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AC「ウルトラストリートファイターIV」ロケテストが全国6都市でスタート!

杉山P/綾野AP「ぜひいろんな人に触れていただき、意見を頂きたい」

11月22日~24日 実施

 カプコンは、2014年4月のリリースに向けて現在開発中のアーケード用対戦格闘「ウルトラストリートファイターIV」の「Alphaロケテスト」が11月22日から24日までの3日間、全国6都市でスタートした。

 取材にお邪魔したタイトーステーション新宿南口ゲームワールド店では8台が常時稼動。朝から階段を埋め尽くす行列ができていたとのことで、取材時も人の列が途切れるどころか延びていく事態となっており、見学者も含め地下2階のフロアは熱気に包まれていた。

【Alphaロケテスト実施店舗】
都市Alphaロケテスト実施店舗名
東京タイトーステーション新宿南口ゲームワールド店
大阪タイトーステーション大阪日本橋店
名古屋タイトーステーション大須店
福岡タイトーステーション福岡天神店
仙台タイトーステーション仙台クリスロード店
札幌タイトーステーション札幌狸小路店

 このAlphaロケテストでは、新キャラクター4体(ポイズン、ヒューゴー、ロレント、エレナ)が使用可能。さらに、新システムとして2つのウルトラコンボをどちらでも出せる「ウルトラコンボダブル」、多段技もセービング可能な「レッドセービングアタック」、そしてダウン起き上がりのタイミングを通常よりも遅らせることができる「ディレイスタンディング」も実装されている。全39キャラクターのバランス調整の詳細は、ロケテスト現地で貼りだされている。

 このロケテストの目的は、開発段階のバージョンを多くのプレーヤーにプレイしてもらうことで、意見&要望をより良いゲームバランスを目指すというものとなっており、会場でのアンケート用紙と、Webによるアンケートが実施されている。

 ロケテスト参加者には、「ウルトラストリートファイターIV」オリジナルのNESiCAステッカーシートが配布されている。なお、ロケテストではNESiCAは利用することはできない。

 朝から何周もプレイしているプレーヤーもおり、初めてAlphaロケテスト版をプレイすると思われるプレーヤーには、まず技の確認時間を取ってあげたり、1本先取した場合は2本目を譲っていたり、知り合いとのマッチではガード後の割り込みの確認など、すでにデータを取っていると思われるプレーヤーも数多くおり、いわゆる「ロケテ慣れ」している方々が多かった印象だ。

新キャラを試す者あり、既存キャラの変更点を体験するものあり、様々なプレーヤーがいたが、プレイスタイルは2D格闘全盛時のロケテストを思い起こさせる懐かしい雰囲気が感じとれた

杉山プロデューサー、綾野アシスタントプロデューサーにインタビュー!

 ロケテストの会場で、本作の杉山プロデューサー、綾野アシスタントプロデューサーにお話をうかがうことができた。

綾野氏(左)、杉山氏(右)

――まず、「ウルトラストリートファイターIV」に至るまで、「ストリートファイターIV」シリーズを運営されてきて、どのような感想ですか?

綾野氏: 「ストリートファイターIV」を作ってきて、僕は本当に格闘ゲームブームは復活したかな、と思っていて。最初は「同窓会」というコンセプトで「ストIV」を作って、同窓会みたいに昔「ストリートファイター」シリーズをプレイされていた方々が集まってきてくれた。「ウルトラ」まで細かいバージョンアップを含めながらアップデートを繰り返してきたんですけれども、そうすると「同窓会」だけではなくて、新たに入ってきてくれたユーザーさんも増えてきて。「ウルトラ」になったことで、同窓会の雰囲気もありで、新しいユーザーさんも来てということで、「ストIV」世代、というものができてきているのかな、と思っていますので、今後は「ウルトラ」で集まってきてくださったユーザーさんたちに、どうコミュニケーションを形成していっていただくか。それが「ウルトラ」の課題ですかね。「ウルトラ」で初めて、「ウルトラ」から始まるコミュニケーションというか。

――それは「ウルトラ」での狙いでもあるということですかね?

綾野氏: そうですね。「ウルトラ」の狙いというか、「ストリートファイター」シリーズの最新作ということで、せっかくタイトルも「スーパー」から「ウルトラ」になりますし、狙って行きたいなと。

――そもそもの話なんですが、プロジェクト的に「ストリートファイターIV」の頃から、「ウルトラ」まで続いていく構想があったりしたんですか?

綾野氏: いや(笑)。僕は「スーパーストリートファイターIV アーケードエディション」(AE)から、小野(義徳氏)から「やれよ」って言われて。その時「『AE』で最後だからやれよ」って言われて。それを聞いたときに、「小野さん、それ、『スーパー(ストリートファイターIV)』のときにも“最後”って言ってましたよね?」って(笑)突っ込んだのに、「AE」、「Ver.2012」が出て、「ウルトラ」になって……という感じで、ひょっとして今度は「アルティメット」とかになるんじゃないかなと(笑)。

杉山氏: この先あるんじゃないのかなと(笑)。

綾野氏: 思っちゃいますよね。(編注:決定しているわけではありません)

――それは作っていきながら決まっていったことなんですか?

綾野氏: ユーザーの皆さんが支持してくれて、ずっと遊んでくれて、アップデートして欲しい、という声があったからこそ、かなと。本当に声が挙がらなかったらここまではなかったです。

杉山氏: 金曜日という平日に、ここまでお客さんが並んでくださっているので。皆さんのご支援の賜物ですよ。本当に。

――Alphaロケテスト版からオープンロケテストをやろう、というのは何かきっかけがあったんですか?

杉山氏: 北米でもユーザーの皆さんのコミュニティに対して、「ユーザーと作っていくゲームなんだ」という姿勢があって、日本発のタイトルでもありますし、日本の意見を……Twitterとかブログとかにメッセージを送っていただいているユーザーさんもいらっしゃいますが……だったら、これからバランス調整をいっぱいしなければならない状態で、お恥ずかしいところもいっぱいあるんですが、そこから見ていただいて、今からだったら、要望をいただければ反映させて、こうしていける、というギリギリのところで、なるべく皆さんの声を反映させていきたいな、という思いがありまして。

――Alphaロケテスト版でというのが不思議で、オープンといえばβ(Beta)というイメージがあって。いろんな要素は入れ込みました、で、テストにかけちゃう、というのは新鮮で。ずっとシリーズとして手がけてこられているからこそできることなのかな? とも思いつつ。でも、「ウルトラ」では4人の新キャラがいて、結構変わっているな、というイメージなんですが……。

綾野氏: 「ウルトラ」になるからこそ、「最初の段階で、いろんな方にプレイしていただいて、いろんな意見を頂いて、一緒に作っていきましょう」というのが我々のメッセージですね。

――それと一緒に、かゆいところに手が届くというか、要望が多かったのかとも思いますが、ある意味今までのものを壊すようなチャレンジングなシステムも入っていますよね? 要望を反映させるにしても、作り手側のさじ加減次第、という部分でもあるかなと思いますが、今回のAlphaロケテスト版では、「とにかく入れてみた」→「意見を頂く」→「すり合わせていく」というイメージなのかな? と思いました。

綾野氏: 近い部分はありますね。

杉山氏: 「入れてみた」という部分は、思いつきではなくて、「レッドセービング」も、「Ver.2012」がリリースされる前、「AE」の時に「多段セービングがあるらしいよ」というウワサがあって……「それがいいね」という声があったんで、今回、ちょっと昔の話ですが、要望も反映させてみようか、ということで……根拠はちゃんとお客様の声ありき、という部分は守っているんです。

――システムの追加要素に関しては、プレーヤー目線からいうと、「あったらうれしい」けど「強くなりすぎないかな?」という心配もあったりして、押さえるところを押さえてきたな、と思ったりしました。

杉山氏: 今まで「神バランス」と評価いただいている部分もあって、「変えるな」と言われる意見も多いんですが、それと同時に「煮詰まった状態なので、こう変えて欲しい」という意見も同じぐらいあるんですよね。どうせ変えるなら、何か言われて怖がるんじゃなくて、まず1回振り切ってみようと。実は今、めちゃ振り切った状態から、やや叩いて戻した状態で実装されているので、もしかしたらすごいものが見つかってしまうかもしれない、という危険性はあるんですが、「ウルトラ」という名前にもなりますし、変えるなら中途半端にではなく、ガラッと変えてしまって……自キャラが強い、弱い、という評価はもしかしてあるかもしれませんけれども、触っていただいてご要望いただければ、バランス調整もあるかな、というところをプッシュしていきたいですね。

――キャラクターのバランス調整にしても、使う側から見たら、「ここがこのキャラの強み」というところをいじられると困ることも多くて、逆に対戦相手の目線から見ると「これは強すぎるから何とかして欲しい」っていう話もあって。でも、できることができなくなる、ということはお客さんのやる気をそいでしまいかねない、という部分もあって、難しいことかな? とも思うんですよね。そのせめぎあいをずっと続けてこられて来たと思うんですが、今回のAlphaロケテスト版はどういったコンセプトで調整されているんですか?

綾野氏: 今回のAlphaロケテスト版は、ユーザーさんの要望にどこまで矛盾なく反映できるかな、というところですね。なので、キャラクターの強さ弱さだけで言うと、今、最終的にはすべてのキャラクターがB~Aランクに抑えられるようにしていきたいなと思っているんですが、まだちょっとバラつきがあるので、ロケテストで皆さんの意見からまず「こんなことがやりたい」という意見を入れてみましたと。そこからバランス調整を皆さんと一緒に「強い、弱い」という部分を一緒に作っていきましょう、と思っています。

――そうすると、「これも」、「あれも」という皆さんの意見がある程度反映された、ある意味うらやましいバージョンかもしれませんね。新キャラクターに関しても、原作作品がありつつも、それが「ストIV」のフォーマットに載せられるということで、こちらも調整が大変だなと思いますが、いかがですか?

綾野氏: めっちゃ大変です。やばいです。

杉山氏: 全キャラとの組み合わせで調整しなくちゃいけませんし。時間がかかりますし。キャラを増やすと、自殺行為なんですよね、実は(笑)。

――ある意味、「破滅に向かって」る話ですよね。極端に言ってしまうと(笑)。

杉山氏: そうそう(笑)。すごいことになってますね。

――シリーズを重ねてきてすごいキャラ数になってますが、調整に関しての目処はもう立ってるんですか? 確信があってやってらっしゃることだとは思うんですが。

綾野氏: チャレンジですよね。「キャラクター、増やすの?」って社内からも言われましたし。

一同:(笑)。

綾野氏: 1番のライバルは時間ですね。本当に時間との勝負ですね。ロケテストを今やっていますが、その裏で目下バランス調整班が絶賛バランス調整をしている最中ですし。ワールドワイドで。

――アーケード版に関しては、お店で運営されていくものでもありますし、万人向けの要素と、eスポーツに使われる競技向けの要素と……ある程度の広いユーザーに対応させるのはかなり難しい調整になるかと思いますが、そのあたりはどうお考えですか?

綾野氏: 僕が思うのは、「ストリートファイターII」である程度のフォーマットはできているのかなと。アーケードゲームって、よくできたシステムだなと。「強いものが勝って生き残る」というある意味えげつないシステムですが、そこにゲーム性、ツールとしての要素を載せていくというのは、これまでカプコンの伝統芸能的にやってきたノウハウがありますので、そこは安心して任せてください、といいたいところですね。

――それと、家庭用のこともあると思うんですが、アーケード版との両立に関して「ストIV」ではこれまでどうだったんでしょうか? インカムに関してとか。

綾野氏: 家庭用版がリリースされるとインカムが一瞬落ちるんですが、その後不思議なことに持ち直して、一定のところで落ち着いて減らないんですよね。シリーズの特色ともいえると思いますし、シリーズを重ねてきたことでのジレンマでもあるんですが、コア層で固まってしまうという部分を、リアルのイベント……大会ですとか今回のロケテストもそうですが、そういったところで休眠していたユーザーさんや、新キャラクターに惹かれて新たに始めてみよう、といったユーザーさんに来ていただくことで、ユーザー層に新しい血を入れていきたいと思っていますね。

杉山氏: このタイトルは、他のタイトルではアーケードからコンシューマー版(CS版)が出ると、「CS版を遊んでればいいや」という方も多いですが、「ストIV」に関しては、CS版を買って練習して、またアーケードに戻ってきてくれるところが嬉しいところなんですよね。アーケード版、CS版ともに皆さんいいバランスで遊んでくださっているので、あまり心配していないと言いますか。アーケード版でも長く遊んでいただけるように、いろんなものを詰め込んでいますし。

――「ストIV」は持ち直しているということですが、その理由は何ですか?

綾野氏: ゲームが主役ではなくて、プレーヤーが主役なんですよね。だから、CS版でしか遊んでいないプレーヤーさんも、「あいつがゲーセンにいる」から「ゲーセンにいこう」という。そこが違うのかなと。

杉山氏: そこが相性がいいところなのかなと。

――先ほど新規のお客さんを取っていきたいという話もありましたが、そういったお客さんに対して「ウルトラ」で具体的にどうしていこう、と考えていらっしゃいますか?

綾野氏: 新システム、新キャラも入れましたし、これまで格闘ゲームが苦手で敬遠されていたお客さまにも、これまでプレイされてきたお客さまにも、本当にこれまでのシリーズと別のゲームと捉えてほしいと思っているので、一緒にゼロからのスタートになりますし、これはいいチャンスかなと思いますので、ぜひプレイしていただきたいなと。

――最後に、ロケテストに関して、メッセージをいただければと。

綾野氏: 今回のロケテストで僕が特徴的だなと思っているのは、全国6都市で一斉に開催、というところですね。東京だけではなくて、他の5地域の方々の意見も聞いてみたいと思っています。その5地域と東京の意見をあわせて、日本の意見を世界にアピールしていきたいなと思っています。明日からでもぜひ皆さん、触れていただきたいなと思います。

杉山氏: Alpha版からやる、ということで、なるべく多くの意見を聞きたいんです。「めちゃやりこんだ意見を聞きたいのか?」とか、それとも「まんべんなくいろんなキャラを触った意見が聞きたいのか?」と気になさってる方も入ると思うんですが、どんな意見でもかまわないです。でも、できればせっかくだから「ウルコンダブル」や新キャラ、旧キャラでもいろんな新しいところに触って楽しんでいただいて、それに対して「いい、悪い」といろんな角度から意見をいただければありがたいです。よろしくおねがいします。

(佐伯憲司)