SCEJ、PS3用地上デジタルレコーダーキット「torne」体験会開催
「TVを遊ぶ」仕掛けが満載。ゲームと同時録画も可能に
「torne(トルネ)」の商品画像。セットには地上波デジタルチューナーの他、PS3用ソフトウェア、B-CASカード、そしてコード類がパッケージングされている |
PSPのリモートプレイにも対応。ただインターネット上から録画の予約などは行えないPSPに書き出して見ることも可能。この場合、“ムーブ(移動)”ではなく“コピー(複製)”となる。このため9回まで可能となる |
株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEJ)は、1月14日に発表したプレイステーション 3用地上デジタルレコーダーキット「torne(トルネ)」の体験会を報道関係者に向けて行なった。「torne」の発売時期は3月を予定しており、価格は9,980円。同社開発陣によれば、現在も開発が進められている途中だという。
「torne」は地上波デジタルチューナーとPS3用ソフト、B-CASカードとコード類がセットとなっている。チューナーとプレイステーション 3はUSBケーブルで接続。付属のディスクに収録されているプレイステーション 3用ソフト「torne」をインストールすることでクロスメディアバーに「テレビ」の項目が現われ「torne」が利用できるようになる。インストール後は付属のディスクは不要となる。本体内のハードディスクだけでなくUSBで接続した外付けのハードディスクに記録することもでき、外付けハードディスクは最大8台まで登録可能。USBハブを使えば最大4台まで同時に接続可能となっている。
BDリモートコントローラ(別売のリモコン)でもデュアルショックなどのコントローラーでも操作可能。インターフェイスもシンプルで録画もスムースに行なうことができる。さらにゲームをプレイ中にバックでテレビ番組の録画を行なうこともできる。同社開発陣によればCPUやメモリのリソースを極力使わないプログラムの開発を行なったと言い、ゲームプレイ中に使用しないCPUを使用するなどしているという。
ただし、ゲームプレイ時に同時に録画する機能は購入時のデフォルト設定では無効になっている。これについては「基本的には影響は及ばない」としているが、「ゲームに軽微な影響が及ぶ可能性もある」ということから、この内容を納得した上で同時録画機能を有効にすることで利用することができるようになる。ちなみに、プレイステーション 2との互換性を持つ初期型の20GB、60GBモデルにおいて、プレイステーション 2のプレイ中に同時に番組録画を行なうことはできない。ハードウェアの特性上の問題で、同時にエミュレートを行なうことはできないという。同タイプの機種でもプレイステーション、プレイステーション 3プレイ時には同時に録画することは可能。
基本的には地上デジタルレコーダーだが、「TV番組を楽しむため」の仕掛けが多数用意されている。プレイステーション 3をネットに接続すると、“どの番組を試聴している”、“どの番組を予約録画している”といったデータをサーバー側が自動的に集計。メニューのチャートからリアルタイムに見ることができる。さらに、番組一覧の検索でこの人気順に番組を表示することもでき、人気のある番組を録画するといったことも可能となっている。
テレビや録画したビデオを表示している場面でインターネットの検索を行なうことも可能。検索を行なうと、左画面に映像を表示しながら右画面で検索結果を表示。さらに番組を見ながらインターネットを楽しむことも可能となっている。
PSPとの連携も用意されており、リモートプレイでプレイステーション 3と接続し録画などの操作を行なうことが可能。また、プレイステーション 3とPSPを接続し録画した番組をコピーすることができる(コピー回数は9回まで)。コピーする時は標準画質(512Kbps)と高画質(1Mbps)から選択可能。複数の番組を選択し一気にコピーすることも可能となっている。
トロフィーコレクション機能にも対応しており、ジャンルや時間などでトロフィーがオープンするという。しかし、今回の体験会では細かな条件については明らかにされなかった。
実際に操作した感じはとにかく軽快という言葉がピッタリ。サクサクを表示され、番組表などもほぼ1日分を表示したところから目的の番組へと拡大していきアクセスすることができる。また、ネットとの親和性を重視した機能が用意されているのも面白い。実際にチャットなどができる機能が搭載されているわけではないが、自分以外の人がどの番組をどれくらい見ているのかがわかる機能は楽しめる。ユーザー数が増えれば増えるほどこの機能は活きてくることだろう。同社によれば発売後は機能アップデートを行なっていくと言うことで、テレビを楽しめる機能がどんどん追加されていく可能性がある。そういった意味でも楽しみだ。
「torne」を2台繋げてもダブルチューナーにならないといった点や(技術的には同時録画も可能かもしれないという)、番組予約はアカウントをまたいで1つしかないため、例えば弟がお姉さんの予約している番組をキャンセルできるといったことも可能な仕様であるなど、問題点とも言える部分もあるが、アップデートなどもどんどん行なわれるようなので、様々な楽しめる要素が増えていくことが期待される。
■ コントローラーのアナログスティックは今後のために取ってある
報道陣からのインタビュー形式で答えた開発陣。左からJAPANスタジオ制作部ゲームデザイナーの西沢学氏、ソフトウェアプラットフォーム開発部開発リーダーの石塚健作氏、商品企画部の渋谷清人氏 |
体験会の後半では「torne」の開発に携わったJAPANスタジオ制作部ゲームデザイナーの西沢学氏、ソフトウェアプラットフォーム開発部開発リーダーの石塚健作氏、商品企画部の渋谷清人氏が取材陣の質問に答えた。
まず最初に「torne」のコンセプトについて渋谷氏は「2008年にヨーロッパで『Play TV』が出て、日本でもテレビを視聴し録画してエンターテイメントの幅を広げることができるのかということについて社内で論議していた。ストレスなくプレイステーション 3で実現できるレコーダーとは?と考えた」とコメントし、プレイステーション 3でテレビを楽しむためにできることを詰め込んだ商品が「torne」であると説明した。ちなみに「Play TV」と「torne」は全く別の商品で、「torne」は日本で一から製作されたアプリケーションだ。
「torne」の開発にあたってこだわった点を聞かれた西沢氏は「レスポンスやスピード感にこだわった。少ないボタンの数で気持ちいい感触を生み出すことは、ゲームの開発から応用した」と語った。また、リビングにおいてもおかしくない「かっこよくおしゃれな画面を目指した」と、インターフェイスのデザインなどにも気を配ったという。
一方、開発を担当した石塚氏は「商品企画からは『CELLなんだから何でもできるでしょう?』と言われたが、できることとできないことがある。プレイステーション 3としてストレスなくテレビを録画でき楽しめるようした」と番組検索のスピード感などを重要課題として取り組んでいったことを明かした。
今後のアップデートについては、現在まだ開発が続けられている段階で内容までは決まっていないようだが、「ネットワークを使った要素、トロフィーなどゲーム的な部分といった楽しんでもらえる企画は出ている」と言うことで、こういった追加要素が期待される。
渋谷氏は「10万円のレコーダーが市場にある中でそういった製品と競争しようという考えはない。プレイステーション 3ならではの楽しさをユーザーに提供したい。その中で価格も策定していった」とコメントし、9,980円と1万円を切る価格が採用されたのは直近になってからだと語った。渋谷氏はさらに「我々はチューナーを提供したいわけではない。プレイステーション 3でなにを楽しめるのか?」と言い、「torne」がコンテンツの1つとして生まれた事を強調していたのが印象的だった。
開発途中に、キャラクターが登場するようなゲーム的な企画もあったと言うが、現在のようなシンプルながらも楽しめる要素が盛り込まれたスタイルに落ち着いた「torne」。西沢氏は最後に「ゲームの持つレスポンスの良さを大切に基本形を作り込み、その上に各要素を乗せていく。今後も大きく育てていきたいと考えている」とコメント。ちなみに「方向キーで操作することは古くないか?」との質問に、「アナログスティックは今後のために取ってある」と答えており、まだまだ驚きの要素が追加される期待感がある。まだ開発は続けられていると言うことで、3月に発売されることを楽しみに待ちたいところだ。
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□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「torne」のページ
http://torne.jp/
(2010年 1月 21日)