「グラナド・エスパダ ルネッサンス」レポート“新生編”
テンポとバランスを重視した全面的なリファインで序盤はまるで違うゲームに!


8月6日収録


 株式会社ハンビットユビキタスエンターテインメント(HUE)は8月12日、MMORPG「グラナド・エスパダ プラス」のタイトルを「グラナド・エスパダ ルネッサンス」に変更し、様々な新規要素の追加、全面的なタイトルリニューアルを行なう。

 今回のリニューアルは「全コンテンツの見直し」、「新規コンテンツの追加」の2つの大きな側面がある。「グラナド・エスパダ ルネッサンス」は新コンテンツを追加しただけではなく、全ての既存コンテンツを見直し、ゲームクリエイター キム・ハッキュ氏が求める「理想の『グラナド・エスパダ』」に生まれ変わる。

 リニューアル後はゲームの進行スピード、バランス、展開も変え、仲間にできるキャラクター、アイテムのパワーアップなど、多岐にわたる。レベルアップがしやすいと言った単純なものではなく、キャスト編入やクエストをわかりやすく提示するなどゲームの「目標」をわかりやすく提示するなど、インターフェイス全般を見直している。5年にわたって積み重ねたコンテンツをここまで劇的に「再構成」するタイトルは例を見ない。

 しかもただ簡単に、手軽にしたのではない。キム・ハッキュ氏らしい「ゲーム性へのこだわり」も強調されている。リニューアルは改めて「グラナド・エスパダ」を見直す機会となる。このため、弊誌ではリニューアル部分を「新生編」、新規コンテンツを「飛翔編」として掲載する。「新規コンテンツが楽しみだ」という既存ユーザーには先に飛翔編を読むことをおすすめしたい。




■ アクセスしやすいマップ、クエストによりプレイしやすく。目標シンプルにするアイテム「輝く水晶」導入

HUEオンライン事業部長兼プロデューサーの中尾圭吾氏
オンライン事業本部オンライン事業1部「グラナド・エスパダ」ディレクターの田山桂裕氏

 今回、「グラナド・エスパダ ルネッサンス」の説明を行なったのはオンライン事業本部オンライン事業1部「グラナド・エスパダ」ディレクターの田山桂裕氏。田山氏が説明する各コンテンツに対して、オンライン事業部長兼プロデューサーの中尾圭吾氏がコメントを加えるという形で進行した。

 「グラナド・エスパダ ルネッサンス」のリニューアルのテーマは「間口の広さ」だと中尾氏は語る。「グラナド・エスパダ」の全コンテンツを見直し、バランスを調整するだけではなく、より間口の広いプレイ環境の提供と、本作ならではのアピールを行なっている。

 インターフェイスは見やすさと共に機能が強化された。マップ画面とクエスト画面は特に強化され、その地域で受けられるクエスト一覧と、「位置確認」のボタンを押すだけでクエストの目標であるNPCの位置がわかり、さらにそのマークをクリックするだけでキャラクターがそちらに向かって移動する。クエストのバランスも調整されているため、クエストから冒険、そして街に帰ってきて報酬の受け取り、という手順が快適になった。

 マップに関してはフィールド単位の「ゾーンマップ」では、NPCが全て表示され、マップをクリックするだけで移動できるため、アイテムの購入も便利だ。また、「ワールドマップ」にも受けられるクエストが表示されるようになり、進む道がわからなくなったときのガイドとなる。

 ユニークなのはメインメニューにある「グラナド情報」の「キャラクター図鑑」だ。ここにはこれから仲間にできるキャストの一覧表があり、挑戦できるクエストのレベル、キャストキャラクターの詳細な情報がある。さらにそこからキャラクターの装備変更による外見確認もできる。プレーヤーの「目標」がわかりやすく提示され、コンテンツをさらに楽しもうという意欲が生まれると感じた。ちなみに、最初から作るキャラクターの衣装に関しては「ドレスルーム」というメニューから様々な衣装を試せる。

 インターフェイス以外の変更点で最も大きいものが「輝く水晶」という新アイテムだ。このアイテムはモンスターからのドロップやクエストクリアで入手でき、序盤の装備品の交換や、“ソケット”のあるアイテムへのステータスアップ、またキャスト編入のために使用するなど用途は様々だ。これまでの「グラナド・エスパダ」では“Vis”というゲーム内通貨が使われているが、今後はVisに加え、輝く水晶もプレーヤーの大きな資産となる。

 輝く水晶は初心者が揃える装備の「目標」としてわかりやすい。モンスターからのドロップで特にうれしいアイテムになる。これまで有料アイテムを使わなくてはできなかった、「ベテラン」、「エキスパート」、「マスター」クラスへの昇級を輝く水晶を使ってできるようになる。さらに有料アイテムを使わなくては編入できなかったキャストに関しても、輝く水晶を使うことで仲間に加えることが可能になっている。

 また、キャストの多くは編入のための必要アイテム数が減っていたりと条件が緩和されている。クエストアイテムのドロップ率も上昇し、全体的にキャスト編入のためのハードルは下がる。既存プレーヤーも「ルネッサンス」後は、これまで仲間にしていなかったキャストを得るために積極的に活動するプレーヤーが増えるだろう。


インターフェイスをより見やすくリニューアル。キャラクターの頭の上に「吹き出し」が出るようになった
仲間にできるキャストがいきなり一覧できる「キャラクター図鑑」。各キャストの詳細な情報、入手条件が閲覧できるだけでなく、外見カスタマイズすら先行して見ることができる
ゾーンマップでは、NPCの場所がすぐわかり、マップをクリックするだけで移動できる。クエストは青いマークで表示される。ワールドマップでも受けられるクエストが確認できる。右は輝く水晶で入手できるアイテム



■ 快適さだけではない、ゲーム性、キャラクター能力を確認しながら進めるゲームバランス

最初に作るキャラクターはスカウトに固定。自由度よりも、ゲームを進めるための快適さを優先させた判断だ
輝く水晶はクエストだけでなく、ドロップアイテムでも入手できる

 中尾氏が初心者に大きくアピールしたい要素が「バランスリニューアル」だという。特にゲーム序盤のバランスを調整することで、間口の拡大を目指している。バランス調整は、キャラクター作成の時からすでに行なわれる。「グラナド・エスパダ」では最初に3人のキャラクターを作ってスタートするのだが、最初の1人は「スカウト」に固定されているのだ。

 これは、最初に作るキャラクターの内、回復スキルが使えるのがスカウトしかいないためだ。スカウトがいない場合はモンスターからドロップされる回復アイテムだけが頼りとなるため、ゲームを進めるのが困難になる。キャラクターの組み合わせが楽しい本作なのに、固定メンバーを提示するというのはいささか強引と感じたが、「快適にゲームを進めさせる」という意志を象徴している要素だと感じた。

 クエストが受けやすくなり、冒険フィールドで敵をどんどん倒していくことで、レベルが上がる。このテンポを“早く”していく工夫が随所にされている。序盤のモンスターは“強め”に設定されており、その分得られる経験値が多い。そしてレベルアップすると数十分キャラクターの能力が上がる「レベルアップバフ」がかかることで、短時間でレベルアップを繰り返すとますます有利になる。

 また、空中に飛んでいる敵をファイターの近接武器を持つスタンスでは攻撃できなかったが、挑発スキル「プロヴォーグ」を使うと地上に落とすことが出来るなど細かい変更が行なわれている。また、モンスターは「輝く水晶」や強化された装備アイテムをドロップするようになり、これまで以上にモンスターを狩る楽しさが増えている。テストプレイでも、モンスターを倒し、キャラクターが育つテンポの快適さを感じることができた。

 「グラナド・エスパダ ルネッサンス」のゲームバランスはただ快適なだけではない。レベル10までは1時間足らずで上がり、このまま先に進めるのかな、と思っていたのだが、最初のダンジョン「アル・ケルト・モレッツア」でガツンと壁にぶつかるのだ。敵がレベル10以上でしかも数が多く囲まれやすい。ここからはどう勝つかに工夫が必要となる。

 ここではじめて、プレーヤーはキャラクターの“強化”に注意を向ける。最初から与えられている「初心者用エンチャントチップ」を使う必要性にも気付くだろう。このチップはランダムでアイテムにオプションをつける事ができ、初期装備でも強化が可能だ。また、モンスターがドロップした「ソケット」付のアイテムには輝く水晶をつけて強化することができる。敵と戦うためにはどんな戦い方をすればいいか、有効なスキルを模索するようにもなる。ここで改めてプレーヤーは「グラナド・エスパダ」のゲーム性に向き合うのだ。

 気持ちよくレベルアップさせてから、立ち止まらせ、改めてゲームとキャラクターのポテンシャルを模索させるこのバランスには好感を持った。単純に手取り足取り教え、安全な「道」を作るのではなく、あえて壁を設けるのは開発者自身のゲーム性へのこだわりを感じた。序盤のゲームバランスを感じさせるためのテストプレイは、壁を感じキャラクターを強化するところで終了となったが、この後もキャラクターを育てていきたいと思った。

 ただ、この壁を感じるところでは、プレーヤーに対して注意を促す必要も感じた。ここまでが快適に進められてしまうだけに、エンチャントなどの強化策があること、スキルを使って有利に戦うことなど、気がつかなくて進めてしまうプレーヤーもいるかもしれない。このガイドラインはもう少ししっかり用意して欲しいと感じた。

 また、序盤では「輝く水晶」というアイテムが便利に使える一方、ゲーム内通貨であるVisは全く手に入らない。これは実はモンスターからのドロップ品で使わないアイテムなどを売ることで入手できるのだが、街のサービスにもVisが必要なものがあり、リニューアルに合わせ切れていない部分も感じた。こういった部分は、もう少し実際のゲームをプレイしていって確かめていきたいところだ。

 「グラナド・エスパダ ルネッサンス」の序盤部分はかなり快適に、そして楽しくゲームを進められると感じた。序盤から強化策が提示されおり、これを駆使して難局を突破していくバランスは興味をそそられた。序盤から編入キャラクターを提示したり、受けられるクエストもマップをクリックするだけで進められたり、いささか無機的ではあるものの、目標が明確で、「ゲーム」としての楽しさを追求していると感じた。

 3人のキャラクターを駆使すると言うところも含めて、「グラナド・エスパダ」は“ゲーム性”へのこだわりは強い。コミュニティーや“繋がり”の前に、まずソロプレイでたっぷり楽しみたい、エキサイティングな戦闘をやりこみたい、というユーザーにお勧めしたい作品だ。


序盤のクエストは仲間の兵士と共に進むことで、強力な敵と戦えるバランスになっている。フィールドでも強力なアイテムがドロップされるなど、戦う楽しさを提示している
序盤のクエストで初期アバターアイテムなど様々なアイテムが支給される。敵のいるマップでもクエストが受けられ、快適なレベルアップが図れる
気持ちよく進めていたプレーヤーを足止めするダンジョン「アル・ケルト・モレッツア」。装備の強化や、スキルポイントの割り振りなど、改めてキャラクターのポテンシャルを見つめ直す必要がある
輝く水晶はランクアップや、キャスト導入にも必要だ。初心者に限らず中~上級者にも魅力的なアイテムとなるだろう

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