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【必見! エンタメ特報】元祖マリオカート男のイタズラ人生映画「WTF」

撮り下ろし動画もたっぷり収録。コメディタッチで描かれるレミ・ガイヤールの半生

10月18日より 2週間限定公開

元祖マリオカート男のレミ・ガイヤール! かの集団とは違い、逮捕上等でマリオを演じ切る男気溢れる人物
お腹から下が長すぎるパックマンにも扮装。スーパーマーケットなどでお化けと追いかけっこするというイタズラ

 今年の夏、「マリオカート」を全国各地の公道でリアルに再現してしまう集団が話題となったが、月日を遡ること2008年、海を超えたフランスの地ですでに1人の男によって「マリオカート」は再現されていた。

 男の名はレミ・ガイヤール。現在では世界屈指のYouTuberとして知られており、各地で民間人や警察に対して犯罪お構いなしのイタズラを仕掛けまくるという、「イタズラ原理主義」スタイルで人気を誇る人物だ。

 例えば上の「マリオカート」で言えば、後ろの車に向かってバナナの皮(本物)を投げつけたり、前の車両を無理に追い抜いたり、スピード監視カメラの目の前を爆走で走り抜けていく。第2弾の動画ではショッピングモールにカートのまま侵入して売り物のバナナを強奪しようとする、警察に中指を立てて煽る、後続車にカメのぬいぐるみを投げるなど、人殺し以外は何でもするんじゃないかというタガの外れたイタズラが男の動画からは次々に繰り出される。

 ほかにもカタツムリの着ぐるみで公道のど真ん中に居座って渋滞を発生させてみたり、宇宙飛行士の格好をしてゴルフ場に降り立ち、プレイ中の人の目の前でアームストロング船長のごとくグリーンの旗を奪い去るなどなど、周囲の人を瞬間的に激おこにするイタズラがこれまでに数多く投稿されている。

 さて今回紹介するのは、このレミ・ガイヤールの半生を映画にしたというまさかの映画「WTF」だ。名作イタズラを随所に挟みながら、併せてレミの私生活が虚実入り交じって展開される。レミは本人自身が演じており、「好きなことで、生きていく」を命がけで行なっている男のドラマが楽しめる1作だ。

ギャグなのかただの迷惑なのかわからない、レミ独自の線引きで繰り出される数々の動画。魅了される人が世界に多数いる
【映画「WTF」予告編】

動画撮影の背景も登場する。本人が演じるのでリアリティたっぷり
トレードマークの着ぐるみももちろん登場
レミのイタズラを良く思わない、恋人との板挟みもドラマ内で描かれる

 レミ・ガイヤール(本人)は、イタズラ動画を撮影し投稿することで爆発的な再生回数を稼ぐ一般人。レミ自身はその動画のおかげで街中の人気者となっていたが、撮影仲間は命がけの割に金儲けにならない撮影と、動画の面白さと再生回数だけを追い求めるレミの姿勢に付いて行けず、レミは仲間から総スカンを食らってしまう。

 またレミの彼女も、レミのイタズラを良く思っていない。「イタズラの投稿をやめて。大人になって」という再三の注意にも関わらずレミはイタズラを続け、ついに彼女は愛想を尽かして南米へ旅立ってしまう。

 仲間からそっぽを向かれ、大事な彼女も失ってしまったレミは、そのショックのあまりイタズラを一切断つことにするのだが、そこには平凡で退屈な日々が待っていた。魂の抜けたような日々を過ごしていたレミだったが、レミの大ファンであり動画撮影仲間の1人が引き起こした事件により、レミのイタズラ魂に火がつくこととなる……。

 映画は、軽いタッチのコメディとして描かれている。登場人物は怒ったり怒鳴ったりもするが、決してシリアスにはならず、適度な脱力感の中でドラマが進行していく。

 話の中心になっているのは、レミがこれまで撮影してきたイタズラ動画だ。登場人物が動画を見ているシーンやレミの回想として登場するなど、映画の各ポイントで実際の動画が挿入される。動画を中心に人生が回るレミらしい映画構成となっており、元々のレミファンも飽きずに楽しむことができる。

 そしてレミファン最大の見所となっているのは、映画のために撮り下ろした動画が数多く収録されているということ。ネタバレになるので多くは語れないが、今正に首を括ろうとしているピエロを演じてみたり、洗車したばかりの車に汚物を落としてみたり(上を見るとハトの着ぐるみを着たレミがいる)、バカバカしいイタズラのオンパレードがクライマックスの約15分間に渡って見られる。もちろん、警察に真正面からケンカを売るレミの姿も収められているので、レミの新作が早く見たい! という人には必見の映画だ。

 映画全体は90分に届かないくらいと決してボリュームのあるものではなく、ドラマ部分は動画と動画の間を補足するようなものとなっている。またレミ・ガイヤールって誰? という人にとっては、本作を見ることで何をやっている人物かがわかる。まずはレミ・ガイヤールの動画を見て、気に入ったら映画館に足を運んでみるのをオススメしたい。

(安田俊亮)