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PS4「ストライダー飛竜」ミニインプレッション&開発者インタビュー!

スピーディかつ爽快感あふれる“今の時代”の「飛竜」

スピーディかつ爽快感あふれる“今の時代”の「飛竜」 ~怒涛のボス戦に注目!~

――ボスキャラクターの総数は明かせますか?

アンドリュー氏現時点ではまだ明かせませんが、とにかくボスは一杯出ますよ。やりすぎ! なくらい。最初に企画した際「こんなにボス戦は作れないでしょ?」というくらい多かった。ぼくはずっとスタッフに対して「これカットしたほうがいいんじゃない?」と心配していたんですが、彼らも「飛竜」が好きでしたから「やります! 大丈夫です!」とできちゃった(笑)。

――開発現場も「飛竜」シリーズの大ファンだったんですね。ちなみに1番お気に入りのボスはいますか?

アンドリュー氏もう多すぎて……皆それぞれ大好きです。たとえば「ソロ」は攻撃パターンも派手で、実は2回戦うんです。最初に倒したかと思いきや、あとで「飛竜」に復讐を挑んでくる。その際はアーマーなど外観がダメージで壊れていて、攻撃パターンも全然変わる。今まで誰にも負けたことがなかったソロが始めて敗北を喫する相手が「飛竜」。復讐を果たそうとするソロの狂気っぷりは、かなりいいですね。

――スローテンポの探索型と「飛竜」のハイスピードアクション。本来であればミスマッチとなりますが、ゆえにレベルデザインなどは相当検討されたのではないでしょうか?

アンドリュー氏スピーディに動いても、あまり足止めをくらわないようにしたり、別の隠しルートがあったりとか、本格的な探索型よりも爽快感を重視したマップ構成になっています。試行錯誤を繰り返したうえで、そういうバランスにしました。

――奥行きを使った表現などは、そうした試行錯誤のなかから生まれたものでしょうか?

アンドリュー氏そうですね。ポリゴンでやろう、というのは元々思っていて……先ほども申し上げたとおり、今の時代にふさわしい「飛竜」であれば、それはポリゴンを用いるべきだろうと。ポリゴンを用いることで奥行き感が生まれるし、カメラも自由に動かせる。シチュエーションごとに適した距離で映すことができるため、広いマップで上下に足場があるようなところでは引いた絵作りができますし、ボス戦や1対1といった攻防ではグッと寄って格闘ゲームに近い絵にもできる。最新技術やノウハウを盛り込んだ横スクロール表現となっています。

――新アクションや新システム、レベルデザインなどで特に注意された点などはありますか?

アンドリュー氏「飛竜」の操作感、ですよね。本シリーズは「とにかくスピーディでレスポンスがいい」という印象をみなさんお持ちだと思いますが、いま遊ぶと意外と記憶ほど速く動いているわけではない。ゆえに初代や続編を真似て作るのではなく、我々が当時遊んでいた「飛竜」イメージ。美化された部分も含めて、そのとおりに表現する。触った瞬間「『飛竜』ってこうだよな!」とすぐ伝わるよう、モーション、基本動作、ジャンプの高さにいたるまでひたすら調整しました。触っていて気持ちよくないと、意味がない。マップデザインや敵の配置も、それが決まってからですね。

――昔ハマったゲームでも、何十年もたって改めてプレイすると「あれ? こんなんだったっけ?」ということは往々にしてありますよね。

アンドリュー氏人間の記憶は美化されるものですからね。変な話かもしれませんが、それも含めて正統進化ではなく“理想の飛竜を作りたい!”というものを目指しました。

――本作はPS4とPS3で発売されます。両プラットフォーム版の違いを具体的に教えてください。

アンドリュー氏ゲームの中身は同じです。ただ、PS4版は60フレームで、PS3版は30フレーム。画面解像度は、PS4版はフルHDの1080p、PS3版は720p。あとは本当に細部、主にグラフィックですね。あとは、映り込みやパーティクルエフェクト……火花の表現であるとか、そのあたりがPS4版が強化されていますね。

――PS4で開発して「ここは従来ハードと違う!」などと感じられた部分はありましたか?

アンドリュー氏今回はローンチということもあり、PS4独自要素を盛り込むことは、あえてしませんでした。というのも、すべてのゲームファンが新プラットフォームを購入されるわけではありませんし。特に「飛竜」ファンの方々に遊んでいただきたかったので、PS4版とPS3版で基本設計はそのまま。PS4版では解像度やフレーム数といったグラフィックを強化する方向で進めました。

――そのあたりは自然な差別化といったところでしょうか。

アンドリュー氏あとは、PS4版ならではのSHARE機能。動画をアップロードしたりプレイをライブ配信するというものですが、本作は機能を制限していません。そこはユーザーのみなさんの裁量にお任せしています。最終ボスの生配信も可能です。

――えっ、それって大丈夫なんですか!?

アンドリュー氏ぼくはユーザーのみなさんを信じたいんです。ネタバレを見たくない人は、見なければいいと個人的に思っていて。1度クリアするまでは見ないで欲しいなとは思いますが(笑)。「やっちゃダメだ!」というと、寂しいじゃないですか。たとえば「俺のラスボスの倒し方は、こんなにカッコイイぜ!」というのを発信したい人だってきっといるはず。ネタバレは1回だけだし、時代の流れもあるので、そこはユーザーのみなさんの価値観にお任せしています。

 PS Vitaを用いたリモートプレイにも対応しています。リビングのPS4を起動したまま、寝室でPS Vitaで遊べる。私も色々試しましたが、とてもスムーズにサクサク動く。PS Vitaの液晶画面はとてもきれいなので、これも実にいいです。そういったPS4ならではの基本的な機能には対応しています。

――発売後はユーザーの方々がさまざまな動画をアップロードされると思いますが、そのなかで「こんなプレイ動画が見たい」、「こういうふうに遊んでいてくれたら嬉しいな」といったものはありますか?

アンドリュー氏本作は本当にボス戦が多く、どれも派手なんですよ。個人的にはボス戦の攻略をたくさん見たいなと思いますね。あと、こういったタイプの作品は「スピードラン」といって、いかに早くクリアできるかが競われます。PS4版、PS3版ともにオンラインランキングに対応しているので、ぜひ動画つきでやっていただけると嬉しいですね。

隠しアイテムにオンラインランキング ~充実のやりこみ要素!~

――ダウンロードコンテンツの配信予定はありますか?

アンドリュー氏今のところ予定はありません。すべて本編に盛り込んであります。我々の世代に懐かしさと新しさを両方感じ取っていただきたいですし、若い世代は逆に新鮮ではないでしょうか。幅広い層に手にとっていただけるよう、価格設定も手頃にしました。また、今回はオマケ要素もいっぱい入っています。

――それは僕らの世代にとって嬉しいフィーチャーですね。昔のゲームは隠し要素が楽しみのひとつでしたから。

アンドリュー氏逆にいうと、やりこまないと出てこない。ダウンロードしてすぐ全部でてくるというわけではなく、本編をクリアしていくことで色々なものが開放されていくという感じです。デザイン画や敵図鑑の閲覧、本編以外のゲームモードもあります。昔のカプコンのゲームに登場した“POW”マークというのがありまして、それを取ると開放されていきます。

――モビちゃん(カプコン初期作品に登場する隠しキャラのひとつ)はいないんでしょうか?

アンドリュー氏あー(懐かしい! といった顔をされる)それはいません。POWです(笑)。

――POWを取った際、何がアンロックされたかはすぐその場でわかるんでしょうか?

アンドリュー氏はい、何がアンロックされたかすぐわかるように表示されます。

――隠し要素の総数は?

アンドリュー氏正確な数は申し上げられませんが、かなり! あります。フルコンプしようと思ったら大変です。

――作品の時間軸は、どのような位置づけになるんでしょうか?

アンドリュー氏外伝とかそういった形ではなく、ぼくらはリビルド(再構築)と呼んでいるんですね。ゲーム内では冥王暦48年としてありますが「西暦だと何年ですか?」とかきかないでくださいね(笑)。ファンの方々にはご理解いただけると思いますが、「飛竜」は個々の世界観は大切ですが、継続性はあまり重視されていないんですね。

 初代から「2」はリアルタイムで10年のギャップがある。作品的には「飛竜」が2千年ぶりに蘇生されて、また冥王を倒しにいく。もうメチャクチャなんですよ(笑)。「2」の制作スタッフは本作にも関わっており色々話をきいていますが、要は「やりたいことをやりたかった」んですよ。「2千年先の未来にしたら、やりたいことができるんじゃない?」って。

――時間軸が近いと、その設定などにしばられてしまうこともあると?

アンドリュー氏「2」がそうであったように、今回も「初代と続編がこうで、時間軸が云々」ではなく。「飛竜 vs 冥王」って、永遠のテーマなんですよ。「冥王」は世界征服をもくろんでおり「飛竜」はストライダー本部から暗殺指令を受ける。基本設定は以上! なんですよ(笑)。あとはもう「飛竜」が目的を果たすべくがんばるだけ。「冥王」の配下は色々なごたくを並べるけど、「飛竜」は“邪魔者は斬り捨てるのみ”と口数少なくやっつけていく。幕間にデモは挿入されますが、ストーリー性を語るというものではなく、とにかく“アクションなんで触って欲しい”という感覚。

 ここもあえて昔のゲームに近い作りで、世界観などはしっかり構築しますが、そこで起こる出来事はプレーヤー自身が作るもの。今回ナンバリングせず「ストライダー飛竜」というタイトルにしたのも、そういうことなんです。初代、続編、VSシリーズ、すべてのエッセンスを吸い上げて消化し、今の時代にふさわしいよう再構築したのが、今回の「飛竜」なんです。「ニュー飛竜」であり、オンリーワンの「飛竜」でもあるんですよね。

――開発現場での“意識のすり合わせ”はいかがだったんでしょうか? リビルドというコンセプトは一貫していても、クリエイター個々のなかでは“ふり幅”があったでしょうし。

イーカプコン限定版に付属する真紅のマスク、さらには自前で用意した赤いマフラーを装着したサマンスキー氏

アンドリュー氏もちろんさまざまでしたね。基本的に、ゲームクリエイターって常に新しいものを求める。1度やったことを繰り返してもしょうがない、面白くない、というのがあって。ただ、プロデューサーの立場としては、すべてが完全に新しいと「飛竜」ではなくなるし、ファンの皆様に申し訳ない。自分もなかに入って、新しい部分、懐かしい部分、その融合とバランスをとってきた。スタッフは「新しいことをやりたい!」反面、「飛竜」が大好きだから愛情も強い。それがかなりいいバランスにつながったと思います。

 ひとつの例でいうと、アートディレクターを務めた大阪開発に所属する酒井奨。(ポスターを指して)これも彼の描き下ろしなんですね。キャラクターデザインも大半を彼が描き下ろしています。シルエットを一切変えず、ひとめで「飛竜」とわかる。ただ、ディティールは凄く変えてある。スカーフも布ではなくプラズマになっていますし、スーツの質感も忍び装束から柔軟性のある複合素材になっている。

――今風というか、その時代ならそうなるであろうというデザイン?

アンドリュー氏はい。あとは設定もからんでいて、初回のクリア想定が8時間なので、長期戦仕様なんですよ(笑)。「長時間戦うなら、これくらいちゃんとした装備じゃないともたないだろう」という設定。あと、胸にある飛のマークも忍び装束は刺繍ですが、今回はアーマー風プレート。ひとつの例ですが、すべてそうなっています。敵のボスもそう。過去作品を取りいれながら、今のコンセプトにあった形でやっている、ということになります。

――今回はPS4発売にからめた企画なので「飛竜」から少し離れた質問になってしまいますが、サマンスキーさんが今後PS4で開発したいタイトルやジャンルはありますか?

アンドリュー氏ぼくは基本的にアクションゲームが好きなんですよ。あとはシューターみたいな。昨年「ロスト プラネット 3」をやらせていただいたんですけど、PS4のマシンパワーを使って、横スクロールに限りませんが「触って楽しい」もの。ぼく哲学としては、アクションゲームは「入力に対して、どれだけカッコいい動き、派手なことをしてくれるか」。ぼくがゲーム作りを始めた頃から先輩方にずっと教わってきたことで、入力に対するリアクションがどれだけ面白くできるかが、アクションゲームの真髄ですね。

 PS4は、それを今までできなかった次元で実現できるはず。そこにオンラインやシェアリンク機能をくわえることで、かなり面白い企画ができるんじゃないか。あとは技術目線になりますが、PS4は開発環境が作りやすい。いままでは新ハードに慣れるまで煮詰めていかなきゃいけませんでしたが、PS4のアーキテクチャはかなり作りやすいものになっている。純粋に“ゲームでなにがやりたいか”に集中し、それをすぐ形として表現できるような開発環境になっている。先々も凄く楽しみですね。

――それでは最後に、本作に期待しているファンの方々にメッセージをお願いします。

アンドリュー氏いよいよ2月22日に発売されます。ぼくも含めスタッフ全員が「飛竜」が大好きで、今の時代にふさわしい完全新作の「ストライダー飛竜」を目指して一生懸命作ってきました。PS3版は旧作「1&2」が遊べるプロダクトコードが入っています。PS4版は本体と同時発売で、PlayStation Storeから直接ご購入いただけます。PS4を購入して「何を遊ぼうかな?」と迷っている方がいらっしゃいましたら、ぜひよろしくお願いします。愛情たっぷりの硬派な横スクロールアクション。ぜひみなさんにプレイしていただければと思います。

――本日はお忙しいところをありがとうございました!。



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(豊臣和孝)