東京ゲームショウ 2011レポート

シリーズ初のリマスター版「Halo Combat Evolved Anniversary」プレビュー
新エンジン、3D立体視、Kinect対応、「Halo 4」とのリンクなど新要素をたっぷり搭載


9月15日~18日 開催(15日、16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 日本マイクロソフト株式会社は、11月17日発売予定のFPS「Halo Combat Evolved Anniversary」を東京ゲームショウに出展。ほぼマスター状態に近い日本語版をブースでプレイすることができた。メディアに対しては近くのホテルで開発者インタビューを実施。E3のタイミングではわからなかった「Halo Combat Evolved Anniversary」の細かい仕様や、ゲームの魅力について話を聞くことができた。

【クラシックとリマスターの違い】
E3レポートでも紹介したが、10年前のクラシックバージョンと、新エンジンによって実現されるリマスターバージョンとの違い。



■ 「Halo」10周年を記念したスペシャルパッケージ「Halo Combat Evolved Anniversary」

「Halo Combat Evolved Anniversary」パッケージイメージ
日本マイクロソフトブースでの出展の模様
今回取材に応じていただいた343 IndustriesゲームデザイナーのChad Armstrong氏(左)と、Microsoft Studios Halo Franchise TeamのFrank O'Connor氏(右)

 「Halo Combat Evolved Anniversary」は、「Halo」シリーズ10周年を記念して企画されたリマスターパッケージ。「Halo Combat Evolved」全編、すなわちグラフィックス、キャラクターモデル、サウンド、エフェクトなどをリマスターし、その上であえて10年前のBungie Studios謹製のクラシックバージョンもそのまま収録し、Backキーひとつで新エンジンによるリマスターバージョンとクラシックバージョンを切り替えられるというユニークな機能を搭載している。新たに2人による協力プレイにも対応しているため、仲間と共にキャンペーンを楽しむことができる。

 キャンペーンについてクラシックとリマスターの違いは、後述するターミナルの存在とグラフィックスだけだという。敵の強さ、数、位置はすべて同じで、バグもわざわざそのまま残しているという。また、「Halo」シリーズといえば優れたAIも売りだが、そこもあえて進化させず、プリミティブなAIをそのまま搭載して当時の味わいを楽しんでもらう考えだ。そのほか、モーションキャプチャー、カメラワーク、音楽などをパワーアップし、ボイスオーバーは当時のままということだ。

 マルチプレイについては、Xbox LIVEを介した最大8人によるマルチプレイにも対応。マルチプレイのゲームエンジンについては「Halo Reach」のものを採用し、共通のマップをダウンロードすることによって「Halo Reach」のユーザーとも対戦することができる。

 エンジンまわりについては、シングルプレイ部分は、シリーズ最新作「Halo 4」を手がける343 IndustriesとSaber Interactiveが共同開発し、マルチプレイについては、「Halo 2」 の時代からマルチプレイ用マップを作ってもらっているCertain Affinityが担当しているなど、非常に多くのメーカーが関わっている贅沢なプロダクトだ。大まかに言ってここまでがE3での発表内容だ。

 今回新たに判明した情報としては、3D立体視への対応、Kinectへの対応、「Halo 4」との関連性、そしてマルチプレイマップの詳細などが挙げられる。順番に紹介していきたい。

 まず3D立体視については、シングルプレイのリマスターバージョンのみ、インゲーム、カットシーン含めて全編が3D立体視に対応している。3D立体視でゲームを楽しむためには当然それに対応したテレビが必要となるが、パッシブ、アクティブなど複数の3D方式に対応しているという。

 3Dモードは、ポーズメニューからリアルタイムでの切り替えが可能で、立体感の調整も可能。同作はSFをモチーフにしたガンシューティングなので、3D立体視効果が鮮明に得られると手応えを感じているようだった。ちなみに現時点では「Halo 4」を3D立体視に対応させる計画はないということなので、ひょっとすると本作が最初で最後の3D立体視対応タイトルになるかもしれない。

 次にKinect対応については、実はまだ謎が多い。対応することは確定ながら、その詳細についてはあらためて10月頃に全容の発表を行なう予定ということだ。現時点では「Forza Motorsport 4」のようにあらかじめ登録されたボイスコマンドを使っていくつかのメニュー操作を音声で操作できるというもの。具体例としては新旧のグラフィックスを音声で切り替えられるほか、ストーリー要素に関連して「Halo」をより深く学べるための要素にKinectを利用するということだ。

 3点目、「Halo 4」との関連性については、10のステージに1カ所ずつ新設されているターミナルでのカットシーンにおいて少しずつ紡がれていくことになる。デモではその1つを見ることができたが、コンピューターターミナルのひとつにインカミングメッセージが届き、それをチェックするとターミナルの反応からエイリアンがコンピューターターミナルを乗っ取ったことが判明し、謎めいた暗号、数字などが表示されるというもの。  正直なところさっぱり意味がわからなかったが、O'Connor氏によれば、あえて混乱するように作っているという。通しで見ることによって謎が解き明かされていくという。なお、「Halo 4」の繋がりの内容については、プロローグに繋がるみたいなそのものズバリではなく、なんとなく匂わす程度ということで過度なこの点については過度な期待は市内方が良さそうだ。

【キャンペーン】
初代の面影を思い出すのが難しいほど美しくなっている。ゲームエンジンは「Halo 4」とはまた違うということで、「Halo Reach」と同等程度のグラフィックスを実現している



■ ついにすべてのマルチプレイマップが公開。残り2つは「Halo 2」の「Headlong」と「Halo」の「Hang 'Em High」!

マルチプレイについて語るO'Connor氏
「Halo」シリーズお馴染みのリングも美しく再現
こちらは「Halo」PC版に盛り込まれた山岳地帯のマップをリメイクしたもの

 4点目のマップについては、現在発表されている5つのマップに加えて、残り2つのマップの情報も得ることができた。これによりすべてのマップの情報が公開されたことになる。まず、発表済みのマップは以下の通り。

「TIMBERLAND」(ティンバーランド)-「Halo」PC 版に含まれていた山岳地帯のマップを、「Halo: Combat Evolved Anniversary」でマルチプレイヤー用マップとして美しくリメイク。かつて眼下に広がる中継ステーションの監視ポイントとして使用されていた頂上付近の前哨基地は、アルファ Halo での戦闘時の軍事拠点となった。対コヴナント戦において、海兵隊に悲劇をもたらした場所でもある。樹木に覆われた渓谷、起伏に富んだ丘陵地帯、川の急流などが特徴で、乗り物を使用した大規模な戦闘に適している。(8 - 16 プレイヤー用)

「PRISONER」(プリズナー)-「Halo」で接近戦のスリルと興奮をもたらしたマルチプレーヤーマップがリメイクされて再登場。この隔離施設はフォアランナーの優れた技術を証明するものであり、準軌道の座標と厳しい低温環境が敵の侵入を防ぐと考えられていた。しかし、結果的にはこの見通しは甘かったと言えるだろう。複数の階層からなり、複雑に入り組んだ回廊や多数のブリッジ、傾斜路が存在するこのマップでは、緊迫した接近戦が楽しめる。(2 - 8プレイヤー用)

「INSTALLATION 04」(インストレーション ゼロフォー)-『Halo』のキャンペーンミッションで使われたマップが Firefight モードで蘇る。長い『Halo』の歴史の中でも特に印象深い、フォアランナーの巨大尖塔を望むマップだ。アルファ Halo に多数存在する断崖の上に位置し、UNSC の戦艦オータムがコヴナントの攻撃を受けた際には、生存者達との合流地点にもなった。この場所で救出されるまで、伝説となっている ODST のメンバーを含む生存者達は、コヴナントの猛攻を辛うじて食い止めた。断崖にそびえるフォアランナーの建造物群は、侵入してくる敵からの攻撃を防御するのに格好のポイントとなる。(1 - 4プレイヤー用)

「DAMNATION」 (ダムネイション)-「Halo」からのファンに人気のマルチプレーヤーマップが、ディテールにもこだわり驚くべき進化を遂げて再登場。グラントの母星の主衛星であるブワンには、コヴナントの巨大水処理施設があり、様々な主力艦に燃料補給を行っている。自動システムにより稼働可能な状態であるにもかかわらず、コヴナント断絶後、この施設は遺棄された。左右非対称の複数の階層からなっており、 見通しの良いポイントと戦略的な通路が多数設置されている。(2 - 8 プレイヤー用)

「BEAVER CREEK」(ビーバー クリーク)-「Halo 2」でお馴染みのマルチプレーヤーマップが復活。このマップのルーツは『Halo』の伝説のマップ “Battle Creek” である。岩に囲まれた迷路のようなこのマップにはテレポーターがあり、同期コンジットによりリングの転移座標が常に稼働するようになっている。渓谷に位置する左右対称のベースが舞台のこのマップは、個人戦にもチーム戦にも適している。(2 - 8 プレイヤー用)

 そして今回の取材で明らかになったのが「Hang 'Em High」(「Halo」)と、「Headlong」(「Halo 2」)となる。いずれもマルチプレイで人気を博したマップで、リマスターされた美しいマップでマルチプレイを楽しむことができる。発表済みのマップについても、キャンペーンから一部を切り取った「TIMBERLAND」のようなリメイクや、Firefightモード用として作り直した「INSTALLATION 04」のような展開もあり、「Halo」ファンには至れり尽くせりのマップとなっている。

 なお、これらのマルチプレイマップについては後日、ダウンロードコンテンツとして販売を行ない、「Halo Reach」のユーザーに対してもこれらのマップで遊べるようにするという。7マップで20ドル前後を予定。キャンペーンもセットで楽しみたいなら文句なしに「Halo Combat Evolved Anniversary」(3,990円)がおすすめだが、マルチプレイだけやりたいという人はDLCを待つのも手だ。



 E3の時点で「Halo Combat Evolved Anniversary」は、シングルプレイキャンペーンにこだわりぬいた作品であることは理解していたが、今回の取材でマルチプレイもそれと同じぐらいのエネルギーを注いで作っていることがよくわかった。その理由についてO'Connor氏は、「『Halo』はもともと大学の寮で人気を集めたタイトルで、当時彼らは初代Xboxを1つの部屋に持ち込み、LANケーブルで繋いで対戦していた。今ではそんなことをしなくても簡単にオンラインで対戦できる。当時そういう手間暇をかけて遊んだ人は、この機会にリマスター版でもう一度遊んでみてもらいたいし、新しいゲームファンはこの作品を通じて『Halo』シリーズというものを知ってほしいんだ」と熱っぽく語ってくれた。遊び手だけでなく作り手にもいろんな想いがこもった作品と言えそうだ。

 最後にO'Connor氏は、「私は本当に日本のことが大好きで、いつも戻ってくるのを非常に楽しみにしています。特に食べることが好きで、ラーメンが大好きです(笑)。「Halo」シリーズは日本にもコアなファンがいますので、楽しみにしています」とむしろ日本愛を語ってくれたのが印象的だった。「Halo」ファンはぜひ共に楽しみたい記念碑的作品だ。

【マルチプレイ】
マルチプレイモードは「Halo Reach」と同じ16種類。懐かしのマップ7枚で存分に楽しみたいところだ

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(2011年 9月 18日)

[Reported by 中村聖司]