セガ、PSP「戦場のヴァルキュリア2」プレミアム体験会を開催
開発者を迎えてのトークショウではちょっとしたネタバレも披露
会場には36台の試遊機が用意。参加者たちは上映されるプロモーションムービーを見つつイベントが始まる瞬間を待ちわびていた |
株式会社セガは、12月23日、2010年1月21日に発売予定のPSP用ソフト「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」(以下、本作)を、発売に先がけて体験できるイベント「『戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校』プレミアム体験会~ガリア公国ランシール王立士官学校 体験入学~」を、同社の本社1号館にて3部に分けて開催した。
本イベントは、事前に公式ホームページから応募した人の中から抽選で選ばれた100名が、本作の製品版を一足先に体験できるという内容で、約1時間半ほどの間自由に楽しむことができた。
今回は、この体験会の中で製品版の序盤をプレイして判明した内容と、開発者を迎えて行なわれたトークショウを中心にレポートしていこう。
■ 体験プレイでは学園ドラマとしてパワーアップした内容が楽しめた
“BLiTZ”に初めて触れる人も、すぐにこの独特の戦闘システムに慣れていき、最後には自由に動かせるようになっていた |
今回のプレミアム体験会では、ゲームを最初からプレイできるのはもちろん、公式ホームページやPlayStation Storeで配信されている体験版をやり込んだという人向けに、上級兵種などのちょっと先の内容が楽しめるデータも用意。参加者の習熟度に合わせた方法で、本作を楽しめるようになっていた。
今回取材した13時から行なわれた第2部では、始めからプレイする人と途中のデータからプレイする人の割合は2対1ぐらいとなっており、関係者に教わりながら本作の戦闘システムである“BLiTZ”に初めて触れる人もいれば、途中のデータから初めて、上級兵種などを使いながらどんどんミッションを進めていく猛者もいた。
ここからは、今回のプレミアム体験会でプレイする中で判明した本作の内容について、紹介していこう。
ゲームを最初からスタートすると、主人公であるアバンの住む街が反乱軍に襲われるところからスタート。そこから士官学校に入学して、ヒロインのコゼットやダルクス人のゼリと出会っていく過程を知ることができた。
序盤は、本作のゲームの進め方についてのチュートリアルが主となっており、戦闘システム“BLiTZ”を用いた戦闘の進め方から、本作で追加されたエリア移動について、遊びながら理解できるようになっている。
士官学校への入学は1月からスタート。用意されているミッションの中から指定された数をクリアすることで次の月へと進み、ストーリーが進むとともに、新たなミッションが選択できるようになるようだ。
アドベンチャーパートの舞台となるランシール王立士官学校内では複数のイベントが用意されており、校内の「!」マークがついた場所に移動すると、アバンが所属するG組の生徒を中心にさまざまなイベントが発生することが確認できた。しかも、これらのイベントは、ミッションをこなして士官学校に戻ってくるたびに新たなイベントが発生することも多く、G組の生徒達の置かれている状況や抱えている問題が感じとりやすくなっている。前作の義勇軍の兵士たちが、一部の主要なキャラクターを除くと、ゲーム中での絡みがあまりなかったのに比べると、本作のクラスメイトたちは全員が主要キャラクターに昇格したかのように親しみやすく感じられることだろう。
そのほかにも校内にはさまざまな施設が用意されている。ミッションで獲得した経験値を使って、兵科をレベルアップできる兵科教錬場や、戦車のカスタマイズができる研究開発棟、ミッションを始める際に訪れる作戦準備室のほかにも、世界の情勢や校内のさまざまなゴシップが載った新聞が購入できる購買部、これまでに起こったイベントやG組のクラスメイトの情報が確認できるアバンの部屋など、約1時間半という限られた時間ではすべての場所を回りきれないほどのボリュームが用意されていた。ここからは、本作のもう1つのメインパートといえるバトルパートについて紹介していこう。ステージに配置したユニットを選択することでアクションシーンに移行し、敵がリアルタイムに迎撃してくる中を目標に向かっていく戦闘システム“BLiTZ”はそのままに、前作のように風で草が常にたなびくようなことはなくなったものの、水彩画風の温かみのあるグラフィックスの“CANVAS”ももちろん健在だ。
前作から変更された部分としては、ステージがいくつかのエリアに分割され、拠点を通して移動できるようになったことが挙げられる。各エリアは1画面中に収まる程度の広さになっており、エリア切り替えもL・Rボタンで行なえるため、戦場全体に素早くアクセスできるようになっている。また、エリア間の移動は拠点を通して行なうようになっており、目標を達成するための進軍ルートを、よりよく考える必要がありそうだ。
また、各エリアに配置できるユニット数は5つまで、ステージ全体では6つまでとなっていた。複数のエリアにユニットを配置してミッションを開始することもできるので、戦力を集中してエリアを1つずつ攻略していくか、あえて分散して複数のエリアを平行して攻略するかなど、どのエリアに戦力を配置するかに頭を悩ませることになりそうだ。
そのほかにも、主人公であるアバンのみが発令できるオーダーは、全体的に消費CPが多くなっているようだ。前作ではオーダーを重ねがけすることで、無理やり敵中突破するような遊び方もできたが、本作で同じことをするには、数ターン犠牲にしてCPを貯めこまなければならない。
細かいところでは、前作ではオーダーで行なっていた強制退去が、本作ではどのキャラクターでも行なえるようになっていた。特に拠点内にいるキャラクターは0CPで退去させることができるため、拠点防御のために兵士ユニットを配置しておき、エリア全体を制圧して安全になったところでCPを使わずに別エリアから出撃させる、なんてこともできるようになっている。
■ トークショウでは開発者が参加者のさまざまな質問に答えていた
「ペーパークラフト戦車の作成時間は?」などの珍問も飛び出す、なごやかなムードの中、本作のチーフプロデューサーである株式会社セガの田中俊太郎氏(写真左)とプロデューサーの本山真二氏(写真右)が、参加者の質問に答えていた |
約1時間30分の体験プレイの後には、本作のチーフプロデューサーである田中俊太郎氏とプロデューサーの本山真二氏を迎え、参加者とのQ&Aなどを含めたトークショウが行なわれた。プレイしたての参加者達から寄せられる質問や感想に対して、2人はちょっとしたネタバレを含めつつ返答していたので、ここからはトークショウの内容をピックアップして紹介していこう。
Q.前作はプレイステーション 3だったのに、どうして今回はPSPになったのですか?
A.今回参加した人にもいらっしゃると思うのですけれど、初めて「戦場のヴァルキュリア」を触るという人もいると思うんです。そんな中で「戦場のヴァルキュリア」を遊ぶ人をもっと増やしたいというのが1つ。あと今回プレイしてはいただけなかったのですが、通信プレイというものをやりたいというのが1つですね。新しい通信プレイを作りたいということで、通信プレイが手軽にできるPSPを選択しました。ただ、前にブログにも書きましたが、PS3で遊んでくれているユーザーさんもいるので、その期待には何らかの形で答えていけたらな、と思っています。
Q.前作のハンスのようなマスコットキャラが出てきますか?
A.ブログにも出てきているのですが、ヤーデという鳥がでてきます。今までちゃんと紹介したことがなくて飲んだくれキャラのように認識されてますが(笑)。ストーリーの中で重要に絡むところもありますので、ヤーデをよろしくお願いします。
Q.今回はアニメ版やコミカライズ版などのゲストキャラ5人を操作できる楽しみがあるのですが、なぜ登場させようと思ったのか教えてください
A.TVアニメやコミックから入ったユーザーさんがいると思うんですよ。そういった人が「戦場のヴァルキュリア2」に入りやすくするためにゲストキャラを準備しました。なぜあの5人なのかと思うかも知れないですが、実はあの5人は特別に選ばれたキャラクターではなくて、ほかにも実はゲストキャラはたくさん用意しています。その辺りの情報は、明日以降徐々に出していきたいと思いますので、楽しみに待っていてください。
Q.クリアするまでのプレイ時間は何時間くらいですか?
A.要はどれくらいのボリュームがあるかということだと思うのですけれど、普通にエンディングに行くだけだと30時間くらいかかるのではないかと思います。まっすぐ脇目もふらずにエンディングを迎えるとそれぐらいになります。全部のエピソードを網羅していくと100時間くらいはかかると思います。さらに、このゲームには勲章というやり込み要素を用意していまして、勲章を全部集めると300時間ぐらいかかるのではないかといわれています。ストーリーを楽しむだけで30時間ぐらいですが、それ以降もずっと楽しんでもらえると思っています。
トークショウの最後、本山氏は参加したファンに向けて「本日はお寒い中参加していただいてありがとうございました。皆さんのプレイを見せていただいて、私や田中はもちろん、スタッフ一同やってよかったな、とありがたい思いでいっぱいです。発売まであと1カ月ぐらいなんですけれど、楽しみに待っていていただきたいと思います。ありがとうございました」とメッセージを送っていた。
田中氏は「あと1カ月待っていただければ、フルで遊べるバージョンを皆さんにお届けできます。今日遊んでもらったのは、さわりのほんの一部ですので、エイリアスがどうなるのかとか、アバンやゼリがどういう運命を辿るのかというところは、皆さんの手で確認していただきたいなと思います。製品版を楽しみにしていてください。本日は本当にありがとうございました」とコメントして、本イベントを締めくくっていた。
敬礼でフォトセッションに応える田中氏と本山氏 |
体験会終了後にはプレスを集めてのフォトセッションと囲み取材が行なわれた。ここからは、囲み取材でわかった内容についても紹介していこう。
Q.今回いろいろとパワーアップしていると思うのですが、ここを見てほしいというポイントはありますか?
A.クラスメイトが全30人とたくさんいて、それぞれにエピソードを用意しています。なぜ士官学校に入学してきて、何のために戦っているかというドラマをしっかりと用意したので、そういったところを見てもらいたいなと思います。システム面でいうと、今回から入ったエリア移動というシステムがあるのですが、敵もこっちのエリアを奪いにきたりするというAIになっています。各エリアに戦力をどう配分するのか? どう攻めてどう守るのかという駆け引きが重要になっていますので、骨太な戦略性が追求できたと思っています。
Q.先ほどAIの話が出ましたが、AIの思考回路についてこういったところを強化したというところがあれば、詳しく教えてください
A.各兵科に特徴があるので、今回はAIでそこを重視しています。突撃兵みたいな兵種は突っ込んでくるし、支援兵は味方を回復したり、狙撃兵は動かずに撃ってくるわけですね。今回兵種がたくさん増えたので、兵種ごとのパターンに合わせた思考をつけた部分が大きいです。あと、今回はエリア切り替えがあるので、拠点を守るということが非常に重要なんですよ。なので、拠点を奪いにくる・無人の拠点を奪うという部分は今回しっかりとやっています。僕らでも油断していると本拠点を奪われることもあるので、その辺りは遊び応えがあるのではないかと思います。
Q.前作は2周目じゃないと見られないイベントがありましたが、今回もありますか?
A.正確に言うと2周目ではなく、クリア後の世界を遊べるという感じなのですが、クリア後じゃないと出てこないキャラクターやエピソードを用意しています。クリア前にこんなことを言っていた意味って何だったんだろう? というのがクリア後にわかるよう場合もありますね。クリア後に同じことをしなくても遊び続けることができるので、そこでいろいろなエピソードを見ていただきたいと思っています。
Q.前作ではダウンロードコンテンツの配信がありましたが、今回もありますか?
A.ミッションとキャラクター、戦車に貼るステッカーを用意しています。キャラクターとステッカーはパスワードでオープンする形で、ミッションのみダウンロードで配信する予定です。キャラクターやステッカーについては、今後ユーザーさんから募集して、配信するなんてこともできたらいいな、と考えています。
■ そのほか展示物等
本社入口近くのロビーでは、予約限定特典などの展示のほか、開発スタッフによる協力プレイのデモプレイが行なわれていた。協力プレイでは、複数のユニットが同時に行動できるほか、プレーヤー間でCPの受け渡しができるなど、協力プレイならではの遊び方ができるようだ。
今回の体験会では、残念ながら協力プレイを体験することはできなかったものの、26日の土曜日に東京・秋葉原で行なわれる店頭体験会では、協力プレイの体験台も用意するとのことなので、抽選に外れて悔しい思いをしたファンは、26日の店頭体験会に駆けつけてみてはいかがだろうか。
(C)SEGA
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」のページ
http://valkyria2.jp/
(2009年 12月 24日)