先行体験

祝「パックマン」生誕45周年記念作品は……俺たちの知っているパックマンじゃない!? 「Shadow Labyrinth」プレイレポート

可愛らしさ皆無! ダークで過激さ全開のパックマンがここに爆誕!!

【Shadow Labyrinth(シャドウラビリンス)】
7月17日 発売予定
価格:3,960円〜

 誰もが1度はプレイしたことがあるであろう、ナムコを代表するゲームの1つである「パックマン」シリーズ。2025年で「パックマン」生誕45周年のアニバーサリーイヤーを迎える。

 昔からシリーズを支えているファンにとっては注目の年であり、そんな期待を裏切ることなく45周年記念作品として探索型2Dアクションゲーム「Shadow Labyrinth」が、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)で7月17日に発売される。

 タイトルからは「パックマン」感が一切感じられないが、実際にゲームを見てみてもあの可愛らしいパックマンを題材にしたゲームとは思えないダークな作風となっている。

 お祝いムードを破壊するかのような過激なパックマンが登場する「Shadow Labyrinth」のSteam版を今回先行プレイすることができたので、本作のパックマンどのようにヤバくなっているのかを早速見ていこう。

【【Shadow Labyrinth(シャドウラビリンス)】発売日告知トレーラー】

黄色いアイツが大暴れ! 敵を切り裂き、ビームを放ち、喰らい尽くす!!

 まずはじめに、本作は俗にいうメトロイドヴァニアと呼ばれる探索型2Dアクションゲームで、広大なマップをじっくり回って探索していくのが醍醐味なゲームとなっている。

 主人公は黄色の丸いフォルムでお馴染みのパックマン――ではなく、見知らぬ世界に召喚された「剣士」というキャラクター。そして肝心なパックマンは、本作では「PUCK」という名前のFunc-Botとして登場し、常に主人公に付き添うサポート役として活躍する。

正体不明の剣士。PUCKに導かれるまま巨大な塔を目指す
特殊なレーンを移動する場面では、お馴染みの姿である「ミニパック」に変身する
これが原作のパックマンの姿。ミニパック状態の原作再現度は高い。画面はNintendo Switch「NAMCO MUSEUM」収録の「パックマン」

 サポート役というと地味なポジションに聞こえるかもしれないが、主人公である剣士の存在を食ってしまうほどPUCKが大きな存在感を放っている。

 PUCKはメカメカしくなっているものの、通常時は黄色い球体というパックマンらしいフォルムをしているのだが、戦闘モードに入るとGAIAと呼ばれる人型決戦兵器のような禍々しい姿に変形するのだ。

剣士がパワーエサのような見た目に変化して、それをPUCKが食らうことで変形。パックマンの原形をとどめないGAIA形態。雰囲気だけで間違いなく強い

 GAIA状態では荒ぶる獣のように猛スピードでフィールドを駆け回り、鋭い爪で敵を切り裂いたり、辺りを焦土と化すような殺傷能力の高いビーム「Dフィールドキャノン」を放ったりと、パックマンのイメージをぶっ壊すような爽快かつ荒々しいアクションが満載だ。

Dフィールドキャノンは強力だが、発射すると強制的にGAIA状態が解除される

 パックマンのDNAを受け継いでいるだけあり、PUCKも道中に落ちているオーラ(お金)や、GAIAの形態で弱っている敵を食べたりする。それも原作のパックマンのようなゴーストをパクっと食べちゃうようなコミカルなものではなく、敵を片手で鷲掴みにして捕喰していくという生々しいもの。

敵を丸飲みにして敵からパーツを獲得することができる

 大型のボスを捕喰する場面では、剣士の体からドス黒い闇のような巨大パックマンが出現し“残骸を飛ばしながら敵を食い散らかす”という衝撃的な食べっぷりを見せる。

 あの可愛らしいパックマンの印象があるからこそ、この過激なギャップが面白さに繋がっているが、これが子供の頃に初めて出会ったパックマンであったら間違いなくトラウマものである。

禍々しい巨大パックマンがボスを食い散らかす。完食後にゲップをするというお茶目な一面も

ヤバいのはパックマンだけじゃなかった! 待っていたのは大人向け過ぎるナムコの世界

 プレイしているうちに衝撃的なPUCKにも段々と慣れてきて、あとは純粋に「Shadow Labyrinth」のダークな世界観を楽しむのみ――と思っていたが、驚きのサプライズが待っていた。

 ゲームを進めて洞窟のようなエリアに進むと微かにだが聴き馴染みのあるBGMが耳に入ってきた。それは「パックマン」と同じナムコ作品の1つである「ディグダグ」のBGMだ。“主人公が歩いているときにだけ流れるアレ”である。

 なんで「ディグダグ」? と思った直後に姿を見せたのは「ディグダグ」の敵キャラクターである「プーカァ」と「ファイガ」だった。それもビジュアルが原作の可愛さの欠片もないレベルで変わっており、特にプーカァの方が酷く、皮を剥いだような赤く筋張ったボディに眼球がむき出しというグロテスクなバケモノになっていた。

グロさに振り切ったビジュアルに変貌を遂げている。なんでこんなことになった……
原作ではこんなにも愛らしい敵キャラクター。画面はNintendo Switch「NAMCO MUSEUM」収録の「ディグダグ」

 これだけビジュアルを崩壊させながらも、原作リスペクトの要素がしっかりあるのも面白いポイント。

 プーカァやファイガは剣による攻撃は一切効かず、倒すにはACTIVショットという攻撃で敵を捕まえて空気を送り込んで破裂させるという、まさに「ディグダグ」での倒し方を忠実に再現しているのだ。ちなみに、パンパンになって爆発する瞬間は怖すぎて衝撃映像の類である。

通常の攻撃ではプーカァとファイガを倒すことができない。ACTIVショットで膨らんで破裂する絵面がヤバすぎる

 原作リスペクトポイントは他にもあり、敵の歩行音や攻撃方法、壁などをすり抜けて襲い掛かってくるといった行動も再現されており、「ディグダグ」好きの筆者にとっては、グロさにゾワリとしながらもニヤリとできるサプライズであった。

インパクトだけじゃない! 多彩なアクションでゲームとしての楽しさも光る

 PUCKや「ディグダグ」のインパクトが強すぎて“それしか触れる所がないゲーム”のように感じてしまったかもしれないが、実際にプレイしてみると純粋にアクションゲームとしての完成度も非常に高い。

 こういったメトロイドヴァニアタイプのゲームではあるあるだが、探索を進めていって自キャラが強くなっていく過程を楽しんでいく設計上、最初は使用できるアクションの幅が狭く単調なプレイになりがちな傾向にある。

 しかし本作は、通常攻撃の斬撃は3連続で繰り出せて爽快感があるほか、二段ジャンプや緊急回避、敵の攻撃を防ぐESPプロテクションや攻撃を受け流すパリィなど段階的に使えるアクションが増えていくので、自由度の高いバトルが楽しめるのだ。

ド派手なエフェクトも相まって、戦闘がかなり爽快だ。敵の攻撃を回避するだけではなく、守りのアクションも用意されている

 強敵ボスとの戦いではそれらのアクションを駆使した攻防が非常に熱い。アクションに自信がある人なら敵の攻撃を見切って華麗に回避をしたり、攻撃に合わせてパリィを決めて無防備になったところに大技を叩き込むといった気持ち良さを堪能できる。

 逆にアクションゲームがそれほど得意じゃなくても、GAIAに変形すると一定時間完全無敵となるので、無敵を利用して力でねじ伏せるプレイでもゲームを進めることができる。自分の腕やプレイスタイルに合わせた遊び方ができるのも本作の魅力である。

 ACTIVショットによるワイヤーアクションも遊びの自由度を底上げしている。フィールドのいたるところにアンカーポイントが設置されており、そこにショットを撃つと引っかけることができる。ショットを転々と引っかけていけば、足場の無い場所でもスイスイ進めて非常に気持ちが良い。

最初は難しいが、慣れてくるとワイヤーアクションで自由自在に移動ができゲームの面白さが増してくる。地面に触れることができない、ワイヤーアクションが必須のエリアなども待ち受けている

 ゲームを進めることで新たなアクションの追加や体力最大値の増加、オーラ(ポイント)を消費して武器を強化など、遊べば遊ぶほど楽しくなっていく従来のメトロイドヴァニアの面白さも健在だ。

 今回プレイしただけでも、荒唐無稽なPUCKのアクション、そして「ディグダグ」のキャラクターがおぞましい姿で登場したりと昔ながらのナムコファンにはたまらない作品であった。

 PUCKに導かれるまま巨大な塔を目指す剣士、謎に包まれたPUCKの真の目的など、試遊版ではあまり語られなかったが本作の謎の多いストーリーもどのように展開していくのか非常に気になる。この記事で「Shadow Labyrinth」に興味を持った人は、ぜひ続報にも注目してもらいたい。