発展のコツとなるとのこと。

トンカチマークがある建物や人物に話しかけると、タウンビルドを始めることができる。建物の形だけでなく、スキンと呼ばれる外見も変更が可能だ。完成後には、表示されるシルエットの人数分だけ住人を移住させられるのだが、その際には彼らのアビリティに合わせた建物に住んでもらうのがいいそうだ
拠点を作れば、料理をすることもできる。完成した料理は、使用すると戦闘時に威力を発揮するようなスキルが付いていることも。しかも、バトルがスキルの効果ターン数より早く終了すれば、その効果は次の戦闘に持ち越しされるという優れものだ
料理を作るには材料が必要となるが、それもタウンビルドで畑や牧場を作ったりすることで解決できる。こうして回収した野菜や果物が、料理に化けることに
タウンビルドでは建物だけでなく、地面や斜面の見た目を変えたり、さらには飾りなども置くことができる。工夫することで、世界に1つだけのウィッシュベールを作り上げることができるのだ。凝り性の人には、間違いなく時間泥棒となるシステムだろう

戦闘はより自分らしく戦えるように進化。タウンビルドは自分だけの町を作り攻略に活かす楽しみも

 ここまで紹介してきた他にも、今作では主人公キャラクターをプレイヤーが作成する「キャラクターメイク」という新要素も追加されている。「オクトパストラベラー0」ではプレイヤー自身が主人公ということで、主人公キャラの見た目や声、髪型、肌の色、好きな料理に得意技と、ありとあらゆる部分をカスタマイズすることが可能となっているのだ。少々体験させてもらったのだが、自分好みにカスタマイズを楽しむことができる内容になっており、バラエティに富んでいた。オーソドックスにまとめるのもいいし、奇抜なキャラをメイクしてプレイするなど、何でもありだ。

 今回の試遊で、「オクトパストラベラー0」には、パーティメンバーが8人に増えたことで今までにない柔軟な戦い方が楽しめるバトルシステムをはじめ、自分だけのウィッシュベールを復興させるタウンビルドなど、やり込み要素もしっかりと用意されていると感じられた。BGMの完成度も非常に高く、個人的には前2作以上ではないかと思えた。この冬に、間違いなく熱く楽しめる1本になりそうだ。