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【ChinaJoy 2013】独特の様相を見せる東アジアでのアプリ広告ネットワーク

7月26日~29日開催(現地時間)

会場:上海新国際博覧中心(Shanghai New International Expo Centre)

 China Game Business Conferenceでは、iOS向けのAdways、とAndroid向けに展開するMetapsというアプリ広告ネットワークを展開する2社の紹介も行なわれた。それぞれ自社が広告展開を行なう市場をユニークな視点で分析しており、広告の展開先という情報だけでなく、ゲームをサービスするための地域ならではの特徴も語られた。

日本最大規模のiOS向けアプリ広告ネットワークを持つAdways

Adways China CEOの清水洋一氏

 Adways China CEOの清水洋一氏は自社の取り組みを説明した。Adwaysは「AppDriver」というiOS向けアプリ広告ネットワークで依頼を受けたメーカーのアピールを行なっている。iOS向けアプリ広告ネットワークとして日本で最大の規模であり、中国や韓国、台湾など東アジアを中心に展開している。中国では1日6万ダウンロード、韓国で2万、日本では20万のダウンロード型広告を提供している。

 AppDriverによる広告が入ったゲームタイトルは多く、中国ではApp storeのトップ50に9タイトル、韓国ではトップ50のうち25タイトルがAppDriverを使っている。空中網というコンテンツプロバイダーがスマートフォン事業に進出したときに広告を展開し、ARPU(月間売り上げ)が1カ月100元、ユーザー1人当たり9元の収入をもたらした。

 ユーザーの定義は2回以上ゲームにログインした人を指す。日本であまり受けなかったタイトルだったが、すぐに台湾に向けて広告をうつと言ったフレキシブルな動き方を心がけているという。台湾や韓国では好調な売り上げを記録し、更なるゲーム開発へ繋がった。このようにAdwaysは中国企業11社と契約し、アジア方面に広告を展開している。

 中国市場では現在1日に6万ものダウンロード型の広告がある。AppDriverはそのうちの2万を占め、広告主は200を超えているという。2/3がゲーム関連の広告で、1/3がブランドをアピールする広告だという。中国企業のアピールだけでなく、海外メーカーの中国へのアピールもAdwaysは手伝っている。

 ある日本メーカーは広告費の70%をAppDriverによるアピールのために割いているという。Adwaysはこのタイトルに関しては、中国国内に向けたローカライズ。カルチャライズも担当しており、5月に無料ランキング11位、ゲームランキングで5位になった。中国ではテレビ番組でアプリを紹介するものが放送されるようになり、こちらの番組製作にも関わっているという。

 Adwaysは今後も東アジアに向けてアピールしようとする会社とのビジネスを展開していく。ChinaJoyにも出展し、広告主を募集しているという。

【Adways】
東アジアで広告展開しているAdways。様々な資料で広告効果をアピール

Android市場の特殊性を活かすことで効率の良い広告展開を提案するMetaps

MetapsのHead of APACを務めるChoy Wai Cheong氏

 MetapsのHead of APACを務めるChoy Wai Cheong氏は、自社の取り組みを紹介した。MetapsはAndroidアプリ向けの広告モデルを展開している。Cheong氏は日本と韓国の市場を分析し、Androidマーケットへの分析を語った。

 Android端末の普及とユーザー数の増加、それによりGoogle Playの重要性は増している。やり方によって、より効率的にユーザーに自社の情報を届けられる。Androidユーザーは北米、日本、そして韓国に集中しており、全体の85%を占める。Google Playの広告はこの3カ国のユーザーが見ている可能性が高い。

 日本の場合はAndroidでのGoogle Playの利用者が増加し、高かった北米に2012年後半で追い付き、さらに追い越してしまった。しかもアプリのダウンロードで国別でそれほど高くないのに、収益ではトップに近い高ARPUとなっている。ゲームの利用者が多いという点でも見逃せない特徴だ。

 ゲームが売れるには様々なケースがある。トップランキングに表示されると、それからしばらくトップ近くにいることができる場合がある。また、ソーシャルゲームなどの場合はイベントでユーザーの興味を繋ぎ、息の長い収益モデルを構築できる。新規ガチャやイベントを定期的に投入することでプレーヤーも増える。ただ投入されるタイトルも多く、埋もれてしまう場合もある。とはいえ市場の潜在的な力として大きい。

 一方、韓国は他国と異なりAndroidユーザーの割合が非常に多い。「カカオトーク」といったアプリでの繋がりもあり、T Storeという独特のアプリサイトもあり、ユニークな市場となっている。また香港や台湾もユニークな市場として育ちつつある。

 こういった背景の中で、Androidでのサービスを行なう魅力は十分にあり、各地域の事情を頭に入れておくことで、広告をより効率的に投入できるとCheong氏は語った。

【Metaps】
日本と韓国が大きな存在感を示すAndroid市場
日本市場のユニークな点と、いくつかのタイトルのユーザーの推移
独特の展開を見せる韓国市場。台湾や香港の特色も紹介

(勝田哲也)